【摂食嚥下機能の評価スケール】相対的喉頭位置|GSグレードテスト

摂食・嚥下
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リハビリくん
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こんにちは!リハビリくんです!

この記事では「摂食・嚥下の理学療法評価」をキーワードに内容を整理していきます。

    

病気や加齢などの影響により、口から食べたり飲んだりすることが難しくなった場合、胃などに直接栄養や水を送り込む経管栄養を選択することがあります。現状の医療・介護の現場では、口から食べたいという本人やご家族の願いが叶わず、経管栄養となるケースは少なくないと思います。

     

人が生命を維持するうえで栄養・水分の摂取は必須であり、食べることが身体的に必要であることは明白です。口から食べることで身体には様々な刺激が加わり、五感を使うことで脳の活性化、唾液の分泌の促進、胃腸で消化・吸収を行うことによる蠕動運動の誘発などが起こります。

  

更に、私たちは食事を通じて人と交流したり、関係を構築したりして社会生活を営んでいます。これは人間にとって食べることが生命維持だけではなく、社会的にも必要であることの証になります。

   

こういった背景を考えると、食べることに関係する支援は高齢化社会が進んでいく中で、今後ますます重要性が高くなると考えられます。摂食・嚥下については言語聴覚士が特に専門性が高い分野になると思いますが、言語聴覚士の有資格者数を考えると全ての患者や利用者様を診療できないことや、そもそも職場に言語聴覚士がいない場合もあると思います。

    

そんな悩みを持つ方のために、こちらの記事をまとめました。この記事を読むことで、嚥下造影検査(VF)を行わなくても、評価に水や食べ物を使用しなくても、質の高い摂食・嚥下の評価ができるようになります。特に、下記のポイントを理解できるようにします。

   

  • 反復唾液嚥下テスト(RSST)の評価方法
  • 相対的喉頭位置の評価方法
  • 舌骨上筋群の筋力評価(GSグレード)

   

こちらの記事が摂食・嚥下障害における診療やリハビリテーションに少しでもお力添えになれば幸いです。是非、最後までご覧になってください!

リハビリくん
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【簡単に自己紹介】

埼玉県の医療機関で働いている理学療法士です

現在、特に関心が高い分野が「栄養」と「褥瘡」になります!

職場以外の活動としては埼玉県理学療法士会にて活動をさせて頂いております

  

主な取得資格は以下の通りになります

脳卒中認定理学療法士

褥瘡 創傷ケア認定理学療法士

3学会合同呼吸療法認定士

福祉住環境コーディネーター2級


  

最近は仕事をするにしても、育児を全うするにしても、自分の身体作りが重要ということを再認識しております。身体作りを効果的に行うためにはプロテイン等の健康補助食品が欠かせません。しかし、近年プロテインも様々な商品が存在するためどれを選択しようか悩む方もいらっしゃると思います。

  

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摂食・嚥下評価を多職種で行うべき理由

嚥下障害の原因は様々であり複数の要因が関与しています。その要因の中でも運動障害が原因となる比率は高く、口腔期の舌運動と咽頭期の舌骨および喉頭の運動の重要性が認識されています。

特に、外部から運動が観察・触診できる喉頭運動は、嚥下反射運動を捉える上で有用な対象となります。

しかし、喉頭運動の定量的指標は、嚥下造影検査(VF)から得られるものが中心であり、臨床で簡便に利用できる喉頭運動の定量的指標が存在するのであれば、それは摂食・嚥下における貴重な情報源となります。

摂食・嚥下評価については、当然言語聴覚士が最も専門性が高く臨床能力に秀でていると考えます。筆者は理学療法士でありますが、マンパワーの問題などにより全ての患者を言語聴覚士が関わることは難しいと考えています。

そのため、理学療法士や作業療法士が臨床で摂食・嚥下の評価を行うことができて、課題がある対象者について言語聴覚士を含めた多職種に相談することができれば、今後の医療や介護に大きく貢献できるのではないかと考えております。

そこで、この記事でリハビリテーション専門職に限らず、医療従事者や介護に携わる方々が簡便に使用することができる摂食・嚥下評価についてご紹介します。

摂食・嚥下障害の評価項目

それでは、嚥下造影検査(VF)等の機器がなくても実施できる簡便かつ有効な評価について考えていきます。

  1. 意識(覚醒)の評価
  2. 反復唾液嚥下テスト(RSST)
  3. 相対的喉頭位置
  4. 舌骨上筋群の筋力評価(GSグレード)

意識(覚醒)の評価

意識(覚醒)状態の評価の 1つに、Japan Coma scale(JCS)を挙げることができます。JCS 1桁(覚醒している)は脳梗塞後の早期リハ介入可否における判断基準の1つであったり、離床プログラムを実施する際の基準にもなります。

また、JCS 1桁は経口摂取を実施するうえでの判断基準にもなります。対象者が持つ嚥下反射を生じさせるポテンシャルを最大限に発揮してもらうためには「飲み込め」という指令が発せられる状態、つまり覚醒状態が保たれていることが求められます。

1日のなかで覚醒状態にムラがある対象者もいると思いますが、少なくとも食事の際には覚醒している必要があります。この覚醒の目安についてが JCS 1桁になります。

意識障害については、他の記事で更に詳しくまとめておりますので、こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️ 【意識障害の評価方法についての記事はこちらから

反復唾液嚥下テスト(RSST)

反復唾液嚥下テスト(RSST)は水も食べ物も使用しないスクリーニングテストになります。空嚥下を行うことで、機能を評価することができるため安全性にも優れています。冒頭で説明したような、まさに理学療法士や作業療法士が実施するのに相応しい評価といえます。

測定方法

測定肢位は座位で行うことが推奨されています。「30秒間にできるだけ多く(ゴックンと)唾を飲み込んでみてください」と指示し、嚥下反射(空嚥下)の回数を計測します。

嚥下反射は第2指と第3指の指腹で喉頭隆起と舌骨をそれぞれ触診し、喉頭挙上・下降運動を確認します。

判定基準

30秒間に3回をカットオフ値とし、2回以下を陽性とします。実施を試みたけど0回だったパターンと、そもそも測定自体が不能であったパターンは『0回と実施不能』で区別して記録します。

測定における留意点

実施前に「30秒間テストに集中し途中で発語しないこと」「口腔内に唾液がなくなっても続けること」を説明します。

カウントにおける注意点としては、簡便な検査であるからこそ、嚥下の回数をいかに正確に数えることができるかどうかになります。

検査時には、対象者の喉頭隆起(甲状軟骨)と舌骨を触診しながら、嚥下をしてもらいます。第2指と第3指の指腹で喉頭隆起と舌骨をそれぞれ触診し、喉頭挙上・下降運動を確認し、喉頭隆起が指腹を十分に超えて挙上した場合を、1回の嚥下と数えます。

反復唾液嚥下テスト(RSST)については、他の記事で更に詳しくまとめておりますので、こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️ 【反復唾液嚥下テスト(RSST)についての記事はこちらから

相対的喉頭位置

出典:喉頭位置と舌骨上筋群の筋力に関する臨床的評価指標の開発およびその信頼性と有用性.日摂食嚥下リハ会誌.

喉頭の位置を確認することは、摂食・嚥下障害における重要な評価項目となります。一般的に食べ物や水分を嚥下する時に喉頭が挙上することで、食塊通過に伴う喉頭蓋の閉鎖と食道入口部の開大の確保に繋がります。

しかし、加齢や廃用により喉頭の位置自体が下方に偏位しやすいことを理解する必要があります。喉頭の位置自体が下方に偏位すれば、嚥下する際に十分な高さまで喉頭を挙上することが困難になることが考えられます。

以上のことを念頭に置きながら矢状面や前額面で喉頭の高さを観察します。喉頭位置が低い場合は嚥下のタイミング不良や嚥下持続時間の延長を予測することができます。喉頭の位置を詳細に評価する方法として、相対的喉頭位置という評価尺度があるため、こちらをご紹介します。

測定方法

測定肢位はベッド上で側臥位とし、痛みが生じない範囲で頚部は伸展位とします。位置の指標として、「オトガイ(下顎骨の先端部)」「甲状軟骨上端」「胸骨上端(頚切痕)」の 3箇所をランドマークとして扱います。

メジャーを使用して距離を測定します。測定部位は以下の2箇所となります。

  1. オトガイと甲状軟骨上端間の距離:GT
  2. 甲状軟骨上端と胸骨上端間の距離:TS

計算方法

GT ÷(GT+TS)で算出された値を相対的喉頭位置とします。

例題して、オトガイと甲状軟骨上端間の距離が7.5cm、甲状軟骨上端と胸骨上端間の距離が5.5cmだった場合の相対的喉頭位置を計算してみます。

GT ÷(GT+TS)= 7.5 ÷(7.5 + 5.5)

=7.5 ÷ 13 ≒ 0.58

この場合、相対的喉頭位置は 0.58 となり喉頭位置が下方に偏位していると考えられます。高齢者における相対的喉頭位置の基準値は 0.41 ± 0.05と報告されています。相対的喉頭位置は、値が大きいほど喉頭位置が上方にあることを意味しています。

測定結果の解釈

喉頭位置や舌骨上筋群および舌・口唇の運動機能.姿勢や呼吸は嚥下にかかわるため、嚥下運動を阻害する因子についての評価は重要になります。

相対的喉頭位置の偏位は、嚥下運動の阻害因子となります。例えば加齢などによって、舌骨上下筋群の筋力、筋肉量、筋緊張が低下すると喉頭位置は一般的に下方に偏位します。

喉頭位置が下方に偏位することにより、嚥下時の喉頭挙上が遅れ、喉頭蓋の閉鎖が不十分となります。また、それに伴い食道入口部の拡大も阻害される可能性が高くなります。

舌骨上筋群の筋力評価:GSグレード

出典:喉頭位置と舌骨上筋群の筋力に関する臨床的評価指標の開発およびその信頼性と有用性.日摂食嚥下リハ会誌.

測定方法

背臥位で頚部を他動的に最大前方屈曲位にします。対象者への説明としては「下顎を引いて顔の向きをそのままの状態で保持してください」と指示してから検者の手を離します。頭部が落下する程度を 4 段階のグレードで評価します。

判定基準

  1. 完全落下:頭部の落下を途中で静止させることができず、床上(ベッド上)まで落下する
  2. 重度落下:頚部屈曲可動域の2分の1以上落下するが、床上までは落下せずに途中で静止させ保持することができる
  3. 軽度落下:ある程度頭部が落下するが、可動域の2分の1以内の範囲で落下を静止させ保持することができる
  4. 静止保持:全く落下することなく、頭部最大屈曲位で保持することができる

その他の摂食嚥下機能の評価スケール

  1. 改訂水飲みテスト
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  2. フードテスト
  3. 咳テスト、簡易咳テスト
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  4. 簡易嚥下状態評価票(EAT-10)
    EAT-10 については、他の記事で詳しくまとめておりますので、こちらもご覧になって頂けると幸いです☺️ 【EAT-10:摂食嚥下障害のスクリーニングについての記事はこちらから
  5. 聖隷式嚥下質問紙

摂食嚥下障害のスクリーニング検査は、簡便性や信頼性に加えて妥当性(感度と特異度)が高いことが重要になります。近年、摂食嚥下障害のスクリーニング検査の重要性が認知されるとともに、妥当性(感度と特異度)を考慮した上で、様々な施設から独自の評価方法が報告されています。

まとめ

最後までお読みいただきありがとうございます!

この記事では「摂食・嚥下の理学療法評価」をキーワードに考えを述べさせていただきました。

こちらの記事が摂食・嚥下障害における診療やリハビリテーションに少しでもお力添えになれば幸いです!

参考文献

  1. 久保高明,宮本明.嚥下機能に着目した理学療法評価.PTジャーナル.2023,Vol.57,No.2,p150-155.
  2. 高橋浩平,高橋萌.嚥下機能に着目した在宅理学療法.PTジャーナル.2023,Vol.57,No.2,p171-178.
  3. 吉田剛,内山靖,熊谷真由子.喉頭位置と舌骨上筋群の筋力に関する臨床的評価指標の開発およびその信頼性と有用性.日摂食嚥下リハ会誌.2003,7(2),p143-150.
  4. 荒川武士,石田茂靖,佐藤祐,森田祐二,新野直明,下川龍平,煙山翔子,岡村唯.脳血管障害者の嚥下障害に関連する運動要因の検討.理学療法学.2019,第46巻第1号,p1-8.
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