CFS(臨床虚弱尺度)の評価方法|4と5の違い・記録

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CFSの評価方法|現在ではなく急性変化前のベースラインから判断します

CFS(Clinical Frailty Scale:臨床虚弱尺度)は、高齢者の健康状態、身体機能、生活機能、認知などの情報をまとめ、fitness/frailtyの程度を1〜9で表す臨床判断型の尺度です。急性疾患でADLが低下した現在の姿をそのまま採点するのではなく、急性変化前の普段の状態(ベースライン)を確認します。特に迷いやすいのがCFS 4と5です。本記事では、公式日本語版Version 2.0をもとに、ベースラインの取り方、4と5・8と9の違い、認知症がある場合の考え方、判定根拠の記録方法を整理します。

CFSは、質問項目の点数を足して自動的に決める尺度ではありません。本人・家族・介護者・診療記録などから情報を集め、公式CFSの記述と照らしながら臨床判断します。

実際に判定するときは、日本老年医学会が公開している臨床虚弱尺度(Clinical Frailty Scale)日本語版 Version 2.0を確認してください。

CFS 4と5の違い|高度なIADLに介助が必要かを確認します

CFS 4と5を分ける重要なポイントは、日常生活に介護を必要としない状態から、高度なIADLに他者の介助が必要な状態へ移っているかどうかです。ただし、「家族が何かをしている=CFS 5」と機械的に判断するのではなく、健康状態や機能低下によって本人だけでは行えなくなったのかを確認します。

CFS 4と5の違いと判断ポイントを示した図版
CFS 4と5で迷うときの確認ポイント。図は理解を助けるための要約です。最終判定は公式のClinical Frailty Scale日本語版Version 2.0と照合してください。
CFS 4と5を判断するときの確認ポイント
確認項目 CFS 4を考える状態 CFS 5を考える状態
日常生活 日常生活の介護は基本的に必要としていない 基本ADLより先に、生活を維持するための高度なIADLで介助が必要になっている
活動性 疲れやすさ、症状、動作の遅さなどによって活動範囲が狭くなっている 活動制限に加えて、一部の生活管理を本人だけでは行いにくくなっている
IADL 必要な生活管理を本人で行えている範囲が保たれている 金銭管理、交通手段、服薬管理、負担の大きい家事などで介助を必要としている
確認したいこと 「家族が行っているか」だけでなく、「本人が健康上の理由で行えないため介助されているか」を確認する

たとえば、以前から家庭内の役割分担として配偶者が金銭管理を担当していた場合、その事実だけでCFS 5とは判断できません。一方、以前は本人が行っていた服薬管理や買い物などが、健康状態や機能の変化によって難しくなり、家族の介助を必要としている場合はCFS 5を検討する重要な情報になります。

「IADL支援あり=CFS 5」という固定ルールではなく、何に、なぜ、どの程度の支援が必要なのかまで確認することが大切です。

CFSはいつの状態で付ける?|急性疾患の影響を受ける前を確認します

入院後や急性増悪中のADL低下を、そのままCFSへ反映しないことが重要です。急性期では、急性疾患の影響を受ける前の普段の健康状態・生活機能をベースラインとして評価します。

急性疾患がある場合は、発症・受診前のおおむね2週間程度の普段の状態を確認する考え方が用いられます。重要なのは「14日前」という日付そのものではなく、今回の急性変化の影響を受ける前の代表的な状態を切り出すことです。

CFSのベースラインを確認するときの聞き方
確認すること 質問例 判断につながる情報
基準時点 今回具合が悪くなる前は、どのような生活でしたか? 急性変化前の状態を評価できているか
活動性・移動 普段はどこまで一人で出かけていましたか? 活動範囲、移動能力、外出状況
IADL 買い物、金銭管理、薬の管理、家事は誰がしていましたか? 生活管理に必要な介助
ADL 入浴、更衣、トイレ、移乗などは一人で行っていましたか? 基本ADLに必要な介助
支援の理由 家族が手伝うようになったのは、いつから・なぜですか? 役割分担なのか、健康状態・機能低下による依存なのか

本人から十分な情報を得られない場合は、家族や介護者、診療録、介護記録なども確認します。CFSは臨床判断を伴うため、1つの回答だけではなく複数の情報を組み合わせて判断します。

CFS 1〜9の見方|介助量だけで順番に決まる尺度ではありません

CFSは1から9へ単純に介助量だけが増えていく尺度ではありません。活動性、IADL、ADL、認知、健康状態などをまとめて判断します。特にCFS 8と9は意味が異なるため注意が必要です。

CFS 1〜9を確認するときの実務上の見方
CFS おおまかな位置づけ 確認したいポイント
1〜3 活動性が比較的保たれている段階 運動習慣、活動範囲、疾患による活動制限などを確認する
4 日常生活の介護は不要だが、活動に制限がみられる段階 症状、疲れやすさ、動作の遅さなどで活動が狭くなっていないか
5 高度なIADLで介助を必要とする段階 金銭・交通・服薬・家事などの生活管理に介助が必要か
6 支援がより広い生活活動へ及ぶ段階 屋外活動、家事、入浴などへの介助状況を確認する
7 身の回りのケアにも広く介助を必要とする段階 基本ADLを含め、どの程度他者へ依存しているか確認する
8 非常に強い虚弱があり、全面的な介助を必要とする段階 軽度の疾患からも回復しにくいほど予備力が低下しているか
9 人生の最終段階 虚弱の見た目だけでなく、生命予後が限られている状態かを確認する

この表は、CFSを理解するために判定ポイントを要約したものです。公式CFSの判定表そのものではありません。実際の採点では、日本老年医学会が公開している公式日本語版Version 2.0を確認してください。

CFS 8と9の違い|9は「8より介助量が多い」という意味ではありません

CFS 9は、CFS 8よりもさらにADL介助量が多い人を示すカテゴリーではありません。CFS 9は人生の最終段階にあり、余命が6か月未満と考えられる場合を示すカテゴリーです。

そのため、比較的動けているように見える人でも人生の最終段階にあればCFS 9となる場合があります。反対に、全面介助だからという理由だけでCFS 9とするものではありません。

CFSの記録方法|点数と「その点数にした根拠」を残します

CFSは点数だけでなく、基準時点と判定根拠を一緒に記録すると多職種で共有しやすくなります。臨床判断を含む尺度のため、「CFS 5」のように数字だけ残すと、後から4ではなく5と判断した理由を確認できません。

CFS記録で残したい項目
項目 記録する内容
基準時点 急性変化前のどの時点を評価したか
情報源 本人、家族、介護者、診療録、介護記録など
活動性・移動 普段の活動範囲や移動状況
IADL 本人で行っていたことと、他者の介助が必要だったこと
ADL 基本ADLの自立・介助状況
認知 認知機能が日常生活の自立へ与えている影響
CFS 公式版と照合して判断した1〜9の段階
判定根拠 どの生活状況・支援状況を根拠にその段階と判断したか

記録例:「CFS 5。急性増悪前は基本ADL自立。服薬管理と買い物は機能低下により家族介助。本人・家族から聴取。」

このように、点数とともに基準時点・介助が必要な活動・情報源を残しておくと、判定の再確認や多職種間の共有がしやすくなります。

CFS記録シート|Excel・PDFを無料でダウンロードできます

CFSを評価するときに、ベースライン、活動性・移動、IADL、ADL、認知、CFS、判定根拠を一続きで整理できる「CFS観察・記録シート v3」を用意しました。

Excel版はパソコンで入力・編集したい場合、PDF版は印刷して手書きで記録したい場合に使用できます。

CFS観察・記録シート v3|Excel版

ベースラインから判定根拠まで入力・編集して保存できます。

CFS記録シート Excel版を開く

CFS観察・記録シート v3|PDF版

A4で印刷し、評価時の聞き取りや手書き記録に使用できます。

CFS記録シート PDF版を開く

このシートはCFS公式尺度の代替ではなく、評価に必要な情報を整理するための記録補助シートです。最終的なCFS判定は、日本老年医学会が公開している公式日本語版Version 2.0と照合してください。

認知症がある場合|身体機能だけでCFSを決めません

認知症がある人では、認知機能の低下が日常生活の自立へどの程度影響しているかを含めて判断します。日本老年医学会の公式日本語版にも、認知症がある人の虚弱を評価するときの考え方が示されています。

そのため、「歩けるからCFSは低い」「認知症があるからCFSは高い」と診断名や身体機能だけで判断するのは適切ではありません。

たとえば歩行や更衣が自立していても、認知機能低下によって服薬、金銭管理、買い物などに継続的な支援が必要な場合があります。反対に、認知症という診断名があっても、日常生活への影響がどの程度なのかを確認せずにCFSを決めることはできません。

身体機能だけでなく、認知面を含めて「普段の生活をどの程度自分で維持できていたか」を確認します。

CFS評価で迷いやすいポイント|よくある4つのズレ

CFSで判定がずれるときは、点数そのものよりも、評価した時点・支援の理由・情報源・公式版との照合を確認します。

CFS評価で起こりやすいズレと確認方法
迷いやすい場面 問題 確認すること
現在のADLで判断する 急性疾患による一時的な低下が混ざる 急性変化前のベースラインへ戻って確認する
家族支援があれば5とする 役割分担と機能低下による介助を区別できない 誰が行っているかだけでなく、なぜ本人が行っていないかを確認する
歩行能力だけで決める IADL・ADL・認知などが反映されない 生活全体の自立度と必要な支援を確認する
点数だけ記録する 後から判定理由を確認できない 基準時点、介助内容、情報源、判定根拠を残す

CFSを使うときの注意点|点数だけで治療方針を決めません

CFSはfrailtyの程度を共有するための尺度であり、単独で診断、治療方針、リハビリテーションの適否などを決定するものではありません。患者の疾患、急性期の全身状態、認知機能、生活背景、本人の意向などとあわせて使用します。

また、CFSは主として高齢者を対象として開発・検証されています。若年者や、長期間安定している単一の障害が生活機能低下の主因となっているケースなどへ、高齢者のfrailtyと同じ考え方を機械的に適用しないことも重要です。

日本語版については、2025年に日本の急性期病院へ入院した高齢患者を対象とした妥当性研究が報告され、CFS-JとFrailty Index、CGAに基づくFrailty Indexなどとの関連が確認されています。CFSを使用するときは、公式日本語版とその適用範囲を確認しておきましょう。

よくある質問

Q1. CFSは必ず入院2週間前の状態で評価しますか?

急性疾患がある場合は、発症・受診前のおおむね2週間程度の普段の状態を確認する考え方が用いられます。ただし、重要なのは「14日前」という日付を機械的に固定することではなく、今回の急性変化の影響を受ける前の代表的な状態を評価することです。

Q2. IADLに家族の支援があればCFS 5ですか?

家族の支援があるという事実だけでは決まりません。以前からの家庭内の役割分担なのか、健康状態や機能低下によって本人だけでは行えなくなったための介助なのかを確認します。CFS 5では、高度なIADLに介助が必要となっていることが重要な判断材料です。

Q3. CFS 9は最も重いフレイルという意味ですか?

単純に「CFS 8よりさらに介助量が多い」という意味ではありません。CFS 9は人生の最終段階を示すカテゴリーで、余命が6か月未満と考えられる場合が対象となります。

Q4. 認知症がある人でもCFSを評価できますか?

評価できます。身体機能だけでなく、認知機能低下によってIADLや身の回りの活動へどの程度支援が必要になっているかを含めて判断します。認知症という診断名だけでCFSを決めるものではありません。

次の一手|フレイル評価全体からCFSの位置づけを確認する

CFSはfrailtyの重症度を臨床判断で共有する尺度です。一方、フレイル評価には目的の異なる尺度もあります。CFS以外を含めた評価の選び方を確認したい場合は、以下の記事へ進んでください。


参考文献

  1. Rockwood K, Song X, MacKnight C, et al. A global clinical measure of fitness and frailty in elderly people. CMAJ. 2005;173(5):489-495. doi: 10.1503/cmaj.050051.
  2. Rockwood K, Theou O. Using the Clinical Frailty Scale in allocating scarce health care resources. Can Geriatr J. 2020;23(3):210-215. doi: 10.5770/cgj.23.463.
  3. Theou O, Pérez-Zepeda MU, van der Valk AM, et al. A classification tree to assist with routine scoring of the Clinical Frailty Scale. Age Ageing. 2021;50(4):1406-1411. doi: 10.1093/ageing/afab006.
  4. Komiya H, Suzuki Y, Watanabe K, et al. Validation of the Japanese version of the Clinical Frailty Scale. Geriatr Gerontol Int. 2025;25(3):411-417. doi: 10.1111/ggi.15092. PMID: 39895104.
  5. 日本老年医学会. 臨床虚弱尺度(Clinical Frailty Scale)日本語版 Version 2.0. 公式PDF.
  6. Dalhousie University, Geriatric Medicine Research. Clinical Frailty Scale: guidance and training resources. Clinical Frailty Scale.

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

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