作業療法の評価ツール比較| COPM・AMPS・ADOC・GAS

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作業療法の評価ツール比較| COPM ・ AMPS ・ ADOC ・ GAS を “迷わず選ぶ” 使い分け

本記事は、作業療法でよく話題に上がる 4 つの評価ツール( COPM / AMPS / ADOC / GAS )を、「このケースで何を決めたいか」から逆算して選べるように整理します。結論から言うと、①やりたい作業を見つける= ADOC 、②変化を追う= COPM 、③作業遂行の質を観察する= AMPS 、④ゴールを合意して評価する= GASです。

導入していない職場でも、考え方と “記録の型” を借りるだけで評価と目標設定は安定します。この記事では、選び方の最短手順併用の順番記録がブレないコツまでまとめます。

評価の全体像(ハブ)→ OT の評価設計(親)→ 本記事(比較)で、迷いを減らします。

評価の全体像(ハブ)を見る

選び方 5 分フロー|「今日の評価で何を決める?」から逆算する

4 ツールは “優劣” ではなく “役割” が違います。迷ったら、まず「今日の評価で決めたいこと」を 1 つに絞ります(例:本人が大事にしたい作業の特定/作業の質の観察/目標の合意と再評価)。

次に、下の早見で最初の 1 手を決めると、評価→目標→介入→再評価がつながります。

目的別:最初に選ぶツール(成人・回復期〜生活期の一般例)
今日 “決めたいこと” まず使う なぜ効くか 次に併用しやすい
本人が大事にしたい作業が曖昧 ADOC 作業例を提示しながら対話でき、優先順位が出やすい ADOC → COPM → GAS
やりたい作業はある。変化を追いたい COPM 本人の主観(達成度・満足度)を同じ尺度で再評価できる COPM → GAS
作業中の “質” がどこで崩れるか知りたい AMPS 運動スキルとプロセススキルの視点で観察が整理できる AMPS → GAS(チーム共有)
チームで “ゴール” と判定基準を揃えたい GAS 期待値( 0 )と ±2 を定義し、達成度のブレを減らせる ADOC / COPM → GAS

比較表|強み・弱み・導入負荷まで 1 枚で整理

「なんとなく良さそう」で選ぶと、記録が散らかり再評価が止まります。下の表は、現場で詰まりやすい “導入負荷” と “残せるアウトカム”まで含めて整理しています。

※スマートフォンでは横スクロールしてご覧ください。

COPM・AMPS・ADOC・GAS の比較(目的/アウトカム/導入負荷/使いどころ)
ツール 向いている場面 残るアウトカム 導入・運用負荷 弱点(つまずき)
COPM 退院支援、生活期、訪問など “本人の大事” を軸に組み立てたい 作業ごとの達成度・満足度(再評価で差分が出る) 中(面接スキルが鍵) 作業名が抽象的だと再評価が崩れる
AMPS ADL / IADL の作業中の質を “観察で” 定量化したい 運動スキル/プロセススキルの所見(解釈が介入に直結) 高(講習・校正・得点処理が必要) 観察条件がブレると比較が難しい
ADOC やりたいことが言語化しづらい、優先順位づけが必要 本人の価値観・作業候補・優先順位 中(ツール準備は必要、手順は明快) “選んだ後” を目標に落とせないと止まる
GAS 目標達成の判定基準をチームで揃えたい 達成度( −2 〜 +2 )と判定理由 中(合意形成が必要) 0(期待値)の定義が曖昧だと採点が割れる

併用の型| “選ぶ→測る→合意する” を 1 本につなげる

単体運用より、併用の順番を固定すると評価が回りやすくなります。おすすめは次の 3 パターンです。

現場で回りやすい併用パターン(例)
パターン 向くケース 運用のコツ
ADOC → COPM → GAS 作業候補が曖昧/高齢者/会話から本音が出にくい ADOC は “作業候補の抽出”、COPM は “変化の追跡”、GAS は “判定基準の共有” に役割分担する
COPM → GAS 作業は定まっている/チームでゴールを揃えたい COPM の作業名をそのまま GAS の目標文に流用し、0(期待値)だけ丁寧に詰める
AMPS → GAS 作業中の質の課題が主/介入ポイントを絞りたい AMPS の所見を “行動指標” として GAS の判定根拠にする

COPM|本人の語りから「大事な作業」と変化を捉える

COPM は、本人が重要だと感じる作業を挙げてもらい、達成度と満足度の変化を追う枠組みです。ポイントは、作業名を「誰が・どこで・何を・どのくらい」まで具体化しておくことです。

  • 向く:退院後の生活・役割・余暇まで含めて目標化したい
  • 苦手:作業名が抽象的だと、再評価で “同じものを測れない”
  • 記録の型( 3 行 ):①作業名(具体) ②達成度 / 満足度(初回→再評価) ③本人コメント(変化の理由)

AMPS|作業遂行の質を「運動」と「プロセス」で観察する

AMPS は、作業中の行動を観察して “質の崩れどころ” を言語化しやすくします。正式導入のハードルは高い一方で、観察の視点(運動/プロセス)は日常臨床にも転用できます。

  • 向く:更衣・調理などで “どこで止まるか” を介入につなげたい
  • 苦手:観察条件(作業・環境・道具)が変わると比較が難しい
  • 記録の型( 3 行 ):①作業(条件) ②運動の所見 ③プロセスの所見(段取り・注意・問題解決)

ADOC|カードで「大事な作業」と優先順位を可視化する

ADOC は、作業例を視覚提示しながら対話できるため、「やりたいことがない」「言葉にしづらい」ケースで強いツールです。止まりやすいのは、選んだ後に “目標文” に変換できないパターンです。

  • 向く:高齢者/失語や認知の影響で言語化が難しい/価値観を探りたい
  • 苦手:選択で終わり、介入に落ちない
  • 記録の型( 3 行 ):①選ばれた作業(上位 3 つ) ②優先理由(本人の言葉) ③次回までの “試す行動”

GAS|「どこまでできたらゴールか」を 5 段階で共有する

GAS は、目標達成を −2 〜 +2 で評価する方法です。最重要は、0(最も期待される状態)を “行動で” 定義することです。ここが曖昧だと、採点が割れて運用が崩れます。

  • 向く:多職種で目標と判定基準を揃えたい/再評価を定着させたい
  • 苦手:0 の定義が “気分” になるとブレる
  • 記録の型( 3 行 ):①目標(誰が・どこで・何を) ② 0 の条件(回数・距離・介助量など) ③判定根拠(観察事実)

現場の詰まりどころ|「失敗の芽」を最短で潰す 3 ステップ

評価ツールは “知識” より “運用” で詰まります。よくあるのは、①作業名が抽象的②判定基準が曖昧③再評価が続かないの 3 つです。まずは下の 3 本で詰まりを潰してください。

よくある失敗| NG 例と “ 1 手で戻す” 修正

失敗はパターン化しています。下の表の “修正の型” を使うと、同じ場所で詰まりにくくなります。

作業ベース評価が崩れる “よくある失敗” と修正の型
失敗( NG ) 何が起きるか 修正( OK )
作業名が抽象的(例:買い物をする) 再評価で “同じ課題” を測れない 誰が・どこで・何を・どのくらいまで具体化(例: 1 人で近所の店で昼食を買い帰宅)
本人の価値観を誘導してしまう 納得感が落ち、介入が続かない 選択肢を提示しつつ、理由は本人の言葉で記録( ADOC と相性良)
GAS の 0 が曖昧 採点が割れ、チーム共有できない 回数・距離・介助量・時間など “行動指標” を 1 つ入れる
AMPS 的観察が “感想” になる 介入ポイントが定まらない 運動(姿勢・操作)とプロセス(段取り・注意)を分けて書く
評価が長くなり、再評価が消える 改善の根拠が残らない 初回は “作業 1 つだけ” に絞り、再評価の日時を先に決める

回避チェック|次のセッション前に 30 秒で確認

  • 作業名は “誰が・どこで・何を・どのくらい” まで具体化できている
  • 本人の優先理由(本人の言葉)が 1 行で残っている
  • GAS を使うなら 0(期待値)に行動指標が入っている
  • 再評価する日(または条件)が決まっている

よくある質問( FAQ )

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

Q1.ツールを正式導入していない職場でも意味がありますか?

はい、十分に意味があります。用紙や正式な採点がなくても、「何を明らかにする道具か」という発想は借りられます。例えば COPM なら “大事な作業を 3 つ挙げる→満足度を 0〜10 で聞く”、GAS なら “ 0(期待値)を行動で定義する” だけでも、評価と目標設定が安定します。

Q2. COPM / ADOC / GAS のどれを優先すべきか迷います。

まず「今日、何を一緒に決めたいか」で選ぶと整理できます。作業候補の抽出= ADOC変化の追跡= COPM判定基準の共有= GASです。迷うケースほど、ADOC → COPM → GAS の順に “役割分担” すると回りやすいです。

Q3.評価に時間をかけると介入時間が減りませんか?

初回は確かに時間がかかりますが、最初に焦点が定まると、その後の介入が “本人に意味のある作業” に寄りやすく、漫然とした訓練が減ります。忙しい場面では、初回は簡略版(作業 1 つ)→状態が落ち着いたら深掘り、の段階運用が現実的です。

Q4. GAS の採点が人によってズレます。どう防げますか?

ズレの原因は 0(期待値)の曖昧さがほとんどです。0 に “回数・距離・介助量・時間” のどれか 1 つを入れ、判定根拠を観察事実で残すとズレが減ります。チームで 1 症例だけでも “採点合わせ” をすると基準が揃いやすいです。

次の一手|運用を整える→共有の型→環境の詰まりも点検

教育体制・人員・記録文化など “環境要因” を一度見える化すると、次の打ち手が決めやすくなります。

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参考文献

  1. Tomori K, Uezu S, Kinjo S, Ogahara K, Nagatani R, Higashi T. Occup Ther Int. 2012;19(2):88-97. doi: 10.1002/oti.325(PubMed: 21936012
  2. Kiresuk TJ, Sherman RE. Community Ment Health J. 1968;4(6):443-453. doi: 10.1007/BF01530764(PubMed: 24185570
  3. Law M, Baptiste S, McColl M, et al. Canadian Occupational Performance Measure( COPM )開発関連文献(PubMed: 10104738
  4. Canadian Association of Occupational Therapists. The Canadian Occupational Performance Measure. 4th ed. CAOT Publications ACE; 2005.

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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