気胸とは?
気胸とは、肺の外側にある胸膜腔へ空気が入り、肺が圧迫されて縮む状態です。
正常では、肺は胸郭の中で広がり、呼吸に合わせて空気を取り込みます。しかし気胸では、胸膜腔に空気がたまることで肺が虚脱し、呼吸苦や胸痛、SpO2低下につながることがあります。
胸部レントゲンでは、胸膜線、肺血管影の消失、肺虚脱、縦隔偏位などを確認します。
気胸が起こる原因
気胸は、自然に起こる場合もあれば、外傷や医療処置、人工呼吸器管理などをきっかけに起こる場合もあります。
| 原因 | 確認したい背景 |
|---|---|
| 自然気胸 | 若年者、やせ型、ブラの破裂 |
| COPD関連 | 肺気腫、過膨張、ブラ・ブレブ |
| 外傷性気胸 | 肋骨骨折、胸部外傷 |
| 医原性気胸 | 中心静脈カテーテル、穿刺、処置後 |
| 人工呼吸器関連 | 陽圧換気、圧損傷 |
気胸のレントゲン所見5つ
胸部X線で気胸を疑うときは、肺尖部、胸膜線、肺血管影、縦隔の位置を確認します。
特に、visceral pleural lineと肺血管影消失は、気胸を疑ううえで重要な所見です。

| 所見 | 見え方 | 意味 |
|---|---|---|
| visceral pleural line | 細い胸膜線が見える | 肺の辺縁を示す |
| 肺血管影消失 | 胸膜線の外側に肺紋理がない | 胸膜腔に空気がある |
| 肺虚脱 | 肺が内側へ縮む | 肺が圧迫されている |
| deep sulcus sign | 肋骨横隔膜角が深く見える | 臥位撮影での気胸所見 |
| 縦隔偏位 | 健側へ押される | 緊張性気胸を疑う |
visceral pleural lineとは?
visceral pleural lineとは、虚脱した肺の外側縁として見える細い線です。
気胸では、肺の外側に空気がたまるため、肺が内側へ押されます。その結果、肺の辺縁が線状に見えることがあります。
胸部X線では、肺尖部から外側胸郭にかけて、細い線がないか確認します。線の外側に肺血管影が見えない場合、気胸を疑いやすくなります。
肺血管影消失とは?
気胸では、胸膜腔に空気がたまるため、肺が存在しない部分には肺血管影が見えません。
そのため、胸膜線の外側に肺紋理がない領域があれば、気胸を考えます。特に肺尖部や外側胸郭は見落としやすいため注意が必要です。
肺虚脱
気胸では、胸膜腔にたまった空気によって肺が圧迫され、肺が内側へ縮んで見えます。
軽度ではわかりにくいこともありますが、気胸量が多くなると、肺が中央側へ虚脱している様子が確認しやすくなります。
Deep sulcus signとは?
deep sulcus signとは、臥位の胸部X線で気胸を疑う所見のひとつです。
立位では空気が肺尖部に集まりやすい一方、臥位では前方・下方へ空気が広がるため、肋骨横隔膜角が不自然に深く見えることがあります。
ベッド上で撮影された胸部X線では、肺尖部だけでなく、肋骨横隔膜角の深さにも注意します。
緊張性気胸の見方
緊張性気胸は、胸膜腔に空気が一方向に入り続け、胸腔内圧が高くなる危険な状態です。
胸部X線では、患側肺の虚脱、患側胸腔の過膨張、縦隔の健側偏位、横隔膜下降などがみられることがあります。
緊張性気胸が疑われる場合は、リハビリ介入を進める状況ではなく、速やかな医療対応が必要です。
| 所見 | 見え方 | 意味 |
|---|---|---|
| 縦隔偏位 | 健側へ押される | 胸腔内圧上昇を疑う |
| 横隔膜下降 | 患側が下がる | 患側胸腔の過膨張 |
| 肺虚脱 | 肺が内側へ縮む | 換気低下が強い |
| 循環不安定 | 血圧低下、頻脈など | 緊急対応が必要 |
気胸と無気肺の違い
気胸と無気肺は、どちらも肺が縮んで見えることがあります。しかし、起こっている病態と縦隔偏位の方向が異なります。
| 比較項目 | 気胸 | 無気肺 |
|---|---|---|
| 主な変化 | 胸膜腔に空気がたまる | 肺胞が虚脱する |
| 肺の動き | 外側から圧迫される | 内側へ引き込まれる |
| 肺血管影 | 胸膜線外側で消失 | 病変部で白く見えることがある |
| 縦隔偏位 | 大量・緊張性では健側へ押す | 患側へ引く |
| 代表所見 | 胸膜線、肺血管影消失 | 容量減少、横隔膜挙上 |
無気肺の画像所見は、無気肺のレントゲン所見の記事でも詳しく整理しています。
リハビリ職が確認するポイント
リハビリ職が気胸のレントゲン所見を理解しておくと、離床や運動負荷のリスク判断に役立ちます。
診断をするためではなく、画像所見と症状を結びつけて、安全に介入できるかを判断する視点として重要です。
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 呼吸苦 | 急な息苦しさ、動作時悪化 |
| 胸痛 | 急な胸部痛、吸気時痛 |
| SpO2 | 安静時・動作時の低下 |
| 呼吸数 | 頻呼吸、努力呼吸 |
| 胸腔ドレーン | 固定、屈曲、抜去リスク |
胸腔ドレーンがある場合の注意点
気胸で胸腔ドレーンが留置されている場合、離床時にはドレーン管理が重要です。
リハビリ職は、ドレーンを操作するのではなく、抜去や屈曲、牽引が起こらないように動作環境を整えます。移動や歩行では、看護師と情報共有しながら安全に進めます。
- 固定:チューブが引っ張られないよう確認する
- 屈曲:チューブが折れ曲がっていないか確認する
- 排液ボトル:位置が不安定にならないようにする
- 歩行:ルート類をまとめ、転倒や抜去を防ぐ
- 異常時:呼吸苦や胸痛があれば中止して共有する
よくある失敗
気胸の胸部X線を見るときに多い失敗は、肺尖部や外側胸郭を十分に確認しないことです。
- 失敗1:肺尖部を見落とす
- 失敗2:胸膜線の外側の肺血管影を確認しない
- 失敗3:皮膚のしわを気胸と誤認する
- 失敗4:緊張性気胸の危険所見を見落とす
- 失敗5:症状やバイタルと結びつけない
よくある質問
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
気胸はレントゲンでどう見えますか?
気胸では、visceral pleural line、胸膜線外側の肺血管影消失、肺虚脱、deep sulcus sign、緊張性気胸での縦隔偏位などがみられることがあります。
visceral pleural lineとは何ですか?
虚脱した肺の外側縁として見える細い線です。この線の外側に肺血管影が見えない場合、気胸を疑いやすくなります。
気胸と無気肺はどう違いますか?
気胸は胸膜腔に空気がたまり肺が外側から圧迫される状態です。無気肺は肺胞が虚脱して肺が縮む状態です。緊張性気胸では縦隔が健側へ押され、無気肺では患側へ引かれやすい点が異なります。
リハビリ中に気胸を疑う症状はありますか?
急な呼吸苦、胸痛、SpO2低下、頻呼吸、努力呼吸などがある場合は注意が必要です。症状が急に変化した場合は介入を中止し、医師や看護師へ共有します。
まとめ
気胸は、胸膜腔に空気が入り、肺が圧迫されて虚脱する状態です。
胸部レントゲンでは、visceral pleural line、肺血管影消失、肺虚脱、deep sulcus sign、縦隔偏位を確認します。
特に緊張性気胸では、縦隔偏位や循環不安定を伴うことがあり、速やかな医療対応が必要です。リハビリ職は、画像だけでなく呼吸苦、胸痛、SpO2、呼吸数、ドレーン管理などと合わせて安全に介入を判断することが大切です。
次の一手
胸部X線の各論を整理する場合は、気胸、胸水、無気肺、CP angle、横隔膜などをセットで学ぶと理解しやすくなります。
参考文献
- StatPearls. Pneumothorax. NCBI Bookshelf
- Radiopaedia. Pneumothorax. Radiopaedia
- Radiology Masterclass. Chest X-ray Abnormalities. Radiology Masterclass
著者情報
この記事は、臨床で呼吸リハや高齢者リハに関わる医療職向けに、理学療法士が作成しています。診断ではなく、胸部X線所見をリハ評価・リスク管理に活かすための基礎整理として執筆しています。
