採寸の基準値(すぐ使える目安)
- 座幅(W):大腿最大幅+指1本(≈1.5cm)~指2本(≈3cm)
- 座奥行(D):殿部‐膝窩長 − 2~3cm(膝窩圧・前滑りを防ぐ)
- 前/後座高:踵高+靴+フットレスト厚を加味。前>後の軽い前下がりで骨盤後傾を抑制
- クッション厚:骨突起の底付き回避+移乗動線。厚さを増やすほど前滑りリスクに注意
※個別の疾患・拘縮・装具の有無で調整。最終は試適+再評価で決定。
不適合のサイン → 対処表
| サイン | 想定原因 | 即時対処(優先順) |
|---|---|---|
| 前滑り | 後傾・座面前上がり不足・表面摩擦低 | 後座高↓or前座高↑/ウェッジ追加/骨盤支持UP/表面摩擦高いカバー |
| 左右傾き | 骨盤側傾・座面たわみ | 座面平面化ボード/片側ウェッジ/骨盤パッドで中立へ |
| 一点高圧(坐骨・尾骨) | 厚み不足・底付き・沈み込み偏位 | 厚み/構造の再選定(エア/ジェル/ハイブリッド)/空気量見直し |
| 股/腰部痛の増悪 | 奥行過大/過小・前傾過多・支持点の不一致 | 奥行再測/前後座高再設定/骨盤・大腿の支持線を合わせる |
対象別の第一選択(実務ショートカット)
- 褥瘡ハイリスク+自力除圧困難:空気セル or 流動体系で分散最優先 → 骨盤支持は背・側方で補強
- 骨盤後傾・前滑りが顕著:フォーム(ウェッジ/骨盤支持強)→ 沈み過ぎを抑え安定優先
- 軽量・持ち運び重視:フォーム薄型 → 痛み/発赤の再評価を短めに設定
- 「双方必要」ケース:ハイブリッド(分散×制御)→ 調整・重量・価格の許容を確認
HowTo:空気セルの基本調整(目安)
- 座位で仙骨・坐骨が底付きしていないかを触診
- 空気を少しずつ抜いて骨盤が“浮かない”最低量に近づける
- 指2本が沈む程度を目安に微調整(過不足は前滑りや一点高圧の原因)
※製品ごとの推奨手順が最優先。利用者/介助者にも日々の点検を教育。
再評価の間隔と指標
- 導入直後:1~2週(姿勢・皮膚・主観痛の三点セット)
- 安定後:1~3ヶ月ごと(フォームのへたり/体重変動/環境変化を確認)
- 指標:前滑りの有無/骨盤傾斜の中立性/発赤の有無/座圧(可能なら平均・ピーク・面積)


