回復期リハ疑義解釈 2026 は「その 1 の 3 点」と「その 2 の追加差分」で読むと迷いません
最終更新:2026 年 4 月 1 日(疑義解釈その 1・その 2 を反映)
回復期リハ病棟まわりの疑義解釈は、2026 年 3 月 23 日の「その 1」で FIM 研修・重症患者割合・強化体制加算の届出単位 が整理され、2026 年 3 月 31 日の「その 2」で 高次脳機能障害の退院時情報提供、実績指数の加点、強化体制加算の届出と退院前訪問指導 が追加で明確になりました。
この記事では、疑義解釈で確定した運用だけに絞って整理します。改定全体の背景説明を広く扱うのではなく、 6 月対応と 7 月以降の実績指数対応で何をそろえるか に答える構成です。高次脳機能障害の退院時情報提供の詳細や実績指数の計算式は兄弟記事へ分け、本ページでは「現場で止まりやすい分岐」を短時間で確認できる形にします。
結論|先に固定するのは 6 論点です
今回の疑義解釈は、通知を順番に追うよりも、どの論点が日々の運用に直結するか を先に分けた方が理解しやすい内容です。回復期リハ病棟で影響が大きいのは、① FIM 研修の対象者、② 重症患者割合の移行期ルール、③ 高次脳機能障害の退院時情報提供の提供先、④ 実績指数の加点ルール、⑤ 強化体制加算の届出方法、⑥ 退院前訪問指導割合の考え方です。
逆に、ここを曖昧にしたまま進めると、「誰が研修対象か」「旧基準と新基準をどこで切るか」「どこへ文書提供するか」「加点をどう計算するか」「訪問指導割合をどう数えるか」で運用差が出やすくなります。まずは次の表で全体像を 1 枚で確認し、そのあと各論点を順にそろえると現場で回しやすくなります。
スマホでは表を横スクロールできます。
| 論点 | 疑義解釈で確定したこと | 先に決めること |
|---|---|---|
| FIM 研修 | FIM の測定を担当する看護職員も研修対象です。 | 対象職員、受講記録、測定担当者の整理 |
| 重症患者割合 | 2026 年 5 月 31 日までに入棟・入室した患者は旧基準で扱います。 | 患者区分、集計ルール、根拠の残し方 |
| 高次脳機能障害の文書提供 | 提供先はリハビリテーション利用先に限られ、単なる受診予定やケアプラン作成予定は含みません。 | 提供先の定義、退院前確認の流れ |
| 実績指数の加点 | 「歩行・車椅子」「トイレ動作」は各項目ごとに 1 点加点できます。 | 加点ルール、7 月以降の適用方法 |
| 強化体制加算の届出 | 届出前月までの 6 か月実績でも届出でき、対象期間の全患者に改定後基準で計算します。 | 届出時期、対象期間、月次確認方法 |
| 退院前訪問指導割合 | 算定回数ではなく実施実績で考え、同一患者 2 回でも 1 人、他病棟実施後の転棟例も分子に含められます。 | 分子・分母、対象退院先、記録方法 |
FIM 研修|看護職員も対象です
ここでいちばん起きやすい誤解は、「 FIM の研修は PT ・ OT ・ ST だけでよい」と考えてしまうことです。疑義解釈その 1 では、回復期リハ病棟入院料 2 ・ 4 に追加された FIM の測定に係る研修 について、 FIM の測定を担当する看護職員を研修対象とすること が明確に示されました。つまり、職種名で切るのではなく、実際に測定を担当するか で整理するのが基本になります。
現場で先に決めたいのは、誰が測定を担当するか、どの研修受講歴を証跡として残すか、測定手順をどこまで共通化するかの 3 点です。ここが曖昧だと、入棟時評価と再評価で判定の揺れが出やすくなります。研修そのものを実施したかだけでなく、測定担当者の一覧と運用ルールを病棟で共有できるか まで含めて整えておくと監査説明もしやすくなります。
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| 項目 | なぜ必要か | 残す記録の例 |
|---|---|---|
| 測定担当者の整理 | 職種ではなく担当実態で対象者を確定するため | 病棟別の測定担当者一覧 |
| 受講履歴の管理 | 研修要件の証跡を示しやすくするため | 受講日、研修名、受講者名の台帳 |
| 測定手順の共有 | 再評価時のばらつきを減らすため | 院内マニュアル、申し送りの定型文 |
重症患者割合| 5 月末までの入棟患者は旧基準で見ます
重症患者割合の論点は、「 6 月から全部新基準」と考えると読み違えやすいところです。疑義解釈では、 2026 年 5 月 31 日までに入棟または入室した患者については、改定前の重症患者の範囲と重症患者割合の基準を用いてよい とされました。移行期は、患者ごとの起点を見ながら整理する発想が必要です。
さらに疑義解釈その 2 では、重症患者の対象である「高次脳機能障害と診断された患者」には、重症脳血管障害だけでなく、高次脳機能障害を伴った頭部外傷、脳腫瘍、脳炎、急性脳症も含まれる ことが明確になりました。患者区分の整理は、月次集計の担当者だけで抱えず、病棟で「患者区分の見方」と「集計の見方」を分けて共有する方が安全です。
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| 患者区分 | 使う基準 | 記録で残したいこと |
|---|---|---|
| 2026 年 5 月 31 日までに入棟・入室 | 改定前の重症患者範囲・割合基準 | 入棟日、判定根拠、旧基準で扱う旨 |
| 高次脳機能障害の対象患者 | 重症脳血管障害に加え、頭部外傷、脳腫瘍、脳炎、急性脳症も含む | 疾患名、高次脳機能障害の診断根拠 |
| 2026 年 6 月以降の新規入院患者割合 | 改定後基準 | 集計対象月、判定方法、月次台帳 |
| 5 月と 6 月をまたぐ集計 | 患者単位と集計単位を分けて確認 | 計算手順メモ、担当者間の共有ルール |
高次脳機能障害の退院時情報提供|提供先は「リハ利用先」です
疑義解釈その 2 では、回復期リハ病棟入院料における 「介護保険によるリハビリテーション」 の具体範囲と、「利用する予定」 の意味が整理されました。提供先になるのは、介護保険による訪問リハ、通所リハ、介護予防訪問リハ、介護予防通所リハ、または介護保険施設で医師・ PT ・ OT ・ ST により行われる高次脳機能障害者に適したリハビリテーションです。
一方で、単に受診する予定の医療機関や、ケアプラン作成のみを受ける予定の居宅介護支援事業所等は、文書提供先に含まれません。ここは退院支援で誤解が起きやすい所なので、提供先確認を退院前カンファのチェック項目に入れておくと実務が安定します。詳細は 高次脳機能障害の退院時情報提供【回復期リハ・ 2026 改定】 で整理しています。
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| 確認項目 | 含むもの | 含まないもの |
|---|---|---|
| 介護保険によるリハビリテーション | 訪問リハ、通所リハ、介護予防訪問リハ、介護予防通所リハ、介護保険施設での適切なリハ | 単なる介護サービス利用予定 |
| 「利用する予定」の意味 | 医療保険、介護保険、障害福祉サービスによるリハ利用 | 単なる受診予定、ケアプラン作成予定 |
| 文書提供先 | 退院後にリハを利用する保険医療機関や事業所・施設 | 単なる受診先、居宅介護支援事業所のみ |
実績指数| FIM 加点と経過措置を混同しない
実績指数でまず押さえたいのは、「歩行・車椅子」「トイレ動作」はそれぞれ別項目として各 1 点加点できる ことです。2 項目の両方がそろわないと加点できないわけではなく、どちらか 1 項目だけが条件を満たす場合でも 1 点を加えます。
また、令和 8 年度改定で実績指数の計算方法や除外対象が見直されましたが、 2026 年 5 月 31 日までに入棟・入室した患者の入棟月については、除外対象と除外割合に改定前基準を用いてよい とされています。一方で、「歩行・車椅子」「トイレ動作」の各 1 点加点の計算方法は、 2026 年 7 月以降に実績指数を算出する場合、算出対象期間の全患者に適用して差し支えない と整理されました。計算式の全体像は 回復期リハ実績指数 2026 改定|基準値・計算式・記録シート に分けています。
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| 論点 | 疑義解釈で確定したこと | 現場で残すこと |
|---|---|---|
| FIM 加点 | 「歩行・車椅子」「トイレ動作」は各項目ごとに 1 点加点 | どの項目で加点したかを個別に残す |
| 除外対象・除外割合 | 5 月 31 日までの入棟患者の入棟月は改定前基準で可 | 入棟日、旧基準適用の根拠 |
| FIM 20 点以下 + 平均 6 単位超 | 5 月 31 日までの入棟患者では 6 月以降退棟でも新取扱いを適用しなくてよい | 除外患者判定の根拠メモ |
| 2026 年 7 月以降の実績指数 | 各 1 点加点の計算方法は算出対象期間の全患者に適用可 | 月次台帳の計算ルール更新日 |
強化体制加算|届出と退院前訪問指導は病棟横断で整理します
強化体制加算で迷いやすいのは、「届出はいつできるのか」「退院前訪問指導割合はどう数えるのか」の 2 点です。疑義解釈その 1 では、回復期リハ病棟入院料 1 を届け出る病棟全体で届出を行う と整理され、その 2 では、実績指数の算出月以外でも、届出前月までの 6 か月間を算出期間とした実績指数を算出して届出できる と示されました。
この場合、対象期間の全患者について改定後基準で実績指数を計算します。また、退院前訪問指導は、算定回数ではなく実施した実績で届け出る こと、1 人の患者に入院後早期と退院前の 2 回実施しても分子は 1 人で数えること、自宅にはサービス付き高齢者向け住宅を含む一方で一部施設や障害福祉サービス施設等は含まれないこと、同一医療機関内の他病棟で退院前訪問指導を実施した後に回復期リハ病棟へ転棟して自宅退院した患者は分子に含めてよいことも明確になりました。
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| 確認項目 | ずれやすい点 | 実務上の整え方 |
|---|---|---|
| 届出時期 | 実績指数の算出月しか届出できないと考えやすい | 届出前月までの 6 か月実績でも届出できる前提で予定を組む |
| 実績指数の対象期間 | 旧基準と改定後基準を混ぜやすい | 届出時は対象期間の全患者を改定後基準で計算する |
| 退院前訪問指導の分子 | 算定回数で数えたくなる | 実施患者数で数える。2 回実施でも 1 人 |
| 「自宅」の範囲 | 退院先を広く入れすぎる | サ高住は含むが、一部施設や障害福祉サービス施設等は含めない |
| 他病棟実施後の転棟 | 分子から外してしまいやすい | 同一医療機関内の他病棟で実施後に回復期へ転棟し自宅退院なら分子に含める |
現場の詰まりどころ|ずれやすい 6 パターン
疑義解釈は文章だけ読むと理解した気になりやすい一方で、実務に落とすと細かいズレが出やすいのが特徴です。今回の論点で特に起きやすいのは、研修対象を職種名だけで決める、 6 月から一律で新基準に切り替える、高次脳機能障害の文書提供先に単なる受診先を含める、 FIM 加点を 2 項目そろわないと不可と考える、強化体制加算を 1 病棟だけで考える、退院前訪問指導を算定回数で数える の 6 つです。
対策の基本は、誰が何を見て、どこに残すかを 1 枚に落とすことです。通知を読んだ人だけが理解している状態では、数週間後に運用が崩れます。対象者、患者区分、提供先、加点項目、届出単位、訪問指導の分子という「入口の決め方」を先に共有し、その後に台帳やマニュアルへ落とし込むと、制度変更の影響を現場で吸収しやすくなります。
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| よくある失敗 | なぜ起きるか | 対策 |
|---|---|---|
| FIM 研修を PT ・ OT ・ ST だけで組む | 担当実態ではなく職種名で考えてしまうため | 測定担当者一覧を作り、看護職員も含めて整理する |
| 5 月末入棟患者を 6 月から一律で新基準にする | 患者単位と集計単位を分けて見ていないため | 入棟日ベースの判定ルールを台帳に明記する |
| 高次脳機能障害の文書提供先に単なる受診先を含める | 「利用する予定」の意味を広く取りすぎるため | リハ利用先のみを提供先とするチェック欄を作る |
| FIM 加点は 2 項目そろわないと不可と考える | 歩行・トイレをセットで覚えてしまうため | 各項目ごとに 1 点加点と台帳に明記する |
| 強化体制加算を病棟別にばらして考える | 届出単位と運用単位の関係を共有できていないため | 対象病棟全体で会議体と管理表を一本化する |
| 退院前訪問指導を算定回数で数える | 実施実績と算定の区別が曖昧なため | 分子は実施患者数で数えると明記する |
よくある質問
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
FIM 研修は看護師全員が対象ですか?
全員と機械的に考えるより、 FIM の測定を担当する看護職員かどうか で整理するのが実務的です。病棟全体へ一律に広げる前に、実際の測定担当者を確認し、受講履歴とあわせて管理すると運用しやすくなります。
5 月に入棟した患者が 6 月も入院中なら旧基準でよいですか?
はい。疑義解釈では、 2026 年 5 月 31 日までに入棟または入室した患者については改定前基準を用いてよい とされています。患者ごとの起点で整理することが大切です。
高次脳機能障害の文書提供先に、単なる受診予定の病院は含みますか?
含みません。医療保険、介護保険又は障害福祉サービスによるリハビリテーションを利用する場合のみを指し、単なる受診予定やケアプラン作成予定は含まれません。
「歩行・車椅子」と「トイレ動作」は両方そろわないと加点できませんか?
いいえ。各項目ごとに判定します。どちらか 1 項目だけが「入棟時又は入室時に 5 点以下、かつ、退棟時又は退室時に 6 点以上」を満たす場合でも、1 点を加えます。
強化体制加算は、実績指数の算出月以外では届出できませんか?
届出できます。届出前月までの 6 か月間を算出期間とした実績指数を算出して届出可能です。この場合は対象期間の全患者について改定後基準で実績指数を計算します。
退院前訪問指導は 1 人の患者に 2 回実施したら 2 人分ですか?
違います。入院後早期と退院前の 2 回実施しても、分子は 1 人として数えます。強化体制加算では、算定回数ではなく実施した患者数で考えるのが基本です。
同じ病院の別病棟で退院前訪問指導を実施した後に回復期リハ病棟へ転棟した患者は分子に含めますか?
含めて計算できます。同一医療機関内の他病棟で退院前訪問指導を実施した後、回復期リハ病棟へ転棟して自宅退院した患者は、実施割合の分子に含めて差し支えありません。
次の一手
このページで「疑義解釈の確定差分」を押さえたら、次は全体像と兄弟記事に戻ると整理しやすくなります。役割を分けて読むことで、制度の背景、計算式、個別論点が混ざりにくくなります。
参考資料(一次情報)
- 厚生労働省.疑義解釈資料の送付について(その 1 ).令和 8 年 3 月 23 日.https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001678310.pdf
- 厚生労働省.疑義解釈資料の送付について(その 2 ).令和 8 年 3 月 31 日.https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001684646.pdf
著者情報

rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


