住宅改修×福祉用具|手すりは“動作”で決める
制度・実務
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住宅改修×福祉用具|OTが決める「手すりの高さ・位置」—動作リンクで即決
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本記事は 「利用者の動作(立ち上がり・方向転換・またぎ・昇降)」から逆算して、手すりの高さ・位置・形状を即決できるように、OT 実務視点の意思決定手順をまとめます。最後に現場でそのまま使える 採寸チェックリスト、Before→After 指示書、理由書下書き、写真撮影ガイド、採寸 Excel を配布します。
介護保険「住宅改修」6 類型と事前準備(理由書の要点)
介護保険の住宅改修は 6 類型(手すり取付/段差解消/床材変更/扉の取替/便器の取替/付帯工事)に該当し、生涯 20 万円の支給限度基準額(要介護度が3段階上がる・転居時は再設定)です。申請前に、理由書・見積・完成予定図/写真を揃え、工事後に支給申請を行います。制度解説は自治体または厚労省資料を必ず確認してください(外部リンクは新規タブ)。
外部参考:厚労省:介護保険における住宅改修(PDF)
“動作リンク”で決める基本手順(誰にでも使える型)
- 対象動作を決める:立ち上がり/方向転換/浴槽またぎ/階段昇降…どの瞬間に転倒リスクが高いか。
- 把持方向を決める:縦(引く・起こす)/横(支える・滑らせる)/L型(切替)。
- 身体基準を採寸:前腕長・肘頭高・便座高・段鼻高・浴槽縁高など。
- 仮寸法レンジを当てる:下表の「一般的目安」を初期値に。
- 試行と微調整:実環境で握りやすさ・肘干渉・体幹前傾角度をチェック。
インライン内部リンク:はじめ方の型(#flow)に沿って、見立て→提案→合意→申請→施工→再評価の順で回します。
場所別:一般的な目安レンジ+採寸ヒント
場所別の「一般的目安」(個別評価で±調整)
| 部位 | 形状 | 高さ・位置の目安 | 採寸のヒント |
| 廊下・屋内動線 |
I 型(横) |
床から 75–85 cm 程度 |
自然な立位で手首高を目安に。背中が丸い方はやや低めで前傾を確保。 |
| 階段 |
連続手すり |
段鼻から垂直に 750–850 mm 付近が目安 |
昇降時の前傾角と足関節可動域を確認。水平部は延長して掴み替えを確保。 |
| トイレ(便器横) |
L 型(横+縦) |
横:便座高+約23–30 cm/縦:便器先端から前方20–30 cm |
肘がペーパーホルダーと干渉しないか。立ち上がり時に手が身体前方へ来る配置。 |
| 浴室(浴槽まわり) |
L 型/縦+横 |
横:浴槽縁+約10–15 cm/縦:肩〜肩上まで握れる長さ |
洗い場→浴槽の重心移動に合わせ、横で体を寄せ、縦で起き上がりを補助。 |
外部参考:France Bed:手すりの高さの考え方/
DAIKEN:階段手すりの高さ 750–850mm/
リフォナビ:トイレ L 字の寸法目安/
GRIP:浴室の取付位置目安
直径・素材・ブラケット間隔の実務
- 直径:一般に 32 mm/35 mm が主流。握力が低い・手が小さい方は 32 mm を優先、体重支持が必要・手が大きい方は 35 mm を検討。
- 表面:濡れ環境は滑りにくい仕上げ。屋外は耐候性を優先。
- ブラケット:下地位置を優先しつつ適正ピッチでたわみを抑制。端部はエンドキャップで衣類の引っ掛かりを回避。
よくある失敗 → 先回りチェック
- ペーパーホルダー・ドアとの肘干渉を見落とす。
- 階段で水平部の延長不足により掴み替えが不安定。
- 浴槽で縦のみ/横のみになり、動作の切替に合わない。
- 握り中心で決めて重心移動を見ていない(前傾不足→後方重心)。
ダウンロード(現場でそのまま使える5点)
理由書の書き方“最短メモ”
- 現状:動作(例:浴槽またぎ)+環境(例:浴槽縁 48 cm)+危険(転倒歴・介助量)
- 改修内容:手すりの種別・高さ・長さ・位置(下地)
- 効果見込み:自立度・安全性・介助量の改善(TUG・反復立ち上がり等で前後比較)
- 費用:見積金額/対象部分/自己負担割合
制度手順の再確認:厚労省 資料(PDF)
参考リンク