令和 8 年 診療報酬改定|リハビリ実装テンプレ集(院内運用の型)
改定対応は「情報を追う」だけだと、現場で判断が割れます。本ページは、対象選定・中止/再開・申し送り・人員配置を テンプレ 4 枚に落として、部署間のズレを最小化するための実装ページです。
差分の確認はトラッカー、運用の標準化は本ページと役割を分けると、更新スピードと実務精度を両立できます。
このページの使い方
まずテンプレ ① で対象の優先順位を決め、テンプレ ② で中止・再開条件を統一し、テンプレ ③ の 3 行申し送りで職種間の情報ロスを減らします。最後にテンプレ ④ の A-B-C 判定で専従・兼務の配置方針を明文化してください。
ルールが曖昧なまま運用を始めると、同じケースでも判断が分かれ、説明や修正の手戻りが増えます。先に型を固定しておくことが、改定対応の最短ルートです。
テンプレ ① 対象優先順位テンプレ
最初に「誰から適用するか」を決めると、会議が早く終わり、実装の初速が安定します。優先度は、改定影響の大きさ・退院調整の緊急性・多職種調整の必要度で判断します。
原則は高優先から着手し、低優先は週次で見直す運用にしてください。対象選定の軸が明確になることで、現場の納得感と説明の一貫性が確保されます。
スマートフォンでは、表が画面からはみ出す場合があります。左右にスワイプしてご覧ください。
| 優先度 | 判定条件(目安) | 初回対応期限 | 主担当 | 記録欄 |
|---|---|---|---|---|
| A(最優先) | 点数・要件変更の影響が大きく、退院調整や多職種連携が直近で必要 | 当日〜翌営業日 | 病棟責任者+担当療法士 | 要件確認/家族説明/連携先確定 |
| B(優先) | 運用変更の影響が中等度で、週内の調整で対応可能 | 3 営業日以内 | 担当療法士 | 計画更新/申し送り更新 |
| C(通常) | 影響が限定的で、既存運用の微調整で対応可能 | 1 週間以内 | 担当療法士(必要時に責任者確認) | 定期レビュー時に反映 |
テンプレ ② 中止・再開条件テンプレ
中止判断を「個人の経験値」で運用すると、同じ症例でも判断差が出ます。中止条件と再開条件をセットで定義し、記録様式も合わせて統一してください。
中止だけを強くすると再開が遅れ、再開条件だけを強くするとリスク対応が甘くなります。両方を同時に設計することが、機会損失と有害事象の両方を減らすコツです。
| 判定場面 | OK(継続/再開) | NG(中止/延期) | 対応 | 記録ポイント |
|---|---|---|---|---|
| 開始前 | バイタルが施設基準内、症状安定、本人同意あり | 急な症状増悪、基準逸脱、同意困難 | 主治医・看護師へ即時共有し再評価 | 中止理由、再評価予定時刻、連携先 |
| 実施中 | 負荷に対して症状・表情・会話が許容範囲 | 呼吸困難増悪、胸部症状、意識変容、強い疼痛 | 即時中止、安静確保、必要時に救急対応 | 発生時刻、誘因、停止後の経過 |
| 再開判定 | 中止要因が改善し、再開条件を満たす | 要因未解決、連携未完了、再発リスクが高い | 負荷を下げて段階再開、観察間隔を短縮 | 再開条件、再開時負荷、監視計画 |
テンプレ ③ 引き継ぎ 3 行テンプレ(記入例つき)
申し送りは長文より「要点 3 行」のほうが抜け漏れを減らせます。1 行目は現状、2 行目はリスク、3 行目は次アクションで固定してください。
誰が読んでも同じ順で理解できるため、病棟間移動・休日対応・新人フォローで効果が出やすくなります。まずは全症例で同じフォーマットにそろえることが重要です。
| 行 | 書く内容 | 記入例 |
|---|---|---|
| 1 行目(現状) | 本日の到達点・実施内容・反応 | 離床 20 分で実施、歩行器 30 m、息切れ軽度で終了 |
| 2 行目(リスク) | 中止要因・注意症状・観察強化点 | 起立直後に血圧低下傾向、立位移行時は見守り強化 |
| 3 行目(次アクション) | 次回の具体的実施計画・連携先 | 明日午前は座位耐久から開始、看護へ開始前 BP 確認を依頼 |
テンプレ ④ 専従/兼務 A-B-C 判定表
人員配置は「忙しいから兼務」ではなく、影響度とモニタリング負荷で決めるとブレません。A は専従寄り、B は時間帯専従、C は兼務可と定義しておくと、急な欠員時も代替判断がしやすくなります。
会議では結論だけでなく、判定根拠も記録する運用にすると、後日の見直しと改善がスムーズです。
| 区分 | 判定基準 | 配置方針 | 見直し頻度 | 記録項目 |
|---|---|---|---|---|
| A | 改定影響大+多職種調整多+モニタリングが高頻度 | 専従を基本(代替者を事前指定) | 毎日 | 担当者、代替者、中止基準、連絡体制 |
| B | 改定影響中+調整は週内で対応可能 | 時間帯専従(コア時間を固定) | 週 2 回 | コア時間、優先患者、申し送りルール |
| C | 改定影響小+既存運用で対応可能 | 兼務可(責任者レビュー前提) | 週 1 回 | 兼務範囲、逸脱時のエスカレーション |
現場の詰まりどころ
実装が止まりやすいのは、制度理解不足よりも「優先順位」「中止/再開」「申し送り」「配置判断」が部署ごとにズレる場面です。特に、会議では合意したのに現場で再現されないケースは、テンプレの記入粒度が統一されていないことが原因になりがちです。
よくある失敗(ここで止まりやすい)
- 対象の優先順位が「担当者の感覚」になり、着手順が日替わりになる
- 中止理由は残るが、再開条件が曖昧で「再開待ち」が増える
- 申し送りが長文化し、読む側が “次に何をするか” を拾えない
回避手順(最短フロー)
- テンプレ ① を 10 分で埋め、A/B/C の線引きを文章で固定する(会議のゴールを先に決める)
- テンプレ ② は「中止」と「再開」を必ずセットで決め、記録ポイントを 1 行で統一する
- テンプレ ③ は全症例で “3 行だけ” を必須化し、詳細は追記欄に分離する
よくある質問(FAQ)
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
Q1. このページとトラッカーの違いは何ですか?
トラッカーは「何が変わったか」を時系列で追うページ、本ページは「どう回すか」を標準化するページです。差分確認はトラッカー、運用実装は本ページと役割を分けると、更新時の混乱が減ります。
Q2. まずどのテンプレから使えばよいですか?
テンプレ ①(対象優先順位)から始めるのが最短です。対象が決まると、テンプレ ②〜④ の適用順が自然に決まり、会議時間と手戻りを減らせます。
Q3. 中止・再開条件は病棟ごとに変えてもよいですか?
施設共通の最低基準は統一し、病棟特性に応じた追加項目を上乗せする運用を推奨します。共通部分があることで、部署間移動時の判断差を抑えられます。
Q4. 引き継ぎ 3 行は短すぎませんか?
3 行は「読む側の再現性」を高めるための最小単位です。詳細が必要な場合は、3 行の下に追記欄を設ける運用にすると、要点と詳細の両立ができます。
Q5. 専従/兼務の判定で迷ったときの基準は?
モニタリングの頻度と、要件逸脱時の影響度を優先して判断します。迷う場合は一段階厳しめ(B ではなく A)に寄せ、1 週間後に再判定する方法が現実的です。
次の一手
- 全体像を押さえる:リハ改定ハブ
- 最新の差分を追う:リハ改定確定版トラッカー
参考文献
- Haynes AB, Weiser TG, Berry WR, et al. A surgical safety checklist to reduce morbidity and mortality in a global population. N Engl J Med. 2009;360(5):491-499. DOI:10.1056/NEJMsa0810119 / PubMed
- Starmer AJ, Spector ND, Srivastava R, et al. Changes in medical errors after implementation of a handoff program. N Engl J Med. 2014;371(19):1803-1812. DOI:10.1056/NEJMsa1405556 / PubMed
- Proctor EK, Powell BJ, McMillen JC. Implementation strategies: recommendations for specifying and reporting. Implement Sci. 2013;8:139. DOI:10.1186/1748-5908-8-139 / PubMed
- De Meester K, Verspuy M, Monsieurs KG, Van Bogaert P. SBAR improves nurse-physician communication and reduces unexpected death: a pre and post intervention study. Resuscitation. 2013;84(9):1192-1196. DOI:10.1016/j.resuscitation.2013.03.016 / PubMed
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


