この記事でわかること|2026 改定後の実績指数と最初に直す運用
回復期リハ実績指数は、月末に計算するだけでは安定しません。入棟時から同じ条件で評価・記録・集計できるように、まずは令和 8 年改定の全体像を確認し、このページで実績指数の確定差分に絞って整理してください。
令和 8 年改定の全体像を見る
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このページで答えるのは、2026 改定で回復期リハ実績指数の何が変わったか、そして病棟で最初にどこを直すと運用が止まりにくいかです。基準値、重症患者割合、FIM 加点、土曜・休日体制、強化体制加算、退院前訪問指導割合を、現場で確認しやすい順番に整理します。
答えないこと:監査台帳の詳細設計、病棟会議の進め方、日々のリハ業務フロー全体までは深掘りしません。ここでは「確定差分」と「最初の運用修正」に絞り、図解・早見表・5 分チェックで実装しやすくすることを目的にします。
最終更新:2026-04-01(疑義解釈その 2 反映)
結論|先に固定するのは 4 点です
今回の改定は、指数の基準値だけを見ると読み違えやすいテーマです。先に押さえるべきは、①実績指数の基準値、②重症患者の対象と割合、③FIM 加点を含む計算式、④土曜・休日体制の 4 点です。
現場の優先順位は、重症判定根拠の 1 行化 → 評価条件の固定 → 土曜・休日 3 単位の平準化 → 公表と説明の担当決めです。計算は月末に追えますが、評価条件のズレは月末に戻しにくいため、入棟時から同じ型で残すことが重要です。
確定差分|基準値・重症割合・休日体制・経過措置
スマホでは表を横スクロールできます。
| 論点 | 改定後の確定点 | 現場で先にそろえること |
|---|---|---|
| 実績指数の基準値 | 入院料 1 は 42 以上、入院料 2 は 32 以上、入院料 3 は 37 以上、入院料 4 は 32 以上 | 週次ミニ集計を固定し、月末ではなく途中のズレを拾う |
| 重症患者割合 | 入院料 1・2 は 3 割 5 分以上、入院料 3・4 は 2 割 5 分以上 | 判定根拠を「評価名/点数/日付/担当」で 1 行化する |
| 重症患者の対象 | 日常生活機能評価 10 点以上又は FIM 21 点以上 55 点以下に見直し。高次脳機能障害には、頭部外傷、脳腫瘍、脳炎、急性脳症も含む | 入棟 3 日以内に重症判定欄を埋め、後追い判定を減らす |
| 土曜・休日体制 | 入院料 1〜4 で、土曜日・休日を含む全ての日にリハビリテーションを提供できる体制が要件。土曜・休日の 1 日当たり提供単位数は平均 3 単位以上 | 休日メニュー、中止基準、引継ぎ文言を平日と同じ粒度で統一する |
| 経過措置 | 入院料 2・4 の実績指数要件、入院料 3・4 の週 7 日体制要件は 2026 年 9 月 30 日までみなし適合 | 9 月末から逆算し、評価日・休日体制の整備期限を決める |
| 実績指数の除外対象 | 除外対象と除外割合は入棟時基準で考える。2026 年 5 月 31 日までに入棟・入室した患者の入棟月は、改定前基準を用いてよい | 入棟日と適用基準を台帳に明記する |
| 掲示・ウェブ掲載 | リハビリテーション実績指数等について、院内掲示に加えてウェブサイト掲載が要件化 | 公表担当、更新頻度、元データの置き場所を固定する |
ポイント:数字だけ覚えても、判定根拠と休日体制が崩れると実務は止まります。まずは「誰が、いつ、どの条件で記録するか」を固定してください。
計算式の見直し|歩行・車椅子とトイレ動作は各項目で見る
今回の実績指数で見落としやすいのは、FIM 運動項目の利得に加えて、歩行・車椅子とトイレ動作の改善を個別に加点する点です。基準値だけを見ても、実際の月次値は読み切れません。
重要なのは、「歩行・車椅子」と「トイレ動作」の両方がそろわないと加点できないわけではないことです。それぞれの項目が 入棟時又は入室時に 5 点以下、かつ退棟時又は退室時に 6 点以上であれば、各項目につき 1 点を加えます。どちらか 1 項目だけが条件を満たす場合でも 1 点を加えます。
除外対象患者の範囲と除外できる割合も見直されています。2026 年 7 月以降に実績指数を算出する場合、歩行・車椅子とトイレ動作の各 1 点加点の計算方法は、算出対象期間の全患者に適用して差し支えない点も先に押さえておくと混乱を減らせます。
| 見直し点 | 何が変わるか | 現場メモ |
|---|---|---|
| 歩行・車椅子 | 入棟時又は入室時に 5 点以下、かつ退棟時又は退室時に 6 点以上なら 1 点加点 | 入棟時点数と退棟時点数を抜けなく残す |
| トイレ動作 | 入棟時又は入室時に 5 点以下、かつ退棟時又は退室時に 6 点以上なら 1 点加点 | 評価条件がずれると加点根拠が弱くなる |
| 加点の考え方 | 2 項目の両方が必要ではなく、どちらか 1 項目だけでも各 1 点加点できる | 対象項目を個別にフラグ管理する |
| 除外対象・割合 | 除外できる患者の範囲と割合が見直し。2026 年 5 月 31 日までの入棟患者の入棟月は改定前基準を用いてよい | 除外理由は「あとで説明できる形」で台帳化しておく |
強化体制加算|実績指数 48 だけでなく退院支援まで見る
回復期リハビリテーション強化体制加算は、入院料 1 を届け出ている病棟が対象です。単に実績指数が高いだけではなく、排尿自立支援や退院前訪問指導まで含めて、病棟の運用体制が見られます。
2026 年改定後は、実績指数の算出月以外であっても、届出前月までの 6 か月間を算出期間とした実績指数を算出して届出できることが明確になりました。この場合は、対象期間の全患者について改定後基準で実績指数を計算します。指数 48 を目標にするだけでなく、どの時点で算出し、誰が確認し、退院支援の実績をどう残すかまで先に決めると止まりにくくなります。
| 観点 | 要件 | 先にそろえること |
|---|---|---|
| 対象病棟 | 回復期リハビリテーション病棟入院料 1 の届出 | 対象病棟、責任者、集計者を固定する |
| 実績指数 | 届出月および各年度 4 月・7 月・10 月・1 月に算出した実績指数が 48 以上 | 四半期確認日を先にカレンダー化する |
| 届出時期 | 実績指数の算出月以外でも、届出前月までの 6 か月実績で届出可能 | 届出予定日から逆算して 6 か月データを確定する |
| 対象期間の計算 | 届出時は対象期間の全患者について改定後基準で実績指数を計算 | 月次台帳の計算ロジック更新日を明記する |
| 必須体制 | 排尿自立支援加算の届出 | 担当、評価票、引継ぎ先を 1 か所に集約する |
| 退院支援 | 直近 6 か月間に自宅へ退院した患者のうち、1 割以上に退院前訪問指導を実施 | 対象抽出と訪問実施記録を分けずに管理する |
| 望ましい事項 | 摂食嚥下機能回復体制加算 1 の届出 | 必須ではないが、体制整備の優先順位は早めに決める |
退院前訪問指導割合|算定回数ではなく実施患者数で見る
強化体制加算の運用で実務差が出やすいのが、退院前訪問指導割合の分子・分母です。ここは「何回算定したか」ではなく、退院前訪問指導を実施した患者数で考えます。
1 人の患者に入院後早期と退院前の 2 回実施した場合でも、分子となる患者数は 1 人です。また、「自宅」にはサービス付き高齢者向け住宅を含みますが、一部施設や障害福祉サービスを行う施設・事業所等は含みません。さらに、同一医療機関内の他病棟で退院前訪問指導を実施した後に回復期リハ病棟へ転棟し、自宅退院した患者は、分子に含めて計算できます。
| 論点 | 扱い | 現場で残すこと |
|---|---|---|
| 分子の考え方 | 算定回数ではなく、実施した患者数で数える | 患者単位の訪問指導実施欄 |
| 同一患者 2 回実施 | 入院後早期と退院前の 2 回でも分子は 1 人 | 実施日と患者 ID をひも付ける |
| 「自宅」の範囲 | サ高住は含む。一部施設や障害福祉サービス施設等は含まない | 退院先区分を台帳で統一する |
| 他病棟実施後の転棟 | 同一医療機関内の他病棟で実施後に回復期へ転棟し自宅退院なら分子に含める | 実施病棟と退院病棟を両方残す |
現場の詰まりどころ|よくある失敗を 5 分で潰す
まずは OK / NG 早見 と 5 分チェックフロー の 2 点を回してください。証跡の置き場まで整えたい場合は、監査で見られる証跡の整え方 を兄弟記事として使うと、改定内容と台帳運用の役割が分かれます。
| 場面 | NG 例 | なぜ問題か | 対策 | 記録ポイント |
|---|---|---|---|---|
| 入棟時評価 | 評価者と条件が毎回違う | 経時比較の信頼性が下がる | 評価手順と条件固定を標準化する | 評価者名、時刻、実施条件 |
| 重症判定 | 点数だけ残して根拠が残らない | 再現できず、監査で詰まりやすい | 評価名、点数、日付、担当を 1 行で残す | 判定根拠の 1 行テンプレ |
| 加点対象 | 歩行・車椅子、トイレ動作の両方そろわないと加点できないと誤解する | 加点対象を拾い漏らし、指数が実態より低く見える | 各項目ごとに 1 点加点と週次台帳へ明記する | 対象項目、入棟時点数、退棟時点数 |
| 土曜・休日提供 | 平日と同じ “つもり” で単位が落ちる | 平均 3 単位を満たせない | 休日メニューと中止基準を固定する | 中止理由、代替介入、引継ぎ |
| 月次集計 | 締日前日に一括処理する | 漏れと誤入力が増える | 週次ミニ集計を固定する | 週次差分ログ |
| 強化体制加算 | 退院前訪問指導を算定回数で数える | 実施割合の分子が実態とずれる | 患者単位で実施人数を数える | 実施患者数、退院先、実施病棟 |
ここまで整えても毎回同じところで詰まる場合は、書き方や手順だけでなく、教育体制・共通フォーマット・相談相手の有無など、職場環境の影響を受けている可能性もあります。評価・記録・報告の型をまとめて整理したい方は、PT キャリアガイドも参考になります。
PT キャリアガイドを見る5 分で回す月次チェックフロー
- 入棟時評価の欠損と条件ズレを確認する
- 重症判定の 1 行テンプレが埋まっているか点検する
- 歩行・車椅子、トイレ動作の加点対象症例を確認する
- 土曜・休日の平均 3 単位を週次差分で確認する
- 退院前訪問指導の分子を「実施患者数」で確認する
- 翌月の改善アクションを 1 つに絞って担当者を決める
| 点検項目 | 担当 | 期限 | 異常時対応 |
|---|---|---|---|
| 入棟時評価の欠損確認 | 担当療法士 | 毎週金曜 | 当日中に追記・再確認 |
| 重症判定根拠の監査 | 病棟責任者 | 月末 3 営業日前 | 根拠不足は再判定 |
| 加点対象の確認 | FIM 担当+病棟責任者 | 毎週月曜 | 対象漏れは元データを再確認 |
| 土曜・休日 3 単位平均の点検 | シフト担当+病棟責任者 | 毎週月曜 | 不足日は原因をログ化 |
| 退院前訪問指導の分子確認 | 退院支援担当+病棟責任者 | 毎週月曜 | 退院先区分と実施患者数を再確認 |
| 週次/最終集計の差分確認 | 事務・リハ責任者 | 月末 2 営業日前 | 差分理由をログ化 |
よくある質問(FAQ)
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
Q1. 改定後、最初に直すべき運用はどこですか?
A. 実績指数の計算式よりも先に、①重症判定の 1 行化、②評価条件の固定、③土曜・休日 3 単位の体制整備、の順でそろえると止まりにくいです。
Q2. 「歩行・車椅子」と「トイレ動作」は両方そろわないと加点できませんか?
A. いいえ。各項目ごとに判定します。どちらか 1 項目だけが「入棟時又は入室時に 5 点以下、かつ退棟時又は退室時に 6 点以上」を満たす場合でも、1 点を加えます。
Q3. 経過措置は現場でどう扱えばよいですか?
A. みなし期間は「猶予」ではなく「整備期間」として扱います。2026 年 9 月 30 日から逆算し、評価日固定と休日体制の平準化を先に終わらせると、移行時の手戻りが減ります。
Q4. 2026 年 5 月 31 日までに入棟した患者の除外対象はどう扱いますか?
A. 2026 年 5 月 31 日までに入棟・入室した患者の入棟月は、除外対象と除外割合に改定前基準を用いてよいと整理されています。入棟日ベースで分けて台帳化すると混乱を減らせます。
Q5. 強化体制加算は、実績指数 48 だけ満たせばよいですか?
A. いいえ。入院料 1 の届出、排尿自立支援加算の届出、直近 6 か月の自宅退院患者に対する退院前訪問指導の実施割合など、指数以外の要件も確認が必要です。
Q6. 退院前訪問指導は、同一患者に 2 回実施したら 2 人分ですか?
A. 違います。入院後早期と退院前の 2 回実施しても、分子は 1 人として数えます。強化体制加算では、算定回数ではなく実施した患者数で考えるのが基本です。
次の一手
- 改定の全体像をそろえる:令和 8 年 改定 リハハブ
- 証跡と台帳の置き場を整える:回復期リハの監査・証跡ワークフロー
参考資料(一次情報)
- 厚生労働省.令和 8 年度 診療報酬改定について.2026.
- 厚生労働省.令和 8 年度 診療報酬改定:包括期・慢性期入院医療.2026.
- 厚生労働省.疑義解釈資料の送付について(その 1).2026.
- 厚生労働省.疑義解釈資料の送付について(その 2).2026.
- 厚生労働省.「疑義解釈資料の送付について(その 2)」の一部訂正について.2026.
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


