訪問リハ処遇改善加算は2026年6月に新設|PTが最初に確認すること
2026年6月の介護報酬改定により、訪問リハビリテーションと介護予防訪問リハビリテーションに介護職員等処遇改善加算が新設されました。訪問リハの加算率は1.5%です。ただし、1.5%がそのままPT個人の給与へ上乗せされる制度ではありません。
これから算定を確認する事業所では、①どの算定ルートを使うか、②誰を賃金改善の対象とするか、③計画書・体制届をいつ提出するか、④根拠資料をどこへ保存するかを先に整理することが重要です。本記事では、PTが迷いやすい要件・配分・申請期限までをまとめます。
2026年介護報酬改定の全体像:2026年改定まとめでリハ関連の変更を確認する
まず結論|1.5%・算定要件・PT配分・提出期限の4点を確認する
訪問リハの処遇改善加算で最初に確認したいのは、「対象になったか」だけではなく、算定要件を満たし、加算額を賃金改善へつなげられる状態かです。
算定に当たっては、加算額以上の賃金改善を行うことを前提に、訪問リハでは「令和8年度特例要件」または「処遇改善加算Ⅳの取得に準ずる要件」のいずれかを確認します。さらに、PT・OT・STも配分対象に含められますが、自動的に一定額が支給されるわけではありません。
| 論点 | 結論 | 実務で確認すること |
|---|---|---|
| 加算率 | 1.5% | PT個人の給与が1.5%上がるという意味ではない |
| 算定要件 | 特例要件または加算Ⅳ準拠要件 | 自事業所がどちらで取得するかを確認する |
| 配分 | PT・OT・STも対象に含められる | 対象者・方法・支給時期を事業所内で決める |
| 申請 | 計画書と体制届が必要 | 算定開始月から提出期限を逆算する |

2026年6月に何が変わった?訪問リハへ処遇改善加算1.5%を新設
2026年度の介護報酬改定では、これまで処遇改善加算の対象外だった訪問リハビリテーションと介護予防訪問リハビリテーションが新たに対象となりました。
訪問リハに設定された加算率は1.5%です。処遇改善加算は、事業所が受け取った加算額を職員の賃金改善へ充てる仕組みであり、PT個人の基本給や手当を一律1.5%引き上げることを意味するものではありません。
そのため、PTとして確認するときは「1.5%になった」という数字だけでなく、事業所が算定しているか、誰を配分対象としているか、どのような賃金改善方法を採用しているかまで確認する必要があります。
算定要件は2ルート|令和8年度特例要件または加算Ⅳ準拠要件
訪問リハなど2026年6月から新たに処遇改善加算の対象となったサービスでは、賃金改善の実施に加えて、①令和8年度特例要件、②処遇改善加算Ⅳの取得に準ずる要件のいずれかを満たします。
| ルート | 主な要件 | 令和8年度の確認ポイント |
|---|---|---|
| ① 令和8年度特例要件 | ケアプランデータ連携システムを利用する、または法人が社会福祉連携推進法人に所属する | 申請時点で未利用でも、加入・利用を誓約する取扱いがある |
| ② 加算Ⅳ準拠要件 | キャリアパス要件Ⅰ・Ⅱと職場環境等要件を満たす | 令和8年度は、所定の要件について令和9年3月末までの対応を誓約できる取扱いがある |
令和8年度特例要件
訪問リハで令和8年度特例要件を使う場合は、主に次のいずれかを確認します。
- ケアプランデータ連携システムを利用している
- 事業所が所属する法人が社会福祉連携推進法人に所属している
ケアプランデータ連携システムを申請時点で利用していない場合でも、加入して利用することを誓約することで、申請時点から要件を満たすものとして扱う取扱いがあります。誓約した場合は、令和9年3月末までに利用し、実績報告書で利用実績を報告します。
処遇改善加算Ⅳの取得に準ずる要件
特例要件を使わずに算定する場合は、キャリアパス要件Ⅰ、キャリアパス要件Ⅱ、職場環境等要件を確認します。
| 要件 | 主な確認内容 |
|---|---|
| キャリアパス要件Ⅰ | 職位・職責・職務内容などに応じた任用要件と賃金体系を整備し、書面化・周知する |
| キャリアパス要件Ⅱ | 職務内容を踏まえた研修計画を作成し、研修の実施または研修機会を確保し、職員へ周知する |
| 職場環境等要件 | 所定の区分ごとの取組と、生産性向上に関する取組を実施する |
職場環境等要件は「改善を1件実施」で終わらない
職場環境等要件では、「入職促進」「資質向上・キャリアアップ」「両立支援・多様な働き方」「心身の健康管理」「やりがい・働きがい」の各区分で1項目以上、生産性向上の区分では2項目以上の取組が必要です。
1法人あたり1施設または1事業所のみを運営するような小規模事業者には、生産性向上の取組について別の取扱いがあります。
したがって、「業務改善を1件行えば処遇改善加算を算定できる」と理解しないことが重要です。どのルートで算定するのかを決めたうえで、最新の通知・計画書・指定権者の案内と照合してください。
PT・OT・STも配分対象に含められる|ただし自動配分ではない
厚生労働省のQ&Aでは、処遇改善加算について、介護職員以外の全職種を柔軟な職種間配分の対象に含めることができるとされています。その例には、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士も明記されています。
したがって、訪問リハで働くPT・OT・STも賃金改善の対象に含めることができます。
一方で、PTだから自動的に加算額が支給されるわけではありません。実際の配分は、介護職員、特に経験・技能のある介護職員の処遇改善が重要であることに留意しながら、事業所内で決定します。
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 対象者 | PT・OT・STを含め、誰を賃金改善の対象としているか |
| 方法 | 基本給、毎月の手当、一時金など、どのような方法で改善するか |
| 時期 | いつから、どの時点で支給・反映するか |
| 周知 | 職員へどの文書・方法で説明するか |
今から算定する場合|計画書と体制届の期限から逆算する
2026年6月開始時には新設サービス向けの特例的な提出期限が設定されていましたが、現在は、年度途中から新たに算定する場合の通常ルールを確認する必要があります。
まず算定開始月を決め、その月から処遇改善計画書と体制届の期限を逆算します。
| 書類・対応 | 原則の期限 | 実務上のポイント |
|---|---|---|
| 処遇改善計画書 | その年度で初めて算定する月の前々月末日まで | 最新様式と指定権者の提出先を確認する |
| 体制届(居宅系) | 算定開始月の前月15日まで | 訪問リハは居宅系サービスとして期限を確認する |
| 実績報告書 | 最終の加算支払月の翌々月末日まで | 令和8年度を通常どおり年度末まで算定した場合は令和9年7月31日 |
| 計画書・実績報告書と根拠資料 | 2年間保存 | 指定権者から求められたときに速やかに提示できる状態にする |
指定権者は、確認事務に必要な時間を確保できる場合などに処遇改善計画書の提出期限を延長できる取扱いがあります。実際の申請では、厚生労働省の最新様式だけでなく、事業所を所管する指定権者の案内も確認してください。
実務は4ステップ|算定ルート → 配分 → 申請 → 証拠保管
制度全体を一度に覚えるより、自事業所で算定できる状態を作る順番を固定した方が実務では進めやすくなります。
| ステップ | 決めること | 残すもの |
|---|---|---|
| 1. 算定ルート | 特例要件と加算Ⅳ準拠要件のどちらを使うか | 要件確認表、根拠資料 |
| 2. 配分 | 対象者、賃金改善方法、支給時期をどうするか | 賃金改善ルール、職員周知資料 |
| 3. 申請 | 算定開始月、計画書、体制届の期限と担当者 | 提出書類、届出控え |
| 4. 証拠保管 | 要件・給与・周知・実績の資料をどこへ保存するか | 年度別フォルダ、根拠資料 |
Excel・PDF配布|訪問リハ 処遇改善加算 算定準備チェックシート v3
訪問リハの処遇改善加算について、算定ルート・配分・申請期限・根拠資料を1枚で確認できるチェックシートを用意しています。
v3では、旧版の「改善を1件実施」という整理を見直し、令和8年度特例要件と加算Ⅳ準拠要件の分岐、PT・OT・STの配分、申請期限、2年間の資料保存まで反映しました。
| 形式 | 向いている使い方 | 特徴 |
|---|---|---|
| Excel | 事業所内で編集・管理したい | 算定開始月から計画書・体制届の期限を確認できるシート付き |
| 印刷して打ち合わせ・自己点検に使いたい | A4縦1ページのチェックシート |
注意:このチェックシートは事業所内の自己点検・初動整理用です。厚生労働省の処遇改善計画書や体制届など、正式な申請様式の代わりにはなりません。実際の算定では、厚生労働省の最新通知・様式と指定権者の案内を確認してください。
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月次運用と3月13日通知の差分は別記事で確認する
このページは、訪問リハ処遇改善加算の新設内容・算定要件・PT等の配分対象・申請の入口を整理する親記事です。算定後の毎月の運用や、通知公表時点の差分まですべて抱え込まないよう役割を分けています。
配分・周知・証跡を毎月どのように管理するかは、訪問リハの処遇改善|配分・周知・証跡の月次運用で確認してください。2026年3月13日の通知で確定した変更点を時系列で確認したい場合は、訪問リハ処遇改善|3月13日通知の差分整理に分けています。
よくある質問
訪問リハの処遇改善加算で、PTが特に迷いやすい点をまとめます。
Q1. 訪問リハと介護予防訪問リハは処遇改善加算の対象ですか?
はい。2026年6月から、訪問リハビリテーションと介護予防訪問リハビリテーションに介護職員等処遇改善加算が新設されています。訪問リハの加算率は1.5%です。
Q2. PT・OT・STも処遇改善加算の配分対象になりますか?
はい。厚生労働省のQ&Aでは、介護職員以外の全職種も柔軟な職種間配分の対象に含めることができ、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士も例示されています。ただし、PT・OT・STへ自動的に一定額が支給されるわけではありません。
Q3. 加算率1.5%なら、PTの給与も1.5%上がりますか?
いいえ。1.5%は訪問リハビリテーションに設定された処遇改善加算の加算率です。PT個人の給与上昇率を示した数字ではありません。実際の賃金改善方法や配分対象は、自事業所の処遇改善計画や周知内容を確認してください。
Q4. 訪問リハで処遇改善加算を取るための要件は何ですか?
賃金改善の実施に加え、令和8年度特例要件、または処遇改善加算Ⅳの取得に準ずる要件のいずれかを満たします。加算Ⅳ準拠要件では、キャリアパス要件Ⅰ・Ⅱと職場環境等要件を確認します。
Q5. 2026年6月を過ぎても新たに算定できますか?
年度途中から新たに算定する場合の手続きが定められています。原則として、処遇改善計画書はその年度で初めて算定する月の前々月末日まで、居宅系サービスの体制届は算定開始月の前月15日までです。実際の提出時は指定権者の案内も確認してください。
Q6. チェックシートだけで申請できますか?
できません。本記事で配布しているExcel・PDFは、事業所内で要件や担当を整理するための自己点検用です。実際の申請では、厚生労働省の処遇改善計画書や体制届など、正式な様式を使用してください。
更新履歴
| 更新日 | 更新内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 2026-08-23 | 施行前の旧図版を削除し、「算定ルート確認 → 配分ルール決定 → 申請期限確認 → 根拠資料保存」を示す最新図版へ差し替え | 記事本文・v3チェックシートに合わせて更新 |
| 2026-08-22 | 施行後の記事へ全面更新。2つの算定ルート、PT・OT・STの配分、年度途中の申請期限、2年間の資料保存を整理。算定準備チェックシートをv3へ更新し、Excel原本とPDFを追加 | 厚生労働省 改定ページ/通知/Q&A |
| 2026-04-09 | 親記事としての役割を明確化し、図版と算定準備チェックシートを反映 | 自作配布物・記事本文更新 |
| 2026-04-08 | 厚生労働省の改定概要・通知・Q&Aに合わせて、加算率・要件・配分対象を更新 | 厚生労働省 改定ページ/概要/通知/Q&A |
| 2026-01-29 | 初版:2026年6月改定の要点と訪問リハの算定準備を整理 | 厚生労働省資料 |
参考文献
- 厚生労働省. 令和8年度介護報酬改定について. 厚生労働省
- 厚生労働省老健局. 令和8年度介護報酬改定の概要. 2026. PDF
- 厚生労働省老健局長. 介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について(令和8年度分). 老発0313第6号. 2026年3月13日. PDF
- 厚生労働省老健局老人保健課. 令和8年度介護職員等処遇改善加算に関するQ&A(第1版). 2026年3月13日. PDF
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。
現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。
保有資格
- 脳卒中認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター2級

