RDQ・ODIの違いと選び方|PSFSとの使い分け

評価
記事内に広告が含まれています。

RDQとODIはどちらを選ぶ?まず結論

腰痛の患者報告アウトカム(PROM)でRDQとODIのどちらを使うか迷った場合、「こちらが常に優れている」と一律に決める必要はありません。RDQとODIはいずれも腰痛に伴う身体機能・生活障害を評価する代表的な尺度で、直接比較した研究でも、一方を普遍的に優先する強い根拠は示されていません。

選択では、使用する正式版、回答形式、結果の示し方、施設での運用、再評価まで継続できるかを確認します。一方、PSFSは患者本人が重要と考える活動を個別に追う尺度です。標準化された腰痛関連機能を追うならRDQまたはODI、本人固有の困り動作を追うならPSFS、両方が必要ならRDQまたはODI+PSFSと整理すると選びやすくなります。

RDQ・ODI・PSFSを選ぶポイント

  • 腰痛による機能・生活障害を固定項目で追う:RDQまたはODI
  • RDQとODIで迷う:絶対的な優劣ではなく、回答形式・結果の示し方・運用条件で選ぶ
  • 本人固有の困難活動を追う:PSFS
  • 両方を評価したい:RDQまたはODI+PSFS
  • 再評価する:同じ尺度・同じ版・同じ条件で比較する

この記事では、RDQ・ODI・PSFSの違いを「何を測るか」という視点から比較し、尺度選択、再評価、記録まで整理します。腰痛の赤旗、神経学的評価、運動療法などは本記事の中心範囲には含めません。


RDQ・ODI・PSFSの違い|何を測りたいかで選ぶ

3尺度を使い分けるときは、項目数だけでなく「標準化された腰痛関連機能を測りたいのか」「患者本人にとって重要な活動を個別に追いたいのか」を先に決めます。RDQとODIは固定された項目で腰痛による機能・生活障害を評価し、PSFSは患者自身が選んだ活動を追跡します。

RDQ・ODI・PSFSの違いを、測定対象・得点方向・選ぶ場面で比較した図
図:RDQ・ODI・PSFSの違いと選び方
RDQ・ODI・PSFSの主な違い
比較軸 RDQ ODI PSFS
主な測定対象 腰痛に伴う身体機能・日常生活の制限 腰痛に伴う身体機能・生活障害 本人が重要と考える活動の遂行度
項目の形式 24項目の固定項目 10セクションの固定項目 患者自身が評価対象となる活動を選ぶ
回答・採点の特徴 該当する項目を合計する 各セクションを段階評価し、割合で示す 選んだ活動ごとに0〜10で評価する
得点方向 高いほど障害が大きい 高いほど障害が大きい 高いほど活動遂行が良好
主な使い方 固定項目で腰痛関連機能を追う 固定項目で腰痛関連機能を追う 患者固有の活動を経時的に追う
選択のポイント 24項目・該当の有無という形式を使いたい 障害度を割合で示したい 本人固有の困り動作を直接追いたい

特に注意したいのが得点方向の違いです。RDQとODIは得点が高いほど障害が大きくなりますが、PSFSは高得点ほど活動遂行が良好です。併用するときは「点数が上がった・下がった」だけで判断せず、それぞれの尺度で改善方向がどちらなのかを確認します。

なお、英語文献ではRoland-Morris Disability QuestionnaireをRMDQまたはRMQと表記する場合があります。本記事では、日本語で用いられることの多いRDQの表記に統一します。


RDQとODIの違い|一律にどちらが優れているとはいえない

RDQとODIはいずれも腰痛に伴う身体機能を評価する代表的なPROMです。直接比較したシステマティックレビューでは、ODIは再検査信頼性や測定誤差、RMDQは身体機能尺度としての構成概念妥当性で一部異なる結果が示されましたが、総合的には一方を優先する強い理由はないとされています。

また、非特異的腰痛の臨床研究におけるコアアウトカムでは、身体機能を測定する尺度としてODI version 2.1aまたは24項目RMDQが推奨されています。ただし、これは臨床研究におけるアウトカム標準化を目的とした推奨であり、「すべての患者でODIまたはRDQを必ず使う」という意味ではありません。

RDQとODIで迷ったときの判断軸
確認すること 選択の考え方
施設ですでに使用尺度が決まっているか 妥当な版を統一して運用している場合は、経時比較を優先して同じ尺度を継続する
回答形式 RDQは24項目の該当の有無、ODIは10セクションの段階回答という違いを確認する
結果の示し方 RDQは合計点、ODIは割合で示すため、記録・共有しやすい形式を考える
経時比較 途中でRDQからODIへ変更せず、原則として同じ尺度・同じ版を継続する
研究・施設プロトコル 使用する尺度や版が指定されている場合は、その条件を優先する
利用する日本語版 正式な版、採点方法、利用条件を確認して使用する

したがって、「病棟ならRDQ、外来ならODI」「軽症ならRDQ、重症ならODI」と診療場所や重症度だけで機械的に決める必要はありません。何を測り、その結果をどのように継続利用するかを先に決めるほうが実務的です。


PSFSはいつ使う?本人固有の困り動作を追いたいとき

PSFSは、患者本人が「腰痛によって難しくなった重要な活動」を選び、その活動の遂行度を経時的に評価する患者個別型のPROMです。腰痛・腰部病態を対象としたシステマティックレビューでも、PSFSの信頼性、妥当性、反応性が検討され、臨床アウトカムとしての有用性が報告されています。

そのため、PSFSを単に「RDQやODIの補助尺度」と考えるより、固定項目式では拾いにくい患者固有の活動を可視化する別の測定軸として位置づけると理解しやすくなります。

PSFSが役立つ場面
場面 PSFSを使う意味
仕事の特定動作が問題 固定質問票では表現しにくい具体的な仕事内容を評価対象にできる
趣味・スポーツ復帰が目標 本人にとって重要な活動そのものを追跡できる
RDQ・ODIは改善したが困り動作が残る 全体的な機能変化と患者固有の課題を分けて確認できる
目標設定と再評価をつなげたい 患者が選んだ活動をそのまま再評価対象として追いやすい

一方、PSFSでは患者ごとに評価対象となる活動が異なります。複数患者を同じ固定項目で比較したい、あるいは標準化された腰痛関連機能も追いたい場合には、RDQまたはODIとの役割分担を検討します。


3尺度を全部使う必要はない|目的から最小構成を決める

RDQ・ODI・PSFSを毎回すべて実施すれば評価が良くなるわけではありません。PROMを増やす前に、その数値を使って何を判断するのかを明確にします。

目的から決める腰痛PROMの構成
知りたいこと 候補 考え方
腰痛関連の身体機能・生活障害を固定項目で追う RDQまたはODI どちらか1つを選び、同じ尺度で経時比較する
本人固有の活動を追う PSFS 同じ活動を継続して評価する
全体的な障害と本人固有の活動を両方追う RDQまたはODI+PSFS 標準化された軸と患者個別の軸を分けて記録する
痛み強度も経過観察したい 上記+NRSなど 痛み強度と機能障害を同じアウトカムとして扱わない

例えば「ODIとPSFSを取ったが、結果が変わっても介入方針は変わらない」という状況なら、評価目的を再確認する余地があります。尺度を増やすことより、測定結果を次の判断へつなげられるかを優先します。


RDQ・ODI・PSFSの点数は同じ方向に読まない

複数のPROMを併用するときに迷いやすいのが、得点の方向です。RDQ・ODIとPSFSでは、改善したときの点数変化が逆になります。

得点変化を読むときの基本
尺度 得点方向 改善時の基本的な変化
RDQ 高得点ほど障害が大きい 得点が低下する方向
ODI 高得点ほど障害が大きい 割合が低下する方向
PSFS 高得点ほど活動遂行が良好 得点が上昇する方向

カルテに「PROM改善」とだけ記載すると、後からどの尺度がどちらへ変化したのか分からなくなります。尺度名、今回値、前回値、生活上の変化をセットで残すと、再評価時に解釈しやすくなります。


再評価では尺度・版・評価対象をそろえる

経時変化を判断するには、初回と再評価で比較条件をできるだけそろえます。特に、初回にRDQを使用し、再評価でODIへ変更した場合、それぞれの得点を同一尺度の変化量として直接比較することはできません。

腰痛PROMの再評価チェック
確認項目 確認すること
尺度 初回と同じRDQ・ODI・PSFSを使用しているか
版 同じ言語版・同じ版を継続しているか
採点 同じ採点方法で算出しているか
PSFSの活動 同じ活動を再評価しているか。変更した場合は理由を残しているか
生活上の変化 数値だけでなく、実際に改善・残存した活動を確認しているか

尺度の点数と患者本人の生活変化が一致しないこともあります。「RDQやODIは改善したが、最も困っている仕事動作は変わらない」「痛みは残っているが活動範囲は広がった」といったずれも、次に何を評価・介入するかを考える材料になります。


カルテには「尺度・変化・生活場面」を残す

PROMは合計点だけを記録すると、次の評価や介入へつなげにくくなります。最低限、使用尺度、今回値、前回値または変化量、生活上の変化、次に確認することを残します。

腰痛PROMの記録例
項目 記載例 確認ポイント
使用尺度 ODI:施設で使用している同一版を継続 尺度名だけでなく版もそろえる
今回・前回 ODI XX%、前回YY% 経時変化を確認できる形で残す
生活場面 座位耐久性は改善したが、長距離運転で支障が残存 点数だけでなく実際の活動を書く
PSFS併用時 「30分の車運転」を同一活動として継続評価 何を追跡しているか明確にする
次の焦点 長時間座位と運転場面の負荷条件を再評価 PROMを次の評価・介入へ接続する

変化量を解釈するときは、単純な点数差だけで「臨床的に有意な改善」と断定せず、使用した尺度・版、対象集団、測定誤差や報告されている変化量の基準を確認します。


RDQ・ODI・PSFSでよくある失敗

腰痛PROMでは、採点そのものよりも、尺度の役割を混同したり、途中で測定条件を変えたりすることで経時比較が難しくなることがあります。

腰痛PROMで避けたい運用
避けたい運用 何が問題か 対応
病棟ならRDQ、外来ならODIと機械的に決める 測定目的ではなく診療場所が尺度選択の根拠になる 何を経時的に測りたいかを先に決める
途中でRDQからODIへ変更する 同一尺度として変化量を比較できない 原則として同じ尺度・同じ版を継続する
PSFSとRDQ・ODIの得点方向を混同する 改善・悪化を逆方向に解釈する可能性がある 尺度ごとの得点方向を確認する
合計点だけを記録する 実際に何が変化したのか分かりにくい 生活場面や患者本人の変化も併記する
PSFSの活動を理由なく入れ替える 同じ活動の経時変化を追えない 変更した場合は理由を記録し、別の評価対象として扱う
異なる版の採点結果を同じものとして扱う 比較条件が変わり、変化の解釈が不安定になる 使用した正式版を確認し、再評価でもそろえる

よくある質問

RDQとODIは結局どちらを使えばよいですか?

一方がすべての患者で優れているとはいえません。施設ですでに妥当な版を統一して運用している場合は、同じ尺度を継続することが実務的です。新たに選ぶ場合は、回答形式、結果の示し方、正式版、施設・研究プロトコルとの整合性から判断します。

PSFSはRDQやODIの代わりになりますか?

測定目的によります。本人固有の活動変化を追うことが目的ならPSFSが適しています。一方、固定項目による標準化された腰痛関連機能を評価したい場合はRDQまたはODIが適しています。両方を知りたい場合は、役割を分けて併用します。

RDQとODIを両方実施したほうが詳しく評価できますか?

通常の経過観察で必ず両方必要とは限りません。RDQとODIは測定対象が重なるため、追加した結果を何の判断に使うのかが明確でなければ、どちらか1つを固定して再評価するほうが運用しやすくなります。


次の一手|PROMだけで腰痛評価を完結させない

RDQ・ODI・PSFSは、腰痛の状態を理解するための一部です。PROMで患者が感じている機能・生活上の問題を確認したら、必要に応じて痛み、神経学的所見、身体機能、心理社会的要因などと組み合わせて解釈します。

運動器領域でPROMをどのように位置づけるか迷う場合は、運動器PROMの選び方で全体像を確認できます。腰痛患者の評価をどの順番で進めるか確認したい場合は、腰痛評価の総論手順へ進んでください。


参考文献

  1. Roland M, Morris R. A study of the natural history of back pain. Part I: development of a reliable and sensitive measure of disability in low-back pain. Spine (Phila Pa 1976). 1983;8(2):141-144. doi:10.1097/00007632-198303000-00004.
  2. Fairbank JC, Couper J, Davies JB, O’Brien JP. The Oswestry low back pain disability questionnaire. Physiotherapy. 1980;66(8):271-273. PMID:6450426.
  3. Fairbank JC, Pynsent PB. The Oswestry Disability Index. Spine (Phila Pa 1976). 2000;25(22):2940-2952. doi:10.1097/00007632-200011150-00017.
  4. Chiarotto A, Maxwell LJ, Terwee CB, Wells GA, Tugwell P, Ostelo RW. Roland-Morris Disability Questionnaire and Oswestry Disability Index: which has better measurement properties for measuring physical functioning in nonspecific low back pain? A systematic review and meta-analysis. Phys Ther. 2016;96(10):1620-1637. doi:10.2522/ptj.20150420.
  5. Chiarotto A, Boers M, Deyo RA, et al. Core outcome measurement instruments for clinical trials in nonspecific low back pain. Pain. 2018;159(3):481-495. doi:10.1097/j.pain.0000000000001117.
  6. Nazari G, Bobos P, Lu S, Reischl S, Almeida PH, MacDermid JC. Psychometric properties of the Patient-Specific Functional Scale in patients with low back pathology: a systematic review and meta-analysis. Physiother Can. 2022;74(1):6-14. doi:10.3138/ptc-2020-0042.

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度など、医療従事者の実務に役立つ情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に、臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

運営者プロフィール / 編集・引用ポリシー / お問い合わせ