ベースアップ評価料の実績報告書 2026|提出時期・注意点

制度・実務
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ベースアップ評価料の実績報告書は「誰が・いつ・何を出すか」を先に固定すると迷いません

このページは、ベースアップ評価料の賃金改善実績報告書賃金改善中間報告書について、制度の総論ではなく提出実務に絞って整理した記事です。検索で知りたいのは「実績報告書とは何か」よりも、自施設が対象か / いつ出すか / 何を集計するか / どこで詰まるかであることが多く、そこを先に言語化すると、担当者間の確認がかなり進めやすくなります。

既存の関連記事が「給料への反映時期」や「賃上げ支援の申請実務」を扱うのに対して、本ページはベースアップ評価料の年次報告を担当します。まずは中間報告書と実績報告書の違いを押さえ、その後に必要データ、含めてよい範囲、提出前チェックへ進む流れで読むとズレません。

同ジャンルを最短で回遊:2026 年 6 月の医療賃上げはいつ反映?療法士の賃上げ支援は申請必須|交付額と 5 手順

ベースアップ評価料の実績報告書 2026 とは

結論からいうと、ベースアップ評価料を届け出ている医療機関や訪問看護ステーションが、前年度にどこまで賃金改善を行ったかを確認するための報告です。制度の入口ではなく、届出後の運用を確認する書類と考えると理解しやすいです。申請時点の書類と混同しやすいですが、役割はまったく異なります。

今回の改定では、届出時に必要な情報は簡素化され、申請時点での賃金改善計画書の添付は不要になりました。その代わりに、算定年度の途中で中間報告書、翌年度に実績報告書を出して、実際の賃金改善状況を確認する流れが前面に出ています。

提出対象|どの医療機関が出すのか

提出対象は、ベースアップ評価料を届け出ている保険医療機関訪問看護ステーションです。まず確認したいのは、自施設が届出済みかどの評価料区分を算定しているかどの様式を使うかの 3 点です。ここが曖昧だと、その後の集計がすべてずれます。

厚労省の特設ページでは、報告書様式が病院及び有床診療所用診療所及び歯科診療所用訪問看護ステーション用に分かれています。自施設の区分と様式を最初に一致させるだけで、後工程のミスをかなり減らせます。

提出時期|中間報告書と実績報告書の違い

いちばん大事なのは、中間報告書と実績報告書は役割も時点も違うことです。中間報告書は算定する年度の 8 月に、その年度の賃金改善状況を途中確認するために提出します。実績報告書は翌年度の 8 月に、前年度全体の取組状況を評価するために提出します。

つまり、令和 8 年度にベースアップ評価料による賃金改善を行う場合、令和 8 年 8 月に中間報告書令和 9 年 8 月に令和 8 年度分の実績報告書という流れです。給与への反映時期そのものを確認したい場合は、既存の医療賃上げ記事を併せて読むと整理しやすいです。

中間報告書と実績報告書の提出時期を時系列で整理した図版
中間報告書と実績報告書の提出時期は、年度途中の確認と年度全体の結果で役割が異なります。

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中間報告書と実績報告書の違い
項目 中間報告書 実績報告書
提出時期 算定する年度の 8 月 翌年度の 8 月
見る時点 年度途中の進捗 前年度全体の結果
主な役割 賃金改善が計画どおり進んでいるかの確認 前年度にどこまで賃金改善を行ったかの評価
現場での意味 途中でズレていないかを確認する 年度通算で説明できる形にまとめる

何を集計する?|実績報告で見る数字

実績報告で詰まりやすいのは、「結局どの数字を集めるのか」が見えにくいことです。令和 8 年度改定の資料では、ベースアップ評価料の算定収入額対象職種ごとの常勤換算数基本給等総額の給与改善前後賞与の月数の変化などが主な確認項目として示されています。

実務では、これを収入人数基本給等賞与の 4 つに分けて管理すると回しやすいです。項目名だけを追うより、どの表から拾うかまで先に決めておく方が、部門と事務のやり取りが短くなります。

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実績報告で先にそろえたい数字
見る数字 なぜ必要か 手元資料の例
ベースアップ評価料の算定収入額 原資の確認 算定実績、請求データ
対象職種ごとの常勤換算数 対象範囲の確認 人員表、勤務表、雇用区分一覧
基本給等総額(改善前・後) ベースアップの実施状況を確認するため 給与台帳、賃金表、給与規程
賞与の月数の変化 連動分の整理 賞与支給記録、就業規則

ベースアップに含めてよい範囲

ここは誤解が多いところです。ベースアップ評価料の収入は、基本的には基本給等の引上げに充てる必要があります。そのうえで、基本給等の引上げに連動して増える賞与時間外手当法定福利費などの増加分を含めて整理します。恒常的に夜間を含む交代制勤務の職場で支払われる夜勤手当は、毎月支払われる手当に準じて基本給等に含めて差し支えないと整理されています。

一方で、定期昇給はベースアップに含まれません。また、業績に連動して上がる賞与も対象外です。つまり、従来から予定されている上昇や、売上・評価に応じて変わる増額を混ぜると、報告の考え方がずれやすくなります。

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ベースアップに含めてよいもの・含めにくいもの
整理 考え方
含めやすい 基本給、住居手当、調整手当、通勤手当、毎月決まって支払われる手当 基本給等の引上げとして整理しやすい
連動分として含める 賞与、時間外手当、法定福利費 基本給等の引上げに連動して増える部分
要注意 夜勤手当 恒常的に夜間を含む交代制勤務の職場なら基本給等に含めて差し支えない
含めにくい 定期昇給、業績連動賞与、一時的な臨時手当、特定業務に付随する手当の増額 ベースアップそのものではなく、従来予定分や別要因の増加に当たる

書く前にそろえる資料

報告書を書き始める前に、まず資料をまとめておく方が速いです。少なくとも、給与規程対象職員一覧給与台帳賞与の記録評価料の算定実績前年との比較根拠は先にそろえたいところです。書きながら集めると、どの数字がどの時点のものか分からなくなりやすいです。

おすすめは、最初に「誰が持っている資料か」を分けることです。人事・総務、医事、部門管理者で必要データが分かれるので、必要資料の一覧を 1 枚で共有してから動く方が、締切前のやり直しを防ぎやすくなります。

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書く前にそろえたい資料一覧
資料 確認したい内容 主に持っている部署
給与規程・賃金表 基本給等の定義、改定内容 人事・総務
対象職員一覧 対象範囲、職種別の人数 人事・総務、各部門
給与台帳 改善前後の基本給等の確認 人事・総務
賞与支給記録 賞与月数や連動分の整理 人事・総務
算定実績 評価料算定収入額の確認 医事
前年比較の根拠資料 説明可能な比較を作る 人事・総務、医事

現場の詰まりどころ|ここで止まりやすい 4 点

現場で多いのは、定期昇給をベースアップに混ぜる賞与や法定福利費の扱いが曖昧なまま集計するどの様式を使うか最後まで決めない派遣職員の扱いで止まるの 4 つです。制度の理解不足というより、誰がどこまで確認するかが決まっていないことが原因になりやすいです。

特に派遣職員は見落としやすい論点です。評価料を用いて派遣職員の賃金改善を実施した場合は、賃金改善実績報告書賃金改善中間報告書に当該派遣職員を含めて作成・提出すると整理されています。派遣元から必要情報の提供を受ける前提で、早めに確認を始めた方が安全です。

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よくある詰まりどころと直し方
詰まりどころ なぜ危ないか 先に決めること
定期昇給を混ぜる ベースアップの考え方がずれる 定期昇給分とベア分を分けて整理する
賞与・福利費の扱いが曖昧 連動分の説明ができなくなる 基本給等に連動して増えた部分だけを見る
様式の選択が遅い 途中で集計の前提が変わる 病院 / 診療所 / 訪問看護の区分を最初に確定する
派遣職員で止まる 必要情報が手元にない 派遣元と共有する項目を先に決める

提出前チェックリスト

提出前は、細かい文章よりも順番が大事です。まずは対象施設の確認使用様式の確認算定収入額の集計賃金改善額の整理定期昇給の除外提出先の確認の順で見ると、チェック漏れを減らしやすいです。

提出方法は、厚労省や地方厚生局の案内どおり、専用メールアドレス宛に Excel ファイルで提出する流れを前提にしておくとよいです。ファイル名や送付先の確認を最後に回すと戻りが増えるため、最初に担当者同士で統一しておくと実務が回りやすくなります。

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提出前の最終チェック
順番 確認項目 見るポイント
1 届出済みか確認 自施設が対象か、区分は何か
2 様式を確認 病院 / 診療所 / 訪問看護で合っているか
3 算定収入額を集計 原資の確認ができるか
4 基本給等の改善前後を整理 ベア分を説明できるか
5 定期昇給を除外 従来予定分を混ぜていないか
6 賞与・福利費の連動分を確認 基本給等に連動する部分だけか
7 提出先と送付方法を確認 専用メールアドレス、ファイル名、送付先都県

よくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

実績報告書は毎年提出しますか?

はい。ベースアップ評価料の届出を行っている医療機関や訪問看護ステーションは、毎年 8 月に、前年度の賃金改善の取組状況を評価するための実績報告書を作成し、地方厚生(支)局長に報告する必要があります。年度ごとに確認が必要な書類と考えると整理しやすいです。

中間報告書と実績報告書は何が違いますか?

中間報告書は算定する年度の 8 月に、その年度の途中経過を確認するために提出します。実績報告書は翌年度の 8 月に、前年度全体の取組状況を評価するために提出します。途中確認か、年度総括かの違いです。

定期昇給分は含めてよいですか?

含めにくいです。定期昇給は、年齢や勤続年数の増加に伴う従来から予定されている引上げであり、ベースアップには含まれないと整理されています。報告では、定期昇給分とベア分を分けて考える方が安全です。

手当で上げた場合も対象になりますか?

対象になり得ます。基本給だけでなく、決まって毎月支払われる手当は基本給等に含めて整理できます。ただし、一時的な臨時手当や、特定の業務にのみ付随する手当の増額は、ベースアップ評価料による賃金改善分としては含めにくいので注意が必要です。

訪問看護ステーションも同じ考え方ですか?

大枠は同じですが、様式は訪問看護ステーション用が用意されています。自施設の区分に合った様式を選ぶことが前提になるので、医療機関用のまま進めないように注意したいところです。

次の一手

まずは、自施設でどの評価料区分を届け出ているかどの様式を使うかを確定してください。そのうえで、給与規程・対象職員一覧・算定実績の 3 点を先に集めると、実績報告書の骨格が作りやすくなります。

続けて読むなら、2026 年 6 月の医療賃上げはいつ反映?で個人の見え方を確認し、療法士の賃上げ支援は申請必須|交付額と 5 手順で申請実務を整理すると、制度の入口と出口がつながります。


参考文献

  1. 厚生労働省. ベースアップ評価料等について. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00053.html
  2. 厚生労働省. 令和 8 年度診療報酬改定について【医科全体版】. https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686050.pdf
  3. 厚生労働省. 令和 8 年度診療報酬改定 1. 賃上げ対応. https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001669200.pdf
  4. 厚生労働省. ベースアップ評価料届出後に行っていただきたいこと. https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001467693.pdf
  5. 厚生労働省. 事務連絡(令和 8 年 3 月 23 日). https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001678310.pdf
  6. 関東信越厚生局. ベースアップ評価料に係る「賃金改善計画書」等について. https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kantoshinetsu/shinsei/baseup.html

著者情報

rehabilikun のプロフィール画像

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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