感覚検査の評価方法|表在・深部・複合感覚の進め方

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感覚検査とは?まず「何を調べたいか」から決める

感覚検査は、表在感覚・深部感覚・複合感覚をすべて機械的に調べるのではなく、目的に合わせて必要な検査を選び、異常がみられた領域を詳しく確認することが重要です。

新人理学療法士がベッドサイドで迷いやすいのは、「最初に何を見るか」「どこまで検査するか」「結果をどう記録するか」という部分です。本記事では、感覚検査の総論として、目的確認 → 表在・深部感覚のスクリーニング → 必要時の詳細評価 → 活動との照合 → 記録・再評価という基本の流れを整理します。

各検査の細かな手技ではなく、まず感覚検査全体の組み立て方をつかみたい方を対象としています。記事内には、進め方を整理した図解とA4記録シートPDFも掲載しています。

感覚検査はスクリーニングから必要な領域へ分岐する

初回からすべての感覚検査を細かく行う必要はありません。まず今回の評価で何を明らかにしたいかを決め、表在感覚と深部感覚を中心に左右差・部位差を確認します。そのうえで、異常がみられた領域や、基本的な感覚入力だけでは説明しにくい所見を詳しく評価します。

感覚検査の進め方を示す図解。目的確認から表在・深部感覚のスクリーニングを行い、異常の有無によって詳細評価や活動所見との照合へ分岐し、記録・再評価につなげる流れを示している。
感覚検査は、目的を決めてスクリーニングし、異常がみられた領域を詳細評価したうえで、活動との関連や再評価へつなげます。
感覚検査を組み立てる5ステップ
順番 確認すること 次の判断
1. 目的確認 しびれ、疼痛、歩行不安定、手の操作不良など、評価したい問題を決める 優先して調べる部位と感覚を絞る
2. スクリーニング 表在感覚と深部感覚を中心に、左右差・部位差・反応の一貫性を確認する 異常がみられる領域を詳細化する
3. 詳細評価 必要な感覚種・部位を広げ、必要時に複合感覚も確認する 障害の範囲や特徴を整理する
4. 活動と照合 バランス、歩行、上肢操作、ADLなど実際の活動と照らし合わせる 所見がどの活動へ影響しているか考える
5. 記録・再評価 部位、左右差、刺激条件、反応、活動への影響を残す 同じ条件で変化を追える形にする

感覚検査は表在・深部・複合感覚の3系統で整理する

感覚検査は、臨床では表在感覚・深部感覚・複合感覚の3系統に整理すると全体像をつかみやすくなります。ただし、3系統を最初から同じ深さで評価するのではなく、症状や活動上の問題に合わせて検査を選びます。

表在・深部・複合感覚の役割
分類 代表的な検査 まず確認したい場面
表在感覚 触覚、痛覚、温度覚 しびれ、感覚低下、疼痛、皮膚損傷リスクなどの範囲を確認したいとき
深部感覚 位置覚、運動覚、振動覚 ふらつき、歩行不安定、身体位置の認識低下などが疑われるとき
複合感覚 二点識別、立体覚、数字書字覚など 基本的な感覚入力だけでは説明しにくい識別・認識の問題を確認したいとき

詳しい手順は各系統の記事で確認する

感覚検査の前にそろえる4つの条件

感覚検査は患者さんの回答に依存する部分が大きいため、刺激方法だけでなく、環境・理解・視覚条件・刺激条件をそろえることが重要です。

  • 環境:できるだけ注意を向けやすく、安定した体位で実施する
  • 説明:何を答えてもらうのか短く説明し、必要なら練習する
  • 視覚:検査の目的に応じて閉眼などで刺激を見えないようにする
  • 刺激条件:左右を比較できるよう、刺激方法や評価部位をできるだけ統一する

疲労、注意の持続、言語理解、疼痛などによって回答が安定しない場合は、単発の反応だけで感覚障害と判断せず、条件を整えて再確認します。

最初に何を見る?目的別の感覚スクリーニング

検査項目を選ぶときは、感覚の分類から考えるだけでなく、患者さんが困っている活動や症状から逆算すると整理しやすくなります。

症状・活動から考える感覚検査の入口
気になる症状・活動 まず確認すること 異常があったら
しびれ・触れた感じが左右で違う 触覚・痛覚などの表在感覚と障害範囲 評価範囲を広げ、他の神経学的所見と照合する
暗所や閉眼時にふらつきやすい 足趾・足関節などの位置覚、振動覚 立位・歩行との関係を確認する
手の操作が不正確 手指の表在感覚と位置覚 必要に応じて立体覚などの複合感覚へ進む
感覚はあるが物の認識がうまくできない 基本的な表在・深部感覚が保たれているか確認する 複合感覚や認知・注意機能を含めて評価する

感覚検査は「正常・低下」だけで終わらせない

感覚検査では、「触覚低下」「位置覚低下」と記載するだけでは、その後の判断につながりにくくなります。少なくともどこで・左右どちらに・どの条件で・どのような反応がみられたかを整理します。

さらに重要なのは、その所見が実際の活動と一致するかです。たとえば足部の位置覚低下がみられても、それだけで歩行不安定の原因と断定せず、立位バランス、歩行、筋力、協調性、視覚条件などと照合して考えます。

感覚所見を解釈するときの確認ポイント
確認する軸 見るポイント
左右差 左右で同じ刺激への反応が異なるか
分布 身体のどこに感覚変化がみられ、一定の分布があるか
再現性 試行を変えても同じ傾向がみられるか
他の神経所見 筋力、反射、協調性、注意機能などと矛盾しないか
活動への影響 歩行、バランス、上肢操作、ADLの問題と対応しているか

感覚検査の記録は「部位・左右・条件・反応」を残す

再評価につながる記録にするには、検査名だけでなく、評価部位、左右差、実施条件、患者さんの反応を残します。数値化する場合も、使用した方法や試行条件が分かる形にしておくと比較しやすくなります。

感覚検査の最小記録例
記録項目 記載例
検査・部位 触覚:両下腿〜足部
左右差・分布 右足背で左側より反応低下
条件 閉眼、背臥位、左右同条件で実施
反応 刺激認知あり、右足背で反応遅延あり
活動との照合 歩行時の右足部接地を追加確認

感覚検査 記録シートPDF

感覚検査の結果を同じ形式で残したい場合は、A4記録シートを利用できます。部位や左右差、検査結果を整理し、初回評価と再評価を比較するときにも使用できます。

感覚検査で起こりやすい4つのミス

感覚検査の質を上げるには、検査項目を増やすより、回答を誘導しないことと、再評価できる条件を残すことが重要です。

感覚検査で避けたいミスと修正方法
ミス 問題 修正
毎回同じ順番で刺激する 患者さんが刺激を予測しやすい 順番を変えながら確認する
説明なしで開始する 課題を理解できず、感覚障害との区別が難しくなる 短く説明し、必要なら練習試行を行う
「低下あり」だけ記録する 部位や条件、再現性が分からない 部位・左右・条件・反応を残す
感覚所見だけで活動障害を説明する 筋力・協調性・注意など他の要因を見落とす バランス・歩行・ADLなどと照合する

感覚検査でよくある質問

Q. 感覚検査は表在感覚と深部感覚のどちらから始めますか?

A. 固定した順番よりも、今回確認したい症状や活動から選ぶことが重要です。しびれや感覚範囲を確認したい場合は表在感覚、ふらつきや身体位置の認識低下が疑われる場合は深部感覚を優先します。初回は両方を大まかに確認し、異常がある領域を詳しく調べる方法も使いやすいです。

Q. 複合感覚は全員に実施する必要がありますか?

A. 必ずしも全員に詳細な複合感覚検査を行う必要はありません。まず基本的な表在・深部感覚を確認し、それだけでは説明しにくい識別や認識の問題がある場合に追加します。

Q. 失語や認知機能低下がある場合はどう評価しますか?

A. 説明を短くし、ジェスチャーや選択式の回答など、理解しやすい反応方法を検討します。回答が安定しない場合は、単発の誤答を感覚障害と断定せず、理解・注意・疲労などの影響も含めて判断します。

rehabilikun Library|感覚検査をさらに学ぶ本

感覚検査だけでなく、神経学的評価や他の理学療法評価とあわせて整理したい場合は、評価全体を扱う専門書が学習の補助になります。

まず読むなら

PT臨床評価ガイド

感覚検査だけを単独で覚えるのではなく、理学療法で使用する各種評価を横断的に整理したい学生・新人理学療法士向けの一冊です。感覚所見を他の評価と組み合わせて学びたいときの選択肢になります。



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感覚検査は「異常を見つけて終わり」にしない

感覚検査では、表在・深部・複合感覚を暗記して一通り実施することより、目的に合わせて検査を選び、異常がみられた領域を詳しく調べ、活動との関係を考えることが重要です。

まずは表在感覚と深部感覚を中心に左右差・部位差を確認し、必要な場合のみ詳細評価や複合感覚へ進みます。最後に、評価条件と所見を記録し、バランス・歩行・ADLなどと照合できれば、感覚検査を次の介入や再評価につなげやすくなります。


参考文献

  • Pandian SK, Thatte MR, Agarwal P, et al. The Normal Static Two-Point Discrimination in the Palmar Aspect of Hand in Adults and Children in a Sample Indian Population. Indian J Plast Surg. 2024;57(4):263-269. doi: 10.1055/s-0044-1789588PubMed
  • Smith TO, Davies L, Hing CB. A systematic review to determine the reliability of knee joint position sense assessment measures. Knee. 2013;20(3):162-169. doi: 10.1016/j.knee.2012.06.010PubMed
  • McIllhatton A, Lanting S, Lambkin D, et al. Reliability of recommended non-invasive chairside screening tests for diabetes-related peripheral neuropathy: a systematic review with meta-analyses. BMJ Open Diabetes Res Care. 2021;9(2):e002528. doi: 10.1136/bmjdrc-2021-002528PubMed
  • Lincoln NB, Jackson JM, Adams SA. Reliability and revision of the Nottingham Sensory Assessment for Stroke Patients. Physiotherapy. 1998;84:358-365. doi: 10.1016/S0031-9406(05)61454-X
  • Wu CY, Chuang IC, Ma HI, Lin KC, Chen CL. Validity and Responsiveness of the Revised Nottingham Sensation Assessment for Outcome Evaluation in Stroke Rehabilitation. Am J Occup Ther. 2016;70(2):7002290040p1-8. doi: 10.5014/ajot.2016.018390PubMed

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

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