認知症ケア加算の届出様式は、先に「加算区分」を固定してから準備します
本記事は、公開・更新日時点の地方厚生局等の公式資料に基づき、認知症ケア加算の届出で使う様式 40 の 10/様式 40 の 11の使い分けと、提出前にそろえる根拠を整理します。結論からいうと、加算 1 は様式 40 の 10、加算 2・3 は様式 40 の 11を確認し、体制・運用・研修の根拠を 1 つの流れで説明できる状態にしておくことが重要です。
この記事で答えるのは、「どの様式を使うか」「提出前に何をそろえるか」「差戻しや確認対応を減らすにはどう保管するか」です。加算 1・2・3 の施設基準そのものの比較は親記事・比較記事へ逃がし、本記事では届出準備の実務に絞ります。
最初に確認|加算 1 は様式 40 の 10、加算 2・3 は様式 40 の 11
届出準備で最初に決めるのは、院内で算定を目指す加算区分です。区分が曖昧なまま根拠を集め始めると、体制・研修・記録の確認範囲がぶれ、提出前の手戻りが増えます。
まずは次の整理図で、どの加算でどの様式を使うかを固定します。細かい記入方法より先に、院内でそろえるべき根拠を同じ流れで整理することが重要です。
| 区分 | 使用する様式 | 準備の焦点 | 先に確認すること |
|---|---|---|---|
| 認知症ケア加算 1 | 様式 40 の 10 | 認知症ケアに係るチーム体制、運用、研修の根拠 | チーム構成員、役割、専任・兼務、活動記録 |
| 認知症ケア加算 2 | 様式 40 の 11 | 対象病棟の研修・体制・運用の根拠 | 病棟別の受講状況、研修記録、運用実績 |
| 認知症ケア加算 3 | 様式 40 の 11 | 加算 2 と同じ様式を使い、該当区分の根拠を整理 | 算定区分、病棟別の体制、記録の保管場所 |
提出前にそろえる根拠|体制・運用・研修を 1 本化する
差戻しを減らすには、様式の記入欄を埋める前に、根拠資料を「すぐ説明できる順番」に並べておくことが重要です。体制、運用、研修が別々の場所に散っていると、確認時に説明が長くなります。
院内では、体制の根拠→運用の根拠→研修の根拠→受講状況一覧の順でフォルダを固定すると、担当者が変わっても確認しやすくなります。全体の施設基準確認は、認知症ケアチームのセルフチェックと合わせて見ると整理しやすいです。
| 根拠の種類 | 最低限そろえる資料 | 確認されやすい点 | 保管の型 |
|---|---|---|---|
| 体制 | チーム構成員一覧、職種、勤務形態、役割分担 | 専任・兼務の整理、誰が運用を回すか | 「01_体制」フォルダに名簿と役割表を集約 |
| 運用 | ラウンド、カンファ、助言、介入結果の記録 | 活動実績が継続して追えるか | 「02_運用」フォルダに月別ログを保存 |
| 研修 | 研修日時、テーマ、講師、参加者、資料 | 開催実績と参加状況が説明できるか | 「03_研修」フォルダに開催記録と資料を保存 |
| 受講状況 | 病棟別・職種別の受講状況一覧 | 最新版の日付、未受講者への対応 | 更新日付きの一覧表で版管理 |
届出準備チェックシート|様式・根拠・保管場所を 1 枚で確認する
提出前の確認漏れを減らすため、認知症ケア加算の届出準備チェックシートを用意しました。様式 40 の 10/40 の 11 の使い分け、体制・運用・研修の根拠、保管場所を A4 1 枚で整理できます。
中身をプレビューする
書き方の考え方|欄の意図に合わせて「実態」を記載する
様式の記載では、きれいな文章よりも、院内の実態と根拠資料が一致していることを優先します。欄ごとに「何を確認されているか」を意識すると、記載の過不足を減らせます。
人名や開催日だけを並べるのではなく、誰が、どの役割で、どの頻度で、どの記録に残しているかまでつながる表現にすると、届出後の運用確認にも対応しやすくなります。
体制欄|人名の列挙ではなく役割が見えるようにする
構成員は、職種・勤務形態・専任または兼務の整理に加えて、相談窓口、ラウンド主担当、カンファ運営、研修担当などの役割が分かる形にします。役割表と様式の記載が一致しているかを確認してください。
運用欄|開催事実だけでなく出力を残す
ラウンドやカンファは、開催した事実だけではなく、提案内容、担当者、期限、結果確認まで追えると実務で使いやすくなります。口頭助言で終わらせず、次回確認できる形で残すことがポイントです。
研修欄|開催記録と受講状況を分けて管理する
研修は、開催記録と受講状況一覧を分けて管理します。開催記録には日時・テーマ・講師・参加者を残し、受講状況一覧には病棟別・職種別の更新日を入れると、確認時に説明しやすくなります。
よくある差戻し・手戻り|原因は「記入ミス」より根拠の散在です
届出準備で詰まりやすいのは、様式そのものよりも、根拠資料が散っていて説明に時間がかかる場面です。提出前に、次の表で抜けを確認しておきます。
| 詰まりポイント | 起きる理由 | 回避策 | 提出前の確認 |
|---|---|---|---|
| 専任・兼務の説明が弱い | 役割表と様式の記載が一致していない | 構成員一覧に役割と勤務形態を併記する | 誰が主担当か一言で説明できるか |
| 活動記録が散在する | 看護記録、リハ記録、議事録が分断される | 月別ログに「提案→担当→期限→結果」をまとめる | 前回提案の結果確認が追えるか |
| 研修の証跡が弱い | 日時・テーマ・参加者が一覧化されていない | 開催記録と受講状況一覧を分けて管理する | 最新版の更新日が分かるか |
| 様式の版が古い | 院内保存版を使い回している | 地方厚生局の一覧から取得元を固定する | 取得日をファイル名に残したか |
現場の詰まりどころ|確認順を固定すると迷いが減ります
届出準備が止まるときは、担当者の理解不足だけでなく、根拠の置き場所、記録様式、相談先が決まっていないことが原因になりやすいです。まずは次の 3 点だけを確認してください。
ここまで整えても毎回同じところで詰まる場合は、書き方だけでなく、教育体制・共通フォーマット・相談相手の有無など、職場環境の影響を受けている可能性もあります。評価・記録・報告の型をまとめて整理したい方は、PT キャリアガイドも参考になります。
記録や報告の型を整理したい方へ
様式の入手先|最新版は地方厚生局の一覧から確認する
届出様式は差し替えられる可能性があるため、院内では取得元を 1 つに固定します。ローカル保存する場合は、ファイル名に取得日を入れ、古い様式を使い回さない運用にします。
- 基本診療料の届出一覧(令和 6 年度診療報酬改定):関東信越厚生局
- 様式 40 の 10:認知症ケア加算 1 の施設基準に係る届出書添付書類
- 様式 40 の 11:認知症ケア加算 2 又は 3 の施設基準に係る届出書添付書類
よくある質問
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
様式 40 の 10 と 40 の 11 はどう使い分けますか?
認知症ケア加算 1 は様式 40 の 10、認知症ケア加算 2・3 は様式 40 の 11を確認します。先に算定区分を固定してから、体制・運用・研修の根拠を集めると手戻りを減らせます。
差戻しが起きやすい原因は何ですか?
様式の記入ミスだけでなく、体制・運用・研修の根拠が散っていることが原因になりやすいです。提出前にフォルダ構成を固定し、どの資料で説明するかを決めておくと対応しやすくなります。
最新版の様式はどこから取得すべきですか?
地方厚生局の基本診療料の届出一覧から確認する運用が安全です。院内保存版を使い回すのではなく、取得日を残して版管理してください。
PT は届出準備でどこに関わりやすいですか?
非薬物的な関わり、活動・ADL 面の助言、環境調整、転倒予防、ケア手順の共有などで関与しやすいです。提案内容は「提案→担当→期限→結果」で残すと、チーム内共有にも確認対応にも使いやすくなります。
次の一手|総論と比較記事で、届出準備の抜けを減らす
参考文献
- 関東信越厚生局.基本診療料の届出一覧(令和 6 年度診療報酬改定).
- 関東信越厚生局.様式 40 の 10:認知症ケア加算 1 の施設基準に係る届出書添付書類.
- 北海道厚生局.様式 40 の 11:認知症ケア加算 2 又は 3 の施設基準に係る届出書添付書類.
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


