USN スクリーニング検査の要点(5–10 分で標準化)
病棟・外来での USN(半側空間無視)スクリーニングは、転倒・ADL・退院先の意思決定に直結します。本記事では、線分二等分・抹消・時計描画・二重同時刺激の最短フローと判定メモの型を 1 ページで示します。道具と用紙を固定し、手順の再現性と記録の同一性を高めましょう。迷ったときの導線設計は キャリア相談の流れ も参考に。
評価の流れ(5–10 分)
- 抹消(2–3 分):左右見落とし数・探索開始位置・所要時間を記録。
- 線分二等分(1–2 分):偏位量(mm/%)と方向の平均/最大を記録。
- 二重同時刺激(1–2 分):同時提示での消失(extinction)の有無と頻度。
- 時計描画(2–3 分):数字配置・針表現・片側集中の有無を確認。
共通ルール:用紙の向きと距離、教示文、レイアウトは毎回固定。上肢失調/視力低下の影響は所見に併記します。
主要 4 法の使い分け(要点だけ)
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| 手法 | 主な指標 | 所要 | 強み | 注意点 | 記録様式 |
|---|---|---|---|---|---|
| 抹消 | 見落とし数・開始側 | 2–3 分 | 短時間で網羅的 | 練習効果/配置固定 | 左右別カウント+時間 |
| 線分二等分 | 偏位量(mm/%)・方向 | 1–2 分 | 定量化が容易 | 上肢協調・視力の影響 | 平均/最大偏位を数値 |
| 二重同時刺激 | 消失の頻度 | 1–2 分 | 注意の競合を抽出 | 注視点逸脱に注意 | 系列ログで記録 |
| 時計描画 | 数字配置・針表現 | 2–3 分 | 視覚化で共有しやすい | 遂行/失行の影響 | テンプレへ貼付+採点 |
半盲との鑑別メモ
- 視線指示:半盲では視線誘導や頭部回旋で補正しやすいが、USNは探索自体が偏る。
- 刺激競合:単独刺激は取れるのに同時提示で片側消失があれば USN を示唆。
- 課題横断:抹消・線分・時計描画で同側に一貫した偏りが出るなら USN を支持。
- 併存:半盲と USN が同時に存在することも。所見はそれぞれ分けて記載。
判定・記録の型(コピペして使える)
| 項目 | 所見例 |
|---|---|
| 抹消 | 左見落とし 7/40、開始=右、所要 120 秒 |
| 線分二等分 | 平均偏位 +8 mm(右側へ)、最大 +12 mm |
| 二重同時刺激 | 左消失 5/10(単独提示は左右とも認識) |
| 時計描画 | 数字の左半分が欠落/針表現に錯誤 |
| まとめ | 右向き偏倚が課題横断で一貫。USN 疑い濃厚。安全配慮と探索の系統練習を開始。 |
結果からの次の一手
- 病棟安全:ベッド配置・ナースコール位置・視覚標識を左側にも配置。
- 訓練計画:左側探索の系統練習、視覚フィードバック、課題難易度の段階付け。
- 共有:カンファで所見を短文化し、家族説明には時計描画の図を活用。


