PDAS・PDI・RDQの違い|慢性痛の使い分け【PDF付き】

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PDAS・PDI・RDQは何が違う?先に結論

PDAS・PDI・RDQは、いずれも痛みに伴う生活障害を捉える尺度ですが、見る範囲が異なります。慢性痛による日常活動への影響をみるならPDAS、家庭・仕事・余暇など生活領域への支障をみるならPDI、腰痛による生活障害をみるならRDQが主な候補です。

3尺度をすべて実施する必要はありません。まず「今回の評価で何を明らかにしたいか」から主軸となる尺度を1つ選び、それだけでは判断できない問題が残る場合に追加します。本記事では、3尺度の違い、選び分ける境界、併用する場面、再評価までを整理します。

疼痛評価全体の組み立てから確認したい場合は、疼痛評価・安全管理ハブをご覧ください。

迷ったら「何を知りたいか」で選ぶ

尺度は疾患名だけで決めず、今回どの生活障害を明らかにしたいかで選びます。慢性痛による日常活動への影響をみたいのか、生活領域ごとの支障をみたいのか、腰痛による生活障害をみたいのかを最初に整理すると選びやすくなります。

PDAS・PDI・RDQを選ぶ早見表
知りたいこと 第一候補 選ぶポイント
慢性痛が日常の活動をどの程度妨げているか PDAS 慢性痛に伴う日常活動への障害をまとめて把握したい
家庭・仕事・余暇など生活領域への支障を把握したい PDI 痛みが複数の生活領域へどの程度影響しているかを確認したい
腰痛による生活障害を評価したい RDQ 腰痛に特化した日常生活上の制限を追跡したい
PDAS・PDI・RDQの選び方ガイド。日常活動への支障はPDAS、生活領域や役割への支障はPDI、腰痛による生活障害はRDQを選ぶ考え方
PDAS・PDI・RDQは「何を知りたいか」で主尺度を選びます。目的に合う1尺度を主軸にして、必要な場合のみ別の評価を追加します。

痛みの強さそのものを知りたい場合は、PDAS・PDI・RDQとは別にNRSなどで評価します。痛みの強さと生活障害は同じ意味ではないため、目的に応じて分けて追跡します。

PDAS・PDI・RDQの違いを比較

大きな違いは、PDASとPDIが痛みに伴う生活障害を広く扱うのに対し、RDQは腰痛に特化していることです。さらにPDASとPDIでも、生活障害を捉える切り口が異なります。

スマホでは表を横スクロールできます。

PDAS・PDI・RDQの比較
尺度 主にみること 項目・採点 合計点 向いている場面 選択時の注意
PDAS 慢性痛による日常活動への障害 20項目・各0〜3点 0〜60点
高得点ほど障害が大きい
慢性痛に伴う生活障害を日常活動の側面から追跡したい 腰痛など特定疾患だけに特化した尺度ではない
PDI 痛みによる複数の生活領域への障害 7項目・各0〜10点 0〜70点
高得点ほど障害が大きい
家庭、仕事、余暇、社会生活などへの影響を領域別に把握したい 日本語版には7項目版PDI-Jと5項目版PDI-5-Jが報告されているため、使用版を混同しない
RDQ 腰痛による日常生活障害 24項目・二択 0〜24点
高得点ほど障害が大きい
腰痛による生活上の制限を評価・再評価したい 腰痛特異的な尺度なので、頚部痛や肩痛などへそのまま置き換えて使用しない

PDAS|慢性痛による日常活動への障害をみる

PDAS(Pain Disability Assessment Scale)は、慢性痛によって日常活動がどの程度妨げられているかを評価する自己記入式尺度です。20項目を0〜3点で評価し、合計0〜60点で表します。

痛みの強さそのものではなく、痛みが生活上の活動へどの程度影響しているかを確認したいときに使いやすい尺度です。再評価では合計点だけでなく、本人が困っている具体的な生活場面とあわせて変化を追います。

PDI|生活領域への支障をみる

PDI(Pain Disability Index)は、痛みが家庭生活、余暇、社会活動、仕事など複数の生活領域へどの程度影響しているかを評価します。7項目版のPDI-Jでは、各項目を0〜10点で評価し、合計0〜70点で表します。

PDASと同じく痛みに伴う生活障害を扱いますが、PDIは「どの生活領域が痛みに妨げられているか」を整理したい場合に候補となります。

日本語版では7項目版のPDI-Jに加えて5項目版のPDI-5-Jも検証されています。臨床記録や研究で使用する場合は、どの版を使用したかを明確にしておきます。

RDQ|腰痛による生活障害をみる

RDQ(Roland-Morris Disability Questionnaire)は、腰痛によって日常生活がどの程度制限されているかを評価する尺度です。24項目に回答し、該当する項目数を得点化します。

日本語版でも信頼性・妥当性・反応性が検証されています。腰痛症例で、痛みの強さではなく腰痛によって生活がどの程度制限されているかを追いたい場合に候補となります。

PDAS・PDI・RDQを選ぶ3ステップ

最初から複数尺度をセットにするのではなく、評価したい問いを決めてから主軸となる尺度を選びます。

  1. 何を明らかにしたいか決める
    慢性痛による日常活動なのか、生活領域への支障なのか、腰痛による生活障害なのかを最初に決めます。
  2. 問いに最も近い尺度を1つ選ぶ
    日常活動への障害ならPDAS、生活領域への影響ならPDI、腰痛による生活障害ならRDQが候補です。
  3. その尺度だけでは答えが残るときに追加する
    たとえばRDQで腰痛による生活障害を追っていても、痛みの強さそのものを知りたい場合はNRSなどを別に評価します。複数尺度は、異なる問いへ答える必要がある場合に追加します。

PDAS・PDI・RDQ 選択・記録シートPDF

尺度を選んだ理由と、再評価で何を追うかを同じ紙面に残したい場合に使える記録シートです。初回評価で主軸にする尺度、追加する評価、再評価条件を整理できます。


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複数尺度を併用するのは「問いが残る」とき

PDAS・PDI・RDQをすべて取ること自体に意味があるわけではありません。主軸となる尺度で答えられない問いが残る場合に、目的の異なる評価を追加します。

追加評価を考える場面
主軸 まだ分からないこと 追加候補
PDAS 家庭・仕事・余暇など、生活領域ごとの支障を分けて確認したい PDIを検討
PDI 慢性痛による日常活動への障害を別の視点から確認したい PDASを検討
RDQ 腰痛による生活障害とは別に、痛みの強さそのものを追いたい NRSなどを検討

併用する場合も、初回と再評価で目的なく尺度を入れ替えないことが重要です。経時変化を追う指標は、できるだけ同じ尺度・同じ条件で継続して確認します。

点数だけで終わらせない3つの確認

合計点は変化を追う指標になりますが、次の対応を考えるには「何ができなくなっているか」まで確認します。

  • どの生活場面が残っているか:家事、仕事、外出、趣味など、本人にとって重要な活動を具体化します。
  • 痛みの強さと生活障害が同じ方向に変化しているか:痛みが軽くなっても生活が戻らない場合や、痛みが残っていても活動が広がる場合があります。
  • 次回も同じ条件で確認できるか:尺度名だけでなく、評価時期や本人が困っている生活場面も残しておくと再評価しやすくなります。

PDAS・PDI・RDQで迷いやすいポイント

迷いやすいのは、「似た尺度だから全部取る」「合計点だけを見る」「対象の異なる尺度を使う」といった場面です。尺度名ではなく、評価目的と対象を確認して選びます。

  • 3尺度を全部取ればよいわけではない:同じ生活障害を複数尺度で重ねて測ると、患者負担と記録量が増えます。まず評価目的に最も合う1本を決めます。
  • PDASとPDIを同じ尺度として扱わない:どちらも痛みに伴う生活障害を扱いますが、日常活動と生活領域という切り口の違いを意識して選びます。
  • PDI-Jの版を混同しない:7項目版PDI-Jと5項目版PDI-5-Jが報告されているため、記録や研究では使用した版を明確にします。
  • RDQを腰痛以外へ一般化しない:RDQは腰痛による生活障害を評価する尺度です。頚部痛や肩痛などでは、対象に合う別の尺度を検討します。
  • 初回と再評価で尺度を頻繁に変えない:変化を追う目的なら、基本となる尺度を固定し、同じ条件で再評価します。

患者説明は「何を見る尺度か」を一言でそろえる

患者へ説明するときも、尺度名より「何を確認する質問なのか」を短く伝えると回答の目的を共有しやすくなります。

  • PDAS:「痛みによって、普段の生活動作がどのくらい妨げられているかを確認します。」
  • PDI:「痛みが、家事や仕事、余暇などの生活にどのくらい影響しているかを確認します。」
  • RDQ:「腰痛によって、普段の生活がどのくらい制限されているかを確認します。」

よくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。

Q1. PDAS・PDI・RDQのうち、1つだけ選ぶならどれですか?

1つに決まるわけではありません。慢性痛による日常活動への障害をみるならPDAS、生活領域への支障をみるならPDI、腰痛による生活障害をみるならRDQというように、評価目的から選びます。

Q2. 腰痛ならPDASとRDQを両方取るべきですか?

必須ではありません。腰痛による生活障害を確認することが主目的なら、まずRDQを主軸にできます。慢性痛による日常活動への影響を別の視点から確認する必要がある場合に、PDASなどの追加を検討します。

Q3. PDASとPDIはどう使い分けますか?

どちらも痛みに伴う生活障害を扱いますが、PDASは日常活動への障害、PDIは家庭・仕事・余暇など複数の生活領域への支障を整理したいときに候補となります。今回知りたい内容に近い方を主軸にします。

Q4. 点数が変わらなければリハビリの効果はないのでしょうか?

合計点だけで効果の有無を決めることはできません。痛みの強さ、具体的な生活場面、目標としていた活動なども合わせて確認し、何が変わり、何が残っているかを整理します。

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参考文献

  1. Arimura T, Komiyama H, Hosoi M. Pain Disability Assessment Scale (PDAS): A simplified scale for clinical use. Japanese Journal of Behavior Therapy. 1997;23(1):7-15. DOI
  2. Yamashiro K, Arimura T, Iwaki R, Jensen MP, Kubo C, Hosoi M. A multidimensional measure of pain interference: reliability and validity of the Pain Disability Assessment Scale. Clin J Pain. 2011;27(4):338-343. DOI
  3. Yamada K, Mibu A, Kogo S, Sullivan MJL, Nishigami T. Reliability and validity of the Japanese version of Pain Disability Index. PLoS One. 2022;17(9):e0274445. DOI
  4. Roland M, Morris R. A study of the natural history of back pain. Part I: development of a reliable and sensitive measure of disability in low-back pain. Spine. 1983;8(2):141-144. PubMed
  5. Suzukamo Y, Fukuhara S, Kikuchi S, Konno S, Roland M, Iwamoto Y, Nakamura T. Validation of the Japanese version of the Roland-Morris Disability Questionnaire. J Orthop Sci. 2003;8(4):543-548. PubMed

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

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