ブレーデンスケールの採点方法|意識障害・経管栄養の点数とPDF

臨床手技・プロトコル
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  1. ブレーデンスケールの採点方法|6項目を何点にするか判断する
  2. 正式な採点には施設で許可された公式様式を使用します
  3. ブレーデンスケールは6項目・合計6〜23点で評価します
  4. ブレーデンスケール6項目の採点方法
    1. 感覚知覚の採点|意識障害だけで決めない
    2. 湿潤の採点|失禁の有無ではなく頻度をみる
    3. 活動の採点|歩行と離床の程度をみる
    4. 移動の採点|寝返りと姿勢修正能力をみる
    5. 栄養の採点|経管栄養だから一律の点数ではない
    6. 摩擦とずれの採点|介助量・前滑り・姿勢保持をみる
  5. ブレーデンスケール採点判断早見表PDF
    1. ブレーデンスケール採点判断早見表
  6. 症例別の採点例|迷いやすい組み合わせ
    1. 症例1:意識障害があり、胃瘻から経管栄養を実施
    2. 症例2:全介助で車いすへ離床するが、寝返りはできない
    3. 症例3:覚醒は良好だが、片麻痺側の感覚障害がある
    4. 症例4:経管栄養の指示量は十分だが、中断が多い
    5. 症例5:尿失禁はないが、発汗と浸軟が続いている
  7. 採点がぶれるときの5つの原則
  8. 合計点と18点以下の読み方
  9. 点数だけでは拾えない褥瘡リスクも確認します
  10. 低得点項目を褥瘡予防策へつなげます
  11. 記録は「点数・根拠・対応・再評価条件」で残します
  12. 褥瘡リスク評価・記録補助シートPDF
    1. 褥瘡リスク評価・記録補助シート
  13. 再評価は状態変化と施設の定期評価日に行います
  14. ブレーデンスケールでよくある採点ミス
  15. 褥瘡予防を体系的に確認する参考書
  16. ブレーデンスケールのよくある質問
  17. 採点後は低得点項目をケアと再評価へつなげます
  18. まとめ|診断名や栄養経路ではなく実際の状態を採点する
  19. 参考文献・確認資料
  20. 著者情報
    1. 保有資格

ブレーデンスケールの採点方法|6項目を何点にするか判断する

ブレーデンスケール(Braden Scale)は、感覚知覚・湿潤・活動・移動・栄養・摩擦とずれの6項目を評価し、合計6〜23点で褥瘡発生リスクを整理する尺度です。感覚知覚から栄養までは1〜4点、摩擦とずれは1〜3点で、低得点ほどリスクが高い方向です。

採点で迷いやすいのは、意識障害がある人の感覚知覚、経管栄養中の栄養、車いすへ離床する人の活動と移動、全介助や前滑りがある人の摩擦とずれです。診断名や栄養経路だけで点数を決めず、実際の反応、摂取・投与状況、動作能力、介助場面を公式様式の定義と照合します。

本記事では、公式評価表の全文は転載せず、各点数を見分けるための判断軸と症例例を解説します。正式な採点には、所属施設で利用が許可された公式様式・マニュアルを使用してください。

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ブレーデンスケール採点の要点

  • 6項目を独立して採点し、最後に合計する
  • 診断名、意識レベル、栄養経路だけで点数を決めない
  • 活動と移動は別の能力として評価する
  • 合計点だけでなく、低得点項目を予防策へつなげる
  • 皮膚所見、医療機器、循環・酸素化などは点数とは別に確認する

本記事と配布PDFは、点数を判断する考え方を整理した補助資料であり、公式評価表の代替ではありません。

Braden Scaleの公式サイトでは、尺度の利用目的に応じたライセンス情報が案内されています。院内様式、教育資料、公開資料として使用する場合は、所属施設の規定と公式サイトの利用条件を確認してください。

本記事で解説する範囲

6項目の意味、点数を分ける観察軸、意識障害・経管栄養などの迷いやすい症例、記録方法を解説します。公式選択肢の全文や公式採点表そのものは掲載していません。

公式情報は、Braden Scale公式サイトおよび、許可を得て尺度を掲載しているAHRQの資料を確認してください。

ブレーデンスケールは6項目・合計6〜23点で評価します

感覚知覚・湿潤・活動・移動・栄養は1〜4点、摩擦とずれは1〜3点で評価します。低得点側ほど、褥瘡発生へつながる要因が強い状態です。

ブレーデンスケール6項目の判断軸
項目 判断の中心 迷いやすい症例
感覚知覚 圧迫による不快感を認識し、意味のある反応や意思表示ができるか 意識障害、鎮静、失語、認知症、片麻痺、末梢神経障害
湿潤 皮膚が湿潤へさらされる頻度 失禁、多汗、発熱、滲出液、おむつ内の蒸れ
活動 歩行や離床などの身体活動の程度 全介助で車いす離床、歩行訓練時のみ歩く
移動 身体の位置を自力で変え、姿勢を保持できるか 離床できるが寝返り困難、除圧動作が不十分
栄養 栄養経路ではなく、実際の摂取・投与と必要量の充足状況 経管栄養、TPN、NPO、食事摂取量の変動
摩擦とずれ 移動時の滑り、前滑り、姿勢保持、介助量 全介助移乗、背上げ後のずり落ち、痙縮、不穏
ブレーデンスケールの評価から低得点項目の確認、褥瘡予防策、再評価までの流れ
6項目を採点した後は、低得点項目と皮膚・全身状態を確認し、予防策と再評価へつなげます。

ブレーデンスケール6項目の採点方法

対象者の状態を項目ごとに分け、施設で使用する公式様式の定義へ照合します。以下は採点時の判断を助けるための要約です。

感覚知覚の採点|意識障害だけで決めない

感覚知覚は、圧迫による痛みや不快感を感じ、それに反応したり訴えたりできるかを評価します。寝返りや運動能力を評価する項目ではありません。

感覚知覚1〜4点の判断補助
点数 判断の方向 臨床で確認すること
1点側 意識低下や鎮静などで、不快刺激へ意味のある反応がほとんどない、または広範囲の感覚障害がある 表情、逃避、発声、手で払う動きなどの反応があるか
2点側 強い刺激には反応するが、不快感を十分に伝えにくい、または身体の広い範囲で感覚が低下している うめき、落ち着きのなさ、顔貌変化だけで反応していないか
3点側 口頭指示には反応できるが、不快感や体位変換の必要を常に伝えられるとは限らない、または限局した感覚障害がある 失語や認知機能低下があっても、表情・指差し・ナースコールなどで意思表示できるか
4点側 不快感を認識し、適切に反応・意思表示でき、判断へ影響する感覚障害がない 痛み、しびれ、圧迫感、体位調整の必要を伝えられるか

意識障害があれば自動的に1点ではありません

JCSやGCSは参考情報ですが、採点の中心は圧迫による不快感への実際の反応です。発語がなくても、表情、逃避、手で払う動き、発声などが意味のある反応かを確認します。

湿潤の採点|失禁の有無ではなく頻度をみる

湿潤は、皮膚が尿、便、汗、滲出液などへさらされる頻度を評価します。おむつの使用や失禁の有無だけで点数を決めません。

湿潤1〜4点の判断補助
点数 判断の方向 観察例
1点側 皮膚がほぼ常に湿っており、体位変換やケアのたびに湿潤が確認される 持続する発汗、頻回な尿・便汚染、多量の滲出液、著明な浸軟
2点側 頻繁に湿潤し、通常以上の寝衣・寝具交換やスキンケアが必要 勤務帯ごとに湿潤がみられ、追加対応を繰り返す
3点側 時々湿潤し、通常のケア以外に追加対応が必要になることがある 発汗や失禁などで一時的な交換・清拭が必要
4点側 皮膚は通常乾燥しており、定時のケアで管理できている 湿潤への曝露がまれで、浸軟がなく皮膚が保たれている

失禁があっても皮膚が速やかに清潔・乾燥へ戻される場合と、失禁がなくても多汗や滲出液で常に湿っている場合があります。寝具交換の頻度、浸軟、おむつ内環境を含めて判断します。

活動の採点|歩行と離床の程度をみる

活動は、対象者が歩行するか、椅子や車いすへ離床するかという身体活動の程度を評価します。寝返りや除圧能力は「移動」で別に採点します。

活動1〜4点の判断補助
点数 判断の方向 臨床例
1点側 ベッド上で過ごし、離床や歩行をしていない 終日臥床し、検査・処置以外はベッドから離れない
2点側 歩行できない、または歩行が著しく制限され、椅子・車いす中心 全介助で車いすへ離床するが、実用的な歩行はない
3点側 短距離の歩行機会はあるが、多くの時間をベッドまたは椅子で過ごす トイレや訓練時のみ歩行し、それ以外は車いす・ベッド上
4点側 日中に複数回歩行し、身体活動が日常的に保たれている 病棟内や居室外を定期的に歩いている

リハビリテーション中に数分歩けることだけで高得点にせず、1日の実際の歩行頻度と生活範囲を確認します。

移動の採点|寝返りと姿勢修正能力をみる

移動は、ベッドや椅子上で身体の位置を自力で変え、必要な姿勢修正や除圧を行えるかを評価します。

移動1〜4点の判断補助
点数 判断の方向 臨床例
1点側 自力で身体や四肢の位置をほとんど変えられない 寝返り、殿部の持ち上げ、座位修正を行えず、すべて介助を要する
2点側 小さな体動はあるが、十分な体位変更や除圧を自力で行えない 手足を動かせるが寝返りは介助、車いす上の傾きを修正できない
3点側 小さな姿勢変更を頻回に行えるが、大きな体位変更には制限がある 殿部や四肢の位置を動かせるが、完全な寝返りは難しい
4点側 大きな体位変更と細かな姿勢修正を自立して繰り返せる 寝返り、起き直し、座位での除圧や姿勢修正を必要時に行える

車いすへ離床できても、移動が高得点とは限りません

全介助で車いすへ移乗できても、座位中の除圧や前滑りの修正ができず、ベッド上の寝返りにも介助を要する場合があります。活動と移動は別々に評価してください。

栄養の採点|経管栄養だから一律の点数ではない

栄養は、経口・経管・静脈という投与経路だけでなく、実際に必要量をどの程度満たしているかを確認します。一食や一回の投与だけでなく、評価期間における摂取・投与の実態を公式様式と照合してください。

栄養1〜4点の判断補助
点数 判断の方向 経管栄養・静脈栄養で確認すること
1点側 摂取・投与がほとんど成立せず、必要量を大きく下回る NPO、透明流動食、維持輸液中心などで、栄養必要量を満たせていない状態
2点側 摂取・投与は行われているが、必要量に対して不足している 経管栄養量が不十分、中断が多い、嘔吐・下痢などで実投与量が少ない
3点側 経口摂取または栄養投与により、必要量の大部分を満たしている 経管栄養やTPNが計画どおり実施され、必要量の大半を満たしている
4点側 通常の食事を安定して十分摂取し、補助をほとんど必要としない 施設採用版の定義と照合し、投与経路だけで4点と判断しない

胃瘻・経鼻胃管だから2点とは限りません

経管栄養でも必要量の大部分が安定して投与されていれば3点側を検討します。反対に、投与中断、嘔吐、下痢、処置、循環不安定などで実投与量が不足していれば、より低い点数を検討します。

投与指示量だけでなく、実投与量、必要量に対する充足状況、中断理由、嘔吐・下痢、再開予定を記録すると、再評価しやすくなります。

摩擦とずれの採点|介助量・前滑り・姿勢保持をみる

摩擦とずれは、身体を移動するときに皮膚がこすれるか、ベッドや椅子上でずり落ちるか、自力で姿勢を保持できるかを評価します。

摩擦とずれ1〜3点の判断補助
点数 判断の方向 確認例
1点側 大きな介助を要し、身体を十分に持ち上げられず皮膚がこすれる。頻回なずり落ち、痙縮、不穏などがある 全介助で引き上げる、背上げ後に前滑りを繰り返す、痙縮で皮膚がこすれる
2点側 一部介助や見守りが必要で、移動時に滑りが生じる可能性がある。時々姿勢が崩れる 最小介助移乗、殿部が少しこすれる、車いす上で時々前滑りする
3点側 身体を自力で持ち上げて移動し、ベッド・椅子上の良好な姿勢を維持できる 自立移乗ができ、殿部を浮かせて位置を変え、ずり落ちを修正できる

スライディングシートなどを使用して介助者が安全に移動できていても、本人の能力、通常の介助場面、前滑り、痙縮、不穏を含めて評価します。

ブレーデンスケール採点判断早見表PDF

6項目の採点時に確認するポイントを、A4横1ページにまとめました。意識障害、経管栄養、活動と移動、湿潤、摩擦とずれなど、点数の境界で迷ったときの判断補助に使用できます。

A4横・1ページ

ブレーデンスケール採点判断早見表

6項目について、1〜4点側の目安と迷いやすい場面を一覧で確認できます。本紙は公式評価表の代替ではありません。

採点判断早見表PDFを開く

PDFプレビューを開く

プレビューできない場合は、採点判断早見表PDFを開くから確認してください。

早見表だけで点数を確定しない

PDFは判断補助資料です。最終的な点数は、所属施設で利用が許可された公式様式・マニュアルへ照合してください。

症例別の採点例|迷いやすい組み合わせ

同じ診断名や栄養経路でも、実際の反応・動作・投与状況によって点数は変わります。以下は判断過程の例です。

症例1:意識障害があり、胃瘻から経管栄養を実施

状態:呼びかけへの反応はなく、不快刺激でも明確な表情・逃避反応がない。胃瘻から計画栄養量の大部分を毎日投与できている。

  • 感覚知覚:意味のある反応が確認できなければ1点側を検討
  • 栄養:経管栄養でも必要量の大部分を満たしていれば3点側を検討
  • 注意:意識障害と経管栄養を理由に、すべての項目を一律に低くしない

症例2:全介助で車いすへ離床するが、寝返りはできない

状態:日中は介助で車いすへ離床する。実用的な歩行はなく、ベッド上の寝返りと車いす上の除圧は全介助。

  • 活動:歩行できず車いす中心であれば2点側を検討
  • 移動:自力で寝返りや除圧ができなければ1点側を検討
  • 注意:離床しているという理由だけで、活動と移動を同じ点数にしない

症例3:覚醒は良好だが、片麻痺側の感覚障害がある

状態:口頭指示へ従い、健側の不快感は訴えられる。麻痺側上下肢では痛みや圧迫への感覚が低下している。

  • 感覚知覚:感覚障害の範囲と、体位変換の必要を伝えられるかを確認
  • 3点側と2点側の境界:感覚障害が一部に限られるか、身体の広い範囲へ及ぶかを公式様式で照合
  • 注意:片麻痺という診断名だけで点数を固定しない

症例4:経管栄養の指示量は十分だが、中断が多い

状態:必要量相当の経管栄養が処方されているが、嘔吐、検査、呼吸状態の悪化などで中断が多く、実投与量は必要量を下回る。

  • 栄養:指示量ではなく実投与量と充足状況で判断する
  • 採点:必要量の大部分を満たせていなければ2点側を検討
  • 記録:実投与量、中断理由、嘔吐・下痢、再開予定を残す

症例5:尿失禁はないが、発汗と浸軟が続いている

状態:尿・便失禁はないが、発熱と多汗により背部や仙骨部が頻回に湿り、寝衣交換と清拭を繰り返している。

  • 湿潤:失禁の有無ではなく、皮膚が湿潤へさらされる頻度で判断
  • 採点:頻回な追加ケアが必要であれば2点側を検討
  • 記録:湿潤部位、発汗頻度、浸軟、寝衣・寝具交換回数を残す

採点がぶれるときの5つの原則

  1. 6項目を独立して評価する:合計点や患者の印象から逆算しません。
  2. 診断名だけで決めない:意識障害、認知症、片麻痺、胃瘻などの名称ではなく、実際の状態を確認します。
  3. 一場面だけで決めない:日中・夜間、疲労時、鎮静時、ケア場面の変動を確認します。
  4. 境界では公式様式へ戻る:定義と実際の状態を照合し、採点根拠を記録します。
  5. 点数と根拠を一緒に記録する:次の評価者が同じ情報から再評価できるようにします。

採点根拠の記録例

栄養3点。胃瘻から必要量の約9割を連日投与できており、直近の中断なし。経管栄養であることだけを理由に2点とはしない。嘔吐・下痢・投与中断時に再評価する。

合計点と18点以下の読み方

合計点は6〜23点で、低いほど褥瘡発生リスクが高い方向です。AHRQでは、一般に18点以下をリスクありの目安としていますが、対象集団や施設によってカットオフの運用は異なります。

合計点の基本的な扱い
合計点 基本的な読み方 次に確認すること
18点以下 一般的なリスクありの目安 低得点項目、皮膚所見、支持面、医療機器、全身状態を確認する
19点以上 尺度上は比較的リスクが低い方向 点数だけで除外せず、局所圧や急激な状態変化を確認する

複数段階のリスク区分を使用する施設もありますが、区分名と対応策は施設手順によって異なります。院内基準がある場合は、その区分を優先してください。

点数だけでは拾えない褥瘡リスクも確認します

ブレーデンスケールはリスク評価の一部であり、皮膚所見と全身状態を含む総合評価が必要です。

  • 骨突出部の消退しにくい発赤、硬結、熱感、疼痛
  • 既存の褥瘡や褥瘡既往
  • 酸素マスク、チューブ、装具、弾性ストッキングなど医療機器との接触
  • 循環不全、低血圧、浮腫、低酸素化
  • 手術や処置による長時間の不動
  • 急激な意識、ADL、摂取量、排泄状態の変化
  • 強い前滑り、拘縮、痙縮、不穏

18点を超えていても、局所に強い圧迫や医療機器との接触があれば予防策が必要です。合計点だけを根拠に、寝具や体位変換頻度を機械的に決めることも避けます。

低得点項目を褥瘡予防策へつなげます

総合点は全体的なリスクの入口、低得点項目は介入を選ぶ手掛かりです。

低得点項目から確認する予防の方向性
低得点項目 追加で確認すること 対応の方向性
感覚知覚 意識、鎮静、感覚障害、意思表示 本人の訴えに依存しない皮膚観察と除圧
湿潤 湿潤の原因、頻度、浸軟、排泄状況 排泄ケア、洗浄、皮膚保護、寝具内環境の見直し
活動・移動 離床時間、自力体位変換、同一姿勢、介助量 離床、体位変換、ポジショニング、支持面の検討
栄養 実摂取量、実投与量、中断、体重変化 栄養評価、投与計画の確認、多職種連携
摩擦とずれ 前滑り、移乗、引き上げ、痙縮、不穏 介助方法、姿勢、移動補助具、支持面の見直し

具体的な予防策の組み合わせは、ブレーデンスコア別褥瘡予防バンドルで整理しています。

記録は「点数・根拠・対応・再評価条件」で残します

点数だけでは、次の評価者が同じ判断を再現できません。特に意識障害、経管栄養、活動と移動の境界では、点数を選んだ根拠を記録します。

記録例:感覚知覚2点。呼名では開眼せず、不快刺激で顔をしかめるが、不快感の訴えは困難。栄養3点。胃瘻から必要量の約9割を連日投与し、直近の中断なし。活動1点、移動1点。終日臥床し、自力寝返り不可。仙骨部の皮膚状態と除圧方法を毎勤務帯で確認する。

ブレーデンスケールで記録する内容
記録項目 内容
点数 6項目の点数と合計点
採点根拠 意識反応、湿潤頻度、歩行・離床、体位変換、実摂取・投与量、介助場面
局所リスク 発赤、浸軟、骨突出部、医療機器、前滑り
予防策 除圧、体位、支持面、皮膚保護、排泄・栄養管理
再評価 予定日と、再評価を前倒しする状態変化

褥瘡リスク評価・記録補助シートPDF

6項目の点数と採点根拠、皮膚・局所リスク、当日の予防策、再評価条件をA4縦1ページへ記録できます。

A4縦・1ページ

褥瘡リスク評価・記録補助シート

6項目の点数と根拠、発赤・湿潤・医療機器などの局所リスク、予防策、担当者、再評価条件を1枚で共有できます。

記録補助シートPDFを開く

PDFプレビューを開く

プレビューできない場合は、記録補助シートPDFを開くから確認してください。

公式採点表と記録補助シートの役割を分ける

正式な点数は施設で利用が許可された公式様式で決定し、本シートには点数、採点根拠、局所リスク、予防策、再評価条件を記録してください。

再評価は状態変化と施設の定期評価日に行います

再評価では合計点だけでなく、どの項目が変化したかを確認します。

  • 入院・入所、転棟、療養環境変更時
  • 意識状態や鎮静条件が変化したとき
  • 歩行、離床、寝返り能力が変化したとき
  • 失禁、発汗、滲出液などの湿潤条件が変化したとき
  • 食事摂取量や経管栄養の実投与量が変化したとき
  • 新たな発赤、浸軟、損傷、医療機器の使用が生じたとき
  • 施設で定めた定期評価日

評価頻度は、病棟機能、対象者の状態、施設基準によって異なります。急な状態変化があれば、予定日を待たずに再評価してください。

ブレーデンスケールでよくある採点ミス

採点ミスと修正方法
採点ミス 問題 修正方法
意識障害なら感覚知覚1点とする 実際の刺激反応や感覚障害の範囲が反映されない 圧迫による不快感への意味のある反応を確認する
経管栄養なら栄養2点とする 必要量を満たす症例と不足する症例を区別できない 実投与量と必要量に対する充足状況を確認する
活動と移動を同じ点数にする 身体活動と自力体位変換能力が混同される 活動は歩行・離床、移動は寝返り・姿勢修正として分ける
失禁がなければ湿潤4点とする 発汗、滲出液、蒸れ、浸軟を見落とす 皮膚が湿潤へさらされる頻度で判断する
全介助なら摩擦とずれ1点とする 実際の滑り、姿勢保持、移動方法が反映されない 皮膚の滑り、前滑り、痙縮、不穏、移動方法を確認する
合計点から各項目を逆算する 対象者の実態と採点根拠が一致しなくなる 各項目を独立して採点し、最後に合計する

採点後の体圧管理、スキンケア、栄養管理まで確認する場合は、『褥瘡予防・管理ガイドライン 第5版』が参考になります。

褥瘡予防・管理ガイドライン 第5版

褥瘡リスク評価から予防・管理まで、臨床で必要な考え方を体系的に確認できます。


ブレーデンスケールのよくある質問

各質問をタップすると回答が開きます。

意識障害がある場合、感覚知覚は必ず1点ですか?
必ず1点ではありません。意識レベルだけでなく、圧迫に関連する不快刺激へ意味のある反応があるか、感覚障害がどの範囲にあるかを確認し、公式様式へ照合します。
胃瘻や経鼻胃管を使用している場合、栄養は何点ですか?
栄養経路だけでは決まりません。実投与量が必要量の大部分を満たしている場合は3点側を検討し、投与中断などで不足している場合は2点側を検討します。正式な採点は施設採用版を確認してください。
活動と移動は何が違いますか?
活動は歩行や車いす離床などの身体活動、移動は寝返りや座位中の除圧・姿勢修正能力です。全介助で車いすへ離床する人は、活動と移動を別々に採点します。
失禁がなければ湿潤は4点ですか?
失禁がなくても、多汗、発熱、滲出液、おむつ内の蒸れなどで皮膚が頻回に湿っている場合があります。湿潤へさらされる頻度と追加ケアの必要性を確認します。
2つの点数で迷う場合はどうしますか?
施設で使用する公式様式の定義と対象者の実際の状態を再確認します。判断根拠を記録し、施設手順に沿って評価者間で基準をそろえてください。
19点以上なら褥瘡予防は不要ですか?
不要とは判断できません。皮膚所見、医療機器との接触、局所圧、循環状態、前滑り、急激なADL低下などは合計点とは別に確認します。
記事のPDFは公式採点表ですか?
公式採点表ではありません。採点判断早見表は公式様式へ照合するための補助資料、記録補助シートは点数・根拠・局所リスク・予防策・再評価条件を共有するための資料です。

採点後は低得点項目をケアと再評価へつなげます

採点後は、低得点項目と採点根拠を一文で共有し、当日の予防策と再評価条件を決めます。院内で評価・ケア・記録の流れをそろえる場合は、運用プロトコルを確認してください。

まとめ|診断名や栄養経路ではなく実際の状態を採点する

ブレーデンスケールは、感覚知覚、湿潤、活動、移動、栄養、摩擦とずれの6項目を評価し、合計6〜23点で褥瘡発生リスクを整理します。

意識障害があっても感覚知覚を自動的に1点とせず、圧迫による不快感への実際の反応を確認します。経管栄養も一律の点数ではなく、必要量に対する実投与量と中断状況から判断します。

活動は歩行・離床の程度、移動は寝返り・除圧・姿勢修正能力です。摩擦とずれは介助量だけでなく、移動時の滑り、前滑り、痙縮、不穏、姿勢保持を確認します。

正式な採点には施設で許可された公式様式を使用し、点数・採点根拠・局所リスク・予防策・再評価条件を一緒に記録してください。

参考文献・確認資料

  1. Braden Scale. Braden Scale II License and Licensing Information. 公式サイト.
  2. Bergstrom N, Braden BJ, Laguzza A, Holman V. The Braden Scale for Predicting Pressure Sore Risk. Nurs Res. 1987;36(4):205-210. doiPubMed.
  3. Agency for Healthcare Research and Quality. The Braden Scale for Predicting Pressure Sore Risk. AHRQ.
  4. Agency for Healthcare Research and Quality. Using Pressure Ulcer Risk Assessment Tools in Care Planning. 公式PDF.
  5. Huang C, Ma Y, Wang C, et al. Predictive validity of the Braden Scale for pressure injury risk assessment in adults: a systematic review and meta-analysis. Nurs Open. 2021;8(5):2194-2207. doiPubMed.
  6. 日本褥瘡学会. 褥瘡発生予測スケール. 用語集.
  7. 日本褥瘡学会. 褥瘡の予防. 日本褥瘡学会.

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

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