PDASの評価方法|20項目の採点・解釈と再評価

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PDASの評価方法|20項目の採点と再評価の進め方

結論:PDAS(Pain Disability Assessment Scale/疼痛生活障害評価尺度)は、慢性疼痛によって日常生活がどの程度妨げられているかを評価する自己記入式尺度です。過去1週間の生活を振り返り、20項目を各0〜3点で回答して、合計0〜60点で評価します。高得点ほど生活障害が大きいと解釈しますが、合計点だけでなく、得点が高かった活動と前回からの変化を確認することが重要です。

PDASは痛みの強さそのものを測る尺度ではありません。痛みにより、移動、身の回り動作、家事、仕事、余暇などがどの程度妨げられているかを整理する尺度です。本記事では、PDASの評価方法、採点、記録、再評価時の見方をまとめます。

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PDAS記録シート(PDF)

PDASの合計点、高得点項目、回答条件、前回からの変化を記録できるA4・1枚のシートです。尺度の設問本文は収載せず、スコアと根拠メモを残す運用にしています。

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PDASの基本仕様

PDASでは、過去1週間に痛みが生活活動をどの程度妨げたかを、20項目で評価します。再評価で比較するためには、項目数や採点方法だけでなく、回答期間と説明方法をそろえることが重要です。

PDASの基本仕様
確認項目 内容
評価対象 慢性疼痛による日常生活への支障
回答形式 患者本人が回答する自己記入式
評価期間 過去1週間
項目数 20項目
採点 各項目0〜3点
合計点 0〜60点。高得点ほど痛みによる生活障害が大きい
主な用途 生活障害の把握、目標設定、経時変化の確認

PDASは、痛みの部位や疾患名だけで評価対象を決めるのではなく、痛みによって実際の生活が妨げられている患者に使用します。痛みの強さを測るNRSやVASとは評価している側面が異なります。

PDASの評価手順

評価は、回答条件の確認、自己記入、未回答の確認、採点の順に進めます。実施者が回答を誘導せず、前回と同じ条件で回答できるように説明をそろえます。

PDAS評価の進め方。過去1週間を振り返り、20項目を0〜3点で回答し、合計点と高得点項目を確認して行動目標と再評価につなげる流れ
PDASは、合計点だけでなく高得点項目を確認し、具体的な行動目標と同じ条件での再評価につなげます。
  1. 評価目的を説明する:痛みの強さではなく、過去1週間の生活への影響を確認する尺度であることを伝えます。
  2. 回答期間をそろえる:「過去1週間の生活を振り返って回答してください」と説明します。
  3. 患者本人に回答してもらう:回答を誘導せず、各活動が痛みによってどの程度妨げられたかを選んでもらいます。
  4. 未回答を確認する:空欄がある場合は、見落とし、理解の難しさ、活動機会がなかったなどの理由を確認します。
  5. 合計点を算出する:20項目の得点を合計し、0〜60点で記録します。
  6. 高得点項目を確認する:合計点に加えて、得点が高かった活動と患者が改善を希望する活動を確認します。

評価時の声かけ例:
「痛みの強さだけでなく、過去1週間に痛みが生活をどの程度妨げたかを確認します。普段の生活を思い出しながら回答してください」

PDASの採点方法

各項目は0〜3点で採点し、20項目の得点を合計します。合計点は0〜60点で、高いほど痛みによる生活障害が大きいと解釈します。

PDASの採点と記録で確認する内容
確認内容 記録方法
合計点 20項目の合計を0〜60点で記録する
高得点項目 得点が高かった活動を2〜3項目記録する
回答日 再評価時に評価間隔が分かるよう日付を記録する
特別な出来事 体調不良、旅行、行事、仕事量の変化などを短く記録する
未回答 未回答項目と、その理由を記録する

臨床研究では、10点を生活障害の有無を分ける目安として扱った報告があります。ただし、10点だけで治療適応や重症度を決定するものではありません。対象疾患、生活状況、初回得点、高得点項目、他の評価結果を合わせて解釈します。

結果の解釈|合計点と高得点項目を分けて読む

PDASの合計点は生活障害の全体量を示しますが、介入内容を決めるには高得点項目の確認が必要です。同じ合計点でも、妨げられている活動が違えば、優先する支援や目標も変わります。

  • 合計点:痛みによる生活障害の全体的な大きさを確認する
  • 高得点項目:患者が困っている具体的な活動を確認する
  • 患者の優先度:得点が高い活動のうち、どの活動から改善したいかを確認する
  • 他尺度との関係:痛みの強さ、心理面、部位特異的な障害との整合性を確認する

たとえば、痛みの強さが高くてもPDASが低い場合は、痛みがありながら生活活動を維持できている可能性があります。一方、痛みの強さが比較的低くてもPDASが高い場合は、活動回避、環境、役割負担、心理社会的要因なども含めて確認する必要があります。

この関係だけで原因を断定することはできません。PDASは、追加で確認すべき問題を見つけるための入口として使用します。

高得点項目を行動目標へつなげる

高得点項目は、そのまま介入目標にするのではなく、患者が実際に戻したい活動へ置き換えます。評価項目、生活場面、達成条件を分けると、多職種間でも共有しやすくなります。

PDASの結果を行動目標へつなげる例
確認する内容 具体化する質問
困っている活動 どの場面で最も支障を感じていますか
患者の優先度 最初に改善したい活動はどれですか
現在の実施量 現在は何分、何回、どの距離までできますか
目標 何を、どの程度、いつまでに行える状態を目指しますか
次回確認 得点だけでなく、活動量や実施状況に変化があったか確認する

「PDASを何点下げるか」だけでなく、「買い物へ行ける」「家事を再開できる」「休憩しながら通勤できる」など、本人にとって意味のある活動を併記します。

再評価の方法

再評価では、初回と同じ回答期間と説明方法を使い、合計点、高得点項目、実際の活動状況を比較します。評価間隔はPDASだけで一律に決めず、介入内容、通院頻度、目標の期間に合わせて事前に設定します。

  1. 条件を確認する:過去1週間を対象とし、初回と同じ説明で回答してもらいます。
  2. 合計点を比較する:前回から増加したか、低下したかを確認します。
  3. 項目別の変化を見る:改善した活動、変わらない活動、新たに支障が生じた活動を確認します。
  4. 実際の行動と照合する:歩行時間、外出頻度、家事量、勤務状況などの変化を確認します。
  5. 介入方針を調整する:目標を継続するか、負荷や環境を調整するか、新しい課題へ移るかを決めます。

痛みの強さが大きく変わらなくても、PDASが低下し、実際の活動範囲が広がっていれば、生活障害は改善している可能性があります。反対に、痛みの強さが軽減してもPDASや活動状況が変わらない場合は、生活上の障壁や活動回避などを再確認します。

PDASで比較できなくなる主な原因

PDASの再評価で最も避けたいのは、前回と回答条件が変わり、点数差の意味が分からなくなることです。次の4点を記録しておくと、変化を解釈しやすくなります。

PDASの比較を難しくする原因と対応
よくある問題 解釈への影響 対応
評価期間がそろっていない 異なる期間の生活状況を比較することになる 毎回「過去1週間」で統一する
特別な出来事を記録していない 一時的な活動量の変化を治療効果と誤認しやすい 体調不良、旅行、行事、仕事量などを短く記録する
未回答がある 合計点を前回と単純比較できない 未回答項目と理由を確認し、合計点の扱いを明記する
合計点だけを記録する どの生活活動が変化したか分からない 高得点項目と患者が優先する活動を併記する
説明方法が毎回違う 回答基準が変化する可能性がある 評価目的と回答期間の説明を統一する

PDASと組み合わせる評価

PDASは生活障害を評価する尺度であり、痛みの強さ、痛みの性質、心理面、疾患特異的な障害を単独で評価するものではありません。必要な評価を目的別に追加します。

  • 痛みの強さ:NRSやVAS
  • 痛みによる干渉:BPI
  • 破局化思考:PCS
  • 痛みに対する自己効力感:PSEQ
  • 腰痛に特異的な生活障害:RDQ
  • 役割や社会生活を含む生活障害:PDI

すべての尺度を一律に実施する必要はありません。PDASだけでは答えられない臨床上の疑問を明確にし、その疑問に対応する尺度を追加します。

PDASを使用するときの注意点

  • 診断尺度ではない:PDASの得点だけで疼痛疾患や原因を診断することはできません。
  • 10点を絶対基準にしない:対象、初回得点、評価目的、他の所見を合わせて判断します。
  • 活動機会を確認する:実施していない活動については、痛みでできなかったのか、もともと機会がなかったのかを区別します。
  • 自己記入の負担を確認する:視力、認知機能、言語理解、疲労などにより回答が難しい場合は、実施可能性を再検討します。
  • 疾患による違いを考慮する:PDASの変化が痛みの改善と同じように表れない対象もあるため、疾患特異的尺度や実際の行動指標を併用します。
  • 設問本文の取り扱いを確認する:尺度の使用条件や正式な評価票については、原著や正規資料を確認します。

PDASに関するよくある質問

質問をタップすると回答が開きます。

PDASは何を評価する尺度ですか?

PDASは、慢性疼痛によって日常生活の活動がどの程度妨げられているかを評価する尺度です。痛みの強さそのものではなく、移動、身の回り動作、家事、仕事、余暇などへの影響を評価します。

PDASは何項目で、何点満点ですか?

20項目で構成され、各項目を0〜3点で回答します。合計は0〜60点で、高得点ほど痛みによる生活障害が大きいと解釈します。

PDASの10点以上はどのように扱いますか?

10点は生活障害を区別する目安として使用された報告がありますが、すべての患者に共通する診断基準ではありません。初回得点、高得点項目、経時変化、実際の活動状況、他尺度の結果を合わせて判断します。

PDASはどのくらいの間隔で再評価しますか?

PDASだけで決められた一律の再評価間隔はありません。通院頻度、介入内容、目標期間に合わせて再評価日を設定し、初回と同じ「過去1週間」という条件で比較します。

PDASとPDI、RDQはどう使い分けますか?

PDASは慢性疼痛による日常活動への影響、PDIは家庭・仕事・社会生活などの役割を含む障害、RDQは腰痛による生活障害を評価する尺度です。対象疾患と、評価によって明らかにしたい問題に合わせて選択します。

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参考文献

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  2. Yamashiro K, Arimura T, Iwaki R, et al. A multidimensional measure of pain interference: reliability and validity of the Pain Disability Assessment Scale. Clin J Pain. 2011;27(4):338–343. DOI
  3. Takahashi N, Takatsuki K, Kasahara S, et al. Multidisciplinary pain management program for patients with chronic musculoskeletal pain in Japan: a cohort study. J Pain Res. 2019;12:2563–2576. DOI
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  6. Yamada K, Kubota Y, Shimizu Y, et al. Reliability and validity of the Japanese version of the Pain Disability Index. PLOS ONE. 2022;17(9):e0274445. DOI

著者情報

rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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