遂行機能障害ドリル(初級 10 問)|OT

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遂行機能障害ドリル(初級 10 問)|OT が現場で回せる最小セット

遂行機能障害ドリルは、難しい課題を増やすより「どの要素を改善する課題か」を明確にする方が効果的です。本ページでは、OT がそのまま運用できる初級 10 問を、目標設定・計画・実行・自己修正の 4 要素で整理しました。まずは短時間で実施し、同じ条件で反復して変化を比較してください。

併存症状の見分けが必要な場合は 記憶障害 vs 遂行機能障害ドリル比較 を先に確認すると、課題選定が安定します。クラスター全体は 高次脳機能障害ドリル OT ハブ から辿れます。

評価と介入の型をそろえると、臨床の再現性が上がります。全体導線を 5 分で確認しておきましょう。 PT キャリアガイドを見る

対象読者とこの記事のゴール

対象は、遂行機能障害が疑われる患者に対して、OT として評価〜介入〜記録を一貫して運用したい方です。特に「何となく課題を出している」「担当者ごとに難易度調整がぶれる」場面に向いています。

ゴールは、初級課題を同条件で反復し、変化を説明できる記録を残すことです。1 要素 × 1 目的で実施し、完遂率・脱線回数・自己修正回数の 3 指標で次回調整を決めます。

使い方(1 セッション 20 分の標準)

遂行機能障害ドリル(初級 10 問)の標準運用
手順 内容 目安時間 記録ポイント
1 本日の主目標を 1 つ設定 2 分 目的の具体性
2 初級 10 問から 4〜6 問を選択 1 分 要素の偏り有無
3 同条件で実施(支援量を固定) 12〜15 分 完遂率・脱線・修正
4 振り返りと次回調整を記録 2〜3 分 負荷の上げ下げ条件

遂行機能障害ドリル(初級 10 問)

設問は 4 要素に分けています。初回は主問題の要素を優先し、同じ設問を 2〜3 回反復して変化を確認してください。課題数を増やすより、比較可能な実施条件をそろえるほうが改善の判断が明確になります。

初級 10 問(目標設定・計画・実行・自己修正)
No. 要素 設問(課題) 合格目安 観察ポイント
1 目標設定 「今日 10 分で達成すること」を 1 文で書く 目的・条件・到達点を含む 目標の具体性
2 目標設定 3 つの候補目標から優先度 1 位を選び理由を述べる 理由が課題に一致 選択根拠の妥当性
3 計画 5 手順カードを正しい順に並べる 4/5 以上正答 順序づけの安定性
4 計画 同じ作業を「急ぐ日/丁寧な日」で 2 通り計画する 条件に合わせて手順変更 柔軟な計画変更
5 計画 10 分以内で終えるために、先に行う 3 手順を選ぶ 優先順位が妥当 時間配分の見立て
6 実行 計画どおりに 6 手順を実施する 完遂率 80% 以上 開始遅延・脱線回数
7 実行 軽い割り込み(1 回)後に元手順へ復帰する 1 分以内に復帰 復帰の速さ
8 実行 2 つの制約(時間・順序)を守って課題を完遂する 制約違反 1 回以内 制約下の安定性
9 自己修正 実施後チェック表で自分のミスを 2 つ挙げる ミス同定 2 件以上 気づきの質
10 自己修正 次回の再発予防策を 1 つ決めて実行計画を書く 具体策+実行場面を明記 修正の実行可能性

採点早見(初級)

採点は複雑にせず、各設問を 0〜2 点で評価します。0 点=未実施/不可、1 点=部分達成、2 点=達成です。総得点だけで判断せず、どの要素で失点したかを優先して見てください。

0〜2 点の採点基準(初級 10 問)
点数 基準 次回調整
0 実施困難・成立せず 支援増/条件を易化
1 部分達成(支援で成立) 同条件で反復
2 自立して達成 軽度に負荷増

難易度調整(易→中への上げ方)

初級から中級へ上げる条件は、主対象要素で 2 点が安定し、かつ自己修正が自発化していることです。単に完遂率が高いだけでは、支援依存が残る場合があります。必ず自己修正の質を確認してください。

崩れた場合は無理に進めず、条件を 1 段階戻します。例として、手順数を減らす、制約を 1 つ外す、割り込みを除く、などの調整が有効です。

初級→中級の判断基準
指標 中級へ進む目安 未到達時の対応
完遂率 80% 以上が 2 回連続 手順数を減らして反復
脱線回数 1 回以内で安定 刺激量・制約を調整
自己修正 自発修正が 1 回以上 チェック表支援を追加

初級 10 問 記録シート(A4・2ページ)

初級 10 問の運用記録は、修正版シートで統一すると比較しやすくなります。今回の版では、採点欄(No./0/1/2)の干渉を調整し、印刷時の視認性を改善しています。

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現場の詰まりどころ

最も多い詰まりは、課題を増やしすぎて比較不能になることです。初級段階では「少数課題を同条件で反復」が原則です。条件が毎回変わると、改善か偶然か判断できません。

次に多いのは、実行結果だけを見て自己修正を見落とすことです。遂行機能障害では、正答そのものより「修正できるか」が長期的な自立に直結します。関連:遂行機能障害ドリル総論

よくある失敗

初級ドリル運用の失敗と対策
失敗 理由 対策 記録ポイント
主目標を複数設定 評価軸が拡散する 1 セッション 1 目標に限定 本日の主目標
課題を毎回変更 比較条件が崩れる 同課題を 2〜3 回反復 同条件実施の有無
支援過多 完遂率偏重 自己修正を待つ時間を確保 自発修正の回数
中級へ早すぎる移行 判定基準が曖昧 3 指標で昇降条件を固定 移行理由の明記

よくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

Q1. 10 問を毎回すべて実施すべきですか?

初回は 4〜6 問で十分です。主問題の要素を優先し、同条件で反復して変化を追う方が実務では有効です。

Q2. どの設問から始めるとよいですか?

目標設定または計画の設問から始めると、後半の実行課題が安定しやすくなります。開始遅延が強い場合は No. 1〜3 を優先してください。

Q3. 記憶障害が強い患者にも使えますか?

使えますが、主症状の切り分けが先です。併存時は 比較記事 を参照し、主軸を固定してから実施してください。

Q4. 改善が見えない場合はどうしますか?

課題追加ではなく条件見直しを行います。手順数、制約、支援量のいずれか 1 つだけ調整し、再度同条件で比較してください。

次の一手

初級 10 問の運用が安定したら、次は中級ドリルへ進みます。あわせて比較記事で記憶障害との使い分けを確認し、ハブで全体導線を整えてください。

体制面の詰まりを点検する場合は、無料チェックシート で教育・共有フローも整理しておくと定着が早くなります。


参考文献

本記事は臨床運用を重視した実践ガイドです。遂行機能障害の評価・介入に関する一次情報(査読論文・ガイドライン)は、関連ページで順次拡充します。

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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