ABCスケールとは?(バランスの「自信度」を数値化)
ABCスケールは、日常16場面における「転倒せずにできる自信(0〜100%)」を本人が回答し、平均%で総合スコアを算出する自己記入式尺度です。FES-Iが“不安の強さ”を尋ねるのに対し、ABCは“できる自信”を問うため、両者を併用すると解釈が安定します。
構成・採点(16項目×0〜100%)
- 各項目で0%=まったく自信なし/100%=完全に自信ありを目盛りで回答(10%刻みなど施設で統一)。
- スコアは全項目の平均(%)。小数第1位まででOK(例:
78.1%)。 - 回答不能(N/A)は母数から除外し、N/Aの扱いは施設で統一して記録に明記。
| 平均スコア(%) | 解釈の目安 | 臨床メモ |
|---|---|---|
| < 67% | 転倒リスク増の目安 | 地域高齢者データで示唆。FES-Iや客観テストと束ねて判断。 |
| 67–80% | 中等度の自信 | 状況依存の回避が残ることあり。曝露設計で行動を段階的に拡大。 |
| > 80% | 概ね十分な自信 | ピンポイントな苦手場面を抽出し実地練習。 |
※閾値は集団特性で変動。既往歴・補助具・転倒歴・身体機能の評価と併せて解釈してください。
実施手順(面接/自記)
- 説明:評価するのは「できる能力」ではなく「転倒せずにできる自信」であることを明確化。
- 方式:自記で難しい場合は面接法(誘導はしない/具体例の与えすぎに注意)。
- 集計:16項目の平均%を算出。N/Aがある場合は母数と共に記載(例:
78.1%(15/16))。
所見から次のアクション
- ABC低値+客観低下(例:Mini-BESTest低値)→ 身体機能訓練+環境調整+教育。
- ABC低値だが機能保たれる(恐怖>能力)→ FES-I併用、段階的曝露、自己効力感の再構築。
- 場面依存の低値(階段・人混み・段差など)→ 該当ドリルを現場化(例:FGAの速度/方向転換)。
記録テンプレ(そのままコピペ)
【ABC】平均 __.__ %(母数 __ / 16) 方式:自記・面接(担当:____) 低値項目:____(例:外出先での歩行、階段下降、人混み) 併用:FES-I __ 点、Mini-BESTest __/28、FGA __/30、5xSTS __.__ 秒 対応:曝露の段階化(場面:____)、バランス訓練、家族・環境調整
よくあるミスと対策
- 能力と自信の混同:「できるか」ではなく「転倒せずにできる自信」を繰り返し強調。
- 誘導質問:例を与えすぎない。本人の直感値を尊重。
- 再評価の不統一:同じ説明・同じ方式(自記/面接)・同じ環境で実施。
関連評価とハブ
参考
- Powell LE, Myers AM. The Activities-specific Balance Confidence (ABC) Scale. J Gerontol A. 1995.
- RehabMeasures Database:ABC Scale(概要・臨床利用)。

