ベースアップ評価料(Ⅱ)の区分計算|基礎額と算定見込み回数

制度・実務
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ベースアップ評価料(Ⅱ)の区分計算は、基礎額と算定見込み回数を先に固定すると整理しやすい

ベースアップ評価料(Ⅱ)の区分計算は、届出時に「賃金改善算定基礎額」と「算定見込み回数」を使って、届け出る区分を決めるための作業です。この記事では、制度全体の解説ではなく、区分計算で何を集めるか、どの順番で確認するか、評価料(Ⅰ)と何が違うかに絞って整理します。届出前に数字の根拠を確認したい医療機関・訪問看護ステーションの担当者向けです。

関連:ベースアップ評価料の賃金改善計画書 2026|作成手順・提出時期・注意点

ベースアップ評価料(Ⅱ)の区分計算とは

ベースアップ評価料(Ⅱ)の区分計算とは、届出時にどの区分で届け出るかを決めるための計算です。

外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)、訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)、入院 BU 評価料では、賃金改善算定基礎額を整理し、算定見込み回数で割ることで区分を判断します。

一方で、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)、訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)、調剤ベースアップ評価料では、この区分計算は基本的に不要です。まずは自施設が評価料(Ⅰ)なのか、評価料(Ⅱ)なのかを確認してから進めることが重要です。

区分計算の流れ

区分計算は、必要な数字を集める → 賃金改善算定基礎額を出す → 算定見込み回数で割るという順番で進めます。

最初から区分だけを見ようとすると、どの数字を使ったのか説明しにくくなります。届出後の確認に備える意味でも、計算結果だけでなく、元データの根拠を残しておく方が安全です。

ベースアップ評価料(Ⅱ)の区分計算を4ステップで整理した図版
区分計算は、対象評価料の確認から始め、必要数字の収集、基礎額の計算、算定見込み回数で割る流れで整理します。

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ベースアップ評価料(Ⅱ)の区分計算の流れ
順番 確認すること 実務のポイント
1 対象評価料を確認する 評価料(Ⅰ)か(Ⅱ)かを先に固定する
2 必要な数字を集める 月額賃金総額、人数、算定見込み回数を確認する
3 賃金改善算定基礎額を出す 対象職員区分ごとの率や定められた額を当てはめる
4 算定見込み回数で割る 届け出できる区分を判断する

賃金改善算定基礎額とは何か

賃金改善算定基礎額は、ベースアップ評価料によって月当たりに確保できる見込みの賃金改善原資を整理するための数字です。

入院 BU 評価料では、医師・歯科医師以外の対象職員の月額賃金総額に定められた率を掛けた額と、40 歳未満の医師・歯科医師数に定められた額を掛けた額を合計します。

外来・在宅 BU 評価料(Ⅱ)と訪問看護 BU 評価料(Ⅱ)では、その合計額を 2 で割って整理します。ここで使う数字がずれると区分判定もずれるため、給与台帳や職員名簿のどの時点の数字を使ったかを残しておくことが大切です。

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賃金改善算定基礎額の考え方
対象 考え方 注意点
入院 BU 評価料 対象職員分と 40 歳未満医師・歯科医師分を合計する まず合計額を出す
外来・在宅 BU 評価料(Ⅱ) 合計額を 2 で割る 入院の計算と混同しない
訪問看護 BU 評価料(Ⅱ) 合計額を 2 で割る 外来・在宅(Ⅱ)と同じ考え方で確認する

区分計算で集める数字

区分計算では、月額賃金総額、40 歳未満の医師・歯科医師数、算定見込み回数の 3 つを先に集めると整理しやすくなります。

月額賃金総額は、対象職員の基本給等と、時間外手当等の月ごとに変動して支払われる手当を確認します。40 歳未満の医師・歯科医師数は、常勤か非常勤か、週 22 時間以上に該当するかを確認します。

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区分計算で先に集めたい数字
数字 確認する内容 主な確認資料
月額賃金総額 対象職員の基本給等と月ごとに変動する手当 給与台帳、賃金表、給与規程
40 歳未満の医師・歯科医師数 常勤・非常勤、週 22 時間以上の該当状況 職員名簿、勤務形態一覧
算定見込み回数 区分決定に使う見込み回数 請求実績、算定見込み資料

2026年改定で使う率と定められた額

2026 年改定では、対象職員区分ごとに使う率や、40 歳未満の医師・歯科医師に対する定められた額が整理されています。

下記以外の対象職員と、看護補助者・事務職員では率が異なります。また、40 歳未満の医師・歯科医師では、常勤と非常勤(週 22 時間以上)で 1 人当たりの額が分かれます。

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2026年改定資料で示された主な率・定められた額
区分 R8.6〜R9.5 R9.6〜R10.5
下記以外の対象職員 1.29 × 3.2% 1.29 × 6.4%
看護補助者・事務職員 1.29 × 5.7% 1.29 × 11.4%
40 歳未満の医師・歯科医師(常勤) 27,021 円 / 人 54,042 円 / 人
40 歳未満の医師・歯科医師(非常勤・週 22 時間以上) 9,244 円 / 人 18,487 円 / 人

算定見込み回数でどう区分が決まるか

届け出る区分は、賃金改善算定基礎額を BU 評価料の算定見込み回数で割ることで判断します。

入院では延べ入院患者数、外来では初診料・再診料等の算定回数が見込み回数の例として示されています。自施設がどの回数を使うかを先に決めておかないと、計算結果の説明が難しくなります。

実務では、計算結果だけを残すのではなく、使用した見込み回数の根拠資料も一緒に保存しておくと、届出後の確認に対応しやすくなります。

評価料(Ⅰ)と評価料(Ⅱ)の違い

評価料(Ⅰ)と評価料(Ⅱ)の大きな違いは、区分計算が必要かどうかです。

評価料(Ⅰ)では、賃金改善算定基礎額を使った区分計算は基本的に不要です。一方、評価料(Ⅱ)では、届出時に区分を決めるために、賃金改善算定基礎額と算定見込み回数を使った計算が必要になります。

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評価料(Ⅰ)と評価料(Ⅱ)の違い
項目 評価料(Ⅰ) 評価料(Ⅱ)
区分計算 基本的に不要 必要
賃金改善算定基礎額 算出不要 算出が必要
実務の注意点 対象評価料の確認 数字収集と根拠資料の保存

現場で止まりやすいポイント

現場で止まりやすいのは、評価料(Ⅰ)と(Ⅱ)の混同、月額賃金総額の範囲、算定見込み回数の根拠、計算結果の保存方法です。

臨床現場や事務部門では、制度名は共有できていても、「どの数字をどの資料から拾ったか」までそろっていないことがあります。担当者間で確認するときは、計算式より先に、元データの出所をそろえる方がスムーズです。

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区分計算でよくある詰まりどころ
詰まりどころ 起こりやすい問題 対策
評価料(Ⅰ)と(Ⅱ)を混同する 不要な計算や届出漏れにつながる 最初に対象評価料を固定する
月額賃金総額の範囲が曖昧 基礎額の前提がずれる 給与規程と給与台帳で含める範囲を確認する
算定見込み回数が揺れる 区分判定がぶれる 使う回数と根拠資料を明記する
根拠を残していない 後から説明しにくい 計算結果と元資料をセットで保存する

届出前チェックリスト

届出前は、対象評価料、必要数字、基礎額、見込み回数、区分決定の順に確認すると漏れを減らしやすくなります。

特に、ベースアップ評価料(Ⅱ)の区分計算は、計算そのものよりも「その数字を使った理由」を説明できることが大切です。担当者が変わっても追えるように、根拠資料を残しておきましょう。

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ベースアップ評価料(Ⅱ)区分計算の届出前チェックリスト
順番 確認項目 チェック内容
1 対象評価料 評価料(Ⅰ)か(Ⅱ)かを確認した
2 必要数字 月額賃金総額、人数、算定見込み回数を集めた
3 基礎額 率や定められた額の当てはめを確認した
4 見込み回数 使用する回数の根拠を残した
5 区分決定 計算結果と根拠資料をセットで保存した

よくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

評価料(Ⅰ)でも区分計算は必要ですか?

不要です。外来・在宅 BU 評価料(Ⅰ)、訪問看護 BU 評価料(Ⅰ)、調剤 BU 評価料では、賃金改善算定基礎額を用いた区分計算は基本的に不要です。

賃金改善算定基礎額とは何ですか?

ベースアップ評価料によって月当たりに見込まれる賃金改善原資を整理するための数字です。評価料(Ⅱ)の区分決定で使います。

算定見込み回数は何を使いますか?

入院では延べ入院患者数、外来では初診料・再診料等の算定回数が例として示されています。自施設で使う回数と根拠資料を先に固定しておくことが大切です。

40歳未満の医師・歯科医師数は確認が必要ですか?

必要です。賃金改善算定基礎額の算出では、対象職員の月額賃金総額に加えて、40 歳未満の医師・歯科医師数を確認します。

この記事の次に何を確認すればよいですか?

区分計算の考え方を確認したら、次に賃金改善計画書の作成手順を確認すると、計算結果と届出書類のつながりが整理しやすくなります。

次の一手

まずは、自施設が評価料(Ⅰ)か評価料(Ⅱ)かを確認してください。評価料(Ⅱ)に該当する場合は、月額賃金総額、40 歳未満の医師・歯科医師数、算定見込み回数を先に集めると、区分計算の骨格が作りやすくなります。

届出全体の流れを確認する場合は、ベースアップ評価料の賃金改善計画書 2026|作成手順・提出時期・注意点をご覧ください。


参考文献

  1. 厚生労働省. 令和8年度診療報酬改定 1.賃上げ対応. https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001701063.pdf
  2. 厚生労働省. 令和8年度診療報酬改定におけるベースアップ評価料等について. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00053.html
  3. 厚生労働省. 令和8年度診療報酬改定について【訪問看護ステーション向け】. https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001671099.pdf

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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