2026 リハの監査・指導対策|記録・同意・算定根拠の抜けを潰すチェックリスト
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令和 8 年度( 2026 )は、制度変更そのものよりも「運用の整合」と「説明できる記録」が問われやすい年です。リハの監査・指導で困るのは、知識不足よりも “現場が忙しくて抜けた” パターンで、特に同意・算定根拠・例外時(中止/短縮)の記録が弱点になりやすいです。
本記事では、監査・指導で指摘されやすいポイントを、部門で回せるチェックリストとして整理します。読み終えると「どこが弱いか」「何を残せば説明できるか」が 1 枚で見える状態になります。
現場の詰まりどころ(よくある指摘ポイント)
| 指摘につながる抜け | 典型シーン | 原因 | 最小の対策 |
|---|---|---|---|
| 算定根拠が薄い | 実施はしているが “必要性” が弱い | 評価→目標→介入の線が切れている | 根拠は 1 行(評価所見+生活課題)で固定 |
| 同意・説明の記録が不明確 | 初回・変更時にバタつく | 誰がいつ説明したか残っていない | 初回は “説明者・内容・時刻” を残す |
| 計画と実施が整合しない | 担当交代・転棟でズレる | 計画更新と実施記録が別運用 | 変更時は “理由+次回再評価” の 2 点 |
| 例外時(中止/短縮)が弱い | 急変・検査・疼痛で中止 | 「中止」だけで説明不能 | 例外時は “理由・時刻・次回” の 3 点 |
| 記録が散って提示できない | 多職種連携で情報が分断 | どこに何を残すか決まっていない | 証明の最小項目を “固定の場所” に集約 |
監査に強い記録の原則:証明できる “最小セット” を固定する
監査・指導は、文章量の多さよりも「一貫性」と「証明できる形」が重要です。おすすめは、次の 4 つを部門ルールとして固定することです。
- ①算定根拠:評価所見+生活課題を 1 行で残す
- ②同意・説明:説明者/内容/時刻(初回・変更時)
- ③整合:計画変更は理由+次回再評価
- ④例外:中止/短縮は理由+時刻+次回
算定根拠を 1 行で通す “型”
算定根拠は長文にしなくて大丈夫です。監査で伝わるのは、評価→目標→介入の線が見えるかどうかです。現場で迷わないよう、根拠の型を固定します。
| 場面 | 残すべき要素 | 弱い例 | 強い例(型) |
|---|---|---|---|
| 初回 | 評価所見+生活課題+目標 | 「歩行訓練を実施」 | 「下肢筋力低下+転倒歴あり → 屋内移動の安全確保を目標に介入」 |
| 変更時 | 変更理由+次回再評価 | 「内容変更」 | 「疼痛増で負荷調整、次回 NRS と歩行距離で再評価」 |
| 例外時 | 中止理由+時刻+次回 | 「中止」 | 「血圧低下で中止( 10:20 )、安静後に再開可否を判断」 |
同意・説明のチェック:初回と “変わった時” が勝負
同意・説明の抜けは、忙しい現場ほど起きます。特に初回と変更時(内容・頻度・リスクが変わる時)に “誰が何を説明したか” が残っていないと、後から整合が取れません。
| タイミング | チェック項目 | OK の目安 | NG の典型 | 最小の対策 |
|---|---|---|---|---|
| 初回 | 説明者・説明内容・時刻 | 1 行で残っている | 「説明済み」だけ | テンプレ文を固定 |
| 初回 | 主要リスク(転倒/循環など) | 注意事項が具体的 | 一般論のみ | 部門で注意項目を統一 |
| 変更時 | 変更理由と同意 | 理由+同意の記録 | 変更だけ記録 | 変更テンプレ(理由+次回) |
| 拒否・保留 | 理由と対応 | 経過が説明できる | 空欄 | 拒否時の型(理由/代替案) |
計画と実施の整合:変更は “ 2 点だけ” で十分強い
計画と実施がズレる原因は、変更が多いのに “変更の証拠” が残らないことです。変更時は、全てを書こうとせず、次の 2 点だけ固定します。
- 変更理由:安全・症状・環境など、変更せざるを得ない根拠
- 次回再評価:何で戻すか(数値や観察ポイント)
この 2 点が揃うと、担当交代があっても説明がブレません。
例外時(中止/短縮)の記録:理由・時刻・次回の 3 点
急変や検査で中止になった日は、実施内容より “なぜ中止か/いつか/次はどうするか” が重要です。ここが弱いと、あとから整合が取れません。
| 項目 | 残す内容 | 理由 | 書き方(例) |
|---|---|---|---|
| 理由 | 症状/検査/バイタルなど | 中止判断の根拠 | 「血圧低下/疼痛増/検査のため」 |
| 時刻 | 中止した時刻 | 経過説明に必須 | 「 10:20 に中止」 |
| 次回 | 再開条件/再評価 | 連続性の担保 | 「安静後に再開可否、次回も血圧で判断」 |
監査・指導対策チェックリスト(部門で回す最終版)
以下は、部門で毎週 5 分の点検に使えるチェック表です。“担当” の欄だけ、院内の体制に合わせて埋めてください。
| カテゴリ | チェック項目 | OK の目安 | NG の典型 | 担当(例) |
|---|---|---|---|---|
| 算定根拠 | 根拠が 1 行で説明できる(評価所見+生活課題) | 評価→目標→介入がつながる | 介入名だけ | 主担当 |
| 同意 | 初回の説明者・内容・時刻が残っている | 1 行で提示可能 | 「説明済み」だけ | 主担当 |
| 整合 | 変更時に理由+次回再評価の 2 点がある | 担当交代でも説明可能 | 変更だけ記載 | 主担当 |
| 例外 | 中止/短縮は理由・時刻・次回の 3 点 | 例外でも整合が取れる | 「中止」だけ | 実施者 |
| 提示 | 必要な記録が “固定の場所” に集約 | 探さず提示できる | 記録が散る | 管理担当 |
| 教育 | 新人向けに 10 分の記録ルールがある | 最初から同じ型 | 見て覚える | 教育係 |
| 改善 | 月 1 で “指摘に近いケース” を 1 件だけ振り返る | 原因→対策が 1 行で残る | 反省会で終わる | 部門 |
5 分で回す運用:週 1 点検の手順
- 週 1 で “抜け” を拾う(同意・例外時・変更の 3 つ)
- 原因を 1 行で言語化(例:担当交代で引継ぎ不十分)
- 是正を 1 つだけ決める(テンプレを追加、など)
- 翌週に再点検(改善が続いているか)
よくある質問(FAQ)
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
Q1. 記録は “量” を増やした方が監査に強いですか?
量より一貫性が重要です。算定根拠を 1 行で通せる型(評価所見+生活課題)と、変更時の 2 点(理由+次回再評価)、例外時の 3 点(理由・時刻・次回)を固定すると、短くても説明可能性が上がります。
Q2. 監査対策で一番弱くなりやすいのはどこ?
初回の同意・説明と、例外時(中止/短縮)の記録です。忙しい場面ほど抜けるので、テンプレ化して “ 1 行で残す” ルールにすると安定します。
Q3. 担当交代が多く、整合が崩れます。
変更時の記録を「理由+次回再評価」の 2 点に固定すると、引継ぎが短くても説明がブレません。加えて、同意・説明の記録場所を固定すると探す手間が減ります。
参考文献・一次情報
- Donabedian A. The quality of care. How can it be assessed? JAMA. 1988;260(12):1743-1748.
- Leape LL, Berwick DM. Five years after To Err Is Human: what have we learned? JAMA. 2005;293(19):2384-2390.
- Pronovost PJ, et al. An Intervention to Decrease Catheter-Related Bloodstream Infections in the ICU. N Engl J Med. 2006;355:2725-2732.
- 厚生労働省|診療報酬・医療機関等の指導監査(総合) (公式ページ)
- 地方厚生局(各局)|指導監査・診療報酬関連情報 (総合)
著者情報

rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下
おわりに
監査・指導対策は「根拠を 1 行で通す → 初回と変更時の同意を残す → 変更は 2 点 → 例外は 3 点」の順で型を作ると、忙しい現場でも崩れにくくなります。まずは “固定の場所に最小セットを集約する” ところから始めるのが最短です。
面談準備チェックと「職場評価シート」で、監査に強い運用ができる職場かどうかを見極めたい方は、こちらも合わせてどうぞ。

