ALS リハビリ評価の全体像|実施順序と再評価の実践ガイド

疾患別
記事内に広告が含まれています。

ALS リハビリ評価の全体像|進行に合わせて「先回り」する実践フロー

ALS の評価は、単発の点数評価よりも「初回評価 → 定期再評価 → 変化時再評価」を同じ型で回すことが重要です。本記事は、現場で迷いやすい評価の順序と連携タイミングを整理した総論ページとして、運用しやすい実践フローを提示します。

まずは安全性(呼吸・嚥下)を最優先に確認し、機能・活動・参加へと広げます。評価結果は「点数」だけでなく、次の介入に直結する一文(何が変わり、何をするか)まで記録することで、チームの意思決定が安定します。

同ジャンルを最短で回遊(おすすめ)

評価ハブで全体像を確認する

関連:リハ評価の標準手順(総論)
まず深掘り:ALSFRS-R の実施手順(各論)

ALS 評価フロー(初回・定期・変化時)

評価の軸は、初回で全体像を把握し、定期再評価で経時変化を追い、変化時に呼吸・嚥下・コミュニケーションを優先再評価することです。状態が揺れやすい場面ほど、評価の順序を固定すると判断の遅れを防げます。

下図は、あなたの現場運用に合わせて使える基本フローです。カンファレンスで共通言語にしやすい構成なので、担当者が変わっても同じ判断線で回しやすくなります。

ALS評価の流れ(初回評価・定期再評価・変化時再評価・次アクション)

ALS 評価の実施順序(初回・定期・変化時)
場面 主な評価 見るポイント 次アクション
初回評価 ALSFRS-R、呼吸、嚥下・栄養、コミュニケーション、生活背景 現時点の安全性と優先課題 再評価周期と担当を決定
定期再評価 同条件での反復評価(経時比較) 低下速度、介助量、生活制限の変化 介入強度・支援体制を調整
変化時再評価 呼吸状態、嚥下・水分摂取、伝達手段( AAC ) 息切れ増加、むせ増加、体重変動、意思伝達困難 多職種で計画を更新

総論で全体の順序を押さえたら、各論で実施精度を上げます。以下の 4 本をセットで運用すると、評価から介入までがつながりやすくなります。

現場の詰まりどころ

ALS 評価で詰まりやすいのは「評価はしたが、次の一手が決まらない」場面です。点数の共有だけで終わると、介入更新が遅れます。下の 3 点を固定しておくと、迷いが減ります。

よくある失敗

失敗の多くは、評価そのものではなく「運用の揺れ」です。再評価条件を固定し、共有フォーマットを統一するだけで、実務負荷と判断ミスを減らせます。

ALS 評価で起きやすい失敗と改善の方向
失敗 起こる問題 改善の方向
毎回の実施条件が異なる 経時比較ができず、変化の把握が遅れる 体位・時間帯・記録項目を固定する
点数のみを共有する 介入方針に結びつかない 「問題→原因仮説→次アクション」で共有する
呼吸・嚥下の再評価開始が遅い 安全性低下が進みやすい 変化時トリガーを事前に定義する

回避の手順チェック

現場で使う最小セットです。チームで同じチェックを回すことで、評価と介入更新の質が安定します。

ALS 評価の運用チェックリスト(最小構成)
項目 確認 記録先
初回に優先課題を 3 点以内で設定した 評価サマリー
定期再評価の周期と担当を明記した 計画欄
変化時トリガー(呼吸・嚥下・伝達)を共有した カンファ記録
次回までの具体アクションを一文で記録した 申し送り

よくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

ALS 評価で最初に優先すべき領域はどこですか?

最優先は安全性です。呼吸・嚥下・栄養・コミュニケーションを先に確認し、その後に活動・参加へ広げると、介入の優先順位が明確になります。

ALSFRS-R だけで経過を追ってもよいですか?

ALSFRS-R は全体把握に有用ですが、単独では不十分です。呼吸状態や嚥下、コミュニケーションの評価を併用し、変化時に優先再評価する運用が必要です。

再評価の頻度はどう決めればよいですか?

定期再評価に加えて、症状変化時の臨時再評価を組み合わせます。息切れ増加、むせ増加、体重変動、意思伝達困難などをトリガーにすると判断が速くなります。

多職種連携で最低限共有すべき内容は何ですか?

「何が変わったか」「今のリスクは何か」「次に何をするか」の 3 点です。点数のみではなく、次アクションまで短く共有すると連携が機能します。

次の一手

教育体制・人員・記録文化など“環境要因”を一度見える化すると、次の打ち手が決めやすくなります。

無料チェックシートで職場環境を見える化

チェック後に『続ける/変える』の選択肢も整理したい方は、PT キャリアナビで進め方を確認しておくと迷いが減ります。


参考文献

  1. van Es MA, Hardiman O, Chio A, et al. Amyotrophic lateral sclerosis. Lancet. 2017;390(10107):2084-2098. doi:10.1016/S0140-6736(17)31287-4
  2. Cedarbaum JM, Stambler N, Malta E, et al. The ALSFRS-R: a revised ALS functional rating scale. J Neurol Sci. 1999;169(1-2):13-21. PubMed
  3. Miller RG, Jackson CE, Kasarskis EJ, et al. Practice parameter update: The care of the patient with amyotrophic lateral sclerosis. Neurology. 2009;73(15):1218-1226. doi:10.1212/WNL.0b013e3181bc0141
  4. NICE guideline NG42. Motor neurone disease: assessment and management. 2016 (updated). NICE NG42

著者情報

rehabilikun

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

運営者について編集・引用ポリシーお問い合わせ

タイトルとURLをコピーしました