療養病棟の再評価は「頻度設計」を先に固定すると運用が止まりません
療養病棟の改定対応で崩れやすいのは「誰を対象にするか」だけでなく、「いつ見直すか」が曖昧なまま運用を始めることです。再評価の頻度を決めずに運用すると、患者状態の変化に対する更新遅れや、担当者ごとの判断差が起きやすくなります。
本記事は、療養病棟で使いやすい再評価の頻度設計を、週次・月次・前倒し条件の3層で整理します。点数や条文の詳細より、まずは病棟で回る運用ルールを先に固定してください。
再評価頻度の基本設計(週次・月次・前倒し)
頻度設計は、患者の変化を拾うための「定期見直し」と、急変・機能変化に対応する「前倒し見直し」を分けると運用が安定します。
| 区分 | 見直し頻度 | 主な確認項目 | 記録で残す要点 |
|---|---|---|---|
| 週次 | 毎週 1 回 | 離床状況、ADL、リスク兆候 | 前週との差分を1行で記録 |
| 月次 | 毎月 1 回 | 目標達成度、継続方針、家族説明 | 継続・修正・終了の判断理由 |
| 前倒し | 条件発生時に即時 | 急な機能低下、転倒、摂食嚥下変化 | 発生時刻、対応、再評価判断 |
初回の判定条件を整理したい場合は、療養病棟の医療区分 2・3 判定フローを先に揃えてから本記事の頻度設計に進むと、運用の整合が取りやすくなります。
前倒し再評価のトリガー条件
前倒し再評価は「必要時」の一言では回りません。発動条件を短文で固定し、だれでも同じ判断に近づけることが重要です。
| トリガー | 具体例 | 対応の目安 |
|---|---|---|
| 離床耐性の変化 | 離床時間が急減、起立時の症状増加 | 当日中に再評価し、翌日計画を修正 |
| 転倒・ヒヤリ | 転倒、転倒未遂、移乗時の不安定化 | 安全条件を更新し再開条件を明記 |
| 摂食嚥下の変化 | むせ増加、食事摂取量の低下 | 多職種で即時確認し方針再設定 |
| 急性イベント後 | 感染増悪、治療方針変更後 | 再評価実施日を前倒しで設定 |
よくある失敗と回避策(OK/NG)
| 場面 | NG | OK | 理由 |
|---|---|---|---|
| 頻度設定 | 「必要時のみ」で運用開始 | 週次・月次を先に固定する | 見直し漏れを防げるため |
| 前倒し条件 | 口頭で都度判断する | トリガー条件を文書化する | 担当者差を減らせるため |
| 記録 | 実施有無のみ記録する | 判断理由と次回予定日を残す | 監査・引き継ぎで説明しやすいため |
導入チェック( 5 分 )
- 週次・月次の再評価日が固定されている
- 前倒しトリガーが 3〜5 項目で明文化されている
- 再評価の記録欄に「理由」「次回日」がある
- 判定者・承認者の役割が病棟で共有されている
- 確定差分の確認先が統一されている
よくある質問(FAQ)
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
Q1. 週次と月次は両方必要ですか?
必要です。週次は短期変化の把握、月次は方針の再設定に向いています。どちらか一方だけでは、運用の抜けが出やすくなります。
Q2. 前倒し再評価は誰が判断しますか?
職種を限定しすぎず、トリガー条件に該当した時点で起動できる運用が実務的です。最終承認者だけは固定すると説明しやすくなります。
Q3. 記録は最低限どこまで残せばよいですか?
「何が起きたか」「なぜ見直したか」「次回いつ見るか」の3点は最低限残してください。この3点があると引き継ぎと監査で困りにくくなります。
Q4. 初回判定との関係はどう整理すればよいですか?
初回判定は入口、本記事は継続運用です。入口と継続を分けることで、手順が簡潔になり教育もしやすくなります。
次の一手
- 全体像を確認する:慢性期・療養病棟向け総論
- 入口判定を整える:医療区分 2・3 見直しの判定フロー
参考資料(一次情報)
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


