mCTSIB とは?(目的と使いどころ)
mCTSIB は、視覚・体性感覚・前庭の感覚統合のクセを 4 条件で手早くスクリーニングする方法です。Mini-BESTest では相対的に見えにくい「感覚依存」の傾向を補足しやすく、SOT(Sensory Organization Test)の代替として臨床で広く使われています。
関連:Mini-BESTest と組み合わせて“取りこぼし”を防ぐコツ
実施条件(再現性のために固定)
- 手:体側に自然下垂(ハンズ・アット・サイド)。
- 足位:左右の踵をそろえ、施設の標準足幅を決めて記録(例:踵内側 5–10 cm)。
- 時間:各条件 最大 30 s、必要なら 3 試行の平均。
- フォーム:辺 ≈ 40×40 cm、厚さ ≈ 7.5 cm の中程度の粘弾性フォーム(Airex 等)。
- 履物/補助具:施設のルールで統一(裸足 or 室内靴)。使用の有無は必ず記録。
- 安全配慮:評価者は側方に位置し、ベルト/平行棒など安全第一で。
4 条件と判定
- 固い床 × 開眼:基準状態(すべての感覚が利用可能)。
- 固い床 × 閉眼:視覚を除外 → 体性感覚・前庭依存。
- フォーム × 開眼:体性感覚を攪乱 → 視覚・前庭依存。
- フォーム × 閉眼:視覚と体性感覚を制限 → 前庭依存が顕在化(臨床的に最も分離度が高い)。
各条件で保持不可・大きな踏み直り・評価者接触があれば 0–30 s で記録し、必要なら 3 試行の平均を採用します。
解釈のコツ(SOT の代替として)
- 条件 4(フォーム × 閉眼)の破綻は、前庭系の関与不足や視覚/体性感覚への過度依存を示唆。SOT 条件 5 と良好に対応します。
- フォームの種類差(Airex 等)は識別能に影響します。施設でフォームを固定し、同一条件で経時比較を。
- mCTSIB は変化量の検出よりも感覚条件のスクリーニング用途が主(治療方針の足がかり)。
よくあるミス/記録テンプレ
- 足幅や手の位置が試行ごとに変わる(→ 施設標準を作り、毎回記録)。
- フォームのサイズ/硬さが日によって違う(→ 同一製品で固定)。
- 30 s 以外の任意時間で実施(→ 原則 30 s、複数試行の平均)。
- 安全管理の記載漏れ(→ 介助方法や中止理由を備考に)。


