褥瘡リスク評価スケールの比較・使い分け|PDF早見表付き

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褥瘡リスクアセスメントスケールは「標準評価+必要な補助評価」で使い分けます

褥瘡リスクアセスメントスケールは、褥瘡発生につながる危険因子を整理し、予防計画へつなげるための評価ツールです。代表的なものには、Bradenスケール、Nortonスケール、Waterlowスケール、K式スケール、OHスケールなどがあります。

実務では、特定のスケールがすべての患者や施設に最適とは限りません。まずは自施設で標準化されたスケールを使用し、拘縮・骨突出などの局所リスク、診療計画上の確認項目、在宅環境など、標準評価で不足する情報を補助ツールで確認します。

また、スコアだけで予防方法を決めるのではなく、皮膚所見、自力での体位変換能力、活動性、湿潤、栄養、支持面、疼痛、本人の耐容性を統合して介入を計画することが重要です。

この記事の結論
施設の標準スケールを基本とし、局所リスク・診療計画・在宅環境を必要に応じて補います。評価後は、点数ではなく確認された危険因子を具体的な予防計画へ翻訳することが大切です。

褥瘡リスク評価ツールの選び方

結論:最初に確認するのは「どのスケールが有名か」ではなく、自施設で標準化され、継続して同じ条件で評価できるかです。そのうえで、標準スケールだけでは捉えにくい情報を補助評価で追加します。

評価ツールを症例ごとに無秩序に変えると、前回との比較や職種間の共有が難しくなります。基本となる評価は統一し、補助ツールを使う目的を明確にしておくと運用が安定します。

褥瘡リスク評価ツールを選ぶときの基本整理
確認したい内容 評価の位置づけ 代表的なツール 評価後に確認すること
全身の褥瘡リスク 施設の標準評価として使用 Braden、Norton、Waterlow、K式など どの危険因子が低下しているか
拘縮・骨突出・局所リスク 全身評価を補う OHスケール、局所の皮膚・姿勢評価 危険部位、姿勢、ずれ、疼痛
診療計画・要件確認 危険因子と計画を共有する 褥瘡に関する危険因子評価票 該当項目をケア計画へ反映したか
在宅環境・介護力 生活環境を含めて補足する 在宅系ツール、在宅版の評価 寝具、車いす、介護力、座位時間
褥瘡リスク評価ツールの選び方。自施設の標準スケールを基本に、局所リスク、診療計画、在宅環境を補助評価し、ケア計画と再評価につなげる
図:自施設の標準スケールを基本に、目的に応じた補助評価を追加し、ケア計画と再評価へつなげます。

代表的な褥瘡リスクアセスメントスケールの比較

結論:各スケールには、評価項目、得意な対象、評価に必要な情報が異なります。名称だけで選ぶのではなく、自施設の患者特性、評価者教育、再評価方法、予防計画との連動まで含めて選択します。

スケールは褥瘡発生を完全に予測するものではありません。危険因子を見落としにくくし、評価者間で観察項目を共有するための補助として使用します。

褥瘡リスクアセスメントスケールの特徴と使い分け
スケール 主な評価内容 特徴 活用しやすい場面 使用時の注意
Bradenスケール 知覚、湿潤、活動性、可動性、栄養、摩擦・ずれ 危険因子を項目別に把握しやすい 入院患者の初回評価・継続評価 合計点だけでなく、低下している下位項目を確認する
Nortonスケール 全身状態、精神状態、活動性、可動性、失禁 項目が比較的少なく、短時間で確認しやすい 簡便な初期スクリーニング 局所リスクや詳細な危険因子は別に確認する
Waterlowスケール 体格、皮膚、年齢、性別、失禁、可動性、食事、疾患など 幅広い危険因子を確認できる 複数の全身的危険因子を整理したい場面 項目数が多いため、評価方法の統一が必要
K式スケール 前段階要因と褥瘡発生の引き金となる要因 高齢者にみられる危険因子や状態変化を整理しやすい 高齢入院患者、療養・介護領域 発熱や手術などの変化を多職種で共有する
OHスケール 自力体位変換、病的骨突出、浮腫、関節拘縮など 高齢者や長期臥床者の局所的な危険因子を捉えやすい 骨突出、拘縮、局所圧迫が問題となる症例 点数だけでなく、危険部位と姿勢を具体的に記録する
危険因子評価票 自力体位変換、座位保持・除圧、骨突出、拘縮、栄養、湿潤、浮腫など 褥瘡対策に関する診療計画と結び付けやすい 入院時の確認、診療計画、院内共有 該当の有無だけで終わらず、具体的な計画を立てる
在宅系ツール 活動性、栄養、寝具、介護力、生活環境など 病院外の生活条件を含めて評価できる 在宅、施設、訪問リハビリテーション 使用するツールと判定方法をチーム内で統一する

Bradenスケールは下位項目から介入を考えます

Bradenスケールは、褥瘡リスク評価で広く知られているスケールです。次の6項目から構成され、一般に合計点が低いほど褥瘡発生リスクが高いと判断します。

  • 知覚の認知
  • 湿潤
  • 活動性
  • 可動性
  • 栄養状態
  • 摩擦とずれ

実務上は、合計点だけで「高リスク」と記録するのではなく、どの下位項目が低下しているかを確認します。

Bradenスケールの下位項目から考える予防計画の例
低下している項目 確認する内容 計画へつなげる視点
知覚の認知 痛みや不快感を伝えられるか 定期的な皮膚観察、介助による除圧
湿潤 失禁、発汗、浸出液、皮膚の湿潤 失禁ケア、皮膚保護、寝衣・寝具の調整
活動性・可動性 離床状況、自力体位変換、姿勢保持 体位変換、離床、運動、支持面の検討
栄養状態 摂取量、体重変化、栄養評価 管理栄養士を含めた栄養管理
摩擦・ずれ ベッド上移動、前滑り、移乗方法 移動方法、ポジショニング、シーティングの修正

全身スコアだけでは局所リスクを見落とすことがあります

結論:褥瘡は全身的なリスクだけでなく、特定部位に加わる圧力やずれによって発生します。全身スコアが大きく変化していなくても、姿勢や拘縮によって局所リスクが高まることがあります。

特に、以下のような症例では、全身スケールに加えて局所評価を行います。

  • 骨突出が著明である
  • 股関節や膝関節に拘縮がある
  • 円背や側弯が強い
  • ベッド上で同じ姿勢が続く
  • 車いすで前滑りや傾きが生じる
  • 疼痛により体位変換が制限される
  • 装具や医療機器が皮膚へ接触している

記録では、「骨突出あり」だけで終わらせず、部位、姿勢、皮膚所見、疼痛、ずれが生じる動作を短く残すと、ポジショニングや支持面の検討につながります。

評価から予防計画へつなげる5つの手順

結論:褥瘡リスク評価は、採点後に危険因子を具体化し、皮膚所見と照合して予防計画へ反映するまでが一連の流れです。

  1. 施設の標準スケールで評価する:入院時・利用開始時など、定められた条件で評価します。
  2. 低下項目と危険因子を特定する:動けない、湿潤、ずれ、栄養低下など、優先して対応する要因を整理します。
  3. 皮膚と姿勢を直接確認する:仙骨、踵、坐骨、大転子などの皮膚所見と、臥位・座位姿勢を確認します。
  4. 個別の予防計画を立てる:支持面、体位変換、除圧、湿潤管理、栄養、活動・リハビリテーションを組み合わせます。
  5. 再評価して計画を調整する:状態変化や皮膚所見に応じて、評価と予防計画を更新します。

注意:スケールによるリスク区分だけで、体位変換間隔や栄養内容を一律に決定することはできません。本人の状態、皮膚・組織の反応、使用している支持面、自力での体位変換能力、疼痛、睡眠、治療内容などを踏まえて個別に計画します。

評価結果を5つの予防領域へ反映します

評価後は、確認された危険因子を次の5領域へ振り分けると、スコアだけで記録が終わることを防げます。

褥瘡リスク評価後に検討する5つの予防領域
予防領域 確認する内容 計画例
支持面 マットレス、クッション、踵部の支持状態 体圧分散性能と患者の状態を踏まえて選択する
体位変換・除圧 自力体位変換、臥位、座位時間、除圧能力 個別の体位変換・除圧計画を作成する
皮膚・湿潤管理 失禁、発汗、浸出液、乾燥、皮膚障害 洗浄、保湿、皮膚保護、失禁ケアを調整する
栄養管理 食事摂取量、体重変化、低栄養リスク 栄養評価を行い、必要時に多職種で介入する
活動・リハビリテーション 離床、移乗、座位、歩行、関節可動域 安全な活動、姿勢調整、動作方法を検討する

体位変換は固定時間ではなく個別計画で決めます

結論:体位変換は、すべての患者に同じ間隔を適用するのではなく、個別評価に基づいて計画します。

体位変換の頻度や方法を検討するときは、次の項目を確認します。

  • 自力で体位を変えられるか
  • 皮膚の発赤や圧痕が残っていないか
  • 使用しているマットレスやクッション
  • 骨突出、拘縮、浮腫の有無
  • 疼痛や呼吸状態への影響
  • 睡眠や安静が妨げられていないか
  • 現在の体位変換後に皮膚・組織が回復しているか

介助による体位変換だけでなく、自力で行える小さな姿勢調整、離床、座位での重心移動なども含めて考えます。計画後は皮膚所見と本人の耐容性を確認し、必要に応じて方法や間隔を変更します。

再評価は「予定日」と「状態変化時」の両方で行います

結論:褥瘡リスクは、病状、活動量、食事摂取量、失禁、医療機器、介護力などによって変化します。初回評価だけで終わらず、自施設の手順に沿った定期評価と、状態変化時の臨時評価を組み合わせます。

褥瘡リスクを再評価する主なタイミング
タイミング 確認する理由
入院・利用開始時 初期の危険因子と必要な予防策を把握するため
施設で定めた定期評価日 前回からの変化と予防計画の妥当性を確認するため
活動性・可動性が低下したとき 自力体位変換や除圧能力が変化するため
発熱・手術・全身状態悪化時 循環、発汗、安静度、栄養摂取が変化するため
食事量低下・体重減少時 栄養状態の悪化が疑われるため
失禁・湿潤が増えたとき 皮膚障害の危険性が高まるため
発赤・水疱・皮膚損傷を認めたとき 現在の支持面や除圧方法を早急に見直すため
退院・退所・在宅移行前 生活環境と介護力に合わせた計画へ変更するため

配布PDF(A4)|早見表・共通記録・体位変換計画

褥瘡リスク評価を、採点だけで終わらせず、危険因子の整理、予防計画、再評価まで同じ流れで記録できるA4 PDFを3点用意しています。

最初に使い分け早見表で施設内の基本ルールを確認し、共通記録シートと体位変換・除圧計画を症例ごとの記録に活用してください。

配布PDF一覧
配布物 使う場面 主な目的
使い分け早見表 導入・教育・院内ルールの確認 評価ツールの位置づけを整理する
共通記録シート 初回評価・予防計画・再評価 危険因子と介入内容を1枚にまとめる
体位変換・除圧計画 体位変換、除圧、皮膚観察の共有 個別の計画と見直し条件を記録する

使い分け早見表(A4)

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共通記録シート(A4)

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体位変換・除圧計画(A4)

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共通記録は「点数・主因・計画・再評価日」をセットにします

結論:記録ではスケール名と合計点だけでなく、対応が必要な危険因子、重点観察部位、実施する予防策、再評価の条件を残します。

褥瘡リスク評価で残したい共通記録項目
記録項目 記載例
使用した評価 Bradenスケール、自施設の危険因子評価票
評価結果 合計点と低下している下位項目
主な危険因子 自力体位変換困難、失禁による湿潤、食事摂取低下
重点観察部位 仙骨、両踵、右大転子
予防計画 支持面、除圧方法、湿潤ケア、栄養・活動への対応
再評価 予定日と状態変化時に見直す条件

PT・OT・STが記録する場合は、体位変換能力、移乗方法、座位耐久性、前滑り、疼痛、関節拘縮、車いすやクッションの使用状況などを加えると、看護・栄養・医師との共有がしやすくなります。

よくある失敗と対策

褥瘡リスク評価が予防計画につながらない原因
よくある失敗 問題点 対策
合計点だけを記録する 対応すべき危険因子が分からない 下位項目と主な危険因子を併記する
点数だけで介入を決める 皮膚所見や個別条件が反映されない 皮膚、姿勢、支持面、耐容性を統合する
複数のスケールを目的なく使う 評価結果の比較や共有が難しくなる 標準評価と補助評価の役割を決める
局所リスクを確認しない 骨突出や拘縮による危険部位を見落とす 臥位・座位で危険部位を直接観察する
体位変換を固定時間だけで運用する 本人の状態や支持面に合わない可能性がある 皮膚所見と耐容性を確認して個別に調整する
再評価日が決まっていない 病状や活動性の変化に追従できない 予定日と臨時評価の条件を記録する

関連する診療計画書の実務を確認する場合:褥瘡の診療計画書|評価依頼から記載までの最小セット

よくある質問

質問をタップすると回答が開きます。

褥瘡リスクアセスメントスケールは1つに固定すべきですか?

継続評価の基本となるスケールは、施設内で統一したほうが前回との比較や職種間共有を行いやすくなります。ただし、標準スケールだけでは不足する局所リスク、診療計画上の項目、在宅環境などは、目的を明確にしたうえで補助評価を追加します。

Bradenスケールは何点から高リスクですか?

一般に合計点が低いほど褥瘡発生リスクが高いと判断しますが、カットオフ値やリスク区分は対象集団や施設の運用によって異なります。自施設の基準を確認し、合計点だけでなく、知覚、湿潤、活動性、可動性、栄養、摩擦・ずれの各項目を予防計画へ反映してください。

Bradenスケールだけで褥瘡リスクを評価できますか?

Bradenスケールは危険因子を整理するうえで有用ですが、スケールだけでリスクを判断するものではありません。皮膚・組織の状態、既往、骨突出、拘縮、医療機器、姿勢、支持面、病状変化などを臨床判断と組み合わせて確認します。

K式スケールとOHスケールはどのように使い分けますか?

K式スケールは、高齢者の前段階要因と発熱・手術などの引き金となる要因を整理したい場合に活用されます。OHスケールは、自力体位変換、病的骨突出、浮腫、関節拘縮など、高齢者や長期臥床者の局所リスクを整理したい場合に活用しやすい評価です。

体位変換は必ず2時間ごとに行いますか?

すべての患者に一律で2時間ごとの体位変換を適用するのではなく、皮膚所見、自力体位変換能力、支持面、骨突出、疼痛、睡眠、全身状態などを踏まえて個別に計画します。実施後の皮膚・組織の反応や本人の耐容性を確認し、必要に応じて方法や間隔を見直します。

リハビリ職はスコア以外に何を記録するとよいですか?

体位変換の自立度、移乗方法、座位耐久性、関節拘縮、疼痛、前滑り、骨突出部位、マットレス・クッションの種類などを記録します。どの姿勢や動作で圧迫・ずれが生じるかを具体的に残すと、ポジショニングやシーティングの検討につながります。

次に確認したい褥瘡予防の実践

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参考文献

  1. Bergstrom N, Braden BJ, Laguzza A, Holman V. The Braden Scale for Predicting Pressure Sore Risk. Nurs Res. 1987;36(4):205-210. PubMed
  2. Pancorbo-Hidalgo PL, Garcia-Fernandez FP, Lopez-Medina IM, Alvarez-Nieto C. Risk assessment scales for pressure ulcer prevention: a systematic review. J Adv Nurs. 2006;54(1):94-110. doi: 10.1111/j.1365-2648.2006.03794.x
  3. Moore ZEH, Patton D. Risk assessment tools used for preventing pressure ulcers. Cochrane Database Syst Rev. 2019;1:CD006471. doi: 10.1002/14651858.CD006471.pub4
  4. Waterlow J. Pressure sores: a risk assessment card. Nurs Times. 1985;81(48):49-55. PubMed
  5. Kohta M, et al. Convergent Validity of Three Pressure Injury Risk Assessment Scales: Comparing the PPRA-Home to Two Traditional Scales. J Multidiscip Healthc. 2021;14:207-217. doi: 10.2147/JMDH.S294734
  6. National Pressure Injury Advisory Panel, European Pressure Ulcer Advisory Panel, Pan Pacific Pressure Injury Alliance. Prevention and Treatment of Pressure Ulcers/Injuries: Clinical Practice Guideline. The International Guideline. 4th ed. 2025. Repositioning
  7. 厚生労働省.褥瘡対策に関する診療計画書.厚生労働省

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。医療機関・介護福祉施設・訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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