MGFA a / b の見分け方と記録例|球・呼吸優位を見逃さない

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MGFA a/b の見分け方|球・呼吸優位を落とさない観察ポイント

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関連:MGFA/ MG-ADL / QMG / PIS の全体像
まず深掘り:MG-ADL を先に読む

MGFA は重症筋無力症( MG )の臨床分類で、クラス( II 〜 IV )に a / b(四肢・体幹優位か、球・呼吸優位か)を付けると、チーム内の「重さのニュアンス」が揃います。特に b は嚥下・構音・呼吸が前面に出るため、歩行や筋力だけ見ていると見落としやすいのが要注意です。

本記事は、a と b を迷わず振り分ける観察ポイントと、リハ中の中止・連携の目安を “そのままカルテに残せる形” で整理します。MGFA の全体(クラスや他指標との使い分け)を先に押さえたい場合は、重症筋無力症の重症度評価まとめ( MGFA / MG-ADL / QMG / PIS ) を先に読むと迷いが減ります。

結論:a は四肢・体幹優位、b は球・呼吸優位(迷ったら “食事と会話” を先に見る)

MGFA の a は「四肢・体幹(近位筋)に比重がある」状態、b は「球(構音・嚥下)と呼吸に比重がある」状態として使い分けます。b は “筋力がまだ保てて見える” 場面でも、嚥下疲労や呼吸の余裕低下が先に出ることがあり、リハの安全管理に直結します。

判断に迷ったら、食事(むせ・食事量・食後の痰)会話(息継ぎ・声量・発話の持続)を優先して観察します。ここで “疲労で崩れる” 所見が出るなら、b を疑って情報を揃えます。

MGFA a/b を迷わないための早見( PT / OT / ST 共通)
区分 優位な領域 現場での見え方(例) 最初に見るポイント 記録の書き方(例)
a 四肢・体幹(近位筋) 反復で立ち上がりが崩れる/歩行で膝折れが増える 反復動作での破綻、休憩で戻るか 「 MGFA IIIa:近位筋の易疲労性が主体 」
b 球・呼吸 食事でむせが増える/会話の息継ぎが増える/声量が落ちる 食事と会話で “持続” が落ちるか 「 MGFA IIIb:嚥下・発話疲労が主体 」

判定の手順:3 ステップで a/b を決める

a/b は「全部を詳しく評価してから」ではなく、見る順番を固定すると早いです。ポイントは、まず球・呼吸のリスクを先に拾い、その後に四肢・体幹の負荷で “崩れ方” を見ることです。

診療科や病期で情報の取りやすさは変わりますが、最低限この 3 ステップを回すと、a/b のブレが減ります。

MGFA a / b 判定フロー(3 ステップ)

MGFA a / b 判定フロー(球・呼吸を先に確認し、優位領域を判定して条件を添えて確定する 3 ステップ)
図:MGFA a / b 判定フロー(球・呼吸優位の見落とし防止)
MGFA a/b 判定の 3 ステップ(現場用)
ステップ 見ること 拾いたい所見(例) 次アクション
① 球・呼吸を先に確認 食事/会話/咳・痰 むせ増、食後の痰増、息継ぎ増、声量低下 出るなら b を第一候補にして情報を揃える
② 四肢・体幹の “反復” を見る 立ち上がり/挙上/歩行 反復で急に崩れる、休憩で戻る ここが主なら a を第一候補にする
③ 条件を添えて確定 時間帯・内服・活動直後 内服後で安定、午後に崩れる など “条件” を 1 行添えてチームで再現

リハ中の赤旗:b を疑ったら “点数より先に連携” したい変化

b(球・呼吸優位)では、筋力低下の見え方より先に嚥下疲労呼吸の余裕低下が出ることがあります。運動負荷を上げる前に、症状の “崩れ方” を言語化して連携するのが安全です。

ここは「できた/できない」より、持続できるか反復でどう変わるかを重視します。

b を疑うときの “中止・連携” の目安(例:迷ったら安全側)
変化 現場での見え方 まずやること 申し送りの型(例)
会話の息継ぎが増える 一文が短い/声が途切れる/息が上がる 介入を止め、休憩と状態確認。必要に応じて医師・看護へ共有 「会話で息継ぎ増。反復で悪化し休憩で一部回復」
食事でむせが増える 一口量が減る/食後に痰が増える 食形態・姿勢・時間帯の条件を確認し、ST と共有 「食事後に痰増、むせ増。疲労で悪化傾向」
反復で急に動作が崩れる 立ち上がりが途中で止まる/歩行が急に不安定 負荷を下げ、休憩を増やし、条件を揃えて再評価 「反復で破綻。休憩で戻るが持続性は低い」

カルテ記載のコツ:a/b + 根拠 1 行で伝わる

a/b は、結論だけ書くより根拠を 1 行添えると、次のスタッフが同じ観察を再現できます。特に b は「歩けるのに危ない」パターンがあるので、嚥下・会話の所見を短く残すのが有効です。

書式を固定すると、紹介状やサマリーでも流用できます。

そのまま使える記載例(短文化テンプレ)
状況 記載例 補足(任意)
a を採用 「 MGFA IIIa。近位筋の易疲労性が主体。反復で立ち上がり破綻、休憩で回復 」 「午前・内服後」など条件
b を採用 「 MGFA IIIb。嚥下・発話疲労が主体。会話で息継ぎ増、食事でむせ増 」 食形態、時間帯、活動直後の有無
迷ったとき 「a/b 判定保留。会話・食事の持続性を優先観察し再評価予定」 次回の “見る順番” を書く

よくある失敗:a/b がブレる原因と対策

a/b がブレる最大の原因は、四肢の動作(歩ける/立てる)だけで判断してしまい、球・呼吸の “持続性” を後回しにすることです。b は、筋力が残って見えるほど見落とされやすいので、見る順番を固定します。

もう 1 つは、評価条件が揃っておらず “症状の揺れ” を拾いすぎることです。時間帯・内服・活動直後を 1 行添えるだけで、比較が成立します。

a/b のズレを減らすチェック(現場用)
失敗パターン 何が起きる? 対策(最小)
歩行・筋力だけで a に寄せる b のリスク(嚥下・呼吸)を見落とす 食事と会話を先に確認してから決める
評価条件が毎回違う 良い日/悪い日の差が大きく見える 時間帯・内服・活動直後を 1 行で固定
根拠を書かない 申し送りで再現できず、判断が揺れる 根拠を 1 行(嚥下・会話 or 反復破綻)添える

現場の詰まりどころ

迷いが残る場面は、先に「失敗パターン」を潰してから再判定すると安定します。次の 3 点だけ固定してください。

よくある質問( FAQ )

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

Q1. IIb と IIIb の違いは “どこ” ですか?

A. どちらも b は「球・呼吸が優位」という意味で、違いは “重さ(クラス)” です。現場では、まず b を疑う所見(食事と会話の持続性)を拾い、その上でクラス( II / III / IV )の枠に当てはめると整理しやすいです。

Q2. a/b が迷うとき、どちらに寄せるべきですか?

A. 安全管理の観点では、球・呼吸の所見が少しでも強ければ b を疑い、所見と条件を揃えて共有する方が事故を減らしやすいです。迷ったこと自体を「判定保留」として、次回の観察手順を決めておくのも有効です。

Q3. “b っぽい” ときに、PT は何を残せばいいですか?

A. まずは会話(息継ぎ・声量・持続)と食事(むせ・痰・疲労で悪化)の所見を、根拠 1 行で残すのが実務的です。加えて、評価条件(時間帯・内服・活動直後)を短く添えると、比較が成立します。

次の一手

教育体制・人員・記録文化など“環境要因”を一度見える化すると、次の打ち手が決めやすくなります。

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参考文献

  1. Jaretzki A, Barohn RJ, Ernstoff RM, et al. Myasthenia gravis: recommendations for clinical research standards. Task Force of the Medical Scientific Advisory Board of the Myasthenia Gravis Foundation of America. Neurology. 2000;55(1):16-23. doi: 10.1212/WNL.55.1.16 / PubMed: 10891897
  2. Myasthenia Gravis Foundation of America (MGFA). Clinical Research Standards(分類・定義の PDF). PDF
  3. Narayanaswami P, Sanders DB, Wolfe G, et al. International Consensus Guidance for Management of Myasthenia Gravis: 2020 Update. Neurology. 2021;96(3):114-122. doi: 10.1212/WNL.0000000000011124 / PubMed: 33144515

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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