OT 評価ハブ|作業から逆算する順番と最小セット
作業療法( OT )の評価は、心身機能を測るだけでなく、作業パフォーマンスと環境・文脈まで含めて「生活のボトルネック」を特定するのが強みです。一方で、情報が増えるほど迷いやすく、評価が“作業に戻らない”まま介入が遅れることも起こりがちです。
このハブは、OTIPM × ICF の考え方を土台に、何から取るか(順番)とまず押さえる最小セット、そして困りごと別に深掘りする入口を 1 ページに集約した索引です。迷ったらここに戻り、必要な各論へ最短で移動してください。
教育・運用が整うと、評価はもっと回ります。
新人〜中堅 OT が「順番」「見立て」「共有」を崩さず伸ばすための学び方を 1 ページにまとめています。
想定読者
- 新人〜中堅の作業療法士( OT )で、初期評価の順番と最小セットを固定したい方
- ROM・筋力・スケールだけで終わらず、作業( ADL / IADL )に戻せる所見にしたい方
- ツール( COPM / AMPS / ADOC / GAS )の使い分けを“目的”から引けるようにしたい方
このハブで得られること
- 迷いが減る:初期評価の順番と最小セットが固定できる
- 共有が通る:作業 → 観察 → 仮説 → 目標( 1 文 )までを 1 本にできる
- 深掘りが早い:上肢・高次脳・ ADL 観察など、必要な各論へ最短で飛べる
最短導線(同ジャンル回遊)
このハブの使い方| 3 分で「入口」を決める
迷ったら、次の 3 ステップだけで OK です。まず総論で順番を合わせ、次に作業観察(作業分析)で詰まりを見つけ、必要になった領域の各論へ移動します。
- 総論:OT 評価の全体像( OTIPM × ICF )で、初期評価の順番を固定する
- 各論:「上肢」「高次脳」「 ADL / IADL 」など、観察で必要になった分だけ深掘りする
- 比較:ツールで迷ったときだけ ツール比較(使い分け)に戻る
まず読む / 困ったら戻る|OT 評価の地図(入口表)
このハブ内で「どこへ行けばよいか」を 1 分で決められるように、入口を表にまとめます。スマホでは横スクロールで確認してください。
| いま困っていること | まず読む(総論) | 次に行く(各論 / 比較) | 戻り先 |
|---|---|---|---|
| 初期評価の順番が定まらない | OT 評価の全体像(順番と最小セット) | 最小セット(このページ) | このハブ冒頭 |
| ツール( COPM / AMPS ほか )が選べない | 総論(目的 → 観察 → 追加評価) | ツール比較(使い分け) | ツール運用の原則(このページ) |
| 上肢で詰まっている(到達 / 把持 / 巧緻) | 総論(作業から逆算) | 上肢評価の最小セット+比較表 | 最小セット(このページ) |
| 高次脳っぽい(手順の抜け / 注意の逸れ) | 総論(観察 → 要因の整理) | 高次脳の OT 評価(順番と所見化) | 詰まりどころ(このページ) |
| 片麻痺の更衣・食事で“上肢の使い方”が崩れる | 総論(作業観察 → 仮説) | 更衣・食事動作の観察ポイント( OT ) | 各論一覧(このページ) |
OT 初期評価の最小セット|まず押さえる 8 項目(入口の固定)
OT の評価は「たくさん測る」ほど進むわけではありません。忙しい現場ほど、最小セットを決めて同じ順番で回すと、記録・共有・再評価が一気にラクになります。
最小セットは、作業(困りごと)→観察(作業分析)→環境→必要な測定だけ追加→目標( 1 文 )→再評価条件固定、で組みます。細かな測定は、観察で必要になった分だけ足してください。
| 項目 | 見るポイント | 記録の一言例 | 次に行く |
|---|---|---|---|
| 困りごと(作業) | ADL / IADL / 役割から 3 つに絞る | 「更衣で右手が使えず時間延長」 | 作業観察へ |
| 作業観察(作業分析) | 工程のどこで止まるか、代償は何か | 「袖通しで肩外転が詰まる」 | チェックリスト( A4 ) |
| 環境因子 | 道具・家屋・支援・職場条件 | 「把持補助具で実用化可能」 | 運用の原則へ |
| 安全(転倒 / 疲労) | 介助量、危険行動、疲労で崩れる条件 | 「立位 2 分でふらつき」 | 必要な各論へ |
| 上肢(必要時) | 到達 / 把持 / 巧緻のどこが詰まるか | 「把持は可、巧緻で遅延」 | 上肢評価の使い分け |
| 感覚(必要時) | 触覚・深部・痛みが作業を崩すか | 「触覚鈍麻で把持が不安定」 | 複合感覚の見方(参考) |
| 高次脳(必要時) | 注意・遂行・失行で工程が破綻するか | 「手順の抜けが目立つ」 | 高次脳の OT 評価 |
| 目標( 1 文 ) | 期限・条件・評価方法をそろえる | 「 2 週で上衣更衣を見守りへ」 | GAS / COPM の使い分け |
評価ツール運用の原則|目的で呼び出し、比較は 1 ページに集約する
ツール( COPM / AMPS / ADOC / GAS など)は「覚える」より「目的で呼び出す」が正解です。困りごとが言語化できるなら COPM、作業の質を見たいなら AMPS、優先作業を可視化したいなら ADOC、個別目標を追うなら GAS、のように目的で選ぶと迷いが減ります。
比較と細かな使い分けは、この 1 ページに集約しておくとカニバリを避けやすいです:OT 評価ツール比較(使い分け)
各論(子記事)|困りごと別に深掘りする
このハブでは、代表的な入口だけを置きます。症例で必要になった領域へ移動してください(網羅より、迷わない導線を優先します)。
総論(まず固定)
ツール・目標(迷ったら比較へ)
上肢・ ADL 観察(作業に戻す)
高次脳(机上 OK / ADL NG を所見化)
現場の詰まりどころ|ボタン無しで「迷いを止める」
ここは読ませるゾーンです。迷いが出たときに戻れるよう、ページ内アンカーを置きます。次の 2 つをチームの共通言語にしてください。
よくある失敗|評価が「増えるほど」介入が遅れる
- 失敗 1:最初からスケールを並べる → 作業の困りごとが曖昧なままになる
- 失敗 2:心身機能を先に測る → 生活で何が変わるか説明できない
- 失敗 3:観察が不足 → 介入が「運動機能」中心に寄りやすい
- 失敗 4:目標が抽象的 → 再評価で変化が言えず、共有が崩れる
回避のコツは、まず「作業 3 つ」「観察 1 回」「目標 1 文」を決め、足りない分だけ測ることです。
回避の手順(チェック)|迷ったらここに戻る
- 困りごと(作業)を 3 つに絞ったか
- 少なくとも 1 つは作業を観察したか(工程のどこで詰まるか)
- 環境(道具・家屋・支援)を先に検討したか
- 追加の測定は「観察で必要になった分だけ」になっているか
- 目標が「いつまでに/何を/どの条件で」 1 文になっているか
- 再評価の条件(同課題・同環境・期限)が固定できているか
よくある質問(FAQ)
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
Q1. OT の初期評価で「全部やれない」場合、何を優先しますか?
最優先は「作業 3 つの困りごと」と「作業観察( 1 回 )」です。ここが決まれば、上肢・感覚・注意など、追加で測るべき要素が自然に絞れます。迷ったら 回避チェックに戻して、やる順番を守るのが最短です。
Q2. OTIPM と ICF は、現場ではどう使い分けますか?
評価の進め方(順番)を作るのが OTIPM、チームに通る整理(記録)に使うのが ICF です。実務では「進め方は OTIPM、まとめ方は ICF」と考えるとブレにくいです。
Q3. ツール( COPM / AMPS ほか )選びで迷ったらどうしますか?
まず総論の順番に戻り、観察で「何が必要か」を絞ってから比較ページで選びます。比較と使い分けは 1 ページに集約しています:OT 評価ツール比較
Q4. 上肢評価は何から始めればよいですか?
上肢評価は「どの作業で詰まっているか」が先です。到達・把持・巧緻・両手協調のうち、観察で必要になった要素から追加してください。迷う場合は最小セットと比較表に戻るのが早いです:上肢評価の使い分け
次の一手|評価を「運用」に落として回す
最後に、次の 3 ステップで「現場で回る形」に寄せます。読んで終わりにせず、チーム共有までつなげてください。
- 運用を整える:OT の評価サイクル(順番)を固定します:OT 評価の総論
- 共有の型を作る:ツール選択の迷いを 1 ページに集約します:OT 評価ツール比較
- 現場で揃える:チェックリストを 1 枚にし、引き継ぎの粒度を統一します:初期評価チェックリスト( A4 )
環境要因(教育体制・人員・記録文化など)も一度見える化すると、次の打ち手が決めやすくなります。
チェック後に「続ける/変える」の選択肢も整理したい方は、OT キャリアナビで進め方を確認しておくと迷いが減ります。
参考文献
- World Health Organization. International Classification of Functioning, Disability and Health ( ICF ). WHO(公式)
- Law M, Baptiste S, McColl M, et al. The Canadian occupational performance measure: an outcome measure for occupational therapy. Can J Occup Ther. 1990;57(2):82-87. doi:10.1177/000841749005700207
- Fisher AG. Uniting practice and theory in an occupational framework. 1998 Eleanor Clarke Slagle Lecture. Am J Occup Ther. 1998;52(7):509-521. doi:10.5014/ajot.52.7.509
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


