MGFA分類の使い方|現在値・最大重症度と4尺度の使い分け

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MGFA分類の使い方|現在値・最大重症度とMG-ADL・QMG・PIS

MG以外の評価尺度もまとめて確認できます

評価ハブで全体像を確認する

MGFA分類は、「現在のクラス」と「病歴上の最大重症度」を分けて記録すると混乱を防げます。現在のMGFAクラスは評価時点の臨床像を示し、最大重症度は過去の最も重かった状態を示す情報です。両者を同じ意味で「固定」すると、現在の病勢と病歴が区別できなくなります。

経過は、日常生活上の症状を確認するMG-ADL、客観的に測定するQMG、治療後の総合的な状態を示すMGFA-PISで補います。本記事では、各指標の役割、評価時点、a/bの考え方、カルテ記録例を医療従事者向けに整理します。

MGFA・MG-ADL・QMG・PISの使い分け

MGFAだけで経過を追うのではなく、現在の分類、最大重症度、患者報告、客観評価、治療後の状態を分けて記録します。最初に、各指標が答える問いを確認してください。

MGFA、最大重症度、MG-ADL・QMG、MGFA-PISの目的と使うタイミングを整理した図
MGの評価指標は、現在の分類、病歴上の最大重症度、経過観察、治療後の状態評価に分けて使います。
MGの重症度評価を目的別に使い分ける早見表
記録する情報 答える問い 主な使用場面 記録のポイント
現在のMGFAクラス 評価時点では、どの領域にどの程度の筋力低下があるか 定期診察、入院時、病状変化時 評価日とクラスを記録し、II〜IVではa/bを付ける
最大重症度 病歴上、最も重かった状態はどこまでか 病歴要約、紹介状、研究上の基準 時期、治療前後、挿管などの根拠を併記する
MG-ADL 直前1週間の日常生活で、どの症状に困っていたか 外来、病棟経過、治療前後の追跡 合計点だけでなく、変化した領域も確認する
QMG 標準化された検査で、客観的な重症度がどう変化したか 治療前後、定期評価、臨床研究 公式手順に沿い、逸脱した条件があれば明記する
MGFA-PIS 治療開始後の状態を総合すると、改善・不変・悪化などのどこに当たるか 治療後評価、退院時要約、長期経過の整理 評価日、残存症状、治療状況を補足する

MGFAは「現在クラス」と「最大重症度」を分ける

現在の状態を表すMGFAと、病歴上の最大重症度は、別の欄に記録するのが実務的です。「最大重症度がClass Vだから、現在も常にClass Vとだけ記載する」と、現在の病状が伝わらなくなります。

MGFAの原典では、最も強く障害されている筋群からクラスを決める一方、治療前の最重症状態を示す情報としてmaximum severityを区別しています。2025年のMGFA Task Force報告では、通常の臨床におけるMGFA Clinical Classificationは診察時点の状態として評価し、3〜6か月ごと、または明らかな病状変化時に更新する方法が提案されています。

現在のMGFAと最大重症度を混同しない記録方法
項目 意味 記録例
現在のMGFA 今回の評価時点における臨床分類 「現時点:MGFA IIIb(2026年8月5日)」
最大重症度 病歴上、特に治療前に確認された最も重い状態 「最大重症度:MGFA V(2025年11月、MG増悪による挿管時)」

制度上の注意:指定難病の申請など、制度で使用する重症度は、その制度が定める評価時期と判定方法に従います。通常のカルテ記録と制度用の判定を同じルールで処理しないでください。

MGFA分類は重症度と優位な筋群を示す

MGFAは、眼筋以外の筋力低下の程度と、どの筋群が優位に障害されているかを示す分類です。Class I〜Vに分かれ、Class II〜IVではaまたはbを付けます。

MGFA Clinical Classificationの要点
クラス 分類の要点 記録時の確認
I 眼筋の筋力低下に限られ、その他の筋力は正常 眼瞼下垂、複視、閉眼筋力などを確認する
II 眼筋以外に軽度の筋力低下がある a/bのどちらが優位かを確認する
III 眼筋以外に中等度の筋力低下がある a/bのどちらが優位かを確認する
IV 眼筋以外に高度の筋力低下がある a/bのどちらが優位かを確認する
V 通常の術後管理を除き、気管挿管を必要とする状態 人工呼吸器の有無だけでなく、挿管理由を確認する

気管挿管がなく、経管栄養チューブのみを使用している場合は、原典ではClass IVbに位置づけられます。Class Vを単に「呼吸が苦しい」「酸素投与をしている」「換気補助を使用している」という情報だけで決めないことが重要です。

a/bは症状の有無ではなく優位な領域で決める

Class II〜IVのa/bは、四肢・体幹と、口咽頭・呼吸のどちらが優位かで判断します。球症状が少しでもあれば自動的にbになるわけではありません。

MGFAのa/bを判断する基本原則
区分 優位な領域 判断の考え方
a 四肢筋・体幹筋 四肢・体幹の障害が口咽頭筋の障害より強い
b 口咽頭筋・呼吸筋 口咽頭・呼吸の障害が優位で、四肢・体幹の障害は同程度以下

食事、咀嚼、嚥下、構音、会話、咳、呼吸と、起立、歩行、上肢挙上、頸部・体幹保持を比較し、分類の根拠となった所見を一言添えます。詳しい判定手順は、MGFAのa/bを見分ける方法で確認できます。

MG-ADLは直前1週間の生活上の症状を追う

MG-ADLは、評価した瞬間の筋力ではなく、直前1週間の日常生活上の症状を患者報告から確認する指標です。診察室では症状が軽くても、食事や会話、移動などで繰り返し困っていた場合は、その経過を聴取します。

評価日時、内服との関係、直前の活動は補足情報として有用ですが、質問のたびに「今この瞬間だけ」を評価すると、MG-ADL本来の参照期間とずれる可能性があります。

MG-ADLを経過観察へ使用するときの記録ポイント
確認すること 記録例
参照期間 「直前1週間について聴取」
合計点の変化 「MG-ADL 8点から6点へ低下」
変化した領域 「会話と咀嚼に関する訴えが改善」
補足条件 「聴取時は内服1時間後。前週に夕方の増悪あり」

合計点だけでは、どの生活場面が変化したのか分かりません。前回から変化した領域と、患者本人が重要と考えている困りごとを併記します。具体的な追跡方法は、MG-ADLの使い方と記録方法で整理しています。

QMGは公式手順に沿って客観的に比較する

QMGは、標準化された検査によってMGの筋力低下を定量化する評価です。MG-ADLが患者報告を中心とするのに対し、QMGは評価者が観察・測定した結果を記録します。

比較可能性を高めるには、独自の体位や休憩時間を設定するのではなく、公式マニュアルに沿って実施します。評価者、機器、実施環境、内服との関係などに違いがあった場合は、その条件を記録してください。

QMGを再評価へ使用するときの確認事項
確認事項 実務上の対応
実施手順 公式マニュアルに沿い、訓練を受けた評価者が実施する
前回との条件差 評価者、環境、機器、内服との関係などを確認する
実施できない項目 安全性を優先し、未実施の理由を明記する
点数以外の変化 呼吸・嚥下・構音などの重要な変化を別途共有する

QMGには嚥下や呼吸に関係する評価も含まれます。安全に実施できない状態で、点数を得ることを優先して検査を続けないでください。

MGFA-PISは治療後の状態を総合的に示す

MGFA-PISは、MGに対する治療を開始した後の臨床状態を総合的に表す枠組みです。MG-ADLやQMGの小さな点数変化を置き換える指標ではなく、評価者が全体像をまとめるときに使用します。

MGFA-PISで扱う主な状態
区分 意味の要点
CSR 一定期間、MGの症状・徴候がなく、MG治療も受けていない状態
PR 一定期間、MGの症状・徴候はないが、一部の治療を継続している状態
MM 機能上の症状や制限はないが、診察では軽い筋力低下が確認される状態
I・U・W 治療前または前回と比べた改善・不変・悪化
E 寛解またはMM相当となった後に、許容範囲を超える症状が再び現れた状態

PISだけで経過を完結させず、評価日、残る症状、現在の治療、MG-ADLやQMGなどの追跡指標を添えると、次回評価へつなげやすくなります。

カルテには4つの情報を分けて記録する

カルテでは、現在の分類、最大重症度、経過指標、治療後の状態を1文へ詰め込まず、項目を分けます。次の形式であれば、現在と過去、主観評価と客観評価を区別できます。

記録例

現在のMGFA:IIIb(2026年8月5日、口咽頭症状優位)

最大重症度:V(2025年11月、MG増悪による挿管時)

経過指標:MG-ADL 8点から6点。直前1週間では会話・咀嚼症状が改善

客観評価:QMG 14点から11点。公式手順で実施し、前回との明らかな条件差なし

治療後状態:MGFA-PISはImproved。軽度の頸部筋力低下が残存

上記は書き方を示す架空の例です。実際には、医師の診断、評価時点の所見、公式尺度の手順、施設の記録規定に従ってください。

MG重症度評価記録シートPDF

MGFA、MG-ADL、QMG、PISと評価条件を1枚へ記録できるA4シートです。設問文や採点基準の全文は収載していないため、各尺度の公式用紙・マニュアルと併用してください。

MG重症度評価 記録シート v1

PDFを開く・ダウンロードする

印刷時はA4・倍率100%前後で確認し、必要に応じてヘッダ・フッタをオフにしてください。

現行v1の注意:MGFA欄は「最重症時分類」として作成されています。現在のMGFAクラスを記録する場合は、再評価メモ欄へ評価日とともに追記してください。

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尺度の評価より先に連携したい変化

呼吸機能や球機能が急速に悪化している場合は、尺度を最後まで実施するより、介入を中止して医師・看護師へ速やかに共有することを優先します。MGクリーゼが疑われる状態では、呼吸機能と球機能の厳重な観察が必要です。

評価を中止して速やかな連携を検討する変化
変化 確認すること 対応
呼吸状態の急な悪化 呼吸困難、浅い呼吸、会話の途切れ、呼吸補助筋の使用 運動・検査を中止し、呼吸状態を確認して直ちに共有する
咳・喀痰排出の低下 咳の弱化、分泌物の貯留、自己排痰の困難 気道管理の必要性を含めて医療チームへ共有する
嚥下・構音の急な悪化 むせ、湿性嗄声、唾液処理困難、発話の持続低下 経口摂取や評価の継続可否を多職種で判断する
全身筋力の急速な低下 頸部保持、起立、移乗などの急な破綻 疲労だけと決めつけず、病勢悪化の可能性を共有する

SpO2やMG-ADLなど、単一の値だけで呼吸・球機能の安全性を判断しないでください。患者の変化、呼吸様式、咳、分泌物、嚥下、構音などをまとめて評価します。

よくある質問

MGFAは現在の状態と最重症時のどちらを記録しますか?

目的によって両方を記録します。現在の診察時点を示すMGFAクラスと、病歴上の最大重症度を別々に記載すると、現在の病勢と過去の重症歴を区別できます。

現在のMGFAクラスは毎回変更してよいですか?

病状の変化に応じて再評価できます。2025年のMGFA Task Force報告では、現在の臨床状態を反映するため、3〜6か月ごとの更新が提案されています。ただし、最大重症度の情報は別に保持します。

MGFAのa/bは球症状があればbですか?

球症状の有無だけでは決まりません。四肢・体幹と口咽頭・呼吸を比較し、どちらが優位かで判断します。口咽頭・呼吸の障害が四肢・体幹と同程度以上であれば、bに該当する可能性があります。

MG-ADLは評価した時刻の状態を採点しますか?

原則として直前1週間の症状を確認します。評価日時や内服との関係は補足情報として記録しますが、その瞬間だけの状態に限定して質問しないようにします。

QMGとMGFA-PISはどのように使い分けますか?

QMGは標準化された検査による客観的な点数変化を確認するときに使います。MGFA-PISは治療開始後の全体的な状態を、改善・不変・悪化や寛解状態などとして総合的に整理するときに使います。


参考文献

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  7. 難病情報センター. 重症筋無力症(指定難病11).

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

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