Perme Scoreの使い方|ICUの7領域・記録シート

評価
記事内に広告が含まれています。

Perme ScoreはICU患者のmobilityを7領域・0〜32点で評価する尺度です

Perme ICU Mobility Score(Perme Score)は、ICU患者のその時点のmobility statusを15項目・7領域、0〜32点で評価する尺度です。ベッド上動作や移乗・歩行だけでなく、精神状態、人工呼吸管理やライン・デバイスなどの潜在的な移動バリアも含めて評価できる点に特徴があります。

この記事では、Perme Scoreが何を測る尺度なのか、7領域の見方、採点・総点を解釈するときの注意点、IMSとの違い、再評価で残したい情報を整理します。あわせて、公式スコア採点後の情報整理に使えるExcel・PDFの「Perme Score 記録・再評価シート」も配布します。

ICUを含む基本動作評価の全体像から確認する


基本動作評価ハブを見る

Perme Scoreで最初に押さえる4点

Perme Scoreで重要なのは、合計点だけを見て「良くなった・悪くなった」と判断しないことです。どの領域が変化したか、前回と評価条件がどう違ったかまで確認すると、スコア変化の意味を解釈しやすくなります。

※スマホでは表を横にスクロールできます。

Perme Scoreを理解する4つのポイント
見るポイント Perme Scoreで分かること 記録で補足したいこと
総点 0〜32点で、その時点のmobility statusを表す 前回値と変化量
7領域 mobilityに関係する複数の要素を領域別に確認できる どの領域に変化があったか
実際の状態 潜在的な能力ではなく、評価時に実際に確認できた内容を反映する 介助量・補助具・実施状況
評価条件 その時点のICU環境や患者状態もスコアに影響する 覚醒、呼吸補助、持続投与、ラインなど前回との条件差

Perme Scoreで何が測れて、何が測れないか

Perme Scoreは、ICU患者のmobility statusを多面的に評価するための尺度です。精神状態から始まり、潜在的な移動バリア、筋機能、起居動作、移乗動作、歩行、歩行の持久性までを評価します。

そのため、単純に「何m歩けたか」だけを見る尺度ではありません。一方で、詳細な筋力検査だけを目的とする尺度でも、離床の開始・中止基準そのものでもありません。

「その時点でどの程度のmobilityがあり、その背景にどのような制約が含まれているか」を共通の尺度で整理することがPerme Scoreの役割です。

Perme Scoreの15項目は7領域に分かれます

Perme Scoreは15項目から構成されますが、実務ではまず7領域がそれぞれ何を見ているのかを理解すると全体像をつかみやすくなります。

以下は尺度の設問全文や採点基準の転載ではなく、各領域の役割を理解するための概要です。正式な項目・配点・採点方法は公式日本語版を確認してください。

※スマホでは表を横にスクロールできます。

Perme Scoreの7領域と評価の焦点
領域 主に確認する内容 理解するときのポイント
精神状態 覚醒状態や指示への反応 活動へ参加できる状態かを確認する
潜在的な移動バリア 呼吸補助、疼痛、ライン・デバイス、持続投与など ICU特有のmobilityへの制約を含めて評価する
筋機能 上肢・下肢を抗重力で動かせるか 詳細な徒手筋力検査とは役割が異なる
起居動作 臥位から座位への移行、座位保持 動作に必要な介助量を含めて評価する
移乗動作 立ち上がり、立位保持、ベッド・椅子間の移乗 動作の成立だけでなく介助量が関係する
歩行 歩行時に必要な介助量 歩行距離とは分けて評価する
歩行の持久性 2分間で移動できた歩行距離 休息を含めた2分間の総距離を評価する

採点で外さない3つのポイント

Perme Scoreでは、独自の離床ルールを加えて採点するのではなく、公式日本語版に沿って評価することが基本です。そのうえで、カルテには評価条件や補足所見を別に残します。

  1. 潜在能力ではなく、その場で確認できた内容を評価する:「普段ならできそう」ではなく、評価時に実際に確認できたmobilityを基準にします。
  2. 離床介入後は速やかに結果を記録する:評価した時点の状態とスコアが対応するように残します。
  3. 歩行と歩行の持久性を分ける:歩行領域では介助量、歩行の持久性では2分間の歩行距離を扱います。

覚醒、酸素・呼吸補助、持続投与、ライン・デバイス、疼痛、介助量や補助具などを併記することは、Perme Scoreの項目を独自に追加するという意味ではありません。これらは前回とのスコア差を解釈するための補助情報として残します。

総点は0〜32点|変化量だけでなく「どこが変わったか」を見る

Perme Scoreは0〜32点で評価され、高得点ほど潜在的な移動バリアが少なく、mobility活動に必要な介助も少ない状態を示します。反対に低得点では、潜在的な移動バリアが多い、またはmobility活動に多くの介助を要する状態が含まれます。

ただし、「○点以下なら重症」「○点以上なら歩行可能」という一律の重症度分類として使う尺度ではありません。合計点とともに、どの領域が変化したかを確認します。

2023年の成人ICU患者1,200例を対象とした多施設研究では、臨床的に重要な変化の目安として7点が報告されています。ただし、すべての患者に対する絶対的な改善・悪化の判定値として使用するのではなく、患者背景、測定時期、領域別の変化、評価条件と合わせて解釈します。

日本語版は2025年に信頼性・妥当性が検証されています

Perme Scoreには日本語版があり、2025年には日本語版の信頼性・妥当性を検討した研究が報告されました。

69例をICU退室時に評価した研究では、評価者間信頼性はκ=0.83で、IMSとの相関はρ=0.73でした。FSS-ICUとも中等度の相関を示し、日本語版Perme ScoreがICU退室時の身体機能評価に使用できることを支持する結果となっています。

一方、この研究はICU退室時の評価を中心に検証したものです。すべての患者に毎日測定することや、特定の点数で離床可否を判断することまで規定する研究ではありません。

IMSとの違いは「1つの到達レベル」か「7領域」か

IMSとPerme ScoreはいずれもICU患者のmobilityを扱いますが、評価構造が異なります。IMSは患者が到達したmobility levelを0〜10の1段階で表すのに対し、Perme Scoreはmobilityに影響する複数の要素を7領域に分けて評価します。

※スマホでは表を横にスクロールできます。

Perme ScoreとIMSの大まかな役割の違い
比較 Perme Score IMS
評価の形 15項目・7領域を合計 最高到達レベルを1段階で評価
点数 0〜32点 0〜10
特徴 潜在的な移動バリアを含めてmobilityを多面的に確認できる その日の到達レベルを短く共有しやすい
使い分け mobilityを複数領域から評価したい 最高到達レベルを簡潔に把握したい

どちらが上位の尺度という関係ではありません。目的に応じた具体的な使い分けは、記事末の比較記事で詳しく整理しています。

再評価では「公式スコア+評価条件+領域別変化」を残す

Perme Scoreを経時的に使う場合は、合計点だけでなく前回から何が変わったのかを補足すると、変化の意味を判断しやすくなります。

ここで大切なのは、酸素条件やライン数などを毎回無理に同じ条件へ固定することではありません。ICUでは治療経過によって条件そのものが変化するため、前回と今回の条件差を記録して、その違いも含めてスコアを解釈することが実務的です。

※スマホでは表を横にスクロールできます。

Perme Scoreを再評価へつなげる補助記録
記録項目 記載例 確認する意味
公式スコア 今回18 / 32、前回12 / 32 総点の変化を確認する
評価条件 酸素2 L→1 L、持続投与1本減少 スコア変化の背景を確認する
領域別変化 移乗動作と歩行が改善 どの領域が総点変化に関係したかを見る
動作の補足 立位1名介助、歩行は未実施 合計点だけでは分からない状況を補う
安全情報 立位で息切れあり、座位休息で改善 次回離床時の注意点を共有する
次回確認 呼吸反応を確認し短距離歩行を検討 再評価・介入へつなげる
Perme Scoreの再評価で公式スコア、前回との条件差、領域別変化、次回確認を整理する図版
Perme Scoreの再評価では、公式スコアだけでなく、前回との条件差と領域別変化を記録し、次回確認へつなげます。

Perme Score記録・再評価シート|Excel・PDF

Perme Scoreの公式採点後に、今回・前回のスコア、評価条件、7領域の変化、安全メモ、申し送り・次回確認を1枚で整理できる記録・再評価シートを作成しました。

このExcel・PDFはPerme ICU Mobility Scoreの公式採点票ではありません。正式な15項目・配点・採点方法は公式日本語版を使用してください。本シートは、公式スコアを採点したあとに臨床情報を整理し、前回との変化を確認するためのrehabilikunblog独自の補助記録シートです。

Excel版|編集・継続記録に

パソコン上で記録・編集したい場合はこちらを使用してください。


Perme Score 記録・再評価シート Excel を開く

PDF版|印刷・紙運用に

A4で印刷して記入したい場合はこちらを使用してください。


Perme Score 記録・再評価シート PDF を開く

Perme Score 記録・再評価シート PDF のプレビューを開く

記録シートは「条件を固定する」のではなく「条件差を残す」ために使います

今回の記録・再評価シートでは、旧版のように「比較前に条件をそろえる」ことを中心にはしていません。ICUでは人工呼吸管理、酸素条件、持続投与、ライン・デバイスなどが治療経過によって変化し、それ自体がmobilityへ影響するためです。

記録するときは、まず公式Perme Scoreを採点し、そのあとに「今回の条件」と「前回との差」を記録します。さらに、7領域の前回所見・今回所見と、変化の解釈・次回確認を整理します。

  1. 公式スコアを記録する:今回・前回・変化量を確認します。
  2. 評価条件を記録する:覚醒・指示理解、酸素・呼吸補助、持続投与、ライン・デバイス、疼痛、介助量・補助具を確認します。
  3. 7領域の変化を見る:どの領域が前回から変化したかを整理します。
  4. 中断・安全情報を残す:症状、きっかけ、中断内容、対応、再開条件を必要に応じて記録します。
  5. 次回確認へつなげる:今回の要点、前回からの変化、次に確認する内容を申し送ります。

Perme Scoreは離床の開始・中止基準そのものではありません

Perme Scoreはmobility statusを評価する尺度であり、単独で「離床してよい」「中止すべき」と判断するための安全基準ではありません。循環・呼吸・神経学的状態、症状、ライン・デバイスなどを別途確認し、施設の基準や主治医の方針を優先します。

評価途中で安全上の問題が生じた場合は、スコアを完成させることより患者安全を優先します。中断した場合は、実施できた内容だけでなく、何をきっかけに中断し、どのように対応し、次回何を確認するかを残しておくと再評価につながります。

よくある質問(FAQ)

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

Q1. Perme Scoreは高いほど良いですか?

高得点ほど潜在的な移動バリアが少なく、mobility活動に必要な介助も少ない状態を示します。ただし、合計点だけで判断せず、どの領域が変化したのか、前回と評価条件がどう違ったのかも確認してください。

Q2. Perme Scoreは毎日測る必要がありますか?

すべての患者に毎日測定することが必須と定められた尺度ではありません。施設でPerme Scoreを何の意思決定に使うかを決め、経時変化を見たい時期やICU退室前後など、運用目的に応じて評価します。

Q3. Perme Scoreが7点上がれば改善したと判断できますか?

2023年の多施設研究では、臨床的に重要な変化の目安として7点が報告されています。ただし、7点をすべての患者に共通する絶対的な判定基準として使うものではありません。どの領域が変化したのか、治療・評価条件がどう変わったのかと合わせて解釈してください。

Q4. 点数が上がれば筋力が改善したと考えてよいですか?

必ずしも筋力だけの改善とは限りません。Perme Scoreには精神状態や潜在的な移動バリアなども含まれるため、呼吸補助やライン・デバイス、持続投与などの条件が変化したことで総点が上がることもあります。

Q5. 配布しているExcel・PDFだけで正式に採点できますか?

できません。この記事で配布しているExcel・PDFは、公式スコア採点後の情報整理に使う独自の補助記録シートです。正式な15項目・配点・採点方法は公式日本語版を確認してください。

公式日本語版と利用条件を確認する

Perme Scoreを正式に採点するときは、公式サイトから提供されている日本語版を確認してください。公式サイトでは尺度の著作権とライセンスについても案内されています。

特に、尺度を施設の電子カルテへ組み込む場合や、新たな言語へ翻訳する場合にはライセンスに関する条件が示されています。施設独自の評価票を作成する場合も、公式版の利用条件を確認したうえで運用してください。

次の一手


参考文献

  1. Perme C, Nawa RK, Winkelman C, Masud F. A tool to assess mobility status in critically ill patients: the Perme Intensive Care Unit Mobility Score. Methodist DeBakey Cardiovasc J. 2014;10(1):41-49. doi:10.14797/mdcj-10-1-41.
  2. Nawa RK, De Camillis MLF, Buttignol M, et al. Clinimetric properties of the Perme Intensive Care Unit Mobility Score: a multicenter study for minimum important difference and responsiveness analysis. Colomb Med (Cali). 2023;54(3):e2005580. doi:10.25100/cm.v54i3.5580.
  3. Katayama S, Ikeda T, Nakanishi N, et al. Reliability and Validity of the Japanese Perme ICU Mobility Score: An Initial Psychometric Evaluation. Prog Rehabil Med. 2025;10:20250037. doi:10.2490/prm.20250037.
  4. Hodgson CL, Needham DM, Haines KJ, et al. Feasibility and inter-rater reliability of the ICU Mobility Scale. Heart Lung. 2014;43(1):19-24. doi:10.1016/j.hrtlng.2013.11.003.

著者情報

rehabilikun(理学療法士)のプロフィール画像

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

運営者プロフィール / 編集・引用ポリシー / お問い合わせ