ICIDH入門:欠損・能力低下・社会的不利をICFに読み替える

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ICIDH(国際障害分類)とは?

ICIDH は、障害を 欠損(impairment)能力低下(disability)社会的不利(handicap) の 3 層で捉える医学モデル寄りの枠組み(1980 年公表)です。現在は ICF に移行していますが、古い記録や論文の解読、およびICFへの読み替えでは実務上の価値があります。本稿は、ICIDH の要点を手早く理解し、ICF視点に翻訳するためのガイドです。関連導線:評価ハブMMT握力・歩行速度

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まずここだけ( 1 分サマリー)

  • 3 層:欠損(機能や構造の異常)→能力低下(日常活動の困難)→社会的不利(社会役割の不利)。
  • ICFへの読み替え:欠損→b/s、能力低下→活動/参加(d)、社会的不利→参加(d)+環境因子(e)で表現。
  • 運用のコツ:常にdから書く(ゴール)→b/s(原因)→e(阻害/促進)→修飾子。
  • 言葉の配慮:「handicap」は現行では使わず、ICF の参加制約+環境で記載。

ICIDH と ICF のちがい(早見)

ICIDH→ICF の対応関係と考え方のシフト
ICIDH(1980) ICF(2001–) ポイント 臨床での運用
欠損(Impairment) b(心身機能)/ s(身体構造) 機能・構造の異常 筋力低下=b730、疼痛=b280、構造=s7xx
能力低下(Disability) d(活動/参加) 課題遂行の困難 歩行=d450、更衣=d540 など
社会的不利(Handicap) d(参加)+ e(環境因子) 社会役割上の不利は環境との相互作用で表現 段差=e150.-2、家族支援=e355.+1 など
モデル バイオ・サイコ・ソーシャル 医学モデル → 統合モデルへ dから書く→b/s→e→修飾子

ICIDH → ICF 読み替えガイド(ルール)

  1. ICIDH用語を抽出:欠損・能力低下・社会的不利を拾い出す。
  2. 欠損→b/s:筋力・痛み・可動域などは b/構造は s に置換。
  3. 能力低下→d:できない/難しい日常課題は d コードへ。
  4. 社会的不利→参加+e:役割の不利は参加(d)に、背景要因は e に分解(促進は +n、阻害は -n)。
  5. 修飾子を付与:Performance / Capacity を 0–4(8=未特定、9=非該当)。

読み替えの実例(短文テンプレ)

ICIDH記載(例):「膝痛により歩行が困難で、通院の社会参加が不利」
ICF翻訳: d450(歩く)P=3/Cap=2、b280(痛み)2、b730(筋力)2、e115.+2(四点杖)/ e150.-2(玄関段差)
計画: 疼痛コントロール+下肢筋力+段差訓練/ゴール=屋内 20 m(P=3→2)

よくある NG / OK(ICIDHを扱うとき)

ICIDHを用いた記録のミスと改善策
ミスNG 例対策(OK)
用語のまま運用「handicap:家事ができない」「参加の制約(d)+環境因子(e)」に分けて表現
原因と成果の混在「歩けない(b730)」歩けない=d450、b730は原因として別記
e 因子の符号抜けe115=2促進は +、阻害は – を付ける(例:e115.+2)
修飾子なしd450=2 だけP と Cap の両方に 0–4(8/9)を付与

ミニ年表(背景知識)

ICIDH と ICF の簡易年表
出来事メモ
1980ICIDH 公表欠損・能力低下・社会的不利の 3 層
1990s改訂作業社会的視点の不足への批判を反映
2001ICF 採択活動/参加と環境因子を統合、現行標準へ

記録テンプレ(コピペ用:ICIDH→ICF)

「2025-09-30 ICIDH→ICF 読み替え:d450(歩く)P=3/Cap=2。b280=2、b730=2。e115.+2(杖)、e150.-2(玄関段差)。計画=疼痛/筋力/段差訓練。ゴール=屋内 20 m(P=3→2)。」

参考

  • ICIDH(1980)の基本概念/ICF(2001–)への移行。
  • 現行の臨床記録は ICF に準拠し、ICIDH 用語は読み替え目的で限定的に参照することを推奨。
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