呼吸・運動耐容能の評価ハブ|主観 → 安全 → テストで “ 迷わない最小セット ”
呼吸・運動耐容能の評価は、最初から検査を増やすよりも、「主観(息切れ)→安全確認→短い客観テスト」の順に “ 型 ” を作る方が、忙しい現場でもブレずに回ります。まずは 追跡指標を 1 つ決め、同じ条件で再評価できる状態に戻すのが近道です。
このページは、rehabilikunblog.com 内の呼吸・運動耐容能に関する評価記事を、臨床の流れに合わせて 最短導線で引けるように整理した索引です。全体の索引に戻る場合は 評価ハブ から探すと迷いません。
評価は「実施 → 記録 → 解釈 → 再評価」までが 1 セット。迷いが減る “ 型 ” を 3 分で復習できます。 評価が回る “ 型 ” を見る( 3 分 ) ※内部リンク(同一タブ)
このハブの使い方(最短 5 分)
結論として、呼吸・運動耐容能は「息切れの主観」→「中止基準に触れないか」→「短い客観テスト」の順に積むと、過不足が出にくいです。初回は “ 細かい検査 ” を増やさず、まず 1 本を同条件で回せる形にします。
下の 最短フロー で順番を確認し、次に 主観指標 と 客観テスト の “ 主役 1 本 ” を決めてください。最後に 安全管理 の条件固定をカルテに残すと、再評価が崩れにくくなります。
呼吸・運動耐容能の最短フロー(外来/病棟で迷いにくい順番)
※スマホでは表を左右にスクロールできます。
| 順番 | やること | 見るポイント | 次の一手 |
|---|---|---|---|
| 1 | 主観(息切れ) | 追跡指標を 1 つに固定( mMRC / Borg ) | 重い場合は先に安全確認へ |
| 2 | バイタル・中止基準 | 血圧・ SpO2 ・脈拍、起立性低血圧、症状(胸痛・めまい) | 条件が整えば負荷試験へ |
| 3 | 客観テスト | 6 MWT 等で “ 続けられるか ” を定量化 | 介入と再評価の条件を固定 |
| 4 | 解釈・計算 | ABG / METs は “ 説明の補助 ” として使う | 症状と数値を統合して計画へ |
主観指標(息切れ・きつさ)|まず 1 つに固定
主観指標は、経過を追う “ ものさし ” です。毎回バラバラにすると比較ができなくなるため、まずは mMRC か Borg のどちらかを主指標にします。
mMRC は “ 生活場面の段差 ” を掴みやすく、 Borg は “ 運動中の主観的きつさ ” を負荷量とセットで追いやすいのが利点です。目的に合わせて選び、同条件で再評価できる形にします。
客観テスト(運動耐容能の定量)|主役は 6 MWT で回しやすい
客観テストは「どれだけできるか」を “ 同じ条件 ” で見える化するパートです。特に 6 MWT は、コース・声かけ・休憩のルールを揃えると、再評価が回ります。
初回は “ 1 本 ” だけ採用し、結果が安定して比較できる状態になってから、必要な評価を追加してください(検査数を増やすほど、条件ズレで比較不能になりやすいです)。
バイタル・安全管理|中止基準と “ 条件固定 ” が結果を決める
負荷試験で結果がブレる最大要因は、テスト自体よりも安全確認と測定条件です。血圧測定条件、起立性低血圧の有無、 SpO2 の落ち方を先に揃えると、比較が崩れにくくなります。
特に「今日は負荷試験をしてよい日か」を先に判断し、実施する場合は “ 条件セット ” を固定して記録します(体位・安静時間・酸素流量・補助具・休憩ルールなど)。
解釈・計算( ABG / METs )|数値は “ 説明の補助 ” にする
解釈・計算は “ 当てはめる ” ためではなく、症状と所見を説明できる形にするための補助です。 ABG や METs を目的化せず、介入と再評価に接続します。
症状(息切れ・疲労)と、客観テスト( 6 MWT 等)と、バイタル( SpO2 ・血圧・脈拍)をセットで捉え、次回も同条件で評価できるよう条件セットを残します。
現場の詰まりどころ|よくある失敗( NG )と直し方( OK )
呼吸・運動耐容能は、評価の “ 型 ” が崩れると比較不能になりやすい領域です。まずは 指標の固定と条件の固定で、再評価を回せる状態に戻します。
※スマホでは表を左右にスクロールできます。
| ありがちな NG | 何が起きるか | OK の直し方 | 記録に残す一言 |
|---|---|---|---|
| 主観指標が毎回バラバラ | 経過が追えず、説明が “ 印象 ” に戻る | 主指標を 1 つに固定( mMRC か Borg ) | 追跡指標: mMRC(または Borg )固定 |
| 安全確認が後回し | 血圧条件や起立性低血圧で結果がブレる | 血圧・ SpO2 ・脈拍を先に揃える(測定条件も固定) | 測定条件:体位/安静時間/酸素流量 |
| 6 MWT の条件が固定されない | コース・声かけ・休憩で “ 比較不能 ” になる | 施設内ルールを決め、同条件で回す | コース/声かけ/休憩ルール/補助具固定 |
| ABG や METs が目的化 | 数値の整理で止まり、介入に繋がらない | 症状と所見を説明する “ 補助 ” として使う | 数値は症状説明の補助として併記 |
よくある質問(FAQ)
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
Q1. mMRC と Borg 、どちらで追うのがいいですか?
結論としては「何を追いたいか」で決めます。 mMRC は日常生活での息切れの重さ(生活場面の段差)を掴みやすく、 Borg は運動中の主観的きつさ(負荷量との関係)を追いやすいです。どちらも有用ですが、経過を比較するために追跡指標は 1 つに固定するのが運用のコツです。
Q2. 6 MWT は、どのタイミングで入れるのが安全ですか?
基本はバイタルと中止基準の確認が先です。血圧・ SpO2 ・脈拍、起立性低血圧の有無を押さえ、「今日は負荷試験をしてよい日か」を判断してから実施します。再評価の比較をするなら、コース・声かけ・休憩ルール・補助具を固定して記録します。
Q3. ABG や METs は、どこまで見ればいいですか?
ABG や METs は強力ですが、結論としては介入方針と安全管理を説明する “ 補助 ”として使うのが現場向きです。数字を当てはめて終わらせず、症状(息切れ・疲労)と客観テスト( 6 MWT 等)と統合して、次の介入と再評価条件に接続します。
次の一手(次に読む)
- 6 MWT: ATS 準拠プロトコルと中止基準で、施設内の “ 条件固定 ” を決める
- mMRC × Borg(完全ガイド)で、主観指標を 1 つに固定する
- リハ中止基準をチームで共有して、安全判断のブレを減らす
参考文献
- ATS Committee on Proficiency Standards for Clinical Pulmonary Function Laboratories. ATS statement: guidelines for the six-minute walk test. Am J Respir Crit Care Med. 2002;166(1):111-117. DOI: 10.1164/ajrccm.166.1.at1102 / PubMed: 12091180
- Mahler DA, Wells CK. Evaluation of clinical methods for rating dyspnea. Chest. 1988;93(3):580-586. DOI: 10.1378/chest.93.3.580 / PubMed: 3342669
- Borg GA. Psychophysical bases of perceived exertion. Med Sci Sports Exerc. 1982;14(5):377-381. PubMed: 7154893
- Holland AE, Spruit MA, Troosters T, et al. An official European Respiratory Society/American Thoracic Society technical standard: field walking tests in chronic respiratory disease. Eur Respir J. 2014;44(6):1428-1446. DOI: 10.1183/09031936.00150314 / PubMed: 25406454
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


