- 感染対策の施設基準|2026年は「届出区分 → 要件 → 証拠」の順で確認
- 最初に区別する|一般の感染対策と「加算の施設基準」は同じではない
- 令和8年度の確認ポイント|自施設の届出区分から始める
- 5分点検フロー|届出区分 → 要件 → 証拠 → リハ部門の順で見る
- 要点早見表|要件を「証拠が出せる状態」まで落とす
- 研修は何回必要?|「年2回程度」と記録をセットで確認する
- 地域連携|回数だけでなく「参加・訓練・記録」を確認する
- 外来感染対策向上加算|受入体制・感染防止策・公表を確認する
- リハ部門では何を決める?|施設の感染対策を部門手順へ変換する
- Excel・PDF配布|感染対策 施設基準5分自己点検シート【令和8年度版】
- 自己点検後の進め方|「未達 → 担当 → 期限 → 再点検」まで決める
- よくある失敗|「やっている」から「確認できる」へ変える
- よくある質問
- 次の一手|研修を「計画」と「記録」までつなげる
- 参考資料
- 著者情報
感染対策の施設基準|2026年は「届出区分 → 要件 → 証拠」の順で確認
感染対策の施設基準を確認するときは、最初に自施設が感染対策向上加算1〜3・外来感染対策向上加算のどこに該当するかを確認し、その区分の最新通知と届出様式へ戻るのが基本です。PT・OT・STが実務で押さえたいのは、条文の暗記ではなく、体制・研修・連携・記録について「何が要件で、どの記録を証拠として残すか」を追える状態にすることです。
この記事では、令和8年度(2026年度)診療報酬改定後の情報を基に、感染対策向上加算1〜3・外来感染対策向上加算の確認順、5分点検フロー、リハ部門で確認したい実務項目を整理します。さらに、院内で編集できるExcel原本と、A4でそのまま使える印刷用PDFも用意しています。
施設基準全体から確認したい場合
最初に区別する|一般の感染対策と「加算の施設基準」は同じではない
感染対策を点検するときに最初に区別したいのは、病院等に求められる院内感染対策と、診療報酬上の感染対策向上加算・外来感染対策向上加算の施設基準です。
院内感染対策では、院内感染対策のための指針、委員会、職員研修、感染症の発生状況の把握と改善などを継続して回します。一方、感染対策向上加算1〜3や外来感染対策向上加算では、それぞれの区分に応じた施設基準と届出内容を確認する必要があります。
本記事で使う「体制・研修・記録」は、複数の確認項目を現場で整理しやすくするための実務上の分類です。厚生労働省が施設基準をこの3分類で定義しているという意味ではありません。
令和8年度の確認ポイント|自施設の届出区分から始める
令和8年度診療報酬改定後も、感染対策向上加算1〜3、外来感染対策向上加算は、それぞれの施設基準と届出内容を確認して運用します。自己点検を始める前に、まず自施設が実際に届け出ている区分を確認してください。
そのうえで、令和8年度の施設基準通知、届出様式、その後の訂正や疑義解釈を確認します。過去の年度に作成した院内チェックリストだけで判断すると、改定後に追加・変更された項目を取りこぼす可能性があります。
※スマホでは表を左右にスクロールできます。
| 確認区分 | 最初に見るもの | 確認の考え方 |
|---|---|---|
| 感染対策向上加算1 | 施設基準通知・届出様式 | 本体要件と、自施設が届け出る関連加算・体制を分けて確認する |
| 感染対策向上加算2 | 施設基準通知・届出様式 | 本体要件と地域連携・サーベイランス等の該当項目を確認する |
| 感染対策向上加算3 | 施設基準通知・届出様式 | 本体要件と地域連携・サーベイランス等の該当項目を確認する |
| 外来感染対策向上加算 | 施設基準通知・届出様式 | 受入体制、感染防止策、公表、地域連携などを確認する |
令和8年度改定では、感染対策向上加算1を届け出ている医療機関を対象として、微生物学的検査体制加算が新設されています。院内に微生物学的検査室を有することなどの施設基準が定められているため、感染対策向上加算1の施設では現行の届出様式まで確認してください。
5分点検フロー|届出区分 → 要件 → 証拠 → リハ部門の順で見る
監査や自己点検のたびにすべての資料を最初から読み直すのではなく、確認する順番を固定すると不足箇所を見つけやすくなります。
- 届出区分を確定する:感染対策向上加算1〜3、外来感染対策向上加算など、自施設が何を届け出ているか確認する
- 最新の公式資料を見る:令和8年度の施設基準通知、届出様式、疑義解釈を確認する
- 要件と証拠を対応させる:体制、研修、連携、記録などについて、何を確認資料とするか決める
- 不足項目を改善する:担当者、期限、対応内容、再点検日を決める
- リハ部門へ実装する:共有物品、患者動線、PPE、リハ提供方法などを院内方針と部門手順につなげる

要点早見表|要件を「証拠が出せる状態」まで落とす
施設基準の自己点検では、「実施している」だけでなく、どの資料を見れば実施状況を確認できるかまで決めておくと、次回の確認や担当者変更にも対応しやすくなります。
以下は実務上の整理であり、施設基準通知の全要件を置き換える表ではありません。
※スマホでは表を左右にスクロールできます。
| 領域 | 確認すること | 証拠として確認するもの | リハ部門で確認すること |
|---|---|---|---|
| 体制 | 指針、担当部門、委員会・チームの役割 | 最新版の指針、規程、役割表、議事録 | 感染対策担当への連絡経路 |
| 研修 | 定期研修が計画・実施されているか | 年間計画、開催記録、出席記録、研修内容 | PPE、標準予防策、共有物品など部門固有の教育 |
| 感染状況 | 発生状況を把握し、必要な改善につないでいるか | サーベイランス、ラウンド、改善記録、再評価 | 感染状況に応じた患者配置・提供方法の共有 |
| 地域連携 | 自施設の加算区分に必要な連携を行っているか | カンファレンス、訓練、相談・支援等の記録 | 必要な内容を部門手順へ反映できているか |
| 届出 | 現行の区分・関連加算を確認しているか | 届出書、添付様式、受理内容 | 部門に関係する変更点を共有しているか |
研修は何回必要?|「年2回程度」と記録をセットで確認する
病院等の院内感染対策では、病院全体に共通する院内感染に関する研修について、年2回程度、定期的に開催することが示されています。
自己点検では回数だけを見るのではなく、開催または受講日時・出席者・研修項目など、実施内容が記録から確認できるかまで見ます。「研修は実施したが、誰が参加したのか分からない」という状態を避けることが重要です。
年間の組み方まで整える場合は、感染対策研修の年間計画で確認してください。
地域連携|回数だけでなく「参加・訓練・記録」を確認する
感染対策向上加算では、自施設の届出区分によって地域の医療機関との連携要件が異なります。そのため、「感染対策の会議を実施している」という確認だけで終わらせず、自施設の区分で何が必要なのかを現行通知に戻って確認します。
実務では、カンファレンスや訓練について、開催日、参加施設、参加者、実施内容、院内へのフィードバックなどが後から追える状態にしておくと確認しやすくなります。
感染対策向上加算1〜3、外来感染対策向上加算では必要となる連携の内容が同一ではないため、別の区分のチェック項目をそのまま流用しないことも重要です。
外来感染対策向上加算|受入体制・感染防止策・公表を確認する
外来感染対策向上加算を確認する場合は、発熱その他感染症を疑わせる症状を呈する患者への対応体制や感染防止策など、自施設に求められる現行の施設基準を確認します。
自己点検では、単に「発熱患者を受け入れているか」だけでなく、どのように対応するかを院内で共有できているか、公表に関する要件をどの方法で満たしているかまで確認します。
公表方法を含む制度上の取扱いは、過去の解釈だけで固定せず、届出・更新時点の最新通知や疑義解釈で確認してください。
リハ部門では何を決める?|施設の感染対策を部門手順へ変換する
車椅子や訓練器具の清拭方法、PPEの選択、隔離患者へのリハ提供方法そのものが、すべて感染対策向上加算の施設基準に個別項目として列挙されているわけではありません。
これらは、施設として定めた感染対策をPT・OT・STが同じ考え方で実施できる部門手順へ落とすための実務項目として整理します。
- 共有物品:誰が、いつ、何を、どの方法で清拭するか
- 患者動線:隔離・ゾーニング時に訓練場所や移動経路をどうするか
- PPE:院内手順に沿って、患者・場面別に何を使用するか
- リハ提供方法:病室内実施、時間調整、器具の専用化などをどう選択するか
- 情報共有:感染対策部門からの変更を誰が部門へ周知するか
感染症の診断だけを理由に一律でリハを中止するのではなく、感染経路、患者の全身状態、必要な感染対策、院内方針を踏まえ、医師・看護師・感染対策部門と実施条件を共有できる状態にしておくことが大切です。
Excel・PDF配布|感染対策 施設基準5分自己点検シート【令和8年度版】
自己点検で起こりやすいのは、「対策はしているが、何を証拠として確認すればよいか分からない」という状態です。そこで、令和8年度の確認に合わせて感染対策 施設基準5分自己点検シート v4を作成しました。
ExcelとPDFは同じ自己点検項目を基にしています。院内で判定やメモを追記しながら運用する場合はExcel、紙で点検・共有する場合はPDFを使い分けてください。
このシートは厚生労働省の公式様式ではありません。自施設の届出区分、最新通知、届出様式、疑義解釈を確認するための自己点検用資料として使用してください。チェックシートだけで施設基準への適合を判断せず、最終的な届出・算定判断は院内担当部門と公式資料で確認してください。
自己点検後の進め方|「未達 → 担当 → 期限 → 再点検」まで決める
チェックシートで「要確認」が見つかった場合は、いきなり資料を作り直すのではなく、要件そのものが不足しているのか、証拠となる記録を確認できないのかを切り分けます。
- 不足項目を特定する:要件が未達なのか、記録が見つからないだけなのかを分ける
- 担当者を決める:感染対策部門、医事、各診療部門など、誰が確認・修正するか決める
- 期限を決める:対応期限を明確にして、監査直前まで残さない
- 証拠を整理する:更新した規程、研修記録、議事録、連携記録などを確認できる場所へまとめる
- 再点検する:改善後にもう一度確認し、対応しただけで終わらせない
よくある失敗|「やっている」から「確認できる」へ変える
感染対策の自己点検で詰まりやすいのは、対策そのものがない場合だけではありません。実施していても、最新版・担当者・記録場所が分からなければ、第三者が同じように確認できません。
※スマホでは表を左右にスクロールできます。
| よくあるNG | 起きること | OK | 残すもの |
|---|---|---|---|
| 旧年度の通知だけを見る | 改定後の要件や様式変更を見落とす | 令和8年度の通知・訂正・疑義解釈へ戻る | 確認日、参照資料、改訂履歴 |
| 加算区分を確認せず点検する | 不要な項目を確認し、必要な要件を落とす | 自施設の届出区分を最初に確定する | 届出書、受理内容 |
| 研修の開催回数だけ残す | 誰が何を受講したか追えない | 開催・参加・内容をセットで残す | 日時、出席者、研修項目 |
| 改善して終わる | 対策が有効だったか確認できない | 改善後の再点検日まで決める | 担当、期限、再点検結果 |
| リハ部門の運用が口頭のみ | 担当者が変わると運用が崩れる | 院内方針と部門手順を対応させる | 清拭、動線、PPE、共有方法 |
よくある質問
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。
感染対策の施設基準は、まず何から確認すればよいですか?
最初に自施設の届出区分を確認してください。感染対策向上加算1〜3、外来感染対策向上加算では確認する内容が異なります。その後に令和8年度の施設基準通知・届出様式を開き、要件と院内に残っている証拠を照合します。
「体制・研修・記録」の3本柱が正式な施設基準ですか?
いいえ。本記事での3本柱は、複数の確認項目を自己点検しやすくするための実務上の整理です。実際の施設基準は、自施設の届出区分に応じて最新の公式通知で確認してください。
院内感染対策の研修は年2回必要ですか?
病院等の院内感染対策では、病院全体に共通する院内感染に関する内容について年2回程度、定期的に研修を開催することが示されています。実施した日時、出席者、研修項目も記録します。
ExcelとPDFはどちらを使えばよいですか?
院内で判定やメモを追記しながら管理する場合はExcel、紙での点検や部門内で共有する場合はPDFが使いやすいです。同じ自己点検項目を基にしているため、運用方法に合わせて使い分けてください。
このチェックシートだけで施設基準を満たしていると判断できますか?
できません。このシートは公式様式ではなく、確認漏れを減らすための自己点検用資料です。最終的な届出・算定判断は、令和8年度の最新通知、届出様式、疑義解釈と院内担当部門で確認してください。
次の一手|研修を「計画」と「記録」までつなげる
施設基準の区分と不足項目を確認できたら、次は研修を年間計画と記録へ落とします。研修の回数だけを満たすのではなく、計画から実施・記録まで同じ流れで追える状態にすると、次回の自己点検が容易になります。
参考資料
- 厚生労働省.令和8年度診療報酬改定説明資料等について.2026.厚生労働省
- 厚生労働省.令和8年度診療報酬改定の概要 12.重点的な対応が求められる分野(がん・難病・感染症).2026.PDF
- 関東信越厚生局.基本診療料の届出一覧(令和8年度診療報酬改定).2026.地方厚生局
- 厚生労働省保険局医療課.疑義解釈資料の送付について(その1).2026 Mar 23.PDF
- 厚生労働省.院内感染対策について.厚生労働省
- 厚生労働省.院内感染の法規について.PDF
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。
現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。
保有資格
- 脳卒中認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター2級

