握力・歩行速度の測り方と読み方【AWGS 基準】

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栄養・嚥下
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本記事のねらい(AWGS 準拠)

サルコペニアのスクリーニングで扱いやすいのが握力歩行速度です。短時間・低負荷で実施でき、縦断評価にも向きます。本記事は AWGS の基準に沿って、病棟・外来でブレを最小化する測り方・読み方・注意点をまとめ、65 歳以上の年代別基準値(平均 ± SD)も併載します。関連導線:評価ハブ6MWT栄養スクリーニング運用

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まずここだけ( 1 分サマリー)

  • 握力:第 2 指 PIP にハンドルを合わせ、左右交互に 2–3 回。掛け声は「はい、全力で 3 秒」で統一し最大値採用。
  • 歩行速度:中央 4 m 計測(前後 1 m の加速・減速路)。足先がライン通過で開始/停止。2 回の最速値または平均値採用。
  • 条件統一:補助具の有無・靴・時間帯を固定。痛み・ふらつき時は中止。
  • 基準:AWGS 2019 のカットオフ(男 < 28 kg/女 < 18 kg、歩行速度 < 1.0 m/s)。

AWGS のカットオフ(要点)

AWGS 2019 のカットオフ(成人高齢者の運用目安)
項目 男性 女性 備考
握力 < 28 kg < 18 kg 筋力低下の指標(スクリーニング)
歩行速度(通常) < 1.0 m/s 身体機能低下の指標(性別で分けない運用)

握力:測定手順と注意点

器具:同一メーカーの握力計を継続使用(ハンドル位置は第 2 指 PIP が合う高さ)。② 姿勢:立位または座位、肩自然下垂、肘は体側で約 90°、前腕中間位、手関節 0–30° 背屈。③ 試行:練習 1 回後、左右交互に 2–3 回、最大値を採用。掛け声は一定(例「はい、全力で 3 秒」)。

注意点:痛み・麻痺側は備考明記/午前中の実施で再現性↑/利き手差は考慮/腱鞘炎や術後は無理せず中止。ハンドル位置不適合・肘位置の移動・呼吸停止・毎回の掛け声の揺れは代表的なエラーです。

歩行速度(通常歩行):測定手順と注意点

コースは中央 4 m 計測を推奨(前後に 1 m の加速・減速路)。立位静止から通常歩行で通過し、つま先がスタートラインを越えた瞬間に計時開始、ゴールライン通過で停止。2 回計測して最速値または平均値を採用。補助具は「使用あり/なし」を統一し、同条件で再テストします。

注意点:ふらつき時は中止/転倒ハイリスクは介助下で/靴・補助具・時間帯を固定/ラインの視認性を確保。呼吸困難や疼痛の出現時は併記(息切れスケール 等)。

よくある NG / OK(早見)

握力・歩行速度の測定で起きやすいミスと対策
ミスNG 例対策(OK)
器具設定ハンドルが浅い/深い第 2 指 PIP に合う高さへ調整
姿勢固定肘が前後に動く肘を体側で支持、体幹の反りを抑制
声かけ毎回異なる指示「 3 秒等尺」を定型化し全員で統一
区間設定4 m 未満・ライン曖昧中央 4 m に統一、足先通過で開始/停止
条件の混在補助具の有無が毎回違う条件を固定し、記録に明記

年代別の基準値:握力( 65 歳以上)

握力(平均 ± SD, kg)— 65 歳以上の年代別(日本)
年齢 男性 女性
65–6938.7 ± 5.923.8 ± 4.0
70–7435.3 ± 6.022.6 ± 3.9
75–7934.3 ± 6.121.5 ± 3.7
80 以上29.7 ± 5.319.6 ± 3.5

※スクリーニングでは上表の年代別平均と AWGS カットオフ(男 < 28 kg/女 < 18 kg)の両方を参照します。

年代別の基準値:歩行速度( 65 歳以上・通常歩行)

歩行速度(平均 ± SD, m/s)— 65 歳以上の年代別(日本)
年齢 平均 ± SD 運用の目安
65–691.38 ± 0.23AWGS カットオフ 1.0 m/s
70–741.33 ± 0.23同上
75–791.24 ± 0.23同上
80 以上1.13 ± 0.25同上

記録テンプレ(コピペ)

「2025-09-29 握力:右 21 kg・左 18 kg(最大値)。歩行速度: 4 m 通常歩行 0.86 m/s(平均値)。条件=座位・肘 90°、補助具なし、午前。所見=筋力・身体機能とも低下傾向。再テスト 2 週後、同条件で。」

参考文献

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