PRPSの評価方法|3〜6点の違い・採点・記録【PDF付き】

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PRPSの評価方法|1〜6点の採点基準と記録方法

PRPS(Pittsburgh Rehabilitation Participation Scale)は、1回のリハビリテーションで患者がどの程度参加したかを、療法士が観察して1〜6点で評価する尺度です。採点で特に迷いやすいのは3〜6点で、努力の程度・課題をどこまで完遂したか・受け身か能動的かを分けて見ると整理しやすくなります。

この記事では、PRPSの1〜6点をどう採点するか、特に3と4、4と5、5と6をどう分けるかを中心に、1セッションごとの評価手順、記録方法、再評価まで整理します。記事内では、記録・申し送りに使えるA4・1ページのPRPS記録シートPDFも配布しています。

先に結論:4点は「良い努力でほとんど完遂するが受け身」、5点は「最大努力ですべて完遂するが受け身」、6点は「最大努力ですべて完遂し、課題や今後の訓練へ能動的な関心がある」が大きな境界です。

PRPSの採点基準|1〜6点早見表

PRPSは、そのセッション全体でみられた参加行動を1〜6点で評価します。点数が高いほど参加度が高くなります。以下は原著および関連資料の内容をもとに、臨床で判定しやすいよう要点を日本語で整理したものです。

PRPS 1〜6点の採点基準(原著をもとに要約)
点数 目安 参加行動の見方
1 参加なし セッション全体を拒否する、または課題へ参加しない。
2 低い セッションを拒否する、または少なくとも課題の半分に参加しない。
3 限定的 大半またはすべての課題には参加するが、最大努力ではない、多くを完遂できない、多くの促しを要する、のいずれかがみられる。
4 良好 すべての課題に参加し、努力は良好。ほとんどを完遂するが一部は未完で、関わりは受け身。
5 非常に良好 すべての課題へ最大努力で参加し、すべて完遂する。ただし関わりは受け身。
6 能動的 すべての課題へ最大努力で参加し、すべて完遂する。さらに課題や今後の訓練へ能動的な関心がみられる。

PRPSは「できた量」だけで判定する尺度ではありません。特に高得点域では、努力・完遂・能動的な関心を分けて観察することが重要です。

PRPSの3点・4点・5点・6点の採点境界を努力・完遂・能動的関心で整理した図版
PRPSで迷いやすい3〜6点の違いを整理した図版です。4→5は課題の完遂、5→6は能動的な関心が大きな境界になります。

3・4・5・6点の違い|努力・完遂・能動性で分ける

PRPSで迷いやすい3〜6点は、①努力、②課題の完遂、③受け身か能動的かの3軸で整理すると判定しやすくなります。単に「よく頑張ったから5点」と決めず、セッション全体の参加行動を確認します。

PRPS 3〜6点の境界を整理する3つの視点
点数 努力 完遂 関わり方
3 最大努力とはいえない場合がある 多くを完遂できない場合がある 完遂に多くの促しを要する場合がある
4 良い努力 ほとんど完遂するが一部未完 受け身
5 最大努力 すべて完遂 受け身
6 最大努力 すべて完遂 能動的な関心あり

3点と4点の違い

3点と4点の境界は、「すべての課題へ良い努力で参加し、ほとんど完遂できているか」です。

大半またはすべての課題には参加していても、最大努力とはいえない、多くを完遂できない、完遂するために多くの促しが必要といった特徴があれば3点側を考えます。一方、すべての課題へ参加し、良い努力でほとんどを完遂できているなら4点側です。

4点と5点の違い

4点と5点は、「最大努力」と「すべて完遂」の2点が大きな境界です。

4点では良い努力がみられ、ほとんどの課題を終えますが、一部は完遂していません。5点ではすべての課題へ最大努力で参加し、すべて完遂します。ただし、どちらもセラピストの働きかけに対して受け身という点は共通します。

5点と6点の違い

5点と6点は、努力量や完遂度ではなく「能動的な関心」があるかで分けます。

最大努力ですべてを完遂していても、セラピストの指示に沿って取り組む受け身の状態であれば5点です。課題そのものや今後の訓練へ自発的・能動的な関心がみられる場合は6点側を考えます。

判定のコツ:「頑張っていた」という印象だけで5・6点を決めず、まず全課題を最大努力で完遂したかを確認し、そのうえで受け身か能動的かを見ます。

PRPSの評価方法|1セッションごとに採点する

PRPSは、一部分の反応だけではなく、そのセッション全体を観察して1つの点数を決めます。評価前後の条件も残しておくと、次回との比較がしやすくなります。

  1. 評価条件を確認する:時間帯、課題内容、疼痛、眠気、疲労など、その日の参加へ影響しそうな条件を確認します。
  2. セッション全体を観察する:課題への参加、努力、完遂の程度、促しの必要性、能動的な関心を確認します。
  3. 1〜6点から1つ選ぶ:一場面だけでなく、セッション全体として最も当てはまる点数を選びます。
  4. 判定根拠を残す:点数だけでなく、何を根拠にその点数としたのかを短く記録します。

国内の回復期リハビリテーション病棟を対象とした多施設研究では、Lenzeらの方法に準じ、判定が困難な場合は低い方の値を使用しています。また、主治医の指示、検査、体調不良などによってリハビリテーションを実施できなかった場合には評価していません。

これは研究で用いられた運用方法であり、施設独自のルールを設定する場合は、原著の採点基準と施設運用を混同しないよう区別しておくことが重要です。

PRPSの記録方法|点数+観察根拠を残す

PRPSは点数だけを残すより、「なぜその点数になったか」「参加へ影響した条件は何か」「どの調整が有効だったか」を一緒に記録すると、次回評価や担当者間の共有に使いやすくなります。

記録例

記録例:PRPS 4。全課題へ参加し努力は良好。歩行練習は終盤で一部未完。午後で疲労あり。座位休息後は再開可能。次回は午前・同程度の課題で再評価する。

この記録では、「4」という数字だけでなく、一部未完だったこと、疲労という背景、休息で再開できたこと、次回の比較条件まで確認できます。

背景要因として確認する内容は、患者によって異なります。疼痛、眠気、疲労、不安、理解・コミュニケーション、環境など、実際に参加へ影響した可能性のある情報に絞って残します。

PRPS記録・共有シートPDF

1セッションのPRPS、観察根拠、背景要因、効いた調整、次回条件を1枚で記録できるA4・1ページの「PRPS 記録・共有シート v3」です。6段階アンカーは原著の内容をもとに日本語で要約しています。

PRPS 記録・共有シート v3

評価条件、1〜6点アンカー、観察根拠、背景要因・効いた調整、次回条件、推移・申し送りをA4 1枚にまとめています。

PRPS 記録シートPDFを開く・ダウンロード

PDFを記事内でプレビューする

プレビューを表示できない環境です。上の「PRPS 記録シートPDFを開く・ダウンロード」からご確認ください。

※本PDFの6段階アンカーはPRPS原著の内容を日本語で要約したもので、公式日本語版ではありません。

PRPSの再評価と平均値|単回値だけで判断しない

PRPSは1セッションごとに評価できるため、単回値だけでなく経時的な変化を見ることもできます。ただし、時間帯、課題内容、疼痛、眠気、疲労などが異なれば参加行動も変化する可能性があるため、前回値と比較するときは条件も一緒に確認します。

国内の多施設研究では、入院後7日間の各療法種別・各セッションでPRPSを評価し、合計点を7日間のリハビリテーション実施回数で割った平均値を「初期PRPS」として使用しています。このように複数セッションの平均値を研究や施設内の推移確認に利用する方法はあります。

一方で、「3点以下なら問題」「平均4点未満なら介入変更」といった万能なカットオフをPRPSの正式な基準として扱わないことが重要です。平均値を用いる場合も、点数だけでなく、どの条件で上がった・下がったのかを確認します。

PRPSが変化したときに確認するポイント
確認項目 見るポイント
時間帯 午前と午後、食後、処置後などで参加度が変化していないか
身体状態 疼痛、眠気、疲労などが参加を妨げていないか
課題 難易度、量、目的の伝わり方が変わっていないか
働きかけ 促し、休息、説明方法、環境調整で反応が変化したか
職種・場面 PT・OT・STなど、実施する課題や場面によって差がみられるか

PRPSを使うときの注意点|参加度と能力を混同しない

PRPSが評価するのは、リハビリテーション場面への参加です。ADL能力や運動能力そのものを示す点数ではありません。そのため、「できなかったから低得点」と単純に判断せず、参加行動と課題遂行能力を分けて考えます。

たとえば身体機能上の理由で課題の難易度が高すぎる場合、参加行動が低く見えることがあります。低得点だったときは「やる気がない」と結論づけるのではなく、疼痛、疲労、認知機能、理解・コミュニケーション、課題設定、環境などの影響を確認します。

PT・OT・STで使うとき

PRPSの原著では、入院リハビリテーションにおけるPT・OTセッションで参加度を評価しています。OTでは、課題内容に合わせて評価対象となる活動を捉えます。

一方、日本の回復期リハビリテーション病棟を対象とした多施設研究では、担当のPT・OT・STが各療法のセッションを評価した運用例があります。職種によって課題内容や環境が異なるため、職種間で点数に差がある場合は、数字をそろえることだけを目的にせず、どの場面・条件で参加しやすかったかを共有すると実務に生かしやすくなります。

認知機能低下やコミュニケーション障害がある場合

PRPSは自己記入式ではなく療法士による観察評価ですが、理解やコミュニケーションの問題と参加行動の低下を同じものとして扱わないことが重要です。

国内多施設研究では、重度の意識障害、重度の認知機能障害、不安定な全身状態などによって自発的なリハビリテーションが行えない患者は対象から除外されています。認知機能低下や失語などがある場合は、PRPSの点数だけで解釈せず、課題理解や意思疎通の影響も併記して判断します。

PRPSでよくある失敗と修正方法

PRPSを安定して使うには、点数の高さだけを見るのではなく、その点数になった根拠をそろえることが大切です。

PRPS評価で起こりやすい失敗
よくある判断 問題点 修正する視点
「やる気がない」で終わる 参加を下げた原因が分からない 点数+観察根拠+背景要因を残す
4・5・6点を努力だけで分ける 完遂と能動性が反映されない 努力・完遂・受け身/能動性の3軸で確認する
できない=参加が低いとする 能力と参加を混同する 課題遂行能力と参加行動を別に整理する
単回値だけで良し悪しを決める 体調や課題条件による変動を見落とす 条件と一緒に推移を確認する

PRPSのよくある質問

Q1.PRPSにカットオフ値はありますか?

すべての対象へ一律に適用する万能なカットオフとして扱うのではなく、単回の点数だけで良否を決めず、セッション条件や経時的な変化と合わせて解釈します。

Q2.複数セッションのPRPSを平均してもよいですか?

国内の多施設研究では、入院後7日間の各セッションの合計点をリハビリテーション実施回数で割った平均値を使用した例があります。平均値を使う場合も、時間帯や課題内容など条件の違いを確認し、施設独自の閾値をPRPSの正式なカットオフと混同しないようにします。

Q3.5点と6点で迷ったら何を確認しますか?

まず、すべての課題へ最大努力で参加し、すべて完遂しているかを確認します。その条件を満たしたうえで、セラピストの指示に受け身で取り組んでいるなら5点、課題や今後の訓練へ能動的な関心がみられるなら6点側を考えます。

次の一手

PRPSは「リハビリ場面への参加」を観察する尺度です。本人の主観的な意欲や、日常生活場面での意欲を評価したい場合は、評価したい対象に合わせて尺度を選びます。


参考文献

  1. Lenze EJ, Munin MC, Quear T, Dew MA, Rogers JC, Begley AE, Reynolds CF III. The Pittsburgh Rehabilitation Participation Scale: reliability and validity of a clinician-rated measure of participation in acute rehabilitation. Arch Phys Med Rehabil. 2004;85(3):380-384. DOI: 10.1016/j.apmr.2003.06.001
  2. Iosa M, Galeoto G, De Bartolo D, Russo V, Ruotolo I, Spitoni GF, Ciancarelli I, Tramontano M, Antonucci G, Paolucci S, et al. Italian Version of the Pittsburgh Rehabilitation Participation Scale: Psychometric Analysis of Validity and Reliability. Brain Sci. 2021;11(5):626. DOI: 10.3390/brainsci11050626
  3. 石垣智也, 泉真里恵, 田中秀憲, 柳井沙希, 尾川達也, 松波咲恵, 宮尾康平, 西本絵美, 松本大輔. 回復期リハビリテーション病棟入院患者における入院初期のリハビリテーションへの参加意欲とFunctional Independence Measureとの関係─多施設共同研究─. 理学療法科学. 2014;29(4):521-525. DOI: 10.1589/rika.29.521
  4. Shirley Ryan AbilityLab. Pittsburgh Rehabilitation Participation Scale (PRPS). Rehabilitation Measures Database. PRPS解説ページ

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

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