嚥下食の段階【早見表】選び方

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栄養・嚥下
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嚥下調整食 学会分類2013(JDD2013)と とろみ3段階|コード0j/0t/1j/2-1/2-2/3/4|粘度・LSTの目安
日本の嚥下食レベル:学会分類2013(食事・とろみ)の要点(現場向け)。

日本の嚥下食レベルとは?(JDD2013の全体像)

日本摂食・嚥下リハビリテーション学会の嚥下調整食 学会分類2013(JDD2013)は、「食事」「とろみ」の2系統で構成され、食事はコード0〜4、とろみは段階1〜3で整理されます。コードは難易度そのものを表すものではなく、症例ごとに最適化して選択する前提です(施設手順・ST/栄養の指示を優先)。

学会分類2013(食事)コード早見

JDD2013(食事)コードの概要と現場メモ
コード 形態の概要 必要な咀嚼能力(目安) 主食・献立例 運用メモ
0j 嚥下訓練食品:均質・低付着・高凝集・離水少のゼリー。スプーンでスライスすくい→丸呑み目的。 咀嚼不要(吸引しやすい物性) ゼリー状訓練食(蛋白は少なめ推奨) 評価・導入段階向け。最重度からの入口に。
1j 離水が少ないゼリー/プリン/ムース。口蓋へ軽く舌で押す程度で送り込み。 咀嚼不要(送り込みは要) プリン、ムース、ゼリー 0jより幅広い物性を許容。蛋白量の制限なし。
2-1 なめらか・均質のペースト/ミキサー食(drinkではない、スプーン摂取前提)。 咀嚼不要(口腔内で広げずに保持・送り込み) とろみ付おもゆ、ミキサー粥(離水・付着を調整) 時間経過で糊化しないよう酵素等で調整。量・持久力に配慮。
2-2 不均質(やわらかい微小粒含む)ペースト/ミキサー食。 2-1同等(微小粒への許容が必要) ざらつきの出やすいミキサー食 粒が残る場合はこちらに分類。
3 押しつぶし可能で食塊形成が容易、離水少・凝集性あり(いわゆるソフト食)。 舌-口蓋での押しつぶしが可能 三分〜全粥、やわらか主菜 「箸/スプーンで切れる」やわらかさを維持。
4 軽度低下向けのやわらか一般食。ばらけ/貼りつきにくい。 歯槽堤間の押しつぶし以上が必要(歯や補綴は必須でない) 全粥・軟飯、やわらか煮込み等 一部の流動性高い料理(drinkに近い)はコード4に含む場合あり。

学会分類2013(とろみ)3段階と数値目安

とろみ段階(段階1〜3)と粘度・LSTの目安(測定条件つき)
段階 日本語表記 性状の説明(飲んだ/見たときの例) 粘度(mPa・s) LST(mm)
1 薄いとろみ drinkとして飲め、口腔内に広がる/カップを傾けるとすっと流れる/細いストローでも可 50–150 36–43
2 中間のとろみ 明らかなとろみ、drink可能だがゆっくり広がる/舌上でまとめやすい/太いストロー推奨 150–300 32–36
3 濃いとろみ eatに近いまとまり/スプーンで食べる、ストロー不適/カップを傾けても縁まで落ちにくい 300–500 30–32

測定条件:20℃、ずり速度50 s−1、コーンプレート型回転粘度計で1分後の値。LSTは直径30mmリング/20mL/水平面で6方向平均。施設での試験は方法を統一してください。

現場運用(導入→移行→安全)

  • 導入:0j/0t/1jから開始するかは症例別。「コードは難易度ではない」前提で、誤嚥/窒息リスクや栄養バランスを俯瞰。
  • 移行:0j→1j→2→3→4の直線ではなく、量・品数・持久力の要因で段階的に。とろみは1⇄2の再評価を定期。
  • 安全:湿性嗄声・むせ・SpO2低下・努力呼吸があれば即中止→報告。姿勢と環境(高さ/前方支持)を先に整える。

記録テンプレ(コピペして穴埋め)

【食事】JDD2013 コード __(0j/1j/2-1/2-2/3/4)/主食:__/副菜:__
【とろみ】段階 __(1/2/3) 粘度:参考値 __ mPa・s(測定無・参考)/LST:__ mm(測定無・参考)
【姿勢・環境】座位 __°/前方支持:有・無/トレー高さ:__ cm/口腔衛生:良・可・不良
【イベント】むせ:有・無/湿性嗄声:有・無/SpO₂最低 __%
【栄養】摂取量 __%/蛋白 __ g/水分 __ mL(管理栄養士記録と整合)
【連携】ST:所見共有・段階提案/医師:投薬・嚥下検査検討/看護:提供手順・注意点
再評価:__ 日(同条件)/目標:__(例:2-1→2-2へ移行、段階2→1へ減粘)

よくあるミスと対策

  • コード=難易度と誤解:コードは便宜的な表示。症例に合わせて柔軟に選択。
  • とろみの独断調整:とろみは段階1〜3の範囲で施設手順に従い、測定条件を揃える。
  • 糊化・離水:ミキサー粥は時間で糊状化しやすい。酵素等で安定化、提供直前に再撹拌。
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