FAI(Frenchay Activities Index)とは:頻度でみる IADL
FAI(Frenchay Activities Index)は、在宅生活の「実施頻度」を 0–3 点×15 項目=0–45 点で評価し、継時変化と社会参加の広がりを追う IADL 尺度です。面接または質問票で、あらかじめ決めた基準期間(例:過去 3 か月、過去 6 か月など)における活動頻度を判定し、再評価も同一条件で比較します。
続けて読む:ADL/IADL 評価スケールの種類と使い分け(総論)
項目と採点(0–3 点×15 項目=0–45)
原則は「できる/能力」ではなく「実施頻度」で判定します。運用で詰まりやすいのは「頻度カテゴリ」と「基準期間」です。使用する様式(原法・日本語版・施設の質問票)に合わせて、頻度カテゴリと期間を固定してから評価を始めます。
5 分で迷わない手順は、①基準期間を確認 → ②質問は頻度に限定 → ③採点 → ④領域別プロファイル → ⑤週/月の目標化です。
| 点 | 頻度の目安 | 運用メモ |
|---|---|---|
| 0 | していない | 中止・習慣なし・機会なしを備考で区別 |
| 1 | 月 1 回未満 | 「ほぼなし」と「稀にあり」を混同しない |
| 2 | 月 数回 | 季節要因の大きい活動は同季で比較 |
| 3 | 週 1 回以上 | 週 1 と週 5 を同点にしない(備考で補足) |
判定と解釈(屋内→屋外→社会参加)
合計点だけでなく、屋内家事→屋外用務→余暇/社会参加という「広がり」を意識して、領域別にプロファイルで評価します。点が伸びない場合は、移動耐容能、転倒不安、交通手段、同行の要否などのボトルネックを分解し、行動レベルの週/月目標に落とし込みます。
| 領域(趣旨) | 観察ポイント | 次アクション(週/月) | 記録例 |
|---|---|---|---|
| 屋内家事(料理・掃除・洗濯 など) | 所要時間、疲労、環境(段差・動線)、代替手段(家電) | タスク分割+環境調整で「週 1 → 週 2」へ | 「屋内家事:頻度 2→3、所要 15→10 分」 |
| 屋外用務(買物・用足し・外出) | 移動耐容能(例:6MWT など)、交通手段、不安、同行の要否 | 同行練習→単独移行、外出「月 0 → 週 1」へ | 「外出:月 0→週 1、同行→単独へ移行予定」 |
| 余暇・社会参加(趣味・サークル・旅行) | 参加の場の有無、対人不安、費用、移動の障壁、季節差 | 場の選定→初回同行→「月 0 → 月 2」へ | 「参加:月 0→月 2、初回同行〇/場所 A」 |
| 代理/外注(重要) | 家族代行、配食、代行サービスの利用を明確化 | 本人実施へ移行する手順を計画(部分参加から) | 「配食利用、本人は配膳のみ→週 2 調理へ」 |
信頼性・妥当性|エビデンスの要点
FAI は脳卒中領域を中心に検討が進んでおり、内的一貫性( Cronbach の α )や構成概念妥当性( ADL 指標との関連など)が報告されています。領域(下位尺度)としては、家事などの屋内活動と、外出・余暇などの屋外/余暇活動に分かれる 2 因子構造が示される報告が多いです。
一方で、患者背景(病期、文化、生活環境)や実施方法(本人回答/代理回答、面接/郵送)で回答が変わり得るため、実務では「同じやり方で繰り返す」ことが最重要です。運用を標準化しておくと、点数が「介入に落ちる」情報になります。
FAI に固定カットオフはある?運用の考え方
FAI は頻度の継時変化をみる性格が強く、一般的な固定カットオフは設定しにくいと解釈します。実務では、領域別プロファイルを見ながら、週〜月単位の段階目標(例:外出 0→週 1、洗濯 週 1→週 2)を設定し、再評価で進捗を確認します。
研究や院内で閾値を仮設定する場合は、基準期間の固定、代理遂行/外注の取扱い定義、同一条件での再評価を徹底して再現性を担保します。
ケース別の使い分け(例)
| ケース | 読み取りのコツ | 介入の焦点(例) |
|---|---|---|
| 退院直後 | 屋内家事の回復が先に動きやすい | タスク分割+環境調整で「週次の頻度」を作る |
| 独居・介護負担が高い | 代理/外注が点数を押し上げやすい | 部分参加(準備のみ本人など)で「本人実施」を増やす |
| フレイル併存 | 疲労と不安で外出が落ちやすい | 活動量の底上げ+休息設計、外出は同行から再開 |
実施・記録テンプレ
記録例:「FAI 18/45(基準:過去 3 か月)。屋内家事=週次、屋外用務=月 1 未満、社会参加=月 1 未満。6MWT 420 m。同行支援と近隣サークル参加で外出を週 1 へ。」
印刷は A4/余白 12 mm/ヘッダ・フッタ非表示を推奨します。再評価は同一の基準期間で比較してください。
よくある誤り(OK/NG)
| 場面 | OK | NG/要修正 | 理由/対策 |
|---|---|---|---|
| 質問の焦点 | 実施頻度で判定 | 能力(できるか)で判定 | 過大評価の恐れ→質問は頻度に限定 |
| 基準期間 | 同一期間で比較(例:過去 3 か月) | 評価ごとに期間がバラバラ | 季節差の影響→期間を固定 |
| 解釈 | 領域別プロファイル+段階目標 | 合計点のみで判断 | 介入に落ちない→「どの領域を伸ばすか」を決める |
| 代理/外注 | 扱いを事前定義し備考に明記 | 都度判断でブレる | 再現性確保→テンプレに欄を設ける |
よくある質問(FAQ)
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
基準期間はどれくらいが良いですか?
季節要因を平準化しやすい3–6 か月が使われることが多いです。重要なのは、再評価も同一期間で比較することです(施設内で「過去 3 か月」などに統一すると運用が安定します)。
点数が伸びないときは?
移動耐容能、不安、交通手段、同行の要否などのボトルネックを分解し、週/月の段階目標(例:外出 0→週 1)を設定します。合計点よりも「どの領域が止まっているか」を先に見ます。
FAI にカットオフはありますか?
一般的な固定カットオフは適しません。領域別プロファイル+段階目標で運用し、必要に応じて施設内で仮閾値を定義します。
代理遂行や家事外注はどう扱いますか?
院内 SOP で扱いを事前定義し、記録時に備考へ明記します。解釈時は過大評価(本人の実施頻度ではない)に注意し、部分参加へ移行できるタスクを探します。
おわりに
FAI は「頻度の把握 → ボトルネックの分解 → 週/月目標 → 同一条件で再評価」というリズムを作ると、点数がそのまま介入の優先順位になります。見学や情報収集の段階でも使える面談準備チェック(A4・5 分)と職場評価シート(A4)を無料公開しています。印刷してそのまま使えます。ダウンロードはこちら
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下
参考文献
- Holbrook M, Skilbeck CE. An activities index for use with stroke patients. Age Ageing. 1983;12(2):166–170. doi:10.1093/ageing/12.2.166
- Schuling J, de Haan R, Limburg M, Groenier KH. The Frenchay Activities Index. Assessment of functional status in stroke patients. Stroke. 1993;24(8):1173–1177. doi:10.1161/01.STR.24.8.1173 / PubMed
- Turnbull JC, Kersten P, Habib M, et al. Validation of the Frenchay Activities Index in a general population aged 16 years and older. Arch Phys Med Rehabil. 2000;81(8):1034–1038. doi:10.1053/apmr.2000.7162 / PubMed
- Han C-W, Yajima Y, Nakajima K, et al. Construct validity of the Frenchay Activities Index for community-dwelling elderly in Japan. Tohoku J Exp Med. 2006;210(2):99–107. doi:10.1620/tjem.210.99 / PubMed
- Lin K-C, Chen H-F, Wu C-Y, Yu T-Y, Ouyang P. Multidimensional Rasch validation of the Frenchay Activities Index in stroke patients receiving rehabilitation. J Rehabil Med. 2012;44(1):58–64. doi:10.2340/16501977-0911
- 配布元(日本語版自己評価表の入手先例):付録 1 日本語版 FAI(Frenchay Activities Index)自己評価表(PDF) PDF


