Step Testの評価方法|やり方・カットオフ値・記録例

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Step Testとは?15秒間で動的立位バランスを評価する方法

Step Test(ステップテスト)は、高さ7.5cmの台に片足を繰り返し乗せ降ろしし、15秒間の完了回数を測定する動的立位バランス評価です。左右の足をそれぞれstepping側として測定することで、片脚支持を伴う動作能力や左右差を確認できます。

脳卒中患者では、歩行が可能でも麻痺側立脚時の不安定性や足部クリアランスの低下が残ることがあります。本記事では、Step Testのやり方、回数の数え方、カットオフ値、左右差の解釈、記録例、安全管理を整理します。特に、動かす脚(stepping側)と支持する脚を区別することを重視します。

Step Testのやり方|測定手順と回数の数え方

Step Testは、一方の足を台へ完全に乗せ、床へ戻す動作を15秒間で何回行えるかを測定します。反対側の支持脚は床上の位置を保ち、左右のstepping側をそれぞれ評価します。

測定条件を統一することが重要です。台の高さ、開始位置、履物、装具、測定順序などが異なると、前回との比較が難しくなります。

準備するもの

  • 高さ7.5cmの安定した台
  • ストップウォッチ
  • 滑りにくい床面
  • 開始位置を確認するための目印
  • 必要に応じた安全確保のための補助者

測定資料では、高さ7.5cm、幅41cm、奥行30cmの台が示されています。測定中に台が動かないように固定し、周囲の障害物を取り除きます。

基本的な測定手順

Step Testの基本手順
手順 実施内容 確認ポイント
① 環境設定 高さ7.5cmの台を安定した床面に設置する 台のずれ、滑り、周囲の障害物を確認する
② 開始姿勢 台の約5cm手前で両足を床につけ、足を平行にして立つ 支持物なしで立位保持できるか確認する
③ 動作説明 指定した足を台へ完全に乗せ、床へ戻す動作を説明する 支持脚を動かさないことを伝える
④ 練習 必要に応じて1〜2回練習する 動作理解と安全性を確認する
⑤ 測定 15秒間、できるだけ速く乗せ降ろしを繰り返す 完了した動作を数える
⑥ 反対側 休憩後、stepping側を変更して測定する 左右を別々に記録する

図解|動かす脚・支持脚・1回の数え方

Step Testでは、右足を動かす場合は左脚で支持し、左足を動かす場合は右脚で支持します。台に足を乗せただけでは1回とせず、同じ足を床へ戻すまでを1回として数えます。

Step Testの測定手順を示す図解。右足steppingでは左脚支持、左足steppingでは右脚支持となり、台への乗せ降ろしを15秒間で数える。
Step Testの測定手順。左右それぞれ15秒間測定し、台への接地から床への復帰までを1回として数えます。

図版は基本動作を理解するためのものです。実際の測定では、支持脚の位置、足全体の接地、身体のふらつきなども確認してください。

1回の数え方

指定した足を台に完全に乗せ、床へ戻すまでを1回として数えます。

  1. 両足を床につけた立位から開始する。
  2. 指定した足を台へ持ち上げる。
  3. 足全体を台の上に接地させる。
  4. 同じ足を床へ戻し、足全体を接地させる。
  5. ここまでを1回として数える。
  6. 15秒間に完了した回数を記録する。

15秒終了時点で足が台の上に残っている場合は、床への復帰が完了していないため、その動作は完了回数に含めません。

足先だけが台に接触した場合や、床へ戻りきらなかった場合も、完了回数には含めません。

測定中は反対側の支持脚を動かさず、床上の位置を保ちます。支持脚の位置が変わった場合は、その状況を記録し、標準条件での測定として扱えるか確認してください。

練習・休憩・履物の扱い

Step Testを再評価に使用する場合は、測定条件を可能な限り統一します。

測定資料には、練習を行ってから測定し、左右の測定間に休憩を設ける方法が示されています。練習回数や休憩時間などの細部は資料によって異なるため、研究値と比較するときは参照する研究の方法を優先してください。

Step Testの測定条件と記録事項
項目 確認・記録する内容
練習 練習の有無と回数
休憩 左右測定間の休憩時間
履物 裸足、靴、装具の使用状況
測定順序 右足・左足のどちらから測定したか
測定回数 各側の試行回数と採用した得点
支持物 手すりや身体的介助の有無

履物や試行回数は研究によって条件が異なる場合があります。普段の靴を着用した測定結果と裸足の測定結果を、同一条件として比較しないようにします。

複数回測定する場合は、最高値・平均値など、どの値を採用したかを明記します。試行回数や得点の採用方法を途中で変更すると、再評価の比較に影響します。

Step Testの採点方法|stepping側と支持脚の違い

Step Testで最も間違えやすいのは、動かしている脚と身体を支えている脚を混同することです。

右足を台へ乗せ降ろしするときは、主に左脚で身体を支持します。一方、左足を動かす場合は、主に右脚で身体を支持します。

stepping側と支持脚の対応関係
stepping側 主な支持脚 観察する内容
右足 左脚 左脚の荷重保持、右足の乗せ降ろし動作
左足 右脚 右脚の荷重保持、左足の乗せ降ろし動作

ただし、Step Testの得点は支持脚の能力だけで決まるわけではありません。stepping側の筋力、協調性、足部クリアランス、体幹制御、動作速度なども結果に影響します。

そのため、回数が少ない側を、そのまま「支持脚が弱い側」と断定しないことが重要です。

脳卒中患者での具体例

左片麻痺の患者を想定した架空症例です。

左片麻痺患者におけるStep Testの記録と解釈例(架空症例)
測定条件 回数 観察所見 解釈
右足stepping・左脚支持 8回 左立脚時に体幹右偏位、左膝の不安定性 左支持脚の荷重保持能力低下が関与している可能性
左足stepping・右脚支持 12回 左足部の台への接触がみられる 左下肢の運動制御やクリアランスにも課題がある可能性

この症例では、右足stepping時の回数が少なく、左支持脚の不安定性も観察されています。

左支持脚の荷重保持能力低下が動作制限に関与している可能性がありますが、回数だけで原因を確定することはできません。

また、左足stepping時には足部クリアランスの問題がみられます。左右差を解釈するときは、支持脚とstepping側の両方を観察します。

Step Testのカットオフ値|13回・11回の意味と注意点

Step Testには、慢性期脳卒中患者と健常成人を識別するためのカットオフ値を検討した研究があります。

Hongら(2012)は、慢性期脳卒中患者15名と50歳以上の健常成人15名を対象に、Step Testの信頼性と妥当性を検討しました。

この研究では、麻痺側steppingで13回、非麻痺側steppingで11回というカットオフ値が報告されています。

慢性期脳卒中患者と健常成人の識別に関するStep Testのカットオフ値(Hongら、2012)
測定側(stepping側) カットオフ値 感度 特異度
麻痺側 13回 87% 87%
非麻痺側 11回 100% 67%

重要:この表の麻痺側・非麻痺側は、台へ乗せ降ろしするstepping側を示しています。支持脚の左右と混同しないようにしてください。

例えば、左片麻痺患者で麻痺側steppingを測定する場合は、左足を動かし、主に右脚で支持します。

カットオフ値を使用するときの注意点

これらの数値は、慢性期脳卒中患者と健常成人を識別するために報告された値です。転倒リスクを直接判定するための普遍的な基準ではありません。

  • 対象は慢性期脳卒中患者15名と健常成人15名である
  • 急性期・回復期・療養病棟の患者へそのまま一般化できない
  • 麻痺側と非麻痺側では報告された値が異なる
  • 回数だけで支持脚の機能低下を確定できない
  • 転倒歴、歩行能力、生活場面などと合わせて判断する必要がある

例えば、麻痺側steppingが12回だったとしても、その数値だけで転倒リスクが高いと断定することはできません。

なお、Blennerhassettら(2012)は、脳卒中患者を対象とした追跡研究で、Step Testの10回未満という値と転倒との関連を報告しています。ただし、対象集団や追跡条件が異なるため、これもすべての患者に適用できる一律の転倒判定基準ではありません。

臨床では、測定条件と対象者の状態を確認し、他の評価結果と組み合わせて解釈します。

Step Testの結果の見方|回数と動作の質を組み合わせる

Step Testの結果は、回数の大小だけでなく、左右差、動作の質、測定条件、対象者の身体機能を合わせて解釈します。

特に脳卒中患者では、麻痺側支持と非麻痺側支持で動作が異なるため、左右それぞれの測定結果を確認することが重要です。

Step Testで確認したい観察項目
観察項目 確認内容 記録例
支持脚 膝折れ、過伸展、荷重保持、骨盤の傾き 左支持時に膝折れ傾向
体幹 側方動揺、過剰な前傾、代償動作 左支持時に体幹右偏位
stepping側 足部クリアランス、台への接触、動作の正確性 左足stepping時に足先接触
動作速度 リズム、動作の停止、後半の速度低下 10秒以降にペース低下
安全性 ふらつき、支持物への接触、介助の必要性 測定中にバランス喪失あり

同じ10回でも、体幹動揺が少なく安定して実施できる場合と、強い代償動作を伴う場合では臨床的な意味が異なります。

再評価では、回数の増加だけでなく、代償動作の減少や動作の安定性も確認します。

Step Testの記録例|左右差と測定条件を残す

Step Testの記録では、stepping側、支持脚、15秒間の完了回数、観察所見、測定条件を残すと、再評価や多職種への申し送りに活用しやすくなります。

Step Testの基本記録例(架空症例)
項目 記録内容
測定条件 台高7.5cm、15秒間、支持物なし、靴着用
練習・休憩 各側1回練習、左右測定間1分休憩
右足stepping 8回(左脚支持)
左足stepping 12回(右脚支持)
左右差 右足stepping時に4回少ない
観察所見 左支持時に体幹右偏位、左膝の不安定性あり
解釈 左支持脚の荷重保持能力低下が動作制限に関与している可能性

カルテに記載する場合の文例

以下は架空症例を想定した記録例です。

Step Test実施。台高7.5cm、15秒間、支持物なし、靴着用。各側1回練習、左右測定間1分休憩。右足stepping(左脚支持)8回、左足stepping(右脚支持)12回。左支持時に体幹右偏位および左膝の不安定性を認めた。左支持脚の荷重保持能力低下が動作制限に関与している可能性あり。同一条件で再評価予定。

記録では、測定結果と解釈を分けて記載することが重要です。

例えば「左支持脚の安定性低下」は観察所見から導いた臨床的解釈であり、Step Testの回数だけで確定した診断ではありません。

Step Testの安全管理|0回・測定不能・中断の違い

Step Testは片脚支持を繰り返すため、立位バランスが不十分な患者では転倒リスクがあります。

標準条件で安全に実施できるかを確認し、困難な場合は測定を無理に行わないことが重要です。

開始前に確認すること

  • 支持物なしで立位を保持できるか
  • 一側下肢への荷重に耐えられるか
  • 膝折れや著しい体幹動揺がないか
  • 指示理解が可能か
  • 疼痛、めまい、強い疲労などがないか
  • 台や床面が安定しているか

これらは臨床上の安全確認項目であり、Step Test独自の公式な禁忌一覧ではありません。患者の状態や施設の安全管理基準に従って判断します。

研究上の0点処理と臨床上の測定不能は区別する

Mercerら(2009)の研究では、支持物なしで立位保持できない対象者について、両側0点として処理しています。

ただし、これは研究上の得点処理です。臨床記録では、実際に測定して0回だった場合と、安全上の理由で測定できなかった場合を区別することを推奨します。

Step Testの0回・測定不能・中断時の記録例
状況 記録方法 注意点
15秒間測定し、完了回数が0回 0回 標準条件で測定した結果として記録
支持物なしで立位保持できない 標準条件で実施不可 実施不能の理由を記録
測定中にバランスを喪失 中断時点の完了回数と中断理由 完了した15秒間の得点と区別する
身体的介助が必要 標準条件での測定不可、介助内容を記録 標準得点と区別する

研究データとして扱う場合は、採用する研究やプロトコルで定められた得点処理に従います。

臨床では、測定不能を単純に0回として扱うと、実際に測定して0回だった場合との区別がつかなくなります。

中止・方法変更を検討する場面

Step Testの安全管理と対応例
状況 対応
支持物なしで立位保持できない 標準条件での測定を見送り、別の評価方法を検討する
膝折れや大きなふらつきが生じる 安全を確保して測定を中止する
身体的介助が必要 標準条件の得点と区別し、介助内容を記録する
疼痛やめまいが出現する 測定を中止し、状態を確認する
台に足を乗せられない 原因を確認し、無理に反復させない

TUG・FSST・Step Testの使い分け

TUG、FSST、Step Testは、いずれもバランスや移動能力を評価する方法ですが、中心となる評価課題が異なります。

TUGは移動能力の全体像、FSSTは多方向へのstepping、Step Testは片脚支持を伴う反復動作を確認したい場面で役立ちます。

バランス評価全体の選び方は、バランス評価の使い分けでも整理しています。

TUG・FSST・Step Testの比較
評価 主な評価課題 向いている場面 補いにくいこと
TUG 起立、歩行、方向転換、着座 移動能力の全体像を確認したい 支持脚ごとの左右差
FSST 前後左右へのsteppingと方向転換 多方向への移動や切り返しを確認したい 支持脚ごとの反復動作能力
Step Test 片脚支持を伴う反復的な足の乗せ降ろし 支持脚安定性とstepping能力の左右差を確認したい 歩行・方向転換を含む移動全体

例えば、TUGの所要時間だけでは不安定性の原因が分からない場合、Step Testを追加することで、左右の支持条件による違いを観察できます。

ただし、Step Testだけで歩行能力や転倒リスクの全体像を説明できるわけではありません。

Step Testの再評価|回数だけで改善を判断しない

Step Testは、測定条件を統一することで、動的立位バランスの変化を追うための評価として活用できます。

再評価では、以下の項目を前回と比較します。

  • 左右それぞれの完了回数
  • 左右差の変化
  • 支持脚の膝・骨盤・体幹の安定性
  • stepping側の足部クリアランス
  • 動作速度やリズム
  • 身体的介助や支持物の必要性
  • 履物、装具、台の高さなどの測定条件

例えば、左支持時の回数が8回から11回に増加し、体幹動揺も減少していれば、同一条件での動作遂行能力が改善した可能性があります。

一方、回数が増加していても、体幹の代償動作が大きくなっている場合は、単純に支持脚の安定性が改善したとは判断できません。

数値の変化と動作の質を合わせて評価することが、Step Testを臨床に活用するポイントです。

Step Testのよくある質問

Step Testは何を評価する検査ですか?

片脚支持を伴う反復的な足の乗せ降ろし動作を通じて、動的立位バランス、支持脚の荷重保持能力、stepping側の運動制御などを評価します。左右を別々に測定することで、動作能力の左右差も確認できます。

右足を動かした場合、どちらの脚を評価していますか?

右足を台へ乗せ降ろしする場合、主に左脚で身体を支持します。ただし、測定結果には右下肢の運動制御も影響するため、左支持脚だけの能力を表す数値ではありません。

Step Testの13回・11回は転倒リスクの基準ですか?

いいえ。Hongら(2012)が報告した13回・11回は、慢性期脳卒中患者と健常成人を識別するためのカットオフ値です。転倒リスクを直接判定する普遍的な基準ではありません。別の研究では転倒との関連も報告されていますが、対象や条件を確認して解釈する必要があります。

支持物なしで立てない患者にも実施できますか?

標準条件での実施は困難です。安全確保を優先し、別の評価方法を検討します。研究によっては実施不能例を0点として扱いますが、臨床記録では測定不能の理由も残すことが重要です。

Alternate Step Testと同じ検査ですか?

同じではありません。本記事のStep Testは、一方の足を15秒間繰り返し台へ乗せ降ろしし、左右を別々に測定します。Alternate Step Testは左右の足を交互に台へ乗せる課題であり、実施方法や評価指標が異なります。

次の一手|評価目的に合わせて組み合わせる

Step Testは、支持脚の安定性とstepping能力の左右差を短時間で確認したい場面に役立ちます。

特に脳卒中患者では、麻痺側支持時の不安定性と麻痺側下肢の運動制御を区別して観察することが重要です。

参考文献

  1. Hill KD, Bernhardt J, McGann AM, Maltese D, Berkovits D. A new test of dynamic standing balance for stroke patients: reliability, validity and comparison with healthy elderly. Physiother Can. 1996;48(4):257-262. DOI: 10.3138/ptc.48.4.257
  2. Mercer VS, Freburger JK, Chang SH, Purser JL. Step Test scores are related to measures of activity and participation in the first 6 months after stroke. Phys Ther. 2009;89(10):1061-1071. DOI: 10.2522/ptj.20080368
  3. Hong SJ, Goh EY, Chua SY, Ng SS. Reliability and validity of Step Test scores in subjects with chronic stroke. Arch Phys Med Rehabil. 2012;93(6):1065-1071. DOI: 10.1016/j.apmr.2011.12.022
  4. Blennerhassett JM, Dite W, Ramage ER, Richmond ME. Changes in balance and walking from stroke rehabilitation to the community: a follow-up observational study. Arch Phys Med Rehabil. 2012;93(10):1782-1787. DOI: 10.1016/j.apmr.2012.04.005
  5. Shirley Ryan AbilityLab. Step Test. Rehabilitation Measures Database. 評価尺度の解説ページ
  6. Compendium of Clinical Measures for Community Rehabilitation. Step Test. 測定手順を掲載した資料(PDF)

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

2022年4月にrehabilikun blogを開設。医療機関、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの経験を経て、現在は療養病院に勤務しています。

脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションなどを中心に、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の臨床判断に役立つ情報を発信しています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

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