CB&Mとは?評価方法と解釈

評価
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CB&M は「地域生活レベルの高難度 balance / mobility」をみる評価です

評価は「実施 → 記録 → 解釈 → 次の一手」までそろうと、現場で回りやすくなります。

高機能帯の歩行評価で迷うときは、「自立度をみるのか」「短い移動タスクをみるのか」「地域生活レベルの balance / mobility をみるのか」を分けると、尺度選びがぶれにくくなります。

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CB&M( Community Balance and Mobility Scale ) は、歩ける人の中でも、地域生活で必要な高難度の balance / mobility を評価しやすい尺度です。BBS や TUG では差が出にくい人でも、方向転換、片脚課題、速度変化、狭い条件での移動などを含めて見られるため、「歩けるけれど community レベルでは不安が残る」症例の評価に向いています。

一方で、CB&M は歩行自立度を段階で示す評価ではありません。役割は、より高機能帯の subtle deficit を拾い、地域生活に必要な mobility を整理すること にあります。歩行自立度を先にそろえたい場合は FAC の評価方法、旋回を含む実用 mobility をみたい場合は L Test とは?評価方法と解釈 もあわせて使うと、役割が整理しやすくなります。

CB&M とは

CB&M は、もともと地域生活への復帰を見据えた ambulatory patient のために作られた performance-based measure です。構成は 13 項目・6 段階評価 で、6 項目は左右それぞれ実施するため、合計では 19 task・96 点満点 として扱われます。単純な直線歩行ではなく、より challenging なバランス課題を含むのが特徴です。

そのため、CB&M は「歩けるかどうか」の入口評価というより、地域生活で必要な高難度 mobility をどこまでこなせるか をみる尺度として使いやすいです。とくに mild〜moderate の神経学的障害が残る症例では、通常のバランス評価より差が出やすい場面があります。

CB&M が向く場面

CB&M が向くのは、自立歩行は可能だが、community レベルの移動には不安が残る場面 です。たとえば、屋内歩行は安定しているが人混みや速度変化で崩れる症例、方向転換や single-leg 課題で不安定な症例、在宅復帰後や外来で高機能帯の変化を追いたい症例に向いています。

また、脳卒中では ambulatory survivor with moderate to mild neurologic impairments に対して valid and sensitive to change と報告されています。つまり、明らかな介助量の差よりも、高機能帯の subtle deficit を拾いたいとき に価値が出やすいです。

表 1.CB&M が向く場面と、先に確認したいポイント
場面 CB&M が役立つ理由 先に確認したいこと 記録で残したい一言
高機能帯の再評価 BBS や TUG で差が出にくい変化を拾いやすい 靴、補助具の有無、課題順 通常歩行は安定、速度変化でふらつきあり
脳卒中後の外来評価 subtle deficit を見つけやすい 麻痺側の single-leg 課題、turn の質 右片脚課題で骨盤保持低下あり
在宅復帰後の確認 community レベルの課題を反映しやすい 狭路、速度変化、複合課題 屋内は自立、複合課題で減速あり
通所・地域リハ 高難度 mobility の経過を追いやすい 疲労、注意分配、転倒歴 前回より方向転換時の安定性改善

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評価でみるポイント

CB&M で大切なのは、合計点より先に「どの種類の課題で崩れるか」を見ること です。速度変化、方向転換、片脚性、狭い支持基底面、dual-task 的な要素など、求められる制御は課題ごとに違います。つまり、CB&M は「高機能だから大丈夫」を分解して見るための尺度と考えると分かりやすいです。

実務では、点数に加えて 減速、支持の使い方、左右差、課題中の hesitation を一言添えると再評価に生きます。たとえば「方向転換で 2 歩追加」「速度変化で歩幅低下」「single-leg 課題で骨盤保持不良」などの所見は、そのまま介入目標に変えやすいです。

採点の見方と解釈

CB&M は、各課題を 6 段階で採点し、合計 96 点 で読みます。点数が高いほど地域生活レベルの balance / mobility が高い方向で解釈しやすいですが、臨床では合計点だけより、どのカテゴリーの課題が低いか を見る方が実用的です。たとえば、方向転換が低いのか、single-leg 課題が低いのかで、介入の優先順位は変わります。

脳卒中では、CB&M は BBS や TUG と比較して change を拾いやすいと報告されています。ただし、万能の cut-off として使うより、高機能帯の前後比較 として使う方が安全です。靴、補助具、課題順、疲労条件をそろえたうえで比較すると、変化の意味が読みやすくなります。

表 2.CB&M を読むときの実務ポイント
見る視点 実務での意味 注意点 記録例
合計点 community balance / mobility の全体像が分かる 弱い課題の内訳は埋もれやすい 72 / 96 点
課題の偏り 介入の狙いが立てやすい 記録しないと次回に残りにくい turn・single-leg 課題で低下
前後比較 高機能帯の変化を追いやすい 条件固定が必要 前回比 + 8 点、条件同一
BBS / TUG との差 ceiling effect を補いやすい 対象は ambulatory 前提 BBS 高得点だが CB&M で課題残存

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L Test・TUG・BBS との違い

似て見える評価でも、主役にしている内容が違います。BBS はバランス全体の基礎評価、TUG は短い移動タスク、L Test は旋回と移乗を含む実用 mobility をみやすい尺度です。これに対して CB&M は、より高難度で community レベルの balance / mobility をみる尺度です。

つまり、BBS=基礎的バランス、TUG=短い functional mobility、L Test=実用 mobility、CB&M=community レベルの高難度 mobility と整理すると分かりやすいです。L Test の次に CB&M を置くと、評価クラスターとしても流れがきれいです。

表 3.BBS / TUG / L Test / CB&M の使い分け
尺度 主な目的 強み 向く記録
BBS 基礎的バランス評価 導入しやすく全体像を整理しやすい 静的〜基本的動的バランス
TUG 短い移動タスクの時間評価 簡便で汎用性が高い 起立・歩行・turn・着座
L Test 旋回を含む実用 mobility 評価 高機能帯や turning を拾いやすい 長い移動、複数回 turn、移乗
CB&M community レベルの高難度 balance / mobility 評価 subtle deficit を拾いやすい 高難度課題、地域生活レベルの能力

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現場の詰まりどころ

CB&M でよくある失敗は、高機能だから安全と決めつけること です。community レベルでは、まっすぐ歩けることと、人混みや方向転換、速度変化に対応できることは別です。CB&M の価値は、この subtle deficit を見つけて、転倒予防や活動範囲の拡大に結びつけられる点にあります。

もう 1 つは、合計点だけを残して課題の偏りを捨てること です。高機能帯では 1 項目の弱さが実生活に直結することがあります。回避策は、合計点に加えて「低い課題 2 つ」と「崩れ方 1 行」を残すことです。すると次回の介入がかなり組みやすくなります。

表 4.CB&M でよくある失敗と回避策
よくある失敗 なぜ困るか 回避策 記録例
高機能だから安心と考える community レベルの課題を見落とす 速度変化・turn・single-leg を確認する 通常歩行は自立、turn でふらつき残存
合計点だけ残す 弱い課題が埋もれる 低い課題を 2 つ書き添える 低値:single-leg、速度変化
BBS と同じ感覚で使う CB&M の役割が活きない 高難度 mobility を主役に見る BBS 高得点でも CB&M 実施
条件をそろえない 前後比較がぶれる 靴・補助具・課題順を固定する 同条件で実施、疲労の影響軽度

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よくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

CB&M はどんな人に向いていますか?

自立歩行は可能でも、community レベルの balance / mobility に不安が残る人に向いています。高機能帯、外来、在宅復帰後の再評価とも相性が良いです。

BBS や TUG があれば CB&M は不要ですか?

不要とは言い切れません。CB&M は、BBS や TUG で差が出にくい高機能帯の課題を拾いやすいのが強みです。目的が違うため、補完的に使うと整理しやすいです。

CB&M は脳卒中でも使えますか?

使えます。ambulatory stroke survivor with moderate to mild neurologic impairments に対して valid and sensitive to change と報告されています。

何点なら安全ですか?

一律の安全 cut-off として使うより、高機能帯の前後比較や課題の偏りを見る方が実用的です。community レベルの活動では、合計点だけでなく苦手課題の中身が重要です。

L Test と一緒に使っていいですか?

はい。L Test で実用 mobility を見たうえで、さらに高難度の community balance / mobility を深掘りしたいときに CB&M を使う流れは相性が良いです。

次の一手

CB&M を “ 測って終わり ” にしないためには、目的を決める → 条件を固定する → 低い課題を 2 つ残す の順番が大切です。高機能帯の歩行評価で迷うときは、まず何を主役にしたいかを決めると、評価選択と介入がそろいやすくなります。


参考文献

  1. Howe JA, Inness EL, Venturini A, Williams JI, Verrier MC. The Community Balance and Mobility Scale — a balance measure for individuals with traumatic brain injury. Clin Rehabil. 2006;20(10):885-895.
  2. Inness EL, Howe JA, Niechwiej-Szwedo E, Jaglal SB, McIlroy WE, Verrier MC. Measuring balance and mobility after traumatic brain injury: validation of the Community Balance and Mobility Scale (CB&M). Physiother Can. 2011;63(2):199-208.
  3. Knorr S, Brouwer B, Garland SJ. Validity of the Community Balance and Mobility Scale in community-dwelling persons after stroke. Arch Phys Med Rehabil. 2010;91(6):890-896. PubMed
  4. Community Balance and Mobility Scale. Shirley Ryan AbilityLab. 公式ページ
  5. Introduction to the Community Balance and Mobility Scale. TBIMS. 公式ページ

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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