- 介護予防運動指導員とは| PT が取る意味と試験の全体像
- 結論: PT が取ると “ 何が変わる ” 資格なのか
- 介護予防運動指導員®とは(公式の定義と事業の枠組み)
- 受講要件: PT は “そのまま対象” です(誰が受けられる?)
- 講習の内容:全 24 講座・ 33 時間( e ラーニング併用あり)
- 修了試験:合格率は非公表/過去問は “基本、公開されない”
- 日程・費用・申し込み: “ 指定事業者ごと ” に違います
- PT が活かせる場面: “ 介護予防の運用 ” に翻訳できる
- 現場の詰まりどころ:資格を取っても “回らない” 理由
- よくある失敗: PT が “得意なはずの運動” でつまずくパターン
- よくある質問(FAQ)
- 次の一手(最短で “ 現場で回す ” ところまで)
- 参考文献
- 著者情報
介護予防運動指導員とは| PT が取る意味と試験の全体像
介護予防運動指導員®は、地域や通所の介護予防で「運動プログラムを安全に回す人材」を育てる枠組みです。 PT の強み(評価→運動処方→再評価)を、介護予防の現場で “ 伝わる形 ” に落とし込めるのが最大のメリットです。
この記事では、受講要件、講習(全 24 講座・ 33 時間)、修了試験(合格率・過去問の扱い)、費用・日程の見方までを、現場の運用で迷わない順番に整理します。まず全体像を押さえると、申し込みの判断が早くなります。
PT の勉強・資格の “ 迷い ” を減らすロードマップ
資格を増やす前に、今の職場で伸びるか/環境を変えるかの判断軸を 1 回整理しておくと、学習投資がブレにくいです。
PT キャリアの全体像を 5 分で確認する結論: PT が取ると “ 何が変わる ” 資格なのか
PT が介護予防運動指導員®を取る意味は、知識の上乗せよりも「介護予防の運用で伝わる言葉」に翻訳できる点です。地域・通所では、評価結果をそのまま提示しても意思決定につながらないことが多く、運動プログラムへ接続する “ 型 ” が求められます。
この枠組みは、指定事業者が講習を実施し、講習後に修了試験を行う流れです。なお、事業概要として「法的な資格を付与するものではない」と明記されています(国家資格ではありません)。
| 項目 | ポイント | PT の強みが活きる場面 | よくある誤解 |
|---|---|---|---|
| 位置づけ | 介護予防の運動プログラムを回す人材育成 | 評価→運動処方→再評価の “ 見える化 ” | 国家資格/法的資格だと思う |
| 取得ルート | 指定事業者の講習(全 24 講座・ 33 時間)→修了試験 | 通所・地域教室での標準化 | 独学で受験できると思う |
| 試験 | 講習内容の到達度確認(修了試験) | 安全管理の “ 判断基準 ” を共有しやすい | 過去問で点取りする試験だと思う |
※表は横にスクロールできます。
介護予防運動指導員®とは(公式の定義と事業の枠組み)
介護予防運動指導員®養成事業は、介護予防の現場で働く指導員を養成する取り組みで、東京都健康長寿医療センター研究所(センター研究所)の指定を受けた事業者が講習を実施します。講義・演習では、高齢者筋力向上等トレーニングなど、介護予防プログラムの理論と実践を扱います。
重要なのは、資格の “ 中身 ” が講習と試験だけで完結せず、現場で使える運用(プログラム・記録・安全管理)まで含めて設計されている点です。 PT はここに評価視点を足すと、事業側(自治体・包括・事業所)へ提案しやすくなります。
公式:事業概要(法的資格ではない旨を含む) / 公式:介護予防運動指導員®養成事業について
受講要件: PT は “そのまま対象” です(誰が受けられる?)
受講要件は、医師・看護師などの医療職に加え、 PT・ OT・ ST、介護福祉士、ケアマネ等、幅広い職種が対象です。 PT は要件を満たすため、基本的には「会場・日程・費用」の条件で比較して選ぶ形になります。
細かな注意点として、養成校の卒業見込み(国家試験受験者)なども対象に含まれます。職種要件は年度で変わる可能性があるため、申し込み前は必ず公式の要件リストで最終確認してください。
講習の内容:全 24 講座・ 33 時間( e ラーニング併用あり)
講習は全 24 講座・ 33 時間で、受講後に各指定事業者で修了試験を実施します。講習の一部は e ラーニングで受講でき、 e ラーニング対応の範囲は指定事業者によって異なります。
現場で効くのは、運動だけでなく、転倒・尿失禁・栄養・口腔・フレイルなど、介護予防の主要テーマを “ まとめて運用できる形 ” に整理できる点です。 PT は運動処方に偏りやすいので、周辺領域を “ 最低限の共通言語 ” にしておくと連携が楽になります。
修了試験:合格率は非公表/過去問は “基本、公開されない”
修了試験は、講習後に指定事業者で実施されます。公式として「合格率○%」の統計公表は一般に前面には出ていません。したがって、難易度の判断は “ 受講を前提にした到達度確認 ” と捉えるのが実務的です。
過去問については、事業運用上、試験問題はセンター研究所から指定事業者へ送付され、指定事業者には本事業で知り得た秘密を漏らしてはならない旨が規定されています。よって、公開過去問での対策よりも「テキストと講義内容の復習」を軸にした方が再現性が高いです。
日程・費用・申し込み: “ 指定事業者ごと ” に違います
申し込み方法、受講料、テキスト代、修了試験受験料などは、講習会を開催する指定事業者へ直接問い合わせる形です。同じ資格名でも、会場、集合研修日、 e ラーニング期間、試験日が異なるため、比較の軸を先に決めると迷いません。
たとえば指定事業者の案内では、年度の年間予定(開催地別の集合研修日程)が提示されていることがあります。日程は変更される場合があるため、最終決定は各事業者の募集要項で確認してください。
公式:申込方法・受講料(指定事業者へ問い合わせ) / 参考:指定事業者の年間予定(例)
PT が活かせる場面: “ 介護予防の運用 ” に翻訳できる
PT が価値を出しやすいのは、①通所(通所リハ/通所介護)の集団運動、②地域の教室(住民主体含む)、③包括や自治体との連携で “ 型 ” を作る場面です。評価結果を「誰が見ても同じ判断になる形」に落とし込むと、現場の継続性が上がります。
介護保険領域の流れ(対象者がどこから来て、どこへつながるか)が曖昧だと運動だけが浮きやすいです。全体像があいまいな場合は、先に流れを押さえておくと現場実装が早くなります。関連:生活期〜介護領域の “ ざっくり全体像 ”(実務フロー)
現場の詰まりどころ:資格を取っても “回らない” 理由
詰まりやすいのは、知識不足ではなく “ 運用の設計不足 ” です。具体的には、①対象者の層別化(誰を優先するか)、②中止基準(いつ止めるか)、③記録(何を残すか)が曖昧だと、担当者が変わった瞬間に崩れます。
PT は運動処方が得意な反面、運用で必要な「共有の型(チェック・記録・申し送り)」が後回しになりがちです。資格取得後は、プログラム内容より先に “ 回る仕組み ” を固定すると成果が出やすいです。
| 詰まり | 現場で起きること | 最小の対策 | 記録に残す項目 |
|---|---|---|---|
| 層別化がない | 参加者が増えるほど “ 何をやるか ” がブレる | 「転倒高リスク」「体力低下」「併存症多い」など 3 群に分ける | 既往、転倒歴、歩行補助具、息切れ・疼痛 |
| 中止基準が曖昧 | 安全面が不安で強度が上がらない/逆に無理が出る | “ その場で止める条件 ” をチームで固定 | 症状(めまい、胸痛等)、バイタル、転倒兆候 |
| 記録が続かない | 介入量が見えず、成果が共有できない | 「参加」「負荷」「変化」だけに絞って残す | 出席、主運動、主観的負荷、注意点、次回 |
※表は横にスクロールできます。
よくある失敗: PT が “得意なはずの運動” でつまずくパターン
失敗の多くは、運動プログラムの質ではなく “ 伝え方と継続設計 ” です。 PT が作った内容が、他職種や運動指導スタッフに引き継がれず、属人化して止まるケースが典型です。
対策はシンプルで、① 30 秒チェック(今日やっていい?)、② 5 分フロー(最初に何を見て、どう決める?)、③記録テンプレ(最低限)を先に作ることです。まず “ 回る最小セット ” を固定してから、プログラムの精度を上げていく方が成功率が高いです。
| チェック | 見方 | NG の例 | その場の対応 |
|---|---|---|---|
| 症状 | 普段と違う訴えがないか | 胸部不快感、強い息切れ、ふらつき | 中止→休息→必要なら医療判断へ |
| 歩行の安定 | 移動で “ つまずき ” が増えていないか | 足が出ない、方向転換で不安定 | 難度を下げ、支持物を確保 |
| 疼痛 | 運動で悪化しそうな疼痛がないか | 荷重で増悪する膝痛、腰痛の急な増悪 | フォーム修正/種目変更/負荷調整 |
※表は横にスクロールできます。
よくある質問(FAQ)
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
介護予防運動指導員®は国家資格ですか?
国家資格ではありません。公式の事業概要として「法的な資格を付与するものではない」と明記されています。資格の位置づけは “ 介護予防の現場で働く指導員を養成する枠組み ” と捉えると分かりやすいです。
PT が取るメリットは何ですか?
最大のメリットは、評価結果を介護予防の運動プログラムへ接続する “ 共有の型 ” を作りやすくなる点です。地域・通所は担当が変わりやすいので、属人化しにくい運用(層別化/中止基準/記録)までセットで整えると成果が出やすいです。
合格率はどのくらいですか?
公式として「合格率○%」の形での統計公表は前面には出ていないことが多いです。実務上は “ 講習内容の到達度確認(修了試験) ” と捉え、テキストと講義内容を復習する方が再現性が高いです。
過去問は公開されていますか?
公開過去問を前提にした制度設計ではありません。運用上、指定事業者には秘密保持が規定されており、試験は講習受講を前提に実施されます。対策は「講義スライド/テキストの復習」と「用語の定義・安全管理の整理」を軸にすると迷いません。
どこで受講できますか?日程はどう探しますか?
センター研究所の指定を受けた事業者が講習を実施します。日程・会場・費用は事業者ごとに異なるため、まず「指定事業者一覧」から開催元を探し、募集要項で確認するのが最短です。
次の一手(最短で “ 現場で回す ” ところまで)
運用を整える → 共有の型を作る → 環境の詰まりも点検
介護予防は “ 人と仕組み ” で回り方が変わります。チェックシートで現状を棚卸ししてから動くと、改善が速いです。
無料チェックシートを受け取る(マイナビ)参考文献
- 東京都健康長寿医療センター研究所. 介護予防運動指導員®養成事業について. https://www.tmghig.jp/research/shidoin/cat1/yobo1-3/index.html(参照 2026-02-23)
- 東京都健康長寿医療センター研究所. 事業概要(法的な資格を付与するものではない). https://www.tmghig.jp/research/shidoin/cat3/(参照 2026-02-23)
- 東京都健康長寿医療センター研究所. 介護予防運動指導員® 養成講習実施要領( PDF ). https://www.tmghig.jp/research/files/b03188dabca28797d726d147a9b8892d.pdf(参照 2026-02-23)
- Sherrington C, Fairhall N, Wallbank G, et al. Exercise for preventing falls in older people living in the community: an abridged Cochrane systematic review. Br J Sports Med. 2020;54(15):885-891. doi: 10.1136/bjsports-2019-101512 / PubMed: 31792067
- Bull FC, Al-Ansari SS, Biddle S, et al. World Health Organization 2020 guidelines on physical activity and sedentary behaviour. Br J Sports Med. 2020;54(24):1451-1462. doi: 10.1136/bjsports-2020-102955 / PubMed: 33239350
- Montero-Odasso M, van der Velde N, Martin FC, et al. World guidelines for falls prevention and management for older adults: a global initiative. Age Ageing. 2022;51(9):afac205. doi: 10.1093/ageing/afac205 / PubMed: 36178003
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


