MMT Grade 0・1・2 の見分け方|収縮触知と重力除去位

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MMT Grade 0・1・2 の見分け方|収縮触知と重力除去位が鍵です

低グレード帯の MMT は、知識だけでなく「どこを触るか」「どの条件で確認するか」をそろえると判定が安定します。

評価の型や学び方を先に整理しておくと、新人指導や申し送りでもブレを減らしやすくなります。

評価の学び方を整理する( PT キャリアガイド )

MMT で特に迷いやすい帯のひとつが、 Grade 0・1・2 の見分け方です。収縮が全くないのか、触れるだけなのか、重力を外せば動けるのか。この違いがあいまいなままだと、初回評価でも再評価でも解釈がぶれやすくなります。

結論として、 Grade 0 は収縮を確認できない、 Grade 1 は収縮は触知できるが関節運動としては確認できない、 Grade 2 は重力除去位で全可動域を動かせることが基本です。本記事では、低グレード帯を短時間で見分ける手順、収縮触知のコツ、重力除去位の考え方、誤判定しやすい場面、カルテ記載の残し方まで整理します。

MMT Grade 0・1・2 の違いとは?

MMT Grade 0・1・2 の違いは、収縮があるか、そして重力を外した条件で運動として成立するかです。 Grade 0 は収縮が触れず、 Grade 1 は筋や腱の収縮を触知できるものの関節運動は確認できません。 Grade 2 は重力除去位にすると全可動域で運動できます。

この帯で判定が難しいのは、筋力差そのものよりも、触る場所がずれている、被検者が力の入れ方を理解できていない、疼痛や恐怖で出力が落ちている、といった要因が混ざりやすいからです。低グレード帯は「動かないから低い」ではなく、収縮の有無と条件設定を順に確認することが大切です。

結論|収縮の有無と重力除去位で Grade 0・1・2 を分けます

まず押さえたい結論はシンプルです。 Grade 0 は収縮なし、 Grade 1 は収縮触知あり・運動なし、 Grade 2 は重力除去位で全可動域です。この順に見るだけでも、低グレード帯の判定はかなり整理しやすくなります。

特に新人のうちは、関節が動かなかった時点で Grade 0 としてしまったり、わずかな筋緊張をすべて Grade 1 としてしまったりしやすいです。まずは収縮を触れたか、次に重力を外せば運動になるかという 2 段で確認すると、見落としを減らせます。

MMT Grade 0・1・2 の違いを示した比較図。Grade 0 は収縮なし、Grade 1 は収縮触知ありで運動なし、Grade 2 は重力除去位で全可動域を示している。
図:低グレード帯は「収縮の有無」と「重力除去位で運動になるか」で整理すると見分けやすくなります。

スマホでは表を横スクロールしてご覧ください。

MMT Grade 0・1・2 の違い早見表
Grade 判定の軸 確認ポイント 見落としやすい点
0 収縮なし 筋腹や腱に明らかな収縮を触れない 疼痛や理解不足で出せないだけのことがあります
1 収縮触知あり・運動なし 収縮は触れるが関節運動としては見えない 触る部位がずれると見逃しやすくなります
2 重力除去位で運動可能 重力を外せば全可動域を動かせる 肢位設定が甘いと本来より低く見えます

Grade 0・1・2 を分ける判定手順

低グレード帯では、毎回の確認手順を固定すると迷いにくくなります。最初に被検者へ動作を説明し、力を入れる方向をそろえたうえで、まずは収縮があるかどうかをみます。収縮が触れないなら Grade 0 を考え、収縮を触れるなら次に運動として成立するかをみます。

関節運動としては見えない場合は Grade 1 を考えます。一方、重力位では動かなくても、重力除去位へ変えると全可動域で動けるなら Grade 2 です。低グレード帯では「見た目で動いたか」よりも、「収縮 → 運動 → 重力条件」の順に確認する方が判定は安定します。

  1. 動作を短く説明し、力を入れる方向をそろえる
  2. 筋腹または腱で収縮を触知できるか確認する
  3. 収縮がある場合は関節運動として見えるか確認する
  4. 重力位で難しければ重力除去位へ変更する
  5. 重力除去位で全可動域なら Grade 2 を考える

現場メモ:関節が動かないからすぐ Grade 0、と決めないことが大切です。まずは収縮があるかを触り、次に重力を外した条件で動けるかを確かめます。

収縮触知のコツ| Grade 1 を見逃さないための触り方

Grade 1 を見分ける鍵は、筋腹や腱のわずかな収縮を触知できるかです。ここで触る場所がずれていると、本当は収縮していても Grade 0 と誤判定しやすくなります。まずは対象筋の走行と停止部を簡単に確認し、筋腹か腱のどちらが触れやすいかを決めてから始めると安定します。

触知のコツは、被検者に「強く」ではなく「ここに少し力を入れてください」と具体的に伝えることです。また、左右差を比べたり、軽く補助しながら意図する方向を作ったりすると、収縮を拾いやすくなります。強く押し込みすぎると細かな収縮を感じにくくなるため、触診は最小限の圧で変化を待つ意識が重要です。

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Grade 1 の収縮触知で確認したいポイント
確認項目 みること コツ よくある失敗
触る場所 筋腹か腱の張り 触れやすい部位を先に決める ランドマークを確認せず探り始める
声かけ 意図した方向へ力が入るか 短く具体的に伝える 「頑張って」だけで終わる
比較 左右差や反応の有無 健側も軽く確認する 患側だけで判断する
圧の強さ 収縮の立ち上がり 押し込みすぎず変化を待つ 強圧で細かな収縮を消してしまう

重力除去位の考え方| Grade 2 を正しく判定する

Grade 2 は、重力除去位で全可動域を動かせることが条件です。つまり、収縮を触れるだけの Grade 1 と、運動として成立する Grade 2 を分けるには、重力を外した条件を適切に作れるかが重要になります。ここが甘いと、本来 Grade 2 の筋を Grade 1 と誤判定しやすくなります。

考え方のコツは、運動方向を水平面へ置き換えること、または肢を支持して重力負荷を減らすことです。肩外転や股外転のように重力の影響が大きい動作ほど、肢位設定の差が結果に直結します。 Grade 2 の次の段階を整理したいときは、MMT Grade 2 と 3 の違い|判定手順と重力除去位も合わせて読むと、低グレード帯から Grade 3 へのつながりが見えやすくなります。

迷いやすい場面|疼痛・理解不足・代償で誤判定しやすい例

低グレード帯では、筋力低下以外の要因がかなり強く影響します。たとえば疼痛が強いと、収縮を出せる筋でも被検者が力を入れきれず、 Grade 0 のように見えることがあります。また、失語や注意障害、初学者への説明不足があると、意図した方向へ力が入らず、本来の筋力を反映しにくくなります。

さらに、わずかな代償や近位の揺れを「運動が出た」と解釈すると、 Grade 1 と 2 の境界が甘くなります。低グレード帯ほど、筋力そのものよりも痛み・理解・代償・条件設定を切り分けることが大切です。

疼痛で Grade 0 のように見える

疼痛が強いと、筋は働けても出力を抑えてしまうことがあります。関節運動が見えないからといって、すぐに収縮なしと決めず、疼痛の有無と部位を短く確認します。

理解不足で力の方向がずれる

被検者が動作課題を理解できていないと、収縮が出ていても狙った筋でないことがあります。声かけは短く具体的にし、必要に応じて他動で方向を示してから確認します。

代償を運動と誤認する

体幹の揺れや他関節の微小運動を「動いた」とみなすと、 Grade 1 と 2 の境界が崩れます。目標筋による運動かどうかを近位固定と観察で確かめます。

よくある失敗| Grade 0・1・2 を取り違える場面

臨床で多い失敗は、関節が動かない時点で Grade 0 にしてしまうことです。実際には、収縮を触知できれば Grade 1 の可能性があります。まずは見た目だけでなく、筋腹や腱に変化があるかを触って確認することが大切です。

逆に、わずかな緊張感をすべて Grade 1 としてしまうのもよくある失敗です。収縮が一過性で不確か、他筋の活動かもしれない、という場面では、触る場所や課題の出し方を見直した方が安全です。また、重力除去位を作らずに Grade 1 と決めてしまうと、本来 Grade 2 の筋を見逃しやすくなります。

スマホでは表を横スクロールしてご覧ください。

Grade 0・1・2 を取り違えやすい場面の OK / NG 比較
場面 NG OK 修正ポイント
関節が動かない すぐ Grade 0 とする まず収縮触知を確認する 筋腹か腱に変化がないかをみます
わずかな緊張を感じる すべて Grade 1 とする 狙った筋の収縮か再確認する 触る位置と声かけを見直します
重力位で動かない そのまま Grade 1 とする 重力除去位へ変更してみる Grade 2 の見逃しを防ぎます
疼痛が強い 筋力低下と同義で扱う 疼痛の影響を分けて記録する 痛み部位と反応を短く残します

カルテ記載例| Grade 0・1・2 を 1 行で残す

低グレード帯の MMT では、数字だけを書くと再評価で条件が再現しにくくなります。たとえば「右前脛骨筋 MMT 1」とだけ書いても、どこで収縮を触れたのか、関節運動は出たのか、疼痛や注意の問題があったのかが分かりません。実務では、収縮の有無・重力条件・運動の有無・解釈に影響する要素を短く添えることが重要です。

たとえば「右足関節背屈 MMT 1。前脛骨筋腱で収縮触知あり、関節運動は確認できず、疼痛なし」や、「右股外転 MMT 2。重力除去位で全可動域可能、重力位では挙上困難、代償軽度」のように残すと、次回の比較がしやすくなります。 Grade 0 の場合も「収縮触知できず、理解は良好、疼痛なし」のように条件を添えると、解釈が安定します。

  • どの筋・どの動作をみたか
  • 収縮を触れたか
  • 重力位か、重力除去位か
  • 疼痛・理解・代償に影響があったか

よくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

Q1. 関節が動かなければ Grade 0 ですか?

いいえ。関節運動が見えなくても、筋腹や腱に収縮を触知できれば Grade 1 の可能性があります。まずは収縮の有無を確認します。

Q2. Grade 1 と Grade 2 の違いは何ですか?

Grade 1 は収縮触知あり・運動なし、 Grade 2 は重力除去位で全可動域の運動ができることです。運動として成立するかどうかが分岐です。

Q3. 疼痛が強いときは、そのまま低い Grade を付けてよいですか?

疼痛は筋出力を落としやすいため、筋力低下と同じように見えることがあります。痛みによる制限かどうかを分けて記録する方が安全です。

Q4. Grade 0・1・2 で迷ったらカルテにはどう残しますか?

数字だけでなく、収縮触知の有無、重力条件、運動の有無を短く残します。次回も同じ条件で再確認できる記載にすると比較しやすくなります。

次の一手

Grade 0・1・2 の違いは、 MMT の中でも地味に見えて、実際にはかなり重要な基礎です。まずは収縮を触れるか → 運動になるか → 重力を外すとどうかという流れを固定するだけでも、低グレード帯の解釈はそろいやすくなります。

続けて読むなら、次の 4 本でクラスターがつながります。


参考文献

  1. Cuthbert SC, Goodheart GJ Jr. On the reliability and validity of manual muscle testing: a literature review. Chiropr Osteopat. 2007;15:4. DOIPubMed
  2. Paternostro-Sluga T, Grim-Stieger M, Posch M, et al. Reliability and validity of the Medical Research Council ( MRC ) scale and a modified scale for testing muscle strength in patients with radial palsy. J Rehabil Med. 2008;40(8):665-671. DOIPubMed
  3. MacAvoy MC, Green DP. Critical reappraisal of Medical Research Council muscle testing for elbow flexion. J Hand Surg Am. 2007;32(2):149-153. DOIPubMed

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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