やる気スコア( Apathy Scale )の評価方法|手順・採点・用紙

評価
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やる気スコア( Apathy Scale )とは(結論:3〜5 分で “アパシー傾向” を見える化)

やる気スコア( Apathy Scale :Starkstein Apathy Scale )は、アパシー(自発性・興味の低下)を 自己記入式 14 項目・ 4 件法でスクリーニングする評価です(合計 0〜42 点)。所要時間は約 3〜5 分で、臨床では「リハに乗らない」「生活の活動が増えない」「反応が乏しい」などの場面で、主観的な “やる気の低下” を共有しやすくします。

本記事は、やる気スコアの 実施手順・採点(カットオフの考え方)・記録運用を、現場で迷わない形に整理します。設問本文の転載はせず、記録・集計用の PDF(本文なし)もあわせて紹介します。

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実施手順(やる気スコアのやり方)

やる気スコアは “同じ条件で繰り返す” ほど価値が出ます。実施前に 疼痛・眠気・せん妄・便秘・薬剤変更などの可逆因子を確認し、条件が大きく違う日は「参考値」として扱うのが安全です。

運用の基本は 4 ステップです。①所要時間(約 3〜5 分)と目的を説明、②「過去 1〜2 週間の普段の状態」を想起して回答、③迷ったら第一印象で 1 つ選択(誘導しない)、④代理記入の場合はその旨を記録します。

説明スクリプト(担当者でブレない一言)

例:「これから “やる気(意欲)” の状態を点数で確認します。過去 1〜2 週間の普段の状態を思い浮かべて、最も近いものを 1 つ選んでください。迷ったら第一印象で大丈夫です。」

代理記入(読み上げ)の扱い

視力や書字が難しい場合は、評価者が選択肢を読み上げて丸を付ける運用でも構いません。ただし、自己記入と混ざると推移が読みにくくなるため、「代理記入」をコメント欄に必ず残します。

採点方法とカットオフ(目安:14 点、ただし “施設で統一” が前提)

各項目は 0〜3 点、合計 0〜42 点で集計します(高得点ほどアパシーが強い解釈)。研究では 14 点以上を臨床的アパシーの目安とする報告が多く、16 点を閾値とする研究もあります。現場では “どの点をアラートにするか” を施設ルールとして統一し、単回値より 推移で判断します。

スコアは診断ではなく、チーム共有の材料です。「高得点=意欲がない」と短絡せず、疼痛・睡眠・せん妄・薬剤などの影響を併記して解釈します。

やる気スコア( Apathy Scale )の採点・解釈の早見(成人・臨床運用)
項目 要点 現場での書き方(例)
採点 14 項目 × 0〜3 点、合計 0〜42 点 合計 ○○ / 42 点(高得点ほどアパシー傾向)
カットオフ 目安 14 点(研究により 16 点も)→ 施設で統一 施設ルール:○○ 点以上で要注意(推移で判断)
境界域 14〜16 点は “単回で断定しない” 同条件で再評価、変化は ±2〜3 点を候補として共有
注意 疼痛・眠気・せん妄・薬剤変更で上振れ/下振れ 可逆因子:疼痛あり/睡眠不良/薬剤変更(◯月◯日)

項目が “見ているポイント”(設問本文ではなく意図を要約)

  • 始める力:自分から行動を開始できるか(声かけ・段取りが必要か)
  • 興味・関心:ニュース・趣味・交流などへの関心の広さと頻度
  • 持続・努力:始めた活動を続けられるか(途中でやめやすいか)
  • 感情反応:楽しさ・達成感などのポジティブ反応が出るか
  • 社会的関わり:会話や関わりを自発的に持とうとするか

記録・集計の実務(評価用紙の使い方:単回+時系列で残す)

やる気スコアは、単回の点数よりも 「条件をそろえた推移」が重要です。記録用紙は「合計点」だけでなく、代理記入の有無可逆因子(疼痛・眠気など)をセットで残せるレイアウトにすると、カンファレンスや家族説明で誤解が減ります。

おすすめは、①実施条件(時間帯・場所・体調)、②合計点(/42)、③解釈メモ(何が影響しそうか)、④次回予定日、の 4 点セットです。

やる気スコアの運用を “崩さない” 記録項目(院内で統一しやすい形)
項目 要点 記録例
方式 自己記入を基本、代理記入は明記 自己記入/代理記入(読み上げ)
所要時間 約 3〜5 分(集中が切れないタイミング) 10:00 病室(食後)
解釈 目安 14〜16 点以上は要注意(施設ルール) アラート:15 点(疼痛あり)
再評価 同条件での推移を重視 次回: 1 週間後(同時間帯)

現場の詰まりどころ(アパシー評価の落とし穴)

  • 「うつ」との線引きに迷う:抑うつ気分が前景にあると、アパシー単独か “うつに伴う意欲低下” か判別が難しくなります。スコアだけで決めず、表情・睡眠・食欲・罪責感などの情報も合わせて共有します。
  • リハ非参加の “理由づけ” にしてしまう:高得点だからといって中止や縮小に直結させるのは危険です。環境調整・小目標設定・成功体験の設計など、介入とセットで解釈します。
  • 改善しているのに点数が動かない:自己認識と周囲評価がズレることがあります。合計点だけでなく「どの領域が動いたか」をチームで確認します。

評価のばらつきを減らすには、面談や情報収集の準備を先に整えるのが近道です。院内の説明や共有が苦手な人は、面談準備チェックなどを一度テンプレ化しておくと運用が安定します(関連:無料ダウンロード)。

よくある誤りと対策

やる気スコア運用で多いミスと対策(再評価がブレる原因を先に潰す)
よくある誤り 起きること 対策
説明が毎回違う 回答がブレて推移が読めない 説明スクリプトを固定し、迷ったら第一印象で選ぶ運用に統一
疼痛・眠気が強い日に比較 悪化に見える(偽陽性) 可逆因子を記録し、条件が違う日は参考値扱い→同条件で再評価
点数だけで方針を決める 介入が “中止/縮小” 側に寄る 点数は共有材料。行動目標(外出・座位時間など)に落として介入とセットにする

配布:やる気スコア 記録用紙( PDF )

以下は、設問本文(項目文)を含まない「記録・集計専用」 PDF です。院内の運用ルールに合わせてご利用ください。

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プレビューが表示できない場合は、上の「 PDF を開く(ダウンロード)」をご利用ください。

よくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

Q1.やる気スコアは、どんな患者さんに使うと良いですか?

「リハに乗ってこない」「活動が増えない」「自発性が乏しい」など、アパシーが疑われる場面で有用です。特に、身体機能は改善しているのに生活活動が伸びないケースでは、主観的な意欲低下を点数で共有でき、チームで課題を言語化しやすくなります。重度認知症や強いせん妄で自己記入が難しい場合は、無理に実施せず行動観察や介護者情報を優先します。

Q2.アパシーと “うつ” はどう違いますか?

アパシーは主に「自発性・興味の低下」が中心で、強い抑うつ気分を伴わないこともあります。一方、うつでは気分の落ち込み、罪責感、希死念慮などが前景に立つことがあります。臨床では重なりも多いため、スコアだけで鑑別はできません。点数は “重症度と推移の共有” に使い、診断や治療方針は主治医を中心に検討します。

Q3.再評価はどれくらいの間隔が目安ですか?

状態が動きやすい時期ほど短く、生活期ほど長めが基本です。急性期は 1〜3 日ごと、回復期は 1〜2 週ごと、生活期は 1 か月ごとを目安にしつつ、転棟・薬剤変更・体調変化の直後は “条件をそろえて” 追加評価します。

Q4.点数が少し変わりました。改善/悪化と言っていいですか?

単回値で断定せず、同条件での推移を重視します。特に 14〜16 点の境界域は “その日の体調” の影響も受けやすいので、可逆因子(疼痛・眠気など)を併記し、2〜3 点以上の変化を候補としてチームで確認する運用が現実的です。

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参考文献(外部リンクは新規タブで開きます)

  1. Starkstein SE, Mayberg HS, Preziosi TJ, et al. Reliability, validity, and clinical correlates of apathy in Parkinson’s disease. J Neuropsychiatry Clin Neurosci. 1992;4(2):134-139. DOI: 10.1176/jnp.4.2.134 / PubMed: 1627973
  2. Movement Disorder Society. MDS-Recommended Rating Scales(Apathy: Apathy Scale). 公式ページ
  3. NINDS Common Data Elements. Apathy Scale (AS). 解説
  4. Hum S, et al. Are the Items of the Starkstein Apathy Scale Fit for Purpose? A Rasch Analysis in Stroke. Front Psychol. 2021. PMC

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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