栄養スクリーニングの使い分け|6指標比較・配布PDF・GLIM

栄養・嚥下
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栄養スクリーニングの使い分け|対象・場面・取得情報で選ぶ

栄養スクリーニングは、対象者、診療場面、取得できる情報、陽性後の対応方法に合わせて選びます。主に成人入院患者ではNRS-2002、高齢者ではMNA-SF、成人の病院・施設・地域ではMUSTが候補になります。短時間での初期抽出にはMSTやSNAQを検討します。

GNRIは、血清アルブミンと体重情報から算出する栄養関連リスク指標です。NRS-2002などのスクリーニングツールや、GLIMによる低栄養診断と同じ位置づけではありません。

スクリーニングで栄養リスクが示された場合は、陽性だけで低栄養と診断せず、詳細な栄養評価へ進みます。本記事では、5つのスクリーニングツールとGNRIの違い、選び方、GLIMへの接続、記録方法、A4配布物3点を整理します。

栄養評価から介入・再評価までの順番を確認する


リハ栄養の全体像(5ステップ)を見る

この記事の結論

  • 成人入院患者ではNRS-2002を候補にする
  • 65歳以上の高齢者ではMNA-SFを候補にする
  • 成人の幅広い療養環境ではMUSTを候補にする
  • 短時間の初期抽出ではMST・SNAQを検討する
  • GNRIは血液検査値を用いる補助的なリスク指標として扱う
  • スクリーニング陽性後は詳細評価とGLIM診断へつなぐ

まず結論|対象・場面別の使い分け早見表

最初に対象者と診療場面を確認し、次に安定して取得できる情報と陽性後の運用を照合します。以下は候補を絞るための早見表であり、一律の指定ではありません。

栄養スクリーニングの選び方。成人入院患者はNRS-2002、65歳以上の高齢者はMNA-SF、成人の病院・施設・地域はMUSTを候補とし、短時間の初期抽出ではMST・SNAQ、血液検査を用いる補助指標としてGNRIを整理した図
対象・場面・取得できる情報から候補を選び、陽性後は詳細な栄養評価と介入へつなげます。
対象・場面別の栄養スクリーニング候補
対象・場面 候補 選択理由 採用前の確認
主に成人入院患者 NRS-2002 栄養状態の低下と疾患の重症度を組み合わせて確認する 初期・最終スクリーニング、年齢、再評価を含む正式手順
主に65歳以上の高齢者 MNA-SF 摂取量、体重減少、移動、心理・認知面などを確認する 対象年齢、公式様式、BMIまたは下腿周囲長の扱い
成人の病院・施設・地域 MUST BMI、意図しない体重減少、急性疾患影響からリスクを分類する 身体計測が難しい場合の代替手順と管理ガイド
短時間で成人を初期抽出 MST 意図しない体重減少と食欲低下を短時間で確認できる 対象集団での妥当性、情報源、陽性後の詳細評価
質問式で短時間に抽出 SNAQ 採用する質問票により、体重減少や食欲などを確認する 同じSNAQ略称を持つ別の質問票と混同しない
主に高齢者で血液検査値がある GNRI 血清アルブミンと現在体重・理想体重からリスクを算出する スクリーニングやGLIM診断の代用にせず、補助指標として解釈する

GNRIはほかの5ツールと同列に扱わない

NRS-2002、MNA-SF、MUST、MST、SNAQは栄養リスクを抽出するためのスクリーニングツールです。GNRIは血液検査値と体重情報を用いる栄養関連リスク指標であり、食事摂取量や体重経過、炎症、身体組成を含む評価を補助します。

栄養スクリーニングツールを選ぶ4つの判断軸

ツール名や使いやすさだけで決めず、対象者、診療場面、取得情報、陽性後の対応を順番に確認します。

1.対象者

成人全般か、高齢者か、入院患者かを確認します。年齢や診療場面が、各ツールの検証対象と合っているかを照合します。

2.診療場面

急性期病院、回復期・療養病棟、外来、施設、在宅など、自施設の場面で運用しやすいかを確認します。

3.取得できる情報

身長・体重、過去の体重、摂取量、食欲、疾患情報、血液検査値を安定して取得できるか確認します。

4.陽性後の対応

陽性者を誰が詳細評価し、どこへ共有し、どの条件で再評価するかまで決められるツールを選びます。

採点しやすさだけで選ばない

短時間で実施できても、陽性後の相談先や再評価方法が決まっていなければ運用は止まります。自施設で継続できることと、対象集団で妥当性が確認されていることの両方を確認してください。

5つのスクリーニングツールとGNRIを比較

各指標は、必要な情報、得意な対象、陽性後の対応が異なります。点数やカットオフだけでなく、何を拾い上げる設計かを確認します。

表は横方向にスクロールできます。

栄養スクリーニング5ツールとGNRIの比較
指標 位置づけ 主な対象 必要な情報 強み 注意点 次の対応
NRS-2002 スクリーニング 主に成人入院患者 BMI、体重減少、摂取量、疾患重症度、年齢 栄養状態と疾患負荷を組み合わせられる 初期・最終判定を含む正式手順を確認する 詳細評価、栄養介入、必要に応じてGLIMへ
MNA-SF スクリーニング 主に65歳以上の高齢者 摂取量、体重減少、移動、ストレス、神経心理学的問題、BMIまたは下腿周囲長 高齢者の身体・心理・生活面を短時間で確認できる 公式様式と採点基準を使用する 原因検索、詳細評価、支援計画へ
MUST スクリーニング 成人の病院・施設・地域 BMI、意図しない体重減少、急性疾患影響 療養環境をまたいで運用しやすく、管理ガイドを含む 身体計測が難しい場合の代替手順を確認する リスク区分に応じた対応と再評価へ
MST スクリーニング 成人の初期抽出 意図しない体重減少、食欲低下 質問数が少なく、短時間で実施しやすい 本人から回答を得にくい場合は情報源を明記する 管理栄養士を含む詳細な栄養評価へ
SNAQ スクリーニング 採用版が検証された対象集団 採用する質問票に応じた体重減少・食欲など 質問式で短時間に確認しやすい Short Nutritional Assessment Questionnaire、SNAQ65+、食欲質問票などを混同しない 採用版の手順に沿って詳細評価へ
GNRI 栄養関連リスク指標 主に高齢者 血清アルブミン、現在体重、理想体重 既存の検査・体重情報から定量的に算出できる 炎症、肝・腎機能、体液状態などの影響を考慮する 摂取量、身体計測、病態を含めて総合評価する

入院患者で迷う場合

疾患の重症度を含めて確認したい場合はNRS-2002、短時間で体重減少と食欲を確認したい場合はMSTが候補になります。施設の標準手順と対象集団での妥当性を優先します。

高齢者で迷う場合

摂取量、移動、心理・認知面まで含めて拾い上げたい場合はMNA-SFが候補です。GNRIは血液検査値を利用できますが、MNA-SFやGLIMを置き換えるものではありません。

スクリーニング陽性後はGLIMの表現型基準と病因基準を確認する

スクリーニング陽性は、低栄養リスクがあることを示す入口であり、低栄養の診断そのものではありません。検証済みのツールでリスクが示された後に、詳細な栄養評価とGLIM基準の確認へ進みます。

表現型基準

  • 意図しない体重減少
  • 低BMI
  • 筋肉量減少

病因基準

  • 食事摂取量減少または消化吸収能低下
  • 疾患による負荷または炎症反応

GLIMによる低栄養診断には、表現型基準を1項目以上、病因基準を1項目以上満たすことが必要です。低栄養と診断した後の重症度は、表現型基準を用いて判定します。

GLIMの診断手順、表現型基準、病因基準、重症度判定は、GLIMによる低栄養の分類と診断基準で詳しく解説しています。

低栄養リスク評価の流れ。対象と場面に合わせたツール選択、スクリーニング、GLIM評価、介入・共有・再評価の4段階
低栄養リスク評価は、ツール選択、スクリーニング、GLIMによる診断、介入・共有・再評価へつなげます。

注意:スクリーニングツールを複数実施して陽性を確認し直すことが、詳細評価の代わりになるわけではありません。陽性後は体重変化、摂取量、身体組成、炎症・疾患負荷などを評価し、診断と介入へ進みます。

A4配布物|選択・記録・GLIM確認に使える3点

配布物は、ツールを選ぶ、結果を記録する、GLIMの表現型情報を整理するという3つの用途に分かれています。配布物だけで診断を完了させず、正式なツールと施設の運用手順を併用してください。

最初に使う

栄養スクリーニング使い分け早見表

対象者や診療場面から、候補となるスクリーニングツールを整理するための資料です。


PDFを開く:使い分け早見表

PDFプレビューを開く

プレビューできない場合は、使い分け早見表を開くから確認してください。

実施後に使う

栄養スクリーニング共通記録シート

使用したツール、結果、次の対応、再評価予定を共通書式で残すための資料です。


PDFを開く:共通記録シート

PDFプレビューを開く

プレビューできない場合は、共通記録シートを開くから確認してください。

陽性後に使う

GLIMクイック計算

体重減少率、BMI、FFMIを整理し、GLIMの表現型情報を確認するための計算補助資料です。


PDFを開く:GLIMクイック計算

PDFプレビューを開く

プレビューできない場合は、GLIMクイック計算を開くから確認してください。

GLIMクイック計算だけでは診断できません。表現型基準の整理に加えて、食事摂取量減少・消化吸収能低下、疾患負荷・炎症反応などの病因基準を確認してください。

現場では「選ぶ・記録する・つなぐ」の3ステップで運用する

スクリーニングは、得点を付けるだけでなく、陽性後の詳細評価と介入へつながって初めて機能します。

  1. 対象と場面に合うツールを選ぶ
    対象年齢、診療場面、測定環境、実施者、既存手順を確認し、施設内の標準ツールを決めます。
  2. 結果と判断根拠を記録する
    ツール名、実施日、得点またはリスク区分、体重変化、摂取状況、情報源、次の対応を残します。
  3. 陽性後の評価・介入へつなぐ
    詳細な栄養評価、GLIM基準の確認、多職種への共有、介入計画、再評価条件の設定へ進みます。

共通して記録したい項目

栄養スクリーニングの共通記録項目
記録項目 記録内容
実施情報 実施日、ツール名、得点またはリスク区分、実施者
身体計測 現在体重、過去の体重、体重減少の期間、BMIなど
摂取状況 食事摂取量、食欲、食形態、経口以外の栄養補給
病態 炎症、疾患負荷、消化吸収障害、急性変化
次の対応 相談先、詳細評価、介入担当者、再評価予定または再評価条件
情報源 本人、家族、診療録、看護・介護記録、食事記録など

再評価を一律の日数に固定しない

再評価時期は、採用ツールの管理手順、初回リスク、病態変化、摂取量、体重変化、介入内容、診療場面に合わせて設定します。急な摂取量低下や全身状態の変化がある場合は、予定日を待たずに再評価します。

実施者、記録項目、共有先、再評価条件を施設内で統一する方法は、栄養スクリーニング運用プロトコルで整理しています。

栄養スクリーニングの使い分けでよくある失敗

ツール選択・運用の失敗と対策
よくある失敗 問題点 対策
有名なツールをそのまま採用する 対象者や診療場面が検証対象と一致しない可能性がある 対象・場面・取得情報・陽性後対応を確認する
GNRIをほかのスクリーニングと同じ扱いにする 摂取量や生活状況を拾えず、アルブミンへの影響要因も残る 補助指標として使い、身体計測・摂取状況・病態を確認する
陽性だけで低栄養と診断する スクリーニングと診断が混同される 詳細評価とGLIMの表現型・病因基準を確認する
別のスクリーニングを重ねるだけで終える 原因評価や介入へ進まない 陽性後は体重、摂取量、身体組成、病態を詳しく評価する
得点だけを記録する 次の担当者と対応が不明になる 情報源、判断根拠、共有先、再評価条件を記録する
SNAQの正式名称を記録しない 異なる質問票やカットオフが混在する 正式名称、版、使用様式を施設内で統一する

栄養スクリーニングのよくある質問

各質問をタップすると回答が開きます。

NRS-2002とMNA-SFはどう使い分けますか?
NRS-2002は主に成人入院患者、MNA-SFは主に65歳以上の高齢者で候補になります。ただし、年齢や診療場面だけで決めず、取得できる情報、対象集団での妥当性、陽性後の施設運用を含めて選択します。
MUSTとMSTの違いは何ですか?
MUSTはBMI、意図しない体重減少、急性疾患影響を用い、管理ガイドまで含むツールです。MSTは意図しない体重減少と食欲低下を中心に、短時間で初期抽出しやすい点が特徴です。
スクリーニング陽性だけで低栄養と診断できますか?
できません。スクリーニングは低栄養リスクを抽出する入口です。陽性後は詳細な栄養評価へ進み、GLIMを使用する場合は表現型基準と病因基準をそれぞれ1項目以上満たすか確認します。
GNRIは栄養スクリーニングの代わりになりますか?
GNRIは血清アルブミンと体重情報を用いる栄養関連リスク指標です。リスク層別を補助しますが、食事摂取量の評価、検証済みのスクリーニングツール、GLIMによる低栄養診断をそのまま代替するものではありません。
SNAQはどの質問票を使えばよいですか?
SNAQという略称には、入院患者向けのShort Nutritional Assessment Questionnaire、地域高齢者向けのSNAQ65+、食欲を評価するSimplified Nutritional Appetite Questionnaireなどがあります。対象集団で検証された正式版を選び、名称と版を記録してください。
再評価は何日後に行いますか?
一律の日数では決めません。採用ツールの管理手順、リスク区分、病態変化、食事摂取量、体重変化、介入内容、自施設の運用基準に合わせます。状態が変化した場合は予定を待たずに再評価します。

まとめ|対象・場面・取得情報・陽性後対応で選ぶ

栄養スクリーニングは、すべての対象者へ同じツールを使用するのではなく、対象者、診療場面、取得できる情報、陽性後の対応方法を確認して選びます。

主に成人入院患者ではNRS-2002、高齢者ではMNA-SF、成人の幅広い療養環境ではMUSTが候補です。MSTやSNAQは短時間での初期抽出に利用できますが、採用する版と検証対象を確認してください。GNRIは、血液検査値を用いる補助的な栄養関連リスク指標として解釈します。

スクリーニング陽性後は、別のスクリーニングを重ねるだけで終わらず、詳細な栄養評価、GLIMの表現型・病因基準、多職種への共有、介入、再評価へつなげます。

参考文献・公式資料

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    PubMed

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

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