ICIDH(国際障害分類)とは?ICF への読み替え手順

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ICIDH(国際障害分類)とは?(結論)|古い記録を ICF に「翻訳」するための足場

ICIDH を覚えるより、ICF に読み替える「分解の型」を 1 本持つと、記録と共有が速く回ります。 評価 → 介入 → 再評価の臨床フローを見る( #flow )

ICIDH は、障害を 欠損( impairment )能力低下( disability )社会的不利( handicap ) の 3 層で捉える枠組みです。現行の標準は ICF ですが、臨床では「古い診療録/論文の用語が ICIDH のまま」「院内様式が旧表現のまま」という場面が残ります。

本記事は、ICIDH を“暗記”するページではありません。ICIDH の文を ICF( b / s・ d・ e・修飾子)へ読み替えて、チームでブレない記録にすることに焦点を当てます。

まずここだけ| 1 分サマリー(読み替えの芯)

  • ICIDH の 3 層:欠損 → 能力低下 → 社会的不利
  • ICF への置き換え:欠損= b / s、能力低下= d(活動・参加)、社会的不利= d(参加)+ e(環境因子)
  • 運用の順番:d から書く(何ができないか)→ b / s(原因)→ e(阻害 / 促進)→ 修飾子( P / Cap )
  • 詰まりどころ:「歩けない」を b で書いてしまう/「社会的不利」を 1 つの言葉で残してしまう

ICIDH と ICF の違い(早見)|“言い換え” ではなく “分解”

ICIDH → ICF の対応関係(実務の読み替え早見)
ICIDH(旧) ICF(現行) 読み替えのコツ 臨床メモ
欠損( Impairment ) b(心身機能)/ s(身体構造) 「原因・背景」を b / s へ 疼痛= b280、筋力= b730、構造= s7xx など
能力低下( Disability ) d(活動 / 参加) 「できない課題」を d に置く 歩行= d450、更衣= d540 など
社会的不利( Handicap ) d(参加)+ e(環境因子) 参加の制約と環境に分解する 段差= e150(阻害)/家族支援= e310(促進)など
モデル バイオ・サイコ・ソーシャル “本人 × 環境” の相互作用 訓練で変える部分と、資源で補う部分が分かれる

ICIDH → ICF 読み替え 5 手順(型)|迷ったらこの順に並べ替える

  1. 文を 3 つに分ける:欠損(原因)/能力低下(課題)/社会的不利(役割・場面)
  2. 欠損 → b / s:痛み・筋力・可動域・構造などを b / s に置く
  3. 能力低下 → d:「歩けない」「更衣が困難」など “課題” を d に置く(まずここが主役)
  4. 社会的不利 → d(参加)+ e:参加の制約は d、背景要因は e(阻害 / 促進)へ分解する
  5. 修飾子で “程度” を揃える:Performance / Capacity に 0–4( 8 / 9 )を付ける

現場の詰まりどころ| b と d を混ぜない/社会的不利を 1 行で終わらせない

一番多い詰まりは、「歩けない」「立てない」を原因( b )として書いてしまうことです。困っているのは “筋力” ではなく、まず課題( d )です。d(何ができない)→ b / s(なぜ)に分けるだけで、目標設定と介入の筋が通ります。

次に多いのが「社会的不利」を 1 つの言葉で残してしまうことです。ICF では、社会面は参加( d )環境因子( e )に分けると、訓練で変える部分と資源で補う部分が見えます。

読み替え早見(運用版)|“分解の例” を先に持つ

ICIDH 文を ICF に分解する早見(例)
ICIDH っぽい記載 まず置く( d ) 原因( b / s ) 環境( e )
「膝痛で歩行困難」 d450(歩く) b280(痛み)、b710(関節可動性)など e115(補助具)、e150(段差)など
「更衣ができず介助」 d540(更衣) b730(筋力)、b760(協調)など e310(家族支援)、e115(自助具)など
「通院できず社会参加が不利」 d570 / d910 など(生活管理 / 地域生活) b455(運動耐容能)など e540(交通)、e580(サービス)など

読み替えの実例(短文テンプレ)|“ 1 行で再現できる” に寄せる

ICIDH 記載(例):「膝痛により歩行が困難で、通院の社会参加が不利」

ICF へ分解(例): d450(歩く)P=3 / Cap=2、b280(痛み)2、(必要なら)b730(筋力)2、e115(補助具:促進)/ e150(段差:阻害)

計画(例):疼痛コントロール+下肢筋力+段差練習/ゴール=屋内 20 m( P=3 → 2 )

よくある NG / OK|読み替えが崩れるパターンはほぼ固定

ICIDH → ICF 読み替えの NG / OK(院内で揃えるポイント)
場面 NG(起きがち) OK(直し方) 記録のコツ
原因と課題 「歩けない」を b に置く 歩けない= d、原因= b / s に分ける d を 1 行目に置く
社会面 社会的不利を 1 語で終える 参加( d )+ 環境( e )に分解 訓練で変える / 資源で補うを分ける
e 因子 促進 / 阻害の区別が曖昧 促進・阻害を “言葉” として明記 要因は 1 つに絞る(多すぎると読めない)
修飾子 d を書いたが程度が揃わない Performance / Capacity を同じ基準で付ける 迷うなら “条件” を先に固定

5 分で回す運用フロー|「 d → b/s → e → 修飾子」だけ固定

  1. d:何ができない / どこで困る(課題)
  2. b / s:なぜ起きる(原因・背景)
  3. e:何が妨げる / 助ける(環境)
  4. 修飾子:程度( P / Cap )を同条件で付ける
  5. 最後に 1 行:次の介入(訓練)と、資源で補う点を分けて書く

※ ICF の書き順や記載例を “完成形の文章” まで揃える場合は、実務版で 「 d → b / s → e → 修飾子」の書き方をまとめています。続けて読む:ICF の書き方・記載例(実務版)

記録テンプレ(コピペ用)|文章構造を固定して迷いを消す

  • ICIDH → ICF(基本形):(日付)ICIDH 文を ICF へ分解: d__( P=_ / Cap=_ )。b__=_、s__=_。e__(阻害 / 促進)。計画=__。ゴール=__( P=_ → _ )。
  • 短縮形(カンファ用):d__( P=_ / Cap=_ )|原因= b / s__|環境= e__|次=__

よくある質問( FAQ )

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

Q1. ICIDH は今も使うべきですか?

現行の標準は ICF です。ICIDH は、古い文献や過去の診療録を読むとき、または院内様式を ICF に更新するときの “橋渡し” として限定的に参照するのが現実的です。新規の評価・記録は ICF で統一した方が、多職種共有が安定します。

Q2. 「社会的不利」は ICF でどう書けばよい?

参加の制約( d )と、背景要因( e )に分けます。たとえば「買い物に行けない」は d620、「近くに店がない」は e210、「付き添いがいない」は e310 など、課題と環境を分けると介入と資源の役割分担が明確になります。

Q3. 欠損・能力低下・社会的不利の対応を覚えられません。

まずは「欠損= b / s、能力低下= d、社会的不利= d(参加)+ e」で十分です。実務では、d から書く(困りごと)→ b / s(原因)→ e(環境)→ 修飾子、の順で並べ替える方が迷いが減ります。

次の一手|関連ページ(読む順)

参考文献

  1. World Health Organization. International classification of impairments, disabilities, and handicaps: a manual of classification relating to the consequences of disease. Geneva: WHO; 1980. WHO IRIS
  2. World Health Organization. International Classification of Functioning, Disability and Health ( ICF ). Geneva: WHO; 2001. PDF
  3. Stucki G, Cieza A, Ewert T, et al. Application of the International Classification of Functioning, Disability and Health ( ICF ) in clinical practice. Disabil Rehabil. 2002;24(5):281-282. doi: 10.1080/09638280110105222. PubMed
  4. Stucki G, Ewert T, Cieza A. Value and application of the ICF in rehabilitation medicine. Disabil Rehabil. 2002;24(17):932-938. doi: 10.1080/09638280210148594. PubMed
  5. Simeonsson RJ, Lollar D, Hollowell J, Adams M. Revision of the International Classification of Impairments, Disabilities, and Handicaps: developmental issues. J Clin Epidemiol. 2000;53(2):113-124. doi: 10.1016/S0895-4356(99)00133-X. PubMed

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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