DESIGN-R®2020|DDTIとDUの違いと判断ポイント

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DDTI / DU の違い|まず「明確な線引きはない」と知る

DESIGN-R® 2020 の深さ(D)で DDTI と DU に迷ったときは、見た目だけで単純に二択へ分けないことが重要です。日本褥瘡学会では、両者に明確な線引きはないとしたうえで、DDTI は比較的急性期の深部損傷疑い、DU は壊死組織で覆われ深さを判定できない状態として、時間経過も含めて整理しています。

この記事では、DDTI と DU の違いを、発生経緯・視診・触診・創底と壊死組織・時間経過から整理します。DESIGN-R® 2020 全体の採点は親記事にゆずり、このページでは「深さ D の境界判断」と、その日の記録・毎日の再評価に絞って解説します。

DDTI と DU の違い|急性期の深部損傷疑いか、壊死で深さ判定不能か

DDTI と DU の違いは、DDTI は深部組織の損傷が疑われる状態、DU は壊死組織のため深さそのものを判定できない状態という点です。どちらも一度付けた判定を固定せず、深さが判定可能になった時点で D を変更します。

※スマートフォンでは表が横スクロールできます。

DESIGN-R® 2020 における DDTI と DU の整理
判定 中心となる考え方 確認する情報 その後
DDTI 急性期褥瘡で、皮下組織より深部の損傷が疑われる 発生経緯、視診、触診、必要に応じた血液検査・画像診断など 経時的に観察し、深達度が明らかになれば D を変更する
DU 壊死組織で創底が覆われ、深さを判定できない 壊死組織の被覆、最深部の可視性、時間経過 深さを判定できるようになった時点で D を変更する
DESIGN-R 2020のDDTIとDUを時間経過と深さ判定で整理した図版
DDTI と DU に明確な線引きはありません。比較的急性期の深部損傷疑い、壊死による深さ判定不能、時間経過を組み合わせて整理します。

日本褥瘡学会の DESIGN-R® 2020 では、DDTI は視診・触診に加え、発生経緯、血液検査、画像診断などの補助データから判断します。一方、DU は「壊死組織で覆われ深さの判定が不能」と定義されています。

「創面が見えているから DDTI ではない」「壊死が少しあるから DU」ではありません。DESIGN-R® 2020 の DDTI は、表皮剥離のない病変だけに限定されず、水疱・びらん・浅い潰瘍などがあっても、急性期に皮下組織より深部の損傷が疑われれば候補になります。

DDTI を疑うとき|発生経緯・視診・触診を組み合わせる

DDTI は、紫色や暗赤色といった色調だけで決める判定ではありません。持続する圧迫やずれが加わった経緯を確認し、視診・触診を組み合わせ、必要な場合は検査情報も含めて総合的に判断します。

1.発生経緯を確認する

まず確認したいのは、発見時の見た目よりもその部位へどのような外力が加わっていたかです。持続する圧迫やずれ、発症・発見までの時間、術中・術後の体位、意識障害などによる長時間の同一姿勢といった背景を確認します。

「暗赤色だから DDTI」とするのではなく、深部組織損傷を疑うだけの発生経緯があるかを、皮膚所見とセットで記録します。

2.視診する

DDTI を含む急性期褥瘡では、発赤、紫斑、浮腫、水疱、びらん、浅い潰瘍など、多彩な所見を呈することがあります。

そのため、「表皮が剥離している」「浅い創が見えている」という理由だけで DDTI を除外しません。表面の状態だけで深部組織の損傷範囲を判断できないことを前提に観察します。

3.触診する

視診だけでは深部の変化を捉えにくいため、周囲の健常部と比較しながら触診します。

  • 硬結があるか
  • 泥のような浮遊感があるか
  • 周囲より温かい、または冷たいか
  • 疼痛・圧痛があるか

同じ「赤い創」でも、周囲との硬さや温度差を残しておくことで、翌日以降の変化を比較しやすくなります。

4.必要に応じて補助情報を確認する

深部損傷が疑われ、視診・触診だけでは判断しにくい場合には、医師や創傷管理チームと共有し、必要に応じて血液検査や画像診断などの情報を組み合わせます。

画像診断には X 線、CT、MRI、超音波画像診断などがありますが、すべての DDTI 疑いで一律に実施するという意味ではありません。病態、全身状態、感染の可能性などから必要性を判断します。

DU の判断|「壊死がある」ではなく「壊死で深さを判定できない」

DU で最も重要なのは、壊死組織の有無ではなく、壊死組織によって深さの判定ができないかを確認することです。

DESIGN-R® 2020 における DU は「壊死組織で覆われ深さの判定が不能」と定義されています。そのため、壊死組織が一部に存在するだけで DU とはしません。

DU を検討する3つの確認点

  • 壊死組織が創底を覆っている
  • 創内の最も深い部分を確認できない
  • 現時点では深達度を推測するしかない

壊死組織があっても、創内の最も深い部分を確認でき、深さを判定できる場合は、確認できる深達度に応じて D3〜D5 を判断します。

反対に、壊死組織が創底を覆って最深部を確認できない場合は DU とし、創底が確認できるようになった時点で D を変更します。

DDTI と DU で迷うとき|無理に二択へ落とさず時間経過を見る

DDTI と DU の間には、現時点で明確な線引きがあるわけではありません。日本褥瘡学会のコンセンサス・ドキュメントでは、DDTI は比較的急性期の褥瘡、DU は慢性化して壊死組織が明瞭となった病変として捉えられ、時間的な要素を考慮した分類と説明されています。

判断に迷った場合は、次の順で情報を整理すると、見た目だけの決め打ちを避けやすくなります。

  1. 発生経緯を確認する:圧迫・ずれが加わった時期、発見までの経過を確認する
  2. 深部損傷を疑う情報を集める:視診・触診を行い、必要時は補助データも確認する
  3. 壊死で深さが判定不能か確認する:壊死の存在ではなく、最深部を確認できるかを見る
  4. 時間経過を確認する:急性期の変化か、壊死組織が明瞭になってきた段階かを整理する
  5. 深さが分かれば D を変更する:DDTI・DU を固定ラベルとして扱わない

DDTI を支持する所見と DU を支持する所見が混在する場合は、「混在」とだけ記載するのではなく、発生経緯、色調、硬さ、皮膚温、疼痛、壊死組織、創底の可視性を具体的に残します。

再評価|DDTI は毎日確認し、深達度が分かれば D を変更する

DDTI では、初回の判定よりもその後の経時的な変化を追うことが重要です。時間の経過によって真の深達度が明らかになるため、毎日のフィジカルアセスメントを行い、前回所見と比較します。

再評価では、少なくとも次の変化を確認します。

  • 発赤、紫斑、浮腫などの色調・範囲
  • 水疱、びらん、潰瘍など表面の変化
  • 硬結、泥のような浮遊感
  • 周囲との皮膚温差
  • 疼痛・圧痛
  • 壊死組織の範囲
  • 創底・最深部を確認できるか
  • 滲出液、膿、悪臭など感染を疑う変化

DDTI、DU ともに、創内の深さを判定できるようになった時点で D3〜D5 などへ変更します。「昨日 DDTI だったから今日も DDTI」と引き継ぐのではなく、その日の所見で再評価することがポイントです。

記録例|判定だけでなく「根拠+次回比較項目」を残す

DDTI / DU の記録では、ラベルだけを残すのではなく、なぜその D 判定にしたのか、次に何を比較するのかまで記録します。担当者が変わっても同じ視点で追えることが重要です。

DDTI を疑う場合の記録例

記録例:右臀部。長時間の圧迫歴あり。暗赤紫色の変化を認め、周囲より硬く、皮膚温差あり。急性期の深部組織損傷が疑われ DDTI と判断。色調、硬さ、皮膚温、表皮変化、創底の状態を毎日比較し、深達度が明らかになれば D を変更する。

DU と判断する場合の記録例

記録例:仙骨部。創底が壊死組織で覆われ、最深部を確認できず深さ判定不能のため DU。壊死組織の範囲と創底の可視性を経時的に確認し、深さを判定できるようになった時点で D を変更する。

見逃してはいけない所見|感染を疑う場合は D 判定より安全確認を優先する

DDTI を疑う場面では、深さの分類だけで終わらせてはいけない所見があります。触診で泥のような浮遊感があり、さらに膿の貯留が疑われる場合や握雪感を認める場合には、褥瘡に合併した壊死性軟部組織感染症を十分に考慮します。

この場合は DDTI / DU の判定を整えることよりも安全確認を優先し、速やかに医師へ報告・相談し、必要な診断・治療へつなげます

配布物|DDTI / DU 深さ D 判定・毎日再評価シート

DDTI と DU の判断をベッドサイドで整理できるように、発生経緯 → DDTI を疑う情報 → DU を検討する情報 → 毎日再評価を A4 1枚にまとめました。Excel 版は記録様式として編集したい場合、PDF 版はそのまま印刷して使用したい場合に利用できます。

DESIGN-R® 2020 DDTI / DU 深さ D 判定・毎日再評価シート

DDTI / DU を単純な二択にせず、発生経緯、視診・触診、壊死組織、時間経過と毎日の再評価を1枚で確認できます。

Excel 版をダウンロード(記入・編集用)

PDF 版を開く・ダウンロード(印刷用)

※本シートは日本褥瘡学会の公式記録用紙ではなく、DDTI / DU の判断・再評価を整理するための独自補助資料です。実際の評価では、施設基準、医師の指示、日本褥瘡学会の公式資料を優先してください。

次の一手|DESIGN-R® 2020 全体と褥瘡予防へつなげる

DDTI / DU の深さ D を整理できたら、その他の項目を含めた全体の採点方法を確認します。DESIGN-R® 2020 の 7 項目と記録方法は、DESIGN-R® 2020 採点方法の親記事で整理しています。

評価後の除圧・ポジショニング・再評価まで一連の流れを確認したい場合は、褥瘡予防の基本フローへ進んでください。


参考文献

  1. 日本褥瘡学会.改定 DESIGN-R® 2020 コンセンサス・ドキュメント.東京:照林社;2020.公式 PDF
  2. 日本褥瘡学会.改定 DESIGN-R® 2020 練習問題[Internet].公式 PDF
  3. National Pressure Injury Advisory Panel. Pressure Injury Stages[Internet]. PDF
  4. Edsberg LE, Black J, Goldberg M, McNichol L, Moore L, Sieggreen M. Revised National Pressure Ulcer Advisory Panel Pressure Injury Staging System. J Wound Ostomy Continence Nurs. 2016;43(6):585-597. doi:10.1097/WON.0000000000000281. PubMed

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

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