せん妄リスク因子の確認と対策|病棟で回る運用フロー

制度・実務
記事内に広告が含まれています。

せん妄リスク因子の確認と対策|入院前〜入院後 3 日以内に “回る運用” を固定する

せん妄は「起きてから対応」だと手戻りが増えます。ポイントは、入院前または入院後 3 日以内にリスク因子を確認し、ハイリスクには速やかに対策を実施して、記録が一貫して残る形にすることです。認知症ケア加算でも、アセスメントと対応方策にせん妄のリスク因子の確認/せん妄対策を含める運用が求められています。

本記事は、病棟でブレやすい「誰が/いつ/何を/どこに残すか」を、チェックリスト → 対策メニュー → 記録テンプレの 1 本にまとめて固定します。

回遊の三段(同ジャンル):親ハブ → 親記事 → 子記事で “全体像” を揃えると、運用が崩れません。

施設基準ハブ(委員会・加算・書類)へ

結論:チェックは “最小セット” 、対策は “非薬物の束ね” 、記録は “ 1 か所” に寄せる

運用を安定させる結論は 3 つです。①チェックは項目を増やさず最小セットで回す。②対策は単発ではなく、見当識・水分・離床・疼痛・睡眠・薬剤・家族説明を束ねる。③記録は分散させず、確認日/対策日/担当/次回評価が追える形で 1 か所に寄せます。

この 3 点が揃うと、「やっているのに説明できない」状態が消え、現場の手戻り(申し送り・記録探索・カンファ再調整)が減ります。

リスク因子の最小セット|“院内チェックリスト” を作るときの骨格

チェックリストは各施設で作成し、様式例を参考にします。病棟で回すなら、まずは “リスク因子” を次の最小セットで固定すると崩れにくいです(スマホは左右にスクロールできます)。

せん妄リスク因子:最小セット(院内チェックリスト骨格)
区分 現場の書き方 詰まりやすい点
高齢 70 歳以上 該当ならチェック 年齢確認が遅れる
脳器質的障害 脳血管障害、外傷など 既往/現病歴から確認 診療情報が分散
認知症 診断/疑い “疑い” も拾う 「未診断」で抜ける
アルコール多飲 飲酒歴 入院時問診で統一 聞き取りが曖昧
せん妄の既往 過去入院で発症など 家族情報も活用 既往が取れない
リスク薬剤 ベンゾ系など 薬剤師と連携 “誰が見るか” が未固定
全身麻酔手術 術後/予定 予定が入った時点でチェック 術前に拾えない

いつやる?|入院前〜入院後 3 日以内 → ハイリスクは “確認後すぐ”

運用の肝はタイミングです。チェックが遅れると、対策も遅れます。おすすめは “入院時ルーチン” に埋め込むことです。

  • リスク因子の確認:入院前または入院後 3 日以内
  • せん妄対策:リスク因子の確認後、速やかに実施
  • 早期発見:ハイリスクは定期的に観察し、兆候があればすぐ共有

ハイリスクの対策メニュー|“非薬物を束ねて” 実装する

対策は単発より “束ね” が効きます。以下をテンプレ化しておくと、担当が変わっても品質が落ちにくいです。

ハイリスク患者のせん妄対策:病棟で回す非薬物メニュー(束ね)
領域 具体策 担当の置き方 記録の一言
見当識 日付・場所・予定の提示、眼鏡・補聴の確認 看護が主、家族も協力 見当識支援を実施
水分 脱水予防、摂取状況の見える化 看護+栄養/薬剤と連携 水分摂取を調整
離床 早期離床、日中活動量の確保 PT / OT が設計 離床メニューを実施
疼痛 疼痛評価(主観+客観)と調整 医師+看護+ PT 疼痛要因を評価
睡眠 日中覚醒、夜間刺激の整理、非薬物で入眠促進 病棟全体で統一 睡眠環境を調整
薬剤 リスク薬剤の見直し(漸減/中止の検討) 薬剤師が主導 薬剤を再評価
説明 本人・家族へ、せん妄と対応の説明 医師/看護で連携 家族へ情報提供

記録の型|“確認日・対策日・担当・期限・結果” を 1 行で追える

記録が散ると、チーム運用が止まります。おすすめは、せん妄の欄をラウンド/カンファのテンプレに統合し、次回で回収できる形にすることです。

せん妄運用の記録:最小テンプレ( 1 行で追える)
書く内容(最小)
リスク因子確認日 入院前/入院後 3 日以内 入院 1 日目
該当(要因) チェック項目 70 歳以上、認知症疑い、リスク薬剤
対策実施日 確認後すぐ 確認当日
対策(束ね) 見当識/水分/離床/疼痛/睡眠/薬剤/説明 離床 2 回、睡眠環境整理、薬剤レビュー依頼
担当 主担当+フォロー 看護 A、 PT B、薬剤師 C
期限(次回回収) 24–72 時間で短期 48 時間で再評価
結果(評価) 変化の有無+次の打ち手 夜間覚醒が減少、次は排泄タイミング調整

よくある失敗|チェックはしたのに “対策が実装されない”

詰まりはほぼ 3 つです。テンプレの “欄” で防ぐのが最短です。

  • 担当が決まらない:対策が “誰の仕事” か曖昧 → 担当欄を必須にする
  • 期限がない:次回に回収されない → 期限を 24–72 時間で固定
  • 対策が単発:睡眠だけ、離床だけで終わる → 非薬物を束ねて実装

セルフチェック|この 4 つが揃えば “監査にも強い”

せん妄運用:セルフチェック(最小)
チェック OK NG 直し方
3 日以内 確認日が入院 3 日以内 確認が 4 日目以降 入院時ルーチンに埋め込む
速やかに対策 対策実施日が確認日と近い 対策日が空欄 対策日欄を必須にする
担当が明確 主担当+フォローが書ける “病棟で対応” など曖昧 担当欄を固定
次回で回収 期限が 48 時間など短期 期限なし 次回ラウンドで回収を固定

現場の詰まりどころ|解決の三段(ボタン無し)

よくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

チェックリストは “全部の項目” をそのまま載せた方がいいですか?

運用が止まりやすいので、まずは “最小セット” で回すのがおすすめです。大事なのは、チェックよりも “対策が速やかに実装され、次回に回収できる” ことです。

PT がせん妄対策で貢献できるところは?

離床・活動性(覚醒の維持)と、疼痛・環境要因の仮説化が強みです。対策を “担当+期限” まで残して、次回に結果回収できる形にすると価値が見えます。

認知症ケア加算と、せん妄ハイリスク患者ケア加算は併算定できますか?

改定の方向性として、認知症ケア加算を算定した場合は、せん妄ハイリスク患者ケア加算の算定は不可とされています。運用としては、認知症ケア加算のアセスメントに “せん妄の確認と対策” を含め、病棟の標準手順として固定するのが安全です。

次の一手|運用を整える → 共有の型を作る → 環境も点検する

教育体制・人員・記録文化など“環境要因”を一度見える化すると、次の打ち手が決めやすくなります。

無料チェックシートで職場環境を見える化

チェック後に『続ける/変える』の選択肢も整理したい方は、PT キャリアナビで進め方を確認しておくと迷いが減ります。
PT キャリアナビ:転職の進め方を確認する

参考文献

著者情報

rehabilikun(理学療法士)のアイコン

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

運営者について編集・引用ポリシーお問い合わせ

タイトルとURLをコピーしました