訪問リハ 初回訪問チェックリスト| 40 分の型

臨床手技・プロトコル
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訪問リハ初回訪問チェックリスト:40 分で「家屋・動線・リスク」を抜けなく見る

訪問リハの初回訪問は、時間が短いほど「見る順番」が結果を決めます。本記事は、初回 40 分で ①リスク確認(バイタル・症状)②代表動作(できる / 危ない)③家屋・動線(詰まり)④目標共有(次回の焦点)までを、チェック表で固定します。

書類の暗記より先に、当日の抜け漏れを 0 にするのが目的です。書類は「最小セット」だけ触れ、詳しい作り方は関連記事へつなげます。

初回訪問の前に:準備で 7 割決まる(情報・持ち物・安全)

初回は「評価項目を増やす」より、前提条件(情報・環境・安全)をそろえるほうが再現性が上がります。事前に揃う情報は限られるため、不足を前提に “当日確認する項目” をメモ化して持っていきます。

下の表は、直前 5 分で確認できる最小セットです。迷ったら、当日確認欄(空欄)を残して出発します。

※スマホでは表を左右にスクロールできます。

初回訪問:事前準備チェック(最小セット)
カテゴリ 確認ポイント 当日確認(空欄で OK )
依頼背景 主訴 / 生活課題(転倒、移乗、入浴、外出 など) 本人の優先(何が一番困る?)
疾患・既往 最近の転倒、疼痛増悪、息切れ、急変歴(心不全 など) 要注意症状(胸痛、失神、安静時呼吸苦 など)
連絡体制 主治医 / ケアマネ / 家族、連絡先、緊急時の手順 当日の同席者(家族 / ヘルパー)
環境 駐車、玄関までの段差、エレベーター有無 室内の照明、通路幅、段差
持ち物 血圧計、パルスオキシ、メジャー、記録用紙、消毒 写真記録の可否(同意)

初回 40 分モデル:見る順番(リスク → 動作 → 家屋 → 目標)

初回の勝ち筋は、「リスク確認を先に済ませてから、代表動作と家屋へ入る」ことです。最初に動作を見たくなりますが、在宅は環境も情報も揃わないため、先に境界を決めるとブレません。

以下は 40 分を想定した “型” です。利用時間が 20 分でも 60 分でも、順番だけは崩さないのがおすすめです。

訪問リハ初回 40 分のタイムライン(リスク→動作→家屋→目標)

※スマホでは表を左右にスクロールできます。

初回 40 分モデル:タイムライン(順番固定)
時間 やること 見るポイント(最小) アウトプット
0–5 分 挨拶・同意・今日のゴール共有 困りごと 1 つに絞る(例:トイレまで) 今日の確認範囲を合意
5–10 分 バイタル・症状スクリーニング 息切れ、胸痛、めまい、SpO₂ 低下、血圧変動 止め時(中止)を共有
10–25 分 代表動作の観察( 2 つまで) 立ち上がり / 歩行 / トイレ動作 / 移乗 できる / 危ない条件を言語化
25–35 分 家屋・動線(詰まり確認) 玄関・廊下・トイレ浴室・寝室の危険箇所 詰まり 1〜2 個を特定
35–40 分 目標共有・次回の焦点(宿題 1 つ) 次回までのルール(転倒回避策) 次回の検証 1 つに固定

家屋・動線チェック:玄関 → 居室 → トイレ / 浴室を一気通貫でみる

家屋は「場所」ではなく、動作が連鎖する “動線”として見ると抜けが減ります。具体的には、玄関→居室→トイレ / 浴室までを一筆書きで確認し、詰まり(狭い・暗い・滑る・段差)を先に拾います。

住宅改修や福祉用具の検討が必要な場合でも、初回はまず 危険箇所の同定に集中し、詳しい採寸や理由書は別で組み立てるほうが運用が安定します。

※スマホでは表を左右にスクロールできます。

家屋・動線チェック(初回の最小セット)
場所 チェック よくある詰まり その場の対応(暫定)
玄関 上がり框の段差 / 手すり / 靴の着脱姿勢 つかまる所がない、片足立ちが不安定 椅子設置、支持物の位置調整
廊下 通路幅 / 照明 / 段差 / 物の出っ張り 夜間が暗い、マットやコードでつまずく 通路の整理、マット撤去(同意)
居室 ベッド高 / 立ち上がり / 動線上の障害物 立ち上がりでふらつく、手の届く位置が遠い ベッド周囲の配置変更
トイレ 移乗方向 / 手すり位置 / 立位保持 方向転換で不安定、手すりが遠い 動作手順を固定、介助ポイントを共有
浴室 床の滑り / 立ち座り / 出入りの段差 濡れると滑る、跨ぎ動作で不安定 入浴方法の一時変更(座位中心)

続けて読む:家屋調査チェックリスト(住宅改修・採寸)

リスクの最小セット:バイタル・症状・転倒の「境界」を先に決める

在宅は医療資源が近くないため、“迷ったら止める” 境界を先に共有すると運用がブレません。初回は細かな数値よりも、症状普段との差を重視します。

施設の基準がある場合はそちらを優先しつつ、迷う場面では “座位で再測 → 変化が続くなら中止” のように、チームで判断の型を揃えるのがおすすめです。

  • 胸痛 / 圧迫感、失神、強い呼吸困難、意識変容があれば中止
  • めまい・悪心・強いふらつきが出たら座位で再測し、改善しなければ中止
  • SpO₂ 低下や血圧変動は「普段より大きい」場合に慎重に判断

初回の記録:書く量を増やさず「次回が決まる最小セット」

初回の記録は、長文より 次回の焦点が決まる情報に絞るほうが価値があります。おすすめは「生活課題 → リスク → 詰まり → 暫定対応 → 次回の検証」の順に、短く残すことです。

書類の種類を増やすより、初回で必ず残す 5 点を固定すると、共有が一気にラクになります。

※スマホでは表を左右にスクロールできます。

初回記録:必ず残す 5 点(最小セット)
項目 書く内容(短く)
困りごと 本人の優先 1 つ トイレ移動でふらつく
代表動作 できる / 危ない(条件つき) 歩行:室内は杖で可、方向転換で不安定
環境の詰まり 場所+原因 廊下:マットでつまずきやすい
リスク 起きやすい 1 つ+回避策 転倒:方向転換は一度止まってから
次回の焦点 検証すること 1 つ トイレ動線の介助量最適化を検証

書類をテンプレ化して運用を軽くしたい場合:書類業務が辛いときの時短術(テンプレ化)

現場の詰まりどころ:初回訪問で “抜け” が起きる 3 パターン

初回は、知識不足より 順番が崩れることで抜けが起きます。まずは下の 3 つを潰すと、少ない時間でも安定して回ります。

よくある失敗( NG )と直し方( OK )

「頑張る」より先に、失敗パターンを知っておくほうが早いです。チーム共有の一言までセットで整理します。

※スマホでは表を左右にスクロールできます。

初回訪問の NG / OK(再現性を上げる修正ポイント)
NG(起きがち) なぜ起きる? OK(直し方) 共有の一言(短く)
最初に動作を見て疲労で終わる 止め時の境界が未設定 先にバイタル・症状で “中止の型” を共有 症状が出たら座位で再測、改善しなければ中止
家屋を “場所” で見て動線が抜ける 生活課題と結びつかない 玄関→トイレ / 浴室まで一筆書きで確認 詰まりは動線で拾う(暗い・狭い・滑る・段差)
記録が長く、次回が決まらない 情報を全部書こうとする 困りごと 1 つ+リスク 1 つ+次回の焦点 1 つ 次回は “検証 1 つ” に固定する

よくある質問( FAQ )

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

Q1. 初回訪問で “全部” 見るのは無理です。最優先は何ですか?

最優先は 症状の確認(止め時の共有)と、生活上いちばん困っている 代表動作 1 つです。初回は「網羅」より「次回が決まる」ことが成果です。リスク確認 → 代表動作 → 家屋の詰まり 1 つ → 次回の焦点、の順で絞ると回ります。

Q2. 家屋はどこまで見れば十分ですか?

初回は 玄関→居室→トイレ / 浴室までの動線で十分です。生活課題に直結する場所を一気通貫で見て、暗い・狭い・滑る・段差などの詰まりを拾えば、次回の改善案が作れます。

Q3. 書類が多くて混乱します。初回で最低限押さえる考え方は?

初回は「書式」より、役割で整理すると迷いが減ります。指示(サービス前提)/合意(契約)/見取り(評価と目標)の 3 つに分けて、初回は “次回が決まる情報” を優先して残すのがおすすめです。

Q4. バイタルの数値で迷います。どう判断を揃えればいいですか?

数値だけで決めず、症状普段との差をセットで見ます。めまい・悪心・強い息切れ・胸痛などが出たら中止を優先し、座位で再測しながら安全側に倒します。施設の基準がある場合はそちらを優先してください。

次の一手:運用を整える → 共有の型を作る → 環境の詰まりも点検

初回訪問が回り始めたら、次は「個人技」から「運用」へ寄せると安定します。チームで同じ順番・同じ記録にそろえるだけで、抜け漏れが減ります。

  1. 運用を整える:臨床手技・プロトコルハブ
  2. 共有の型を作る:家屋調査チェックリスト(住宅改修・採寸)
  3. 環境の詰まりも点検:教育体制・人員・記録文化など “環境要因” を一度見える化すると、次の打ち手が決めやすくなります。

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参考文献・一次情報

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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