令和 8 年改定:早期リハと土日祝リハの評価はどうなる?(論点まとめ)
令和 8 年度 診療報酬改定に向けた「これまでの議論の整理(案)」では、リハビリテーション領域の中でも①入院直後の早期介入と②土日祝日の実施体制を前に進める方向性が示されています。具体的には、より早期に開始するリハを評価すること、そして休日でも平日同様のリハを推進するために休日リハに新たな評価を行うことが論点です。
現時点は「案」であり、点数・要件は今後の議論で具体化されます。ただ、この 2 つは現場の運用(初回介入フロー/休日の提供体制/記録の標準化)に直結します。本記事は断定を避けつつ、読み取れる範囲で「何が変わり得るか」と「今から整える準備」を整理します。
改定対応は、制度の暗記より「運用の型」を揃える方が早く成果が出ます。評価の型を最短で整える流れは、ここにまとめています。
PT キャリアガイドを見る(評価の型を作る)1 分でわかる|今回のコアは「より早期」+「休日も平日同様」
資料に明記されているのは次の 2 点です。①入院直後の早期リハ介入を推進するため、より早期に開始するリハを評価する。②休日であっても平日と同様のリハを推進するため、休日リハに新たな評価を行う。ここが今回のコアです。
言い換えると、「いつ開始できたか(初動)」と「何日提供できたか(提供日)」が、これまで以上に評価ロジックに入ってくる可能性があります。したがって、現場は初回介入の導線と休日運用を、記録まで含めて整備するほど強くなります。
Ⅲ-4-1|入院直後の「より早期リハ」をどう評価する方向か
論点はシンプルで、入院直後における早期介入を推進し、効果的なリハを進める観点から、より早期に開始するリハを評価する、というものです。
現場視点では、金曜入院/検査待ち/主治医指示の遅れ/リスク評価の不一致などで初回が後ろ倒しになりやすいのが詰まりどころです。制度がどう設計されても損をしにくいのは、「初回介入が遅れた理由を含めて説明できる運用」と「安全に早く入れる標準手順」を先に揃えることです。
| 詰まりどころ | 起きやすい理由 | 先に整える対策(型) |
|---|---|---|
| 指示・同意の待ち | 入院直後は検査や説明が集中し、依頼が後回し | 入院当日オーダーのテンプレ化(禁忌・注意・開始条件) |
| 安全管理の不一致 | バイタル基準や中止基準が人で違う | 中止基準・観察項目を病棟で共通化し、記録も統一 |
| 情報不足 | 既往・服薬・転倒歴などが把握できていない | 入院時チェック(既往・リスク・家屋・介助者)を最小化して標準化 |
Ⅲ-4-2|土日祝の休日リハに「新たな評価」=現場は何を整える?
資料では、休日であっても平日と同様のリハを推進する観点から、休日リハについて新たな評価を行うとされています。現場にとっては、単に「土日に実施する」だけではなく、誰に・何を・どれくらいを提供するかを設計し、安全に回る最小体制を作ることが鍵です。
休日を「平日の代替」として雑に入れるのではなく、回復を加速する対象に集中投下し、平日とのつながり(目標・負荷・介助量)を記録で追える形にするほど、運用が回りやすくなります。
| 設計要素 | 決めること | 例 |
|---|---|---|
| 対象選定 | 休日に実施する優先順位(臨床的に意味がある患者) | 急性期離床の初動、嚥下開始の節目、退院前の安全確認など |
| メニュー標準化 | 休日の「やること」をパッケージ化 | 離床・移乗・歩行・嚥下の最小セット(禁忌と中止基準込み) |
| 最小体制 | 人員・時間・引き継ぎ | 午前枠のみ、担当固定、金曜に休日目標と注意点を明記 |
| 記録の型 | 平日につながる記録(目的 → 内容 → 量 → 結果) | 「何を狙って、何をどれだけ、どう変わったか」を 1 行で残す |
今から整える「記録の型」:開始タイミング × 提供日 × 安全性
制度の細部が確定していなくても、早期介入と休日体制の議論は「実施した事実」よりも、安全に標準化して提供できているかに寄っていきやすいです。したがって、現場が揃えるべき最小記録は次の 4 点に集約できます。
| 要素 | 何を残す? | 書き方の例 |
|---|---|---|
| 開始タイミング | 初回介入日と、遅れた場合の理由 | 入院当日介入/検査待ちで翌日開始(理由:循環動態の評価待ち) |
| 提供日 | 土日祝の実施有無と目的 | 休日実施:離床の継続(平日の到達点を維持) |
| 安全性 | 中止基準・観察項目・イベント | 起立時 BP 低下で中止、再開条件を記載(補液・再評価) |
| 効果 | 数値 1 つ+所見 1 つ | 歩行:見守り可へ、ふらつき減、休息で回復良好 |
現場の詰まりどころ/よくある失敗(早めに潰すと楽になる)
早期介入と休日リハは、やろうとすると「安全管理」「引き継ぎ」「記録の粒度」で詰まりやすいです。特に休日だけ別運用になると、平日との連続性が切れ、成果が出にくくなります。まずは「やる患者を絞る」「メニューを固定する」「記録を 1 行で揃える」の 3 点を優先すると回ります。
院内で運用を整えるときは、準備チェックのような抜け漏れ防止ツールがあると早いです:マイナビコメディカルの資料で整理する
| 場面 | NG(弱い) | OK(強い) | 直すコツ |
|---|---|---|---|
| 初回介入 | 遅れても理由が残らない | 遅延理由+再開条件まで記録 | 「いつ・なぜ・どう戻す」を 1 行で |
| 休日リハ | とりあえず実施で目的が曖昧 | 対象選定+目的が明確 | 対象を絞り、メニューを固定する |
| 安全管理 | 中止基準が人で違う | 病棟で共通化 | 観察項目・中止基準を 1 枚化 |
| 引き継ぎ | 休日の介入が平日に活きない | 到達点・注意点が平日につながる | 金曜に休日目標を明記して渡す |
よくある質問(FAQ)
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
Q1. これは確定情報ですか?
A. いいえ。現時点は「これまでの議論の整理(案)」で、点数・要件は今後の議論で具体化されます。ただし、方向性として「より早期開始を評価」「休日リハに新たな評価」は示されています。
Q2. 早期介入は「何日以内」を評価する方向ですか?
A. 本資料の段階では「より早期に開始するリハを評価」と示されているのみで、日数の具体は確定していません。現場は、日数そのものより「開始の導線」と「遅れた場合の説明」を先に整えるのが安全です。
Q3. 休日リハは全患者に必要ですか?
A. 現場実装としては、全員に均等配分より、効果が出る対象に集中したほうが回りやすいです。対象選定・メニュー標準化・記録の統一がセットだと、平日との連続性が作れます。
次の一手(院内で迷わないために)
- 初回介入の導線を 1 枚にする(オーダー/禁忌・中止基準/開始条件/記録の最小セット)
- 休日リハは「対象を絞る → メニュー固定 → 金曜に休日目標を明記」の順で最小実装する
- 深掘りして作り込む:入院直後の早期リハを回す運用と記録の型
- シリーズ併読:疾患別リハは訓練内容で評価へ?
参考資料
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


