FIM 7点と6点の違いは「修正が必要か」で決める
FIMの7点(完全自立)と6点(修正自立)は、どちらも自立に分類されます。運動項目では、まず見守り・準備・声かけ・身体介助など他者の関与を必要としないかを確認し、そのうえで補助具、通常より長い所要時間、安全上の懸念などの修正要素がなければ7点、修正要素があれば6点と整理します。
この記事では、「介助なしだから7点」と判断せず、7点・6点・5点以下をどの順番で切り分けるかに絞って解説します。杖・手すり・自助具、時間延長、見守り・準備など、臨床で迷いやすい境界と記録例まで確認できます。
FIM全体の項目・採点方法から確認したい場合
7点・6点・5点以下は「他者の関与」を最初に確認する
7点と6点を分ける前に、まず他者が必要かを確認します。見守り、準備、声かけなどが必要な場合は6点ではなく5点以下を検討し、身体介助が必要なら4点以下を検討します。他者が不要な場合に、補助具・時間・安全性などの修正要素から7点と6点を分けます。

図版の「安全配慮・環境調整」の読み方:本人だけで動作を完結できる一方、安全上の懸念や修正を要する場合を6点側として示しています。他者が物品を準備する、環境を整える、見守る、声をかける必要がある場合は5点以下を検討します。
FIM 7点と6点は「他者不要」は共通、修正要素が異なる
7点と6点はいずれも、他者の介助を必要としない自立群です。違いは、その動作を成立させるために補助具、時間、安全性に関する修正が必要かどうかです。
| 確認項目 | 7点(完全自立) | 6点(修正自立) |
|---|---|---|
| 他者の関与 | 不要 | 不要 |
| 補助具・自助具 | 動作を成立させるための補助具を必要としない | 杖、手すり、装具、自助具などを使用して自立する |
| 所要時間 | 妥当な時間で遂行できる | 他者の介助は不要だが、通常より時間を要する |
| 安全性 | 安全に遂行できる | 他者は不要だが、安全上の懸念や修正が残る |
| 見守り・準備 | 不要 | 不要。必要なら5点以下を検討する |
| 記録 | 修正なしで自立していることを残す | 何が6点の理由なのかを具体的に残す |
したがって、「身体介助がない=7点」ではありません。身体介助がなくても、補助具の使用、時間延長、安全上の懸念などがあれば6点を検討します。
見守り・準備・声かけが必要なら6点ではなく5点以下を検討する
7点と6点の境界で最も重要なのは、6点も他者を必要としないという点です。他者がそばにいる必要がある、必要物品を準備する、開始を促すなどの関与が必要であれば、修正自立ではなく5点以下の範囲へ移ります。
| 状態 | 検討する得点 | 判断のポイント |
|---|---|---|
| 他者不要・修正要素なし | 7点 | 補助具などを必要とせず、安全かつ妥当な時間で遂行する |
| 他者不要・修正要素あり | 6点 | 補助具、時間延長、安全上の懸念などがある |
| 見守り・準備などが必要 | 5点以下 | 他者の存在や準備が必要で、完全な自立ではない |
| 身体介助が必要 | 4点以下 | 介助量に応じて4〜1点を検討する |
5点の監視・準備との境界を詳しく確認したい場合は、FIM 5点の判定と6点との違いで整理しています。
迷いやすい具体例は「誰が条件を整えているか」まで見る
補助具を使っているかだけでなく、その動作を患者本人だけで完結できているかを確認すると、7点・6点・5点以下を分けやすくなります。
| 場面 | 考え方 | 判定の方向 |
|---|---|---|
| 歩行 | 必要な距離など当該項目の要件を満たし、杖を使って本人だけで遂行する | 6点を検討 |
| トイレ移乗 | 手すりを使えば、見守りや身体介助なしで遂行する | 6点を検討 |
| 更衣 | リーチャーなどの自助具を本人が使用し、一連の動作を自立して行う | 6点を検討 |
| 更衣 | 他者が衣服を準備・配置してから本人が更衣する | 5点以下を検討 |
| 移動・セルフケア | 補助具は不要だが、遂行に通常より明らかに時間を要する | 6点を検討 |
| 動作全般 | 転倒等の懸念から、他者がそばで見守る必要がある | 5点以下を検討 |
| 動作全般 | 軽く支えるなど身体接触による介助が必要 | 4点以下を検討 |
特に注意したいのは、「安全に配慮している」という言葉だけでは6点か5点か決められないことです。本人だけで自己管理しながら遂行しているのか、他者による監視・声かけが必要なのかを分けて記録します。
7点は補助具や他者の関与なしで安全かつ適切に遂行する
7点は完全自立です。運動項目では、当該項目の課題を他者の介助や見守り、準備を必要とせず、動作を成立させる補助具等にも依存せず、安全かつ妥当な時間で遂行できる状態を考えます。
ただし、「一度できた」という事実だけで採点するのではなく、評価対象となる実際の生活場面でどのように遂行しているかを確認することが重要です。各FIM項目には固有の評価範囲があるため、最終的な採点では各項目の基準も確認します。
6点は他者不要だが何らかの修正を必要とする
6点は修正自立です。他者の見守り・準備・身体介助を必要とせず本人だけで遂行できる一方、補助具や自助具を使用する、通常より時間を要する、安全上の懸念が残るなどの修正要素があります。
6点は「少し介助が必要」という意味ではありません。他者不要の自立であることを維持したまま、遂行方法に修正がある状態です。この点を押さえると、5点との混同を減らせます。
認知5項目は補助具・時間・安全性の3軸だけで判定しない
FIMは運動13項目と認知5項目で構成され、厚生労働省資料でも7点は完全自立、6点は修正自立として整理されています。ただし、この記事の補助具・時間・安全性によるフローは、主に運動項目の7点と6点を理解するための整理です。
理解、表出、社会的交流、問題解決、記憶といった認知項目では、各項目固有の採点基準に沿って判断します。「補助具を使っていないから7点」など、運動項目と同じ考え方だけで一律に判定しないようにします。
記録は「点数+6点になった理由」まで残す
点数だけでは、次の評価者が「なぜ7点ではなく6点なのか」を再現できません。特に6点では、補助具、時間、安全性のうち何が判定理由だったのかを1文で残します。
- 7点の記録例:更衣は補助具・他者の準備不要。安全かつ通常の所要時間で一連動作を自立して実施。
- 6点の記録例:病棟歩行はT字杖使用。見守り・身体介助なく自立して遂行。
- 6点の記録例:下衣更衣はリーチャーを使用して自立。介助不要だが所要時間延長あり。
- 5点以下を検討する記録例:更衣動作自体は実施可能だが、開始前に衣服の準備が必要。
「自立」とだけ記載せず、どの条件で自立しているかまで残すと、再評価やカンファレンスで判定根拠を共有しやすくなります。
よくある採点ミスは「介助なし」を7点と同義にすること
7点と6点の判定で起きやすいのは、身体介助の有無だけを見てしまうことです。採点時は、次の順番で確認すると整理しやすくなります。
- 見守り・準備・声かけ・身体介助など、他者の関与が必要か
- 他者不要なら、補助具・装具・自助具を必要とするか
- 通常より時間を要していないか
- 安全上の懸念や修正が残っていないか
- 最後に、そのFIM項目固有の要件を満たしているかを確認する
7点と6点を先に考えるのではなく、最初に「他者が必要か」を確認することがポイントです。
よくある質問(FAQ)
FIMの7点と6点は、どちらも自立ですか?
はい。7点は完全自立、6点は修正自立で、いずれも自立群です。運動項目では、6点も他者の介助や見守りを必要としない点が重要です。
杖を使って歩いている場合は6点ですか?
杖が必要で、歩行項目のその他の要件を満たし、見守りや身体介助なしで本人だけで遂行している場合は6点を検討します。距離など各項目固有の要件も含めて判定します。
時間がかかるだけでも6点になりますか?
他者の関与は不要でも、遂行に通常より明らかに時間を要することが修正要素となる場合は6点を検討します。単発の遅れだけでなく、評価対象となる生活場面での実際の遂行を確認します。
転倒が心配なので見守っている場合は6点ですか?
他者による見守りが必要であれば、原則として6点ではなく5点以下を検討します。本人だけで遂行できるものの安全上の懸念が残る状態と、他者の監視を必要とする状態を分けて考えます。
他者が道具を準備すれば一人でできる場合は6点ですか?
他者によるセットアップや準備が必要な場合は、6点の「他者不要」には該当しません。5点以下を検討し、何を準備しているのかを記録します。
次の一手
7点との違いが整理できたら、次は6点そのものの採点条件を項目別に確認すると理解しやすくなります。
参考文献
- Keith RA, Granger CV, Hamilton BB, Sherwin FS. The functional independence measure: a new tool for rehabilitation. Adv Clin Rehabil. 1987;1:6-18.
- Ottenbacher KJ, Hsu Y, Granger CV, Fiedler RC. The reliability of the Functional Independence Measure: a quantitative review. Arch Phys Med Rehabil. 1996;77(12):1226-1232. doi:10.1016/S0003-9993(96)90184-7.
- Maritz R, Fellinghauer C, Brach M, et al. A Rasch-based comparison of the Functional Independence Measure and Spinal Cord Independence Measure for outcome and quality in the rehabilitation of persons with spinal cord injury. J Rehabil Med. 2022;54:82. doi:10.2340/jrm.v54.82.
- 厚生労働省. 日常生活動作(ADL)の指標 FIMの概要.
著者情報

rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度など、医療従事者の実務に役立つ情報を発信しています。
現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。
保有資格
- 脳卒中認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター2級

