訪問リハ初回訪問チェックリスト|40分で見る順番【PDF・Excel】

臨床手技・プロトコル
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訪問リハの初回は何を見る?40分で全部評価しようとしない

訪問リハの初回では、1回ですべての評価を終わらせるより、本人・家族が困っている生活課題を確認する → 安全に動けるかを見る → 課題に直結する代表動作を1〜2個観察する → 実際の生活環境を確認する → 安全に試せる調整を1つ行う → 次回に何を確かめるか決める、という順番で優先順位をつける方が整理しやすくなります。

この記事では、新人PT・OT・STが「初回で何から見ればいいか」と迷ったときに使えるよう、40分で回すモデル、事前準備、家屋・動線、安全確認、記録の最小セットをまとめます。40分は全国共通の標準時間ではなく、限られた時間で評価を組み立てるための本記事独自モデルです。

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初回40分モデル:6ステップで見る順番を決める

初回で最も大切なのは、評価項目を順番に埋めることではなく、本人の生活課題に必要な評価へ絞ることです。まず「何に困っているか」を確認し、その課題を安全に観察できるか判断してから、実際の生活場面へ進みます。

以下は40分を想定した一例です。実際の提供時間、医師の指示、利用者の状態、事業所の運用によって内容は調整してください。

訪問リハ初回40分を生活課題、安全、代表動作、環境、1つ試す、次回の6ステップで整理した図
初回40分は、生活課題から次回の確認事項まで6ステップで優先順位を整理します。

※スマホでは表を左右にスクロールできます。

訪問リハ初回40分モデル:見る順番と残す情報
時間 やること 見るポイント 残すこと
0〜5分 挨拶・同意・生活課題の確認 本人・家族が今いちばん困っていること 今日見る課題を1つ決める
5〜10分 体調・安全確認 普段との違い、症状、バイタル、医師指示・注意点 動作評価へ進めるか判断する
10〜25分 代表動作を1〜2個観察 普段の方法、介助量、補助具、失敗する条件 「できる条件」と「崩れる条件」を残す
25〜33分 関連する環境・介助者を確認 動線、支持物、段差、照明、家具、介助者の位置 課題に影響する環境因子を1〜2個絞る
33〜37分 安全に試せる調整を1つ確認 動作手順、支持位置、家具配置、介助方法など 変更前後の反応を確認する
37〜40分 共有・次回の焦点を決める 今日分かったこと、未確認のこと 次回確認することを1つ決める

初回で全項目を評価できなくても問題ありません。重要なのは、今回確認したことと、まだ確認できていないことを区別し、次回の評価につなげることです。

訪問リハ初回訪問チェックシート【PDF・Excel】

上の40分モデルを現場で確認できるよう、訪問リハ初回訪問チェックシートをA4 1枚にまとめました。事前準備、安全確認、40分フロー、家屋・動線、今回試したこと、次回につなぐ記録まで1枚で追える構成です。

PDF版はそのまま印刷して使用したい場合、Excel版は施設や事業所の運用に合わせて入力・編集したい場合に使い分けてください。初回ですべての欄を埋めるための用紙ではなく、今回見る項目を絞り、未確認部分を次回へ残すためのチェックシートとして使います。

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初回訪問の前に確認する最小セット

初回訪問では、現地で何を見るかだけでなく、医師の指示、生活課題、最近の状態変化、緊急時の連絡方法を事前に確認しておくことが重要です。不明な項目は無理に埋めず、「現地で確認する項目」として残します。

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初回訪問前に確認する最小セット
カテゴリ 事前に確認すること 当日に確認すること
依頼目的 ケアプラン、生活課題、訪問リハ導入の目的 本人・家族が現在いちばん困っていること
医療情報 疾患・既往、医師指示、運動上の注意点、最近の状態変化 当日の体調と普段との差
転倒・急変 最近の転倒、急変、疼痛増悪、呼吸状態の変化など 新しい症状が出ていないか
連絡体制 主治医、ケアマネジャー、家族、事業所内の緊急連絡手順 当日の同席者と普段の介助者
訪問環境 駐車場所、玄関までの経路、必要な持ち物 室内環境と生活動線
持ち物 血圧計、パルスオキシメータ、メジャー、記録用紙、消毒用品など 写真を使用する場合の本人・家族の同意

家屋は「場所」ではなく生活課題につながる動線で見る

家屋評価では、玄関・廊下・トイレ・浴室を機械的に全部確認するのではなく、本人が困っている生活課題につながる動線を優先します。たとえば「夜間のトイレ移動」が課題なら、ベッドから立ち上がり、廊下を通り、便座へ座るまでを一連の動作として確認します。

住宅改修や福祉用具まで検討する必要がある場合は、初回で無理に詳細採寸まで終わらせず、まず「どこで・どの条件で動作が崩れるか」を絞ります。詳しい採寸は、家屋調査チェックリスト(住宅改修・採寸)で確認できます。

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生活動線で確認する代表的なポイント
場所 確認すること 動作が崩れやすい条件 検討の方向
玄関 上がり框、支持物、靴の着脱方法 片脚立位になる、支持物へ手が届かない 座位での着脱、支持位置、動作手順を検討
廊下 通路幅、照明、段差、物の配置 暗い時間帯、方向転換、マットやコード 動線整理、照明、障害物の扱いを検討
居室 ベッド高、立ち上がり、家具配置 支持点が遠い、立ち上がり直後にふらつく 支持位置や家具配置を検討
トイレ 移乗方向、手すり、方向転換、衣服操作 急ぐ、片手になる、狭い場所で旋回する 手順・介助位置・環境調整を検討
浴室 出入り、またぎ、立ち座り、濡れた床 滑る、片脚支持になる、支持が途切れる 座位利用、支持方法、用具を検討

すべての場所を見る必要はありません。今回の生活課題に関係する動線から優先することが、40分で評価をまとめるポイントです。

安全確認は「数値だけ」ではなく症状・普段との差・個別指示で判断する

初回訪問では、動作評価へ進む前に体調を確認します。ただし、血圧やSpO₂などの単一の数値だけで一律に実施・中止を決めるのではなく、新しく出現した症状、普段との違い、医師の指示、事業所の緊急時手順を合わせて判断します。

以下は診断基準や全国共通の中止基準ではなく、初回訪問で「そのまま動作評価へ進んでよいか」を考えるための確認例です。

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初回訪問で動作評価へ進む前の安全確認
場面 確認すること 基本対応
胸痛、失神、強い呼吸困難、明らかな意識変容 新規症状か、普段と明らかに異なるか、持続しているか 動作評価を進めず、安全を確保して事業所の緊急時手順に沿って対応する
めまい、悪心、強いふらつき 姿勢を変えて改善するか、バイタルや症状に変化があるか 現在の動作を止めて安全な姿勢を取り、状態を再確認する。持続・増悪時は事業所手順に沿って相談する
SpO₂、血圧、脈拍などの変化 本人の通常値、症状、医師からの個別指示との違い 単一の測定値だけで判断せず、個別の基準と事業所ルールに沿って対応する

具体的な中止値が定められている場合は、この記事の例ではなく、医師の指示や所属事業所の基準を優先してください。

初回の記録は「次回につながる5点」に絞る

初回記録では、見た項目を長く並べるより、なぜその課題を優先し、どの条件で動作が変わり、次回何を見るかが伝わることが重要です。

最低限、次の5点を残しておくと、次回訪問や他職種への共有につなげやすくなります。

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初回記録で残したい5点
項目 残す内容 記録例
生活課題 本人・家族が優先した困りごと 夜間のトイレ移動時にふらつく
代表動作 普段の方法、介助量、崩れる条件 杖歩行可能。トイレ前の方向転換時にふらつきあり
安全・環境因子 動作へ影響する症状・環境・介助条件 夜間は廊下が暗く、支持物が途切れる
試したこと 変更した条件と反応 方向転換前に一度停止するとふらつき軽減
次回 未確認事項と次に検証すること 夜間照明を含めたトイレ動線を再評価する

初回訪問で起こりやすい失敗と直し方

初回で抜けが起こる原因は、評価項目を知らないことよりも、目的を決めないまま評価を始めることです。代表的な3パターンを整理します。

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初回訪問で起こりやすいNGと修正方法
NG 起こること 修正
ROM・MMT・歩行などを順番に全部評価する 生活課題へ到達する前に時間がなくなる 生活課題を1つ決め、その課題の判断に必要な評価を選ぶ
療法士の方法で動作をやり直してしまう 本人が普段どのように生活しているか分からなくなる まず普段の方法と普段の介助者の条件で観察する
記録を全部書こうとする 今回の課題と次回の焦点が埋もれる 生活課題、崩れる条件、試したこと、次回を見る点を優先する

よくある質問

Q1. 40分で初回評価が終わらなかったら問題ですか?

初回1回で全評価を完結させる必要はありません。生活課題に直結する項目を優先し、未確認項目と次回の評価ポイントを記録しておきます。重要なのは「何を確認できて、何が残っているか」が分かることです。

Q2. ROM・MMT・TUGなどは初回に全部実施した方がよいですか?

一律に全部行うのではなく、優先した生活課題を分析するために必要な評価を選びます。まず実際の生活環境で普段の動作を観察し、その原因を確認するために必要な機能評価を追加すると整理しやすくなります。

Q3. 家族の介助方法と療法士が考える方法が違う場合はどうしますか?

最初から療法士の方法へ置き換えず、まず普段の介助方法で何が起きているかを確認します。そのうえで、安全性や介助負担に課題があれば、本人・家族と共有しながら変更を試します。

Q4. 40分は訪問リハ初回の標準時間ですか?

いいえ。この記事の40分は、限られた訪問時間で優先順位を整理するためのモデルです。実際の提供時間や実施内容は、保険制度、リハビリテーション計画、医師の指示、利用者の状態、事業所の運用に従ってください。

次の一手:初回評価を計画と次回訪問につなげる

初回訪問のゴールは、その日に全部評価することではありません。本人の生活課題、実際の動作、環境因子、試した対応、次に確かめることが整理できれば、2回目以降の評価と介入につなげられます。

初回評価をリハビリテーション計画へ整理するときは、訪問リハ計画書の書き方も確認してください。


参考文献・一次情報

  1. 厚生労働省. 訪問リハビリテーション. 第220回社会保障審議会介護給付費分科会 資料4 [Internet]. 2023 [cited 2026 Aug 21]. Available from: https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001123920.pdf
  2. 一般社団法人 日本訪問リハビリテーション協会. 訪問リハビリテーション実践入門 [Internet]. 2019 [cited 2026 Aug 21]. Available from: https://houmonreha.org/jissennnyuumon.pdf
  3. 東京都理学療法士協会, 東京都作業療法士会, 東京都言語聴覚士会. 効果の見える生活期リハビリテーション評価表(訪問版)ver.1.1 記入マニュアル [Internet]. 2015 [cited 2026 Aug 21]. Available from: PDF
  4. 公益財団法人 長寿科学振興財団. 訪問リハビリテーションとは [Internet]. 健康長寿ネット; 2023 [cited 2026 Aug 21]. Available from: https://www.tyojyu.or.jp/net/kaigo-seido/kaigo-service/houmon-riha.html

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

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