RDQ( Roland-Morris )腰痛の生活障害評価|実施・採点・解釈

評価
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RDQ(Roland-Morris)とは?腰痛の生活障害を 5 分で評価する使い方

RDQ は「点数」より、同じ条件で測って “変化量( Δ )” を追うと臨床判断が速くなります。 評価 → 記録 → 再評価の流れを 3 分で確認する

RDQ( Roland-Morris Disability Questionnaire )は、腰痛による生活障害( ADL / 生活機能の困りごと )を患者さん自身が回答する、腰痛特異的な PROM(患者立脚型アウトカム)です。24 項目の「はい/いいえ」で構成され、合計 0〜24 点(高いほど生活障害が大きい)で把握できます。

RDQ は “忙しい現場でも回しやすい” 一方、説明の仕方や対象期間がブレると再評価で価値が落ちます。本記事では、RDQ を実施 → 採点 → 解釈 → 記録まで一気に固定し、迷いを減らします。腰痛 PROM 全体の選び方( RDQ / ODI / PSFS )は 腰痛 PROM の選び方(親) にまとめています。

まずは結論:RDQ の運用フロー( 5 分 )

  1. 対象:腰痛で「動けるが生活がつらい」「回避行動が増えた」など、生活機能の影響を数値化したいとき。
  2. 実施:原則「今日の状態」で回答(対象期間の説明を固定)。
  3. 採点「はい」= 1 点として合計( 0〜24 点 )。
  4. 解釈:初回の絶対値より、変化量( Δ )を重視(目安:2〜3 点以上の変化、またはベースラインの 30 % 程度)。
  5. 次の一手:RDQ が下がらないときは、生活場面の “詰まり” を言語化して介入の焦点を合わせます。

RDQ が測っているもの:痛みではなく「生活障害」

RDQ は、腰痛のために姿勢・動作・活動がどれだけ制限されているかを拾います。痛み( NRS / VAS )が下がっても「長く座れない」「階段が不安」「仕事が続かない」など、生活の詰まりが残ることは珍しくありません。RDQ は、その “残り方” をチームで共有するのに向きます。

臨床では、点数を 1 つの結論にせず、どの生活場面が残ったかを短く添えるだけで、次回の介入がブレにくくなります。

実施方法:説明のブレを減らす 3 つのコツ

  • 対象期間を固定する(例:「今日の状態」など、施設ルールを 1 つに統一)。
  • 迷う項目は、“今日はどちらに近いですか?”の 1 文で補助し、言い回しを固定する。
  • 再評価は、同じ環境(場所・時間帯・実施者)に寄せるほど変化量( Δ )の信頼性が上がる。

採点ルール:0〜24 点を「そのまま」合計する

RDQ は各項目が 2 択( はい/いいえ )で、「はい」の数が RDQ スコアになります( 0〜24 点 )。採点の工夫よりも、実施条件の固定と、変化した生活場面のメモが臨床では価値になります。

解釈:基準値・MCID は “目安” として使う

RDQ の点数は、集団の比較では基準値が参照されますが、臨床の意思決定ではトレンド(経時変化)が重要です。とくに初回の絶対値だけで「重い/軽い」と断定せず、困りの中心(座位・歩行・仕事・睡眠など)とセットで解釈すると外れにくくなります。

変化量( Δ )の目安として、文献では RDQ の 2〜3 点程度を最小限の臨床的に意味のある変化( MCID )の候補とする見解が示されています。加えて、ベースラインの 30 % 程度(例:10 点 → 7 点)を目安にすると、説明が一貫しやすくなります。

RDQ と ODI の使い分け(早見表)

RDQ と ODI はどちらも腰痛の生活障害をみる PROM ですが、得意な状況が少し異なります。ODI の実施・採点・解釈は ODI 実務ガイド にまとめています。

RDQ と ODI の使い分け早見(腰痛の生活障害 PROM )
観点 RDQ ODI
向いている場面 外来・病棟で “手早く” 生活障害を追う/軽〜中等度の変化を追いたい 重症例・術前後などで “領域別に” 生活障害を丁寧に追いたい
説明のしやすさ 点数( 0〜24 )で共有(%表現には向かない) 割合(%)で共有しやすい
運用のコツ 絶対値より変化量( Δ )+変化した生活場面のメモ 領域別の “どこがボトルネックか” を介入計画に落とす

臨床での活用例:外来・回復期・在宅

  • 外来:初診と 2〜4 週ごとの RDQ で、生活障害の改善と停滞を可視化。痛みは下がるのに RDQ が変わらない場合は、回避行動や活動量低下がボトルネックのことがあります。
  • 回復期:ADL 指標が “介助量” を表すのに対し、RDQ は “腰痛ゆえに避けている動き” を拾いやすいのが利点です。
  • 在宅:家事・移動・余暇など「本当はやりたいが控えていること」を数値で共有し、ゴール設定の材料にします。

記録とチーム共有:カルテに残す「 3 点セット 」

カルテには、①RDQ の絶対値 ②前回からの変化量( Δ ) ③変化した(または残存した)生活場面をセットで残すと、他職種にも伝わりやすくなります。

RDQ 記録テンプレ(例:経時変化を共有する)
評価日 RDQ Δ 改善した生活場面 残存した生活場面
YYYY/MM/DD 12 長時間座位、階段
YYYY/MM/DD 6 -6 家事の継続、屋外歩行 長時間座位

現場の詰まりどころ/よくある失敗( OK / NG )

RDQ 運用でズレやすいポイントと対策
場面 NG(ズレる) OK(そろえる) ひと言対策
実施 「最近どうですか?」で対象期間が毎回変わる 「今日の状態」で統一(施設ルール化) 説明文をテンプレ化して固定
採点 点数だけ残して、生活場面が共有されない 点数+変化した生活場面を 1 行で残す “改善 2 点” より “何が戻ったか” を書く
解釈 小さな増減で方針が揺れる 変化量( Δ )+主観(回復感)+痛みを並べる 1 回の点より “トレンド” を見る
再評価 実施者・環境・タイミングがバラバラ 同じ条件に寄せる(場所・時間帯・実施者) 違う条件の回は注記して解釈を分ける

よくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

RDQ は何点くらい変化したら「効果あり」と考えて良いですか?

目安として RDQ の変化量が 2〜3 点以上 であれば、臨床的に意味のある変化( MCID )の候補として検討できます。加えて、ベースラインの 30 % 程度の改善(例:10 点 → 7 点)を目安にすると、説明が一貫しやすくなります。評価間隔や痛みの変化、本人の回復感と合わせて解釈すると外れにくくなります。

痛み( NRS )が下がったのに RDQ が改善しません。どう考えますか?

痛みの軽減と生活機能の回復が同時に起きないことは珍しくありません。回避行動、活動量低下、不安、睡眠、仕事や家庭の負荷などがボトルネックになっている可能性があります。RDQ の点数だけでなく「どの生活場面が残っているか」を手がかりに、介入の焦点(運動習慣/セルフマネジメント/環境調整)を合わせます。

RDQ と ODI はどちらを使えばいいですか?

外来で説明が多く “%で共有したい” なら ODI、病棟などで “短時間で回したい” なら RDQ が運用しやすいです。迷うときは 腰痛 PROM の選び方(親) のフローで、施設の標準セットを先に固定するとブレにくくなります。

次の一手(行動)

  • セットを固定:腰痛の PROM は “RDQ / ODI のどちらか 1 つ” を主役にして、同じ版・同じ条件で追う(迷ったら 腰痛 PROM の選び方(親) に戻る)。
  • 併読:重症例や術前後で領域別に共有したい場合は ODI の使い方 を先に固める。
  • 比較で整理:慢性痛の生活障害を “汎用+腰痛特異” で組むなら PDAS・PDI・RDQ の違い(比較) でパッケージ化する。

運用を整えると「評価が回らない/記録が散らかる」が一気に減ります。共有の型を点検したい場合は 無料チェックシート(ダウンロード) も活用できます。

参考文献

  1. Roland M, Morris R. A study of the natural history of low-back pain. Part I: development of a reliable and sensitive measure of disability in low-back pain. Spine (Phila Pa 1976). 1983;8(2):141-144. doi: 10.1097/00007632-198303000-00004
  2. Suzukamo Y, et al. Validation of the Japanese version of the Roland-Morris Disability Questionnaire. J Orthop Sci. 2003;8(4):543-548. doi: 10.1007/s00776-003-0679-xPubMed
  3. Bombardier C, Hayden J, Beaton DE. Minimal clinically important difference. Low back pain: outcome measures. J Rheumatol. 2001;28(2):431-438. PubMed
  4. Chiarotto A, et al. Measurement properties of the Roland-Morris Disability Questionnaire and Oswestry Disability Index in nonspecific low back pain: systematic review. Phys Ther. 2016;96(10):1620-1637. doi: 10.2522/ptj.20150420PubMed

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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